2019年3月4日月曜日

IPO分析(ミンカブ・ジ・インフォノイド)

【事業内容】
[ メディア事業・ソリューション事業の構造 ]
(1)メディア事業
 メディア事業では、「みんなの株式」、「株探」等、ソーシャルメディアを活用したユーザー参加型やAIを活用した自動生成型の株式情報サイトをはじめ、外国為替や投資信託、暗号資産、保険等、様々な金融商品の情報を投資家に直接提供するインターネットメディアを複数運営しており、1ヶ月間に当社運営サイトを訪れるユーザーの数は平均500万人以上、同訪問延べ人数は1,800万人を超え、投資家層をユーザーとした顧客基盤を確立していることは当社の強みであります。また、これらの大規模な投資家ユーザーベースによる投稿や閲覧といったクラウドインプット、網羅性の高い金融・経済・企業情報のビッグデータ、株価分析・ニュース/レポート生成・行動最適化等のAI技術は、当社メディア事業を特徴づけるユニークなアセットであり、競争力の源となっております。

[ 当社運営サイト合計月間平均UU数及び訪問ユーザー数の推移 ]
 メディア事業の収益は大きく広告収入と課金収入に区分され、広告収入は純広告及びアドネットワーク広告における期間やクリック数、表示回数等の保証型広告収入及び口座開設等に係る成果報酬型広告収入を対象としております。これに加え、メディア事業のユーザー規模の拡大に伴い、2018年3月期より月額課金をビジネスモデルとしたプレミアムサービスも開始しております。これらの概要は、それぞれ以下のとおりであります。いずれもウェブ検索エンジンの最適化を主たるユーザー獲得ルートとし、高い収益性を確保しております。

・純広告及びアドネットワーク広告における保証型広告収入は、当社が運営する各サイトのページ上に広告主の広告を掲載することで得られる収益であり、掲載期間を定める期間保証型や当該広告の表示回数保証するインプレッション保証型、又はクリック数を保証するクリック保証型等が存在します。また、広告主を特定する純広告のほか、枠のみを設定し、掲載される広告はシステムが自動で行うアドネットワークも活用しております。
・口座開設等に係る成果報酬型広告は、当社が運営する各サイトやパートナーサイトに設置された金融機関等の比較ページから各証券会社等口座取扱事業者のページへ遷移し、ユーザーが口座開設申し込みを行い、承認された場合、その1件当たりの成果に対し、報酬を得るものであります。1件当たりの報酬額は、各商品及び金融機関ごとに異なります。
・課金収入は、ユーザーから利用料を受領するもので、月額課金モデルを採用しております。本書提出日現在、有料サービスを提供しているのは、主として株式情報専門サイト「株探」の有料版である「株探プレミアム」であり、これ以外にもリアルタイム性の高い投資教育サービスとして「トレードマスター225」を提供しており、本サービスにおいても一部課金収入が発生しております。

・主なメディアサイトの概要
 旗艦サイトである「みんなの株式」は、クラウドの活用によるユーザー参加型の要素を有した幅広い個人投資家を対象とする株式情報サイトであります。情報のフェアネスを追求し、個人投資家により多くの有益な情報をより早く、中立的な立場で提供することに重きをおいた本サイトでは、国内上場銘柄の株価データ、企業データ、マーケットニュースのほか、AIによるロジック計算によって自動算出される個別銘柄の理論株価、証券アナリストの予想株価、ユーザーによって投稿された売買予想データを集合知として自動算出する個人投資家の予想株価、またこれらを基に算出される目標株価を提供しております。理論株価は、証券アナリストのノウハウを基に独自に開発したAIが過去の株価や業績の推移に基づく各種バリュエーション分析や、相関分析、ボラティリティ分析を複合的に用いて算出しております。また、個人投資家の予想株価は、ユーザーの売買予想投稿を集合知として体系化した統計値であり、クラウドインプットと独自のアルゴリズムの融合により生成される個人投資家の集合知は、それ自体が新たな情報価値を産み、新たなユーザーを取り込むというユニークなスキームを実現し、当該サイトはスタートから10年を経た今日も安定成長を継続しております。本サービスは現在、提供する情報の全てを無料で提供しており、メディアとしての価値の高さを背景に、純広告やアドネットワーク広告、成果報酬型広告による収益を計上しております。なお、過去には「みんなの株式」でもユーザー課金サービスを提供していましたが、クラウドを活用したユーザー参加型の要素により生み出される独自のコンテンツが、後述するソリューション事業で活用され、高収益化が可能であることが確認されたことから、当時のユーザー課金サービスの無料化を実施し、参加するユーザーの更なる増大を優先しております。

 主に投資経験のある投資家を対象とした株式情報専門サイト「株探」は、「みんなの株式」と同様に当社の主力サイトであり、決算情報やAIにより自動生成されるニュース等、速報性の高い情報提供を行っており、ユーザー数も「みんなの株式」と同等の規模に成長しております。同サービスでは、2017年6月より、従前の無料サービスに加え、リアルタイム株価や、速報記事の先行配信、最大20期の企業業績表示、5年間の業績修正履歴等の情報を提供する有料サービス「株探プレミアム」の提供を開始し、課金ユーザー数も順調に成長を続けております。

 また、「みんかぶ保険」は、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループの連結子会社である、Japan Digital Design株式会社との共同開発プロジェクトとして国内初の保険ロボアドバイザー機能を搭載した個人向け保険情報サイトであり、個人の資産形成の一助としての保険情報を提案しております。その他にも外国為替、商品先物、投資信託、暗号資産等、多くの金融商品に対応した専門メディアによる情報提供を行っております。

(2)ソリューション事業
 ソリューション事業では、主にメディア事業向けに開発した情報コンテンツやアプリケーションをB2B及びB2B2Cユース用にソリューション化して展開しており、メディア事業におけるユニークなアセット構成(AI及びクラウドインプット、ビッグデータ)を活用して付加価値を高めることで他社との差別化を実現し、取引先は金融機関を中心に100社を超えております。
 ソリューション事業では、金融機関の顧客向けサービスとして提供するB2B2Cサービスを中心に、金融機関や事業法人における社内ユースを想定したB2Bサービスにも注力しており、具体的に、B2B2Cでは、AIによる自動生成記事の配信のほか、個別銘柄をテーマ毎にバスケット化して各テーマのパフォーマンスを表現する「MINKABU テーマ別銘柄ソリューション」、音声AIを活用した個別銘柄株価の検索サービスである「MINKABU IVRソリューション」等、B2Bでは商品先物情報に特化した情報端末ソリューション「MINKABU e-profit」、金融機関営業員向け情報端末ソリューション「MINKABU Sales-Cue」、事業法人向け情報端末ソリューション「MINKABU Corporate-Cue」等を展開しております。
 ソリューション事業の収益は、主にクラウド型のASPの提供及びその保守・運営業務によるストック型収益であります。その他、コンテンツの販売又は配信やソフトウエア等開発受託によるスポット収入を計上しており、これらの概要は以下のとおりであります。
・ASPの提供は、当社が保有するアプリケーションプログラムをカスタマイズして提供し、初期導入費を一時売上として計上するとともに、導入後の情報提供業務及び保守・運営業務につきましては、月額固定を中心に、一部、ID数等に応じた従量課金となっております。
・その他、コンテンツの販売又は配信は、AIによる自動生成記事やレポート、クラウドデータ、金融・経済・企業データ等の販売又は配信による収入であり、月額固定を中心に、一部、ダウンロード数等に応じた従量課金となっております。また、ソフトウエア等開発受託は、顧客の仕様に基づきプログラム開発を請け負い、当該プログラムの納品・検収により売上を計上しております。
 
・主なサービスの概要
 「MINKABU テーマ別銘柄ソリューション」は、当社が運営するメディアサービスで個人投資家に人気のテーマ株コンテンツをソリューション化して証券会社等に提供している代表的なB2B2Cプロダクトであります。
 
[ MINKABUテーマ別銘柄ソリューション ]
 「MINKABU e-profit」及び「MINKABU e-profit FX」は、それぞれ、商品先物情報及び外国為替情報に特化したB2B向け情報端末ソリューションとして、専用端末やウェブ、またモバイル向けサービスで提供しており、ザラバ10本気配値等、リアルタイムの相場情報やマーケット情報、当社独自の市況やニュース、多種多様なチャート機能等、多くの機能を搭載し、ユーザーのニーズを取り入れた優れた操作性により、業界標準ツールとして高い市場シェアを獲得しています。
 その他、B2Bソリューションとして2018年に金融機関営業員向け情報端末ソリューション「MINKABU Sales-Cue」(顧客による商用利用は2019年開始予定)及び事業法人向け情報端末ソリューション「MINKABU Corporate-Cue」をリリースいたしました。

[ MINKABU Sales-Cue ]
 「MINKABU Sales-Cue」は、これまで分断管理されていたマーケット情報と顧客関係管理(CRM:Customer Relationship Management)機能をAIを活用して融合し、営業員に適時適切な情報を提供することにより業務効率の向上に寄与するものであります。また当社は、2018年9月に株式会社エヌ・ティ・ティ・データと資本業務提携契約を締結しており、その一環として、同グループの日本電子計算株式会社が保有する証券会社向け勘定系サービスと「MINKABU Sales-Cue」との連携したパッケージソリューションの展開に向けた協業を開始しております。

[ MINAKBU Corporate-Cue ]
 一方「MINKABU Corporate-Cue」は、事業法人の経営企画やIR担当者が自社の情報や同業他社の情報を効率的に収集しレポーティングする各種機能を備えており、当社の既存資産を活用することで安価での提供を実現しております。

【業績等】
業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益
(連結実績)2017.3 1,545 76 -85 -1,408
(単独実績)2018.3 1,370 142 109 -126
(単独予想)2019.3 2,000 200 150 140
(単独3Q累計実績)2019.3 1,419 140 130 111
1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当
(単独予想)2019.3 12.20 -  - 
調達資金使途 ソフトウエアの開発・維持更新
上場時発行済み株数 12,536,900株 (別に潜在株式1,204,900株)
公開株数 3,151,200株(公募1,000,000株、売り出し1,740,200株、オーバーアロットメント411,000株) シンジケート 公開株数2,740,200株 (別に411,000株)
PER:78.7
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:30.2億
公募時時価:120億
    
【株主構成】
瓜生 憲 代表取締役社長 1,348,800 10.59  L90
FinTechビジネスイノベーション投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,020,000 8.01  90 1.5
ソニーネットワークコミュニケーションズ(株) 特別利害関係者など 980,300 7.69  90 1.5
(株)朝日新聞社 資本業務提携先 850,000 6.67  90 1.5
起業投資事業有限責任組合2号 ベンチャーキャピタル(ファンド) 825,800 6.48  90 1.5
起業投資事業有限責任組合1号 ベンチャーキャピタル(ファンド) 720,000 5.65  90 1.5
MICイノベーション3号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 501,900 3.94  90 1.5
MSIVC2008V投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 500,000 3.92  90 1.5
あすかDBJ投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 384,300 3.02  90 1.5
BRAVE GO LIMITED ベンチャーキャピタル(ファンド) 325,000 2.55  90 1.5

本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である瓜生憲、売出人である髙田隆太郎及び瓜生佳枝、並びに当社株主である瓜生理科子及び石橋省三は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2019年6月16日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等は除く。)等は行わない旨合意しております。
 また、売出人である起業投資事業有限責任組合2号、起業投資事業有限責任組合1号及びNicolas Ploegert、並びに当社株主であるFinTechビジネスイノベーション投資事業有限責任組合、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社、MICイノベーション3号投資事業有限責任組合、MSIVC2008V投資事業有限責任組合、株式会社朝日新聞社、BRAVE GO LIMITED、UNICORNファンド投資事業有限責任組合、谷家衛、大塚至髙、起業投資株式会社、SBIベンチャー企業成長支援3号投資事業有限責任組合、KSP4号投資事業有限責任組合、SBIベンチャー投資促進税制投資事業有限責任組合、GLOBUMBUS VENTURE CAPITAL GMBH、SBIベンチャー企業成長支援2号投資事業有限責任組合、SMBCベンチャーキャピタル2号投資事業有限責任組合、りそなキャピタル2号投資事業組合、森川和正、渡邉力英、SBIベンチャー企業成長支援4号投資事業有限責任組合、SBIベンチャー企業成長支援投資事業有限責任組合、株式会社マーキュリアインベストメント、JAIC企業育成投資事業有限責任組合、三生5号投資事業有限責任組合、MICイノベーション4号投資事業有限責任組合、SBIアドバンスト・テクノロジー1号投資事業有限責任組合、ディーアイティー・パートナーズ株式会社及びALPINE CAPITAL III LLCは、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2019年6月16日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し及びその売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)等は行わない旨合意しております。

【代表者】
代表者生年月日 1974年10月30日生まれ

代表者略歴
1997年07月 (株)NTTドコモ入社
2000年10月 メリルリンチ日本証券(株)入社
2003年01月 ゴールドマン・サックス証券(株)入社
2005年10月 同社アドバイザー
2006年07月 (株)マスチューン(現当社)設立 代表取締役社長(現任)

【幹事団】
主幹事証券 SBI 2,329,400 85.01
引受証券 SMBC日興 82,200 3.00
引受証券 みずほ 82,200 3.00
引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー 32,900 1.20
引受証券 岩井コスモ 27,400 1.00
引受証券 東海東京 27,400 1.00
引受証券 松井 27,400 1.00
引受証券 マネックス 27,400 1.00
引受証券 楽天 27,400 1.00
引受証券 岡三 16,400 0.60
引受証券 藍沢 8,200 0.30
引受証券 エイチ・エス 8,200 0.30
引受証券 エース 8,200 0.30
引受証券 極東 8,200 0.30
引受証券 東洋 8,200 0.30
引受証券 水戸 8,200 0.30
引受証券 むさし 8,200 0.30
引受証券 内藤 2,700 0.10

【参考類似企業】 今期予想PER(2/18)
2148  ITM 17.4倍(連結予想 )
2454  オールアバウト -倍(連結予想 )
4387  ZUU 98.0倍(連結予想 )
4765  モーニングスタ 23.7倍(連結予想 )
6038  イード 30.5倍(連結予想 )
7047  ポート 26.5倍(単独予想 )

【私見】
 一般的には知名度は低いかもしれませんが、株式市場では知名度が高い銘柄で業種人気はあると思います。業績は良く成長性はあると思いますが、PERがやや高めでどこまで高PERを容認して良いのか判断に悩みます。問題は需給で、吸収金額・時価総額も適度に大きく時価総額200億あたりが最初のラインになるのかと思います。そして、1.5倍でロックラインがあることから、売り要素も強く、カオナビ同様に突破しそうではありますが、上値も重たくなるかもしれません。証券出出身の社長なので、マネーゲーム的な予想で株価には期待が持てるかもしれません。

想定価額:960円
仮条件上限:960円
初値予想:1800円
ブック申し込み度・・・強気
セカンダリー期待度・・・中立
総合評価3.5

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