2019年3月5日火曜日

IPO分析(ギーグス)

【事業内容】
 当社グループが提供する事業は、日本において深刻な社会問題となっている慢性的なIT人材不足を、ITフリーランスを活用した技術リソースシェアリングや、フィリピン最大級の日系テックスクールとして次世代エンジニアの育成などを通じて、企業の経営課題を解決するIT人材領域をメイン事業としています。また、その他の事業として、大手ゲーム配信事業者とのパートナーシップにより数々のヒットタイトルを手がけるスマートフォン向けゲーム制作、VR・AR・MR・3Dホログラムなどの新技術を活用した動画コンテンツ制作、ゴルフ業界に特化したウェブメディア運営を行なっています。当社グループは子会社2社を含む全5事業で構成されており、各事業セグメントは「IT人材事業」、「IT人材育成事業」、「ゲーム事業」、「動画事業」、「インターネット事業」に分類されます。
 (1) IT人材事業
① 事業の概要
IT人材事業では、企業の枠を超えて複数のプロジェクトに携わるITフリーランスの技術リソースシェアリングを活用した新しいエンジニアリングスタイルを提案しています。「働き方の "新しい当たり前"をつくる」 を事業ミッションに掲げ 、ITフリーランスの働き方を支援し、彼らの有する技術スキル、経験、志向性、そして企業の保有する案件をデータベース化することで、技術力をシェアするプラットフォームの役割を担い、企業のニーズに応える最適なマッチングを実現します。
特徴として、一般的な開発プロジェクトでは、開発初期の要件定義工程から、最も人材(工数)を必要とする本開発工程、開発後の運用工程と分けられますが、当社では主に本開発工程でのマッチングを実施し、企業と業務委託契約(準委任契約)を締結しております。これにより、企業は各種プロジェクトにおいて採用や教育にコストをかけずに、プロジェクトにおける計画的な活用や、想定外の欠員時、季節要因などの繁忙期に、必要な人材を効率的に確保することができます。
 一方でITフリーランスにとっては、当社が運営するITフリーランス向け案件検索サイト「geechs job(ギークスジョブ)」を通じた各種情報の獲得や、営業代行を依頼することで当社が企業との仲介役となり、ITフリーランスにとっては安定的な受注とサポートを受けるメリットがあります。当社とITフリーランスにおいても業務委託契約(準委任契約)を締結しております。さらに、当社が提供するITフリーランス向け福利厚生プログラム(フリノベ)を利用し、確定申告サポートや健康診断などの各種サービスを優待利用することが出来ます。
本事業のビジネスモデルは、顧客企業内における開発プロジェクトへの常駐が主となりますが、顧客企業から指揮命令を受ける労働者派遣事業や成果物を保証する請負事業とは異なります。
また、本事業における収入は、受注数と人月単価、契約期間による業務委託取扱高と、ITフリーランスへの発注額との差額から得るネット売上を成長源泉とし、月々の受注数を増大させることで、それを最大化させて成長していくビジネスです。平成27年3月期から平成31年3月期12月末時点のITフリーランス累計発注人月数は34,500人月に上り、ITフリーランスマーケットを牽引しています。
 (2) IT人材育成事業
IT人材育成事業では、IT人材不足の解消とグローバルに活躍する人材を育成することを目的に、平成25年にフィリピンセブ州にてNexSeed Inc.を設立し、エンジニア留学、英語留学を提供するスクール事業に参入し、この領域のパイオニア的存在となっております。卒業後に有名IT企業へ就職する卒業生や起業する卒業生を輩出しています。また、大学や高校などの学校法人や企業の社員研修などの法人契約も増加傾向にあります。そして、これまでに培った豊富なカリキュラムを活用して受託型スクール運営や、日本国内において提携企業へのフランチャイズ展開も行っております。本事業における収入は、留学生・企業からの留学費用と提携企業からの運営受託売上、フランチャイズ展開による業務委託売上であります。

(3) ゲーム事業
 ゲーム事業では、大手ライセンサーやゲームメーカーなどのゲーム配信事業者と協業・パートナーシップを組み、Unityを使ったスマートフォン向けネイティブアプリゲームの企画・開発・運営を受託しております。常にゲーム開発のプロ意識を持ち、主に女性向けのゲーム制作の企画・開発が得意であり、社内でプロジェクトマネージャー、各種ディレクター、プランナー、UI/UXデザイナー、エンジニア、QA/デバッグにより最大40名〜50名規模のプロジェクトチームを組成します。その開発及び運営ノウハウや、自社開発したリズムゲームエンジンを保有していることが強みであります。受託サービスの収入は、ゲーム配信事業者からの企画・開発の制作料に加え、一定額の運営受託料となっております。また、協業の内容によっては、ゲーム配信事業者の課金売上収入から一部分配によるロイヤリティー収入を得ております。当社のIT人材事業との事業シナジーもあり、実装工程においては、当社に登録されたITフリーランスに開発業務を発注することで、開発スピードを向上させることができるのは大きな特徴の一つです。
 
運用タイトル
「アイドリッシュセブン」(株式会社バンダイナムコオンライン協業タイトル)
「ツキノパラダイス。(ツキパラ。)」(株式会社バンダイナムコエンターテインメント協業タイトル)
「ワールドエンドヒーローズ」(株式会社スクウェア・エニックス協業タイトル)

(4) 動画事業
 動画事業では、主にパチンコ・パチスロなどの遊技機系とスマホゲーム・アプリのPV(プロモーションビデオをはじめ、企業のサービス・商品、採用ホームページ用の映像・動画制作を行っています。また、新しい取り組みとして、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)やプロジェクションマッピング、ホログラムなどの様々な新技術を活用した動画コンテンツの制作を行っており、社内において企画立案・撮影・編集・プログラミング等、制作にかかる全ての工程を完了させることができます。特に遊技機系の分野においては、業界において数多くの実績を持っております。本事業における収入は、広告代理店や顧客企業からの受託制作料であります。
 
(5) インターネット事業
 インターネット事業では、「ゴルフの楽しさをすべての人に」をコンセプトにしたゴルフ専門情報サイトの「Gridge(グリッジ)」を運営しており、主に若手世代や女性ゴルファーをターゲットに、一般ゴルファーのライターネットワークを活用して記事を掲載しています。特徴としては、ゴルファーの10人に1人が訪問し、モバイルからの閲覧が約80%を占めており、ゴルフ業界最大級のSNSフォロワーを獲得しているメディアへ成長しています。本事業における主な収入は、ゴルフ用品メーカーやアパレル企業からの記事広告・動画広告・リアルイベント連動広告・求人広告の配信料となります。
【業績等】
業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益
(連結実績)2017.3 1,892 5 0 -21
(連結実績)2018.3 2,581 379 379 277
(連結予想)2019.3 3,056 521 507 387
(連結3Q累計実績)2019.3 2,361 478 472 396
1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当
(連結予想)2019.3 90.02 - 0
調達資金使途 本社オフィス増床、広告費や人件費などの運転資金
上場時発行済み株数 5,050,920株 (別に潜在株式218,260株)
公開株数 931,500株(公募622,000株、売り出し188,000株、オーバーアロットメント121,500株)
シンジケート 公開株数810,000株 (別に121,500株)
PER:21.4
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:18.0億
公募時時価:97億
    
【株主構成】 
曽根原 稔人 代表取締役社長、子会社取締役 1,776,000 38.38  180
(同)ベインパートナーズ 役員らが議決権の過半数を所有する会社 1,700,000 36.74  180
WMグロース3号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 691,880 14.95  90・1.5
みずほ成長支援投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 117,640 2.54  90・1.5
加賀電子(株) 特別利害関係者など 50,000 1.08
丸山 大 特別利害関係者など 40,000 0.86  180
(株)グッドスマイルカンパニー 特別利害関係者など 33,400 0.72 180
佐久間 大輔 取締役、子会社取締役 26,600 0.57
成末 千尋 取締役 17,000 0.37
桜井 敦 子会社取締役、従業員 17,000 0.37
高原 大輔 特別利害関係者など 17,000 0.37
本募集及び引受人の買取引受による売出しに関し、貸株人である曽根原稔人、当社株主である合同会社ベインパートナーズ、丸山大及び株式会社グッドスマイルカンパニー並びに当社新株予約権者111名は、SMBC日興証券株式会社(以下「主幹事会社」という。)に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の平成31年9月15日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)の売却等を行わない旨を約束しております。
当社売出人であるWMグロース3号投資事業有限責任組合及び当社株主であるみずほ成長支援投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して90日目の平成31年6月17日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式の売却等(ただし、その売却価格が募集における発行価格又は売出しにおける売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)を行わない旨を約束しております。

【代表者】
代表者生年月日 1975年03月01日生まれ
代表者略歴
1995年04月 (株)パレスホテル入社
1997年03月 (株)長谷工販売センター(現、(株)長谷工アーベスト)入社
2001年05月 (有)ウェブドゥジャパン(現、クルーズ(株))設立 取締役副社長就任
2002年05月 同社を株式会社に組織変更 代表取締役副社長就任
2007年08月 (株)ベインキャリージャパン設立 代表取締役社長就任
2009年04月 同社の全株式を取得(平成25年10月に現在のギークス(株)に商号変更)代表取締役社長就任(現任) 8月 (同)ベインパートナーズ代表社員(現任)
2012年04月 (株)ベイングローバル取締役 10月 Vein Carry Asia Pte. Ltd.(現、BA Consulting Pte. Ltd.)director
2018年05月 G2 Studios(株) 取締役(現任)

【幹事団】
主幹事証券 SMBC日興 729,000 90.00
引受証券 SBI 24,300 3.00
引受証券 東洋 16,200 2.00
引受証券 エース 8,100 1.00
引受証券 水戸 8,100 1.00
引受証券 岩井コスモ 8,100 1.00
引受証券 岡三 8,100 1.00
引受証券 いちよし 8,100 1.00

【参考類似企業】 今期予想PER(2/19)
3691  リアルワールド 23.8倍(連結予想 )
3900  クラウドワクス 584.5倍(連結予想 )
3979  うるる 28.6倍(連結予想 )
6560  LTS 32.3倍(連結予想 )
6563  みらいWK 31.0倍(単独予想 )

【私見】
 ITの人材関連ということでは特段妙味はないかもしれませんが、ゲームなども手掛け幅広くIT関連銘柄として評価はできます。業績も伸びていて、PERは人材関連となると割安感はありませんが、ITと考えると上値はまだありそうです。需給は1.5倍でロックが切れるVCが存在するのはやや難点で、規模的にも中規模で大きくは上がらない規模感ではあります。クルーズの共同経営者でIT関連としては存在感はあるので,
ひとくせある動きになるかもしれません。

想定価額:1930円
仮条件上限:1930円
初値予想:3000円
ブック申し込み度・・・強気
セカンダリー期待度・・・中立
総合評価3.5

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