2019年3月22日金曜日

IPO分析(ヴィッツ)

【事業内容】
(1)組込システム事業
当社グループは、平成9年の設立以来、組込システムに関するソフトウェア開発を事業基盤としております。組込システム事業の具体的な内容は、国内外顧客(産業機械メーカ、自動車メーカ、自動車部品メーカ、デジタル家電メーカ、建設機械メーカなど)に対して、組込ソフトウェアの受託開発業務「制御ソフトウェアエンジニアリングサービス」を提供しております。また、これら顧客企業向けにリアルタイムオペレーティングシステムに関する業務「リアルタイムオペレーティングシステム開発、販売」を実施しております。
近年、自動車をはじめ多くの機器がインターネットなどの外部ネットワークに接続し、新たなサービス提供を開始しつつあり、当該製品分野におけるセキュリティ課題が問題となっております。そこで当社グループでは、自動車メーカに「組込セキュリティサービス」、「組込セキュリティ教育」を提供しております。これら当社グループが提供するソリューションは、今後成長が期待されるIoTの基盤技術であり、個別産業分野の技術でなく、広く産業分野全域に必要な技術要素であります。そのため幅広い分野の様々な顧客企業を対象としております。

組込システム事業の主な提供サービスの概要は以下のとおりとなります。
●制御ソフトウェアエンジニアリングサービス
当社が提供する自動車及び組込システム向けの制御ソフトウェアエンジニアリングサービスは、産業横断的に様々な産業で利用される基盤技術であります。特に、近年電子化が急速に進展する自動車関連向けの制御ソフトウェアエンジニアリングサービスは当社の中核技術となっております。また、当社は、自社で保有する自動車向けRTOS(欧州の規格で実質的な標準仕様であるAUTOSARやOSEK/VDX仕様のOS)のカスタマイズやインテグレーションサービスを自動車メーカや自動車部品メーカに提供しており、制御ソフトウェアエンジニアリングサービスとのシナジー効果を高めております。

●リアルタイムオペレーティングシステム開発、販売
当社グループは、主に自動車と産業機器に特化したオペレーティングシステムを自社開発し、販売提供しております。
自動車向けのRTOSは欧州の規格で実質的な標準仕様であるAUTOSARやOSEK/VDX仕様に準拠したものです。また、産業機械向けのRTOSは日本で仕様策定されたμITRON仕様に準拠したものになります。いずれもOWLS(オウルズ)という名称にて販売しております。また、機能安全に対応したRTOSやセキュリティ機能を付加したモデルもラインアップしております。
これらのRTOSはソフトウェア部品の製品として不特定多数の顧客企業に同一製品を販売しているため、顧客企業ごとに専用ソフトウェアを提供するソフトウェア開発支援サービスと比較して利益率が高いという特徴があります。

●自動運転技術研究と技術支援サービス
<研究事業>
自動車や各種ロボットなどが自律的に動作し、人々の生活を支援する社会が現実味をおびてきました。
当社グループは、来るべき自律システム社会を支える基盤技術を得るため、経済産業省の研究事業を活用し、積雪路面での自動運転を実現するための技術研究を実施しております。この研究では世界的に研究が進められている“ダイナミックマップ”が活用できない積雪路面で、雪道を判別し安全に走行するための基礎技術を開発し、その技術を過疎化地域で活用することを検討しております。

<技術支援サービス>
当社グループは、自動車メーカ各社が自動運転をはじめとする自律システムを開発する場合に、当社が研究活動で得たセンサー技術や人工知能を活用した判断技術の提供を予定しております。提供先は自動運転車両開発メーカ及び自動運転車両への電装部品のサプライヤーとなります。
●組込セキュリティサービス/組込セキュリティ教育
当社グループが提供する、組込セキュリティサービスにはコンサルティングと教育があります。
これまでインターネットに接続されていなかった装置が、近年、新たにネットワークに接続されてクラウド連携サービスを開始しております。その一例としてConnected Carといわれる自動車や、今後商品化が期待される自動運転車両があげられます。今後は外部ネットワークに接続される自動車が増えることが予想され、セキュリティ対応が必要になると当社グループは考えております。さらに自動車はセキュリティの脆弱性をつかれてハッキングされると、制御が乗っ取られる可能性があり、利用者の安全や公道上の安全などが脅かされる危険性があります。
当社グループは、国内大手自動車関連企業及び建設機械メーカ等が開発・生産する装置の組込セキュリティ対応に向けたコンサルティングサービス、ソフトウェアのセキュリティ対応モジュール提供、セキュリティ対応ソフトウェア開発支援サービスを提供しております。また、ソフトウェア開発におけるセキュリティ対策に必要な考えや活動を教育資料としてまとめており、この資料を利用した教育サービスを顧客企業などに提供しております。
今後、自動車メーカや自動車部品メーカなどに幅広く提供することにより当社グループの事業拡大を実現する重要なサービスとして位置付けております。

(2)システムズエンジニアリング事業
システムズエンジニアリングとは「システムの実現を成功させることができる複数の専門分野にまたがるアプローチ及び手段」と定義されております。すなわち複数の専門分野(例えば、電気工学、機械工学、ソフトウェア工学など)を統合し、束ねるためのアプローチを指します(下図、「システムズエンジニアリングのイメージ図(自動運転システムを例にして説明)」参照)。
システムの定義は、「ハードウェア、ソフトウェア、人、情報、技術、サービスなどの支援要素で定義された目的を成し遂げるための、相互作用する要素を組み合わせたもの」であるため、システムズエンジニアリングは複数のシステムを並列・階層的に接続して目的を達成することになります。例えば自動運転システムは、自動車システム、交通システム、経路探査システム、人間行動システムなど多岐にわたるシステムを連携して実現される、システムズエンジニアリングにより解決するべきシステムであります。
自動車システムなど複雑なシステムに対して効率的な開発をするために、近年はモデルと呼ばれる表記法(様々なモデル表記が実在します)が用いられるようになってきております。当社グループは、設立3年目の平成11年からモデル表記法を利用したモデルベース開発を実施しております。
具体的な内容としては、「車載制御シミュレーション開発」、「車載制御モデル開発」、「自動運転向け仮想環境シミュレーションの開発、販売」などの事業を実施しております。
(3)機能安全開発事業
当社グループは平成20年から工作機械メーカ、自動車関連メーカなど製品の安全性が求められるメーカ向けに、機能安全コンサルティング及び開発支援サービスを実施しております。
機能安全とは、コンピュータを用いた制御装置に対し、監視装置や防護装置などの付加機能によるリスクの低減を施すことです自動車や電車などの装置は、人々の生活に不可欠な存在になっております。これらの装置は膨大なソフトウェアを利用して機能を提供しております。このような装置が何らかの問題(ハードウェアの故障やソフトウェアの不具合)で動作が不安定になったり機能を停止した場合には、人々に危害を及ぼす危険があります。例をあげると、自動車・電車などのブレーキが何らかの原因で動作しなくなった場合には、重大な事故につながりかねません。
当社グループは機能安全の考え方を規定した機能安全規格を取得(産業機械やプラント工場などの機能安全であるIEC 61508のソフトウェアプロセス認証を国内で初めて取得(平成22年)、自動車の機能安全規格ISO 26262のソフトウェアプロセス認証を世界で初めて取得(平成24年))しております。


(4)その他
その他事業は、当社の子会社である「株式会社アトリエ」と「株式会社ヴィッツ沖縄」が行っており、いずれも当社との協業により実施しております。

●ソフトウェア開発に関する新技術及び規格調査
当社グループに必要な新技術の調査及びソフトウェア開発に関する新規格調査を行っております。ソフトウェア開発に関する進歩は急速に進んでおり、短期間で新たな対応規格が数多く公開されます。多くの規格は実施するべき項目が記載されておりますが、“なぜ実施する必要があるのか”といった規格の背景や、“どこまでやれば十分か”といった対応範囲などは明確に記載されていないのが現状です。
国立研究開発法人産業技術総合研究所に所属し、規格策定や調査を担当した技術メンバーが中心となり、新規格の調査を行い、顧客企業へ調査結果を提供するサービスを行っております。

●組込ソフトウェア評価・開発支援
沖縄県の若い人材を活用した組込ソフトウェア評価・開発支援を行っております。沖縄県はソフトウェア産業において現在発展途上の状況であるため、ソフトウェア開発などを実現するには技術者教育と開発などの経験が必要となります。
当社グループでは若年層技術者にソフトウェアの評価、組込機器の画面開発など、比較的開発が容易な部位を担当させるとともに、ソフトウェア開発の教育を実施しております。
評価や画面開発など多数の技術者を必要とする業務を若年技術者を活用することにより、当社グループ全体での開発コストの削減に寄与しております。
沖縄県は雇用費用が低いため、ソフトウェア開発の試験、組込機器の画面開発など、比較的要求される技術が低い開発を担当し、当社グループ全体での開発コストの削減に寄与しております

【業績等】
業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益
(連結実績)2017.8 2,166 204 208 138
(連結実績)2018.8 2,375 221 223 135
(連結予想)2019.8 2,539 289 268 189
(連結1Q実績)2019.8 552 50 50 34
1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当
(連結予想)2019.8 117.70 737.74 6
調達資金使途 システム投資や研究開発費、広告宣伝費

上場時発行済み株数 1,807,000株 (別に潜在株式222,000株)
公開株数 460,000株(公募340,000株、売り出し60,000株、オーバーアロットメント60,000株)
シンジケート 公開株数400,000株 (別に60,000株)

PER:19.2
PBR:3.1
配当利回り:0.2%
公募時吸い上げ資金:10.3億
公募時時価:41億
    
【株主構成】 180日
(株)Office Hat 役員らが議決権の過半数を所有する会社 420,000 24.87
(株)SNA 役員らが議決権の過半数を所有する会社 380,000 22.50
アイシン精機(株) 取引先 150,000 8.88
オークマ(株) 取引先 150,000 8.88
森川聡久 取締役 125,000 7.40
大西秀一 取締役 125,000 7.40
従業員持ち株会 特別利害関係者など 67,000 3.97
服部博行 代表取締役社長 60,000 3.55
脇田周爾 専務取締役 59,000 3.49

本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である株式会社Office Hat、売出人である株式会社SNA、当社株主であるアイシン精機株式会社、オークマ株式会社、森川聡久、大西秀一及び武田英幸並びに当社新株予約権者である服部博行及び脇田周爾は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の平成31年10月4日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等は除く。)等を行わない旨合意しております。

【代表者】
代表者生年月日 1967年03月23日生まれ

代表者略歴
1989年04月 (株)メイテック入社
1997年06月 (株)ソフィックス名古屋(現:当社)設立、入社
2007年06月 当社 取締役
2013年02月 (株)アトリエ 設立 代表取締役社長 6月:アーク・システム・ソリューションズ(株) 取締役
2014年10月 当社 専務取締役 CTO
2015年12月 当社 取締役社長(現任)
2016年10月 (株)ヴィッツ沖縄設立 代表取締役社長
2017年10月 (株)アトリエ 取締役会長(現任) (株)ヴィッツ沖縄 取締役会長(現任)

【幹事団】
東海東京 356,000 89.00
SBI  16,000  4.00
大和   12,000  3.00
SMBC日興 8,000 2.00
エース  4,000   1.00
安藤   4,000   1.00

【参考類似企業】
今期予想PER(3/7)
2349  エヌアイデイ 11.3倍(連結予想 )
2359  コア  16.9倍(連結予想 )
3858  ユビキタスAI -倍(連結予想 )
3918  PCIHD 18.0倍(連結予想 )
4394  エクスモーション 34.9倍(単独予想 )
4420  イーソル 42.0倍(連結予想 )
4430  東海ソフト 18.2倍(単独予想 )
9692  シーイーシー 24.8倍(連結見込 )

【私見】
 人気の組み込み系ソフトで、直近ではイーソルが人気だったよう自動運転などテーマ性もあり業種人気はあります。業績はそこまで大きく伸びてはいませんが、成長性を加味すればPERからも上値余地は十分にありそうです。更に需給は良く、VCも存在せずに規模も小さめなので、初値段階で人気になる可能性は高いと思います。その後の日程が空くので、低ければセカンダリーも気にしたい銘柄です。

想定価額:2260円
仮条件上限:2650円
初値予想:6500円
ブック申し込み度・・・強気
セカンダリー期待度・・・中立~やや強気
総合評価3.5

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