2019年12月2日月曜日

IPO分析(JMDC)

【事業内容】
 ノーリツ鋼機株式会社を親会社とする企業集団に属し、当社及び子会社8社により構成されております。
 ヘルスビッグデータ事業〉
(ヘルスビッグデータ事業の売上構成)
(1)保険者支援(当社)
 当社は、主に健康保険組合に対して、紙・画像レセプトを含めたレセプトデータ、健診データ、台帳データ等をデータベース化すること、及び、そのデータを保健事業におけるPDCAに活用することを支援する様々なサービスを提供しております。例えば、他の保険者との比較による医療費分析・ハイリスク者抽出等の実態把握型のデータ分析・将来医療費予測・詳細レポート作成等のコンサルティング業務の他、個人宛通知物の作成、データに基づく施策の効果検証等を提供しております。これらのサービスにおいては、健康保険組合員の個人情報を扱うため、当社の中でも物理的・技術的に厳格に隔離され、また、管理された環境で活動を実施しております。一方で、この保険者支援サービスの一環として、健康保険組合が保有するレセプトデータ及び健診データを匿名加工化したデータを、第三者提供許諾(二次利用許諾)を得た上で受領しております。この匿名加工データをもとに(3)の医療ビッグデータを構築しております。

(2)PHR(パーソナルヘルスレコード)
 当社は、保険者支援サービスを提供している健康保険組合に対して、当社開発の健康情報プラットフォーム「PepUp」による個人向け健康ポータルサイトを運営しております。「PepUp」を契約いただいている健康保険組合の加入者に対して、健康年齢(健診結果をもとに算出された医療費予測からみた健康状態を年齢に置き換えて示す指標であり、実年齢や同世代と比較して自身の健康状態を把握することを可能にするサービス)、ポイントプログラム、医療費通知、ニュース等、健康に関するコンテンツを提供しております。また、この健康情報プラットフォームに当社開発の名医紹介サービス「clintal」(クリンタル)・重症化予防・保健指導等の健康増進サービスを追加することで、単なる健康情報の提供の場にとどまらず、健康管理や健康増進活動の場へと発展させ、医療費抑制に貢献することによる収益化を目指しております。
 
(3)医療ビッグデータ
 当社は、(1)の保険者支援の中で健康保険組合より二次利用許諾を得て受領したレセプトデータ及び健診データの匿名加工データから、600万人規模の医療ビッグデータを構築し、以下の表のとおり、そのうち約500万人規模のデータベースを提供しており、その量は月ごとに増大しております。当社は2005年まで遡ったデータベースを保有しており、その提供が可能であることが、新規参入者に対する高い参入障壁となっております。さらに、今後PHRサービスの中で取得する健康情報等、他のデータについても、適切な手続きを経て、医療ビッグデータとして活用していく予定であります。
 現在は、製薬企業、研究機関及び生損保企業等に対し、個別の要望事項に対して当該データベースから必要なデータを抽出・分析するサービス「アドホック販売」を行うとともに、汎用的なネットオンライン型のデータ検索・集計パッケージツール「JMDC Data Mart」の提供及び当社のデータベース自体の一部又は全部へのアクセス権を付与する「フルデータベース販売」を行っております。
 
(4)薬剤DB
 医薬品添付文書をはじめとした医薬品の情報をもとに、MDBの薬剤師の薬学的見解を加味したデータベースを開発し、医療系システム会社へのデータベースの提供を行うとともに、大規模病院向け部門システムの開発・販売・保守を行っております。自社開発システムを通じて病院内のDPCデータや電子カルテデータなどの病院由来のデータと連携をしており、適切な手続きを経た上で、これらのデータベース化にも取り組んでおります。

〈遠隔医療事業〉
 遠隔医療事業の売上収益の推移を、遠隔読影マッチングサービス、遠隔読影インフラ、その他(新規事業等)に分けると下記のとおりであります。
 連結子会社であるDN、MIC及びDNCは、「いつでもどこでも、高品質の画像診断を」をモットーに契約読影医群をデジタル環境でつなぎ、医療機関に対して遠隔画像診断サービスを提供しております。日本の医療施設は約11万施設存在するのに比して、放射線診断専門医は約5,500名となっており、放射線診断専門医の過重労働や専門医の診断がつかず誤診につながる症例が問題となっております。そのような中で、当社グループの遠隔画像診断サービスの利用によりクライアントである医療機関は不足する放射線診断専門医の採用に苦慮することなく読影リソースとスキルを活用することができ、最適な医療判断を行うことができます。当社グループとして、2019年3月末時点で、契約読影医が650名、契約医療機関が700施設の規模にまで成長した中で、オペレーション改善によるコスト競争力強化、24時間365日対応、専門性の高い読影医のマッチング等のサービス品質向上といった規模を活かした差別化要因を構築しております。今後も、システム対応を含めたオペレーションを最適化し、契約読影医及び医療機関双方の満足度を向上していくことが責務だと考えております。
<調剤局支援事業〉
 調剤薬局向けの業務システムを提供し、薬剤を処方する薬剤師が必要な情報を適切に患者に提供できる環境「スマートファーマシー」の構築を目指しております。一方で、保険薬局市場は既に成熟市場に至っており、保険薬局数の伸び率はこの数年1%程度に留まっております。このため、USRのシステム販売事業においては、全体の約8割が既存顧客の買換え、約1割が既存顧客の新店開局、残る約1割が他社メーカーからのリプレース及び既存顧客以外の新店開局という構成比となっております。
 現在は、調剤薬局向けの業務システムをクラウド化した新商品の開発に取り組んでおります。加えて、USRが業務システムを提供している調剤薬局では、日々レセプトデータや薬歴データが蓄積されており、今後適切な手続きを経て、当社グループの他のデータベースと組み合わせることで、より付加価値の高いデータベースの構築と調剤薬局向けソリューションの開発に取り組んでまいります。

【業績等】
業績動向(百万円)売上収益 営業利益 税引き前利益 純利益
(連結実績)2018.3 3,022 619 596 390
(連結実績)2019.3 10,064 1,470 1,410 1,010
(連結予想)2020.3 11,206 1,948  - 1,259
(連結中間実績)2020.3 5,626 888 855 590

1株当たりの数値(円)EPS BPS 配当
(連結予想)2020.3 51.86 483.53  - 
調達資金使途 システム投資、サーバー増設、クラウド型の新製品開発、人件費
上場時発行済み株数 25,975,042株 (別に潜在株式2,681,600株)
公開株数 5,865,000株(公募2,000,000株、売り出し3,100,000株、オーバーアロットメント765,000株)

PER:56.9
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:173億
公募時時価:766億
    
【株主構成】
ノーリツ鋼機(株) 親会社 20,595,776 77.26 90
松島陽介 代表取締役社長CEO、執行役員、子会社の取締役 1,432,690 5.37 90
山元雄太 執行役員副社長CFO、子会社の取締役 1,166,288 4.38 90
杉田玲夢 執行役員COO 515,942 1.94  90
(株)PKSHA Technology 特別利害関係者など 466,000 1.75 
木村真也 執行役員会長 344,200 1.29 90
上沢仁 特別利害関係者など 218,000 0.82 90
長谷川雅子 子会社の代表取締役 178,200 0.67 90
岡山太郎 取締役 111,000 0.42 90
松本孝 執行役員CHRO 90,600 0.34 90
本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人であるノーリツ鋼機株式会社並びに当社株主である松島陽介、山元雄太、杉田玲夢、木村真也、上沢仁、岡山太郎、生駒恭明、長谷川雅子(戸籍名:芋川雅子)、山田猛、宮原禎及び貞廣亜紀は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2020年3月14日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと及びグリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等は除く。)を行わない旨合意しております。
 また、当社は主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2020年6月12日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の発行、当社株式に転換若しくは交換される有価証券の発行または当社株式を取得若しくは受領する権利を付与された有価証券の発行等(ただし、本募集、株式分割及びストックオプションとしての新株予約権の発行等を除く。)を行わない旨合意しております。
 

【代表者】
代表者生年月日 1972年09月01日生まれ
代表者略歴
1995年04月 第一生命保険(株) 入社
2001年06月 A.T.カーニー(株) 入社
2005年10月 マッキンゼー&カンパニー 入社
2012年04月 NKリレーションズ(株)(現 ノーリツ鋼機(株)) 代表取締役就任
2013年06月 ノーリツ鋼機(株) 取締役副社長COO就任
2013年05月 当社 取締役就任  10月 当社 代表取締役社長就任
2014年10月 当社 代表取締役社長退任(非常勤取締役)
2018年04月 当社 代表取締役社長兼CEO就任(現任)  6月 メディカルデータベース(株) 取締役就任(現任)

【幹事団】
主幹事証券 野村 4,080,000 80.00 
引受証券 みずほ 306,000 6.00
引受証券 SMBC日興 306,000 6.00
引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー 306,000 6.00
引受証券 SBI 76,500 1.50
引受証券 マネックス 25,500 0.50

【参考類似企業】今期予想PER 11/15
3628  データHR 65.5倍(連結予想 )
3902  MDV 105.3倍(連結予想 )
4438  Welby 96.7倍(単独予想 )
6078  バリューHR 44.2倍(連結予想 )
7744  ノーリツ鋼機 84.8倍(連結予想 )

【私見】
 オリンパスから譲り受け、今はノーリツの子会社ですが、医療系で人気業種です。業績も良く、PERは高めですが、同業社も高めなので容認される範囲内かと思います。問題は規模の大きさで、吸収金額・時価雄額共に大きく、東証1部なら問題ないのですが、この時期にマザーズでは重たい動きになりそうです。PKSHAが株主であったり、ロックもしっかりしているので下値不安はないですが、規模的に買いずらい銘柄です。 

想定価額:2780円
仮条件上限:2950円
初値予想:3000円
ブック申し込み度・・・中立
セカンダリー期待度・・・中立
総合評価3

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