2019年12月3日火曜日

IPO分析(BuySell Technologies)

【事業内容】
 店舗を保有せず主にインターネットやマスメディアを駆使したマーケティング戦略により集客を実施するとともに、買取査定においては約250名の査定員を配置のうえ、出張訪問買取を中心とする事業モデルにより「インターネット」と「リアル」のそれぞれの強みを生かしたネット型リユース事業を展開しております。また、当社は、マーケティングによる集客から買取査定、在庫管理、販売までの一連の流れをすべて自社にて一貫して管理実行する体制を構築しております。
当社の買取事業における主要サービスである「バイセル」及び「買取プレミアム」は、「誰かの不要なモノを誰かの必要なモノへ。」の実現を目指し、出張訪問買取を中心に宅配買取、持込買取の3つの方法を用いた総合買取サービスです。本買取サービスを通じて、月間2万件を超える査定の問い合わせ実績を有しております。当社の取扱商品は主に、着物、切手、古銭、貴金属、ジュエリー、ブランド品、時計、骨董品、毛皮、お酒等を対象としており、販売時に高単価を確保できるものをメイン商材としております。
 当社は出張訪問買取を中心にサービス展開しており、出張訪問買取との親和性が高いシニア富裕層のお客様からのお問い合わせが多く、当社の主要顧客層は50代以上のお客様が約75%を占めている特徴を有しております。また、同様の理由から、自宅整理、遺品整理及び生前整理に伴い当社サービスを利用して頂くことが多く、当社サービスの利用理由の約60%を占めている特徴を有しております。
当社の販売事業は、主に古物市場や業者向けオークションによる法人販売を中心に販売を実施しており売上構成の約90%を占めております。また、エンドユーザーである一般消費者に直接質の良いものを提供できる「買取・販売の循環を実現する総合リユースサービス」の実現に向けて、EC販売や百貨店催事による販売を行うとともに2018年7月より自社ECサイトである「バイセルオンライン」を展開しております。
上記に加えて、2018年11月には、リユース買取サービスにおける新規事業として、愛車の資産価値を維持及び向上させるアプリ「CAPPY)」の運営を開始しております。「CAPPY」では、店舗や広告で集客を行う従来型の車買取モデルではなく、愛車の資産価値を過去・現在・将来に渡って自動車売買データから算出し、ワンタップで簡単に車を売却できるスマートフォンアプリとして展開しております。中古車市場での売却資産価値の推移のみならず、ガソリンスタンドのレシート撮影添付やエンジンオイル交換日を記録するなど愛車のメンテナンスを行うことでポイント付与を行い、本ポイントが愛車の売却価格に上乗せされる仕組みにより、愛車を今すぐに売却したい顕在顧客のみならず、今後売却する可能性のある潜在顧客の早期掘り起こしと顕在化を図るサービスです。

 当社は、お客様への品質の高いサービスの提供及び強固なコンプライアンスを実現するため、マーケティングから、コールセンター、真贋鑑定・査定、買取、在庫管理、販売に至る機能すべてを自社内で構築しており、各部門が密に連携の上で迅速な課題解決やお客様満足の向上に向けて推進可能な体制となっております。各機能の詳細は以下のとおりです。

① マーケティング
当社のリユース事業は、お客様からの査定依頼のお問い合わせをいただくマーケティング活動が事業戦略・遂行の起点となります。自社サービスサイトの企画・運用、リスティング広告・アフィリエイト広告などのデジタル広告に加えて、TV・新聞・ラジオ・雑誌などのマス広告の運用を積極的に行うことにより、シニア富裕層を中心としたお客様とサービスの接点を作るマーケティング活動の企画・実行を可能としております。
市況や季節性等を踏まえたマクロ視点での広告運用に加え、日々の媒体別、エリア別等に細分化した詳細な分析を行うことによって、費用対効果を最大化したマーケティング活動を行っております。また、査定員の稼働状況やアポイントメント管理状況等に応じて、お問い合わせ数をコントロールできるように、関連部署間において密に連携をとり、全社最適の観点で、お問い合わせから査定訪問件数をコントロールする体制を構築しております。

② コールセンター
コールセンター機能を自社内製で構築しており、当社にて直接お客様からのお問い合わせに対してご要望を承り、当該要望等を査定員と連携する体制とすることにより、よりお客様ニーズに沿ったサービス提供を図っております。また、当社コールセンターでは、売却希望の商材や訪問日時の調整といった事務的な受付業務のみでなく、事前にお客様に対して当社サービスの概要や査定取り扱いが可能な商材の説明や不招請勧誘防止のためのご案内等を実施しており、査定員が訪問査定時にご説明する内容を事前説明することにより、お客様がより安心して利用できるサービスの運営を行っております。
また、上記に加えて、お問い合わせ予測、エリア別の訪問申し込み状況をもとに、コールセンターにてエリア別の稼働効率やお客様ニーズを踏まえて査定員の訪問計画案を策定し、査定員の稼働数の最大効率を図る体制を構築しております。

③ 買取(出張訪問・宅配・持込買取)
お問い合わせのあったお客様のご自宅へお伺いし査定・買取を実施する「出張訪問買取」を中心に事業展開を行っております。当社は約250名の査定員を有し、関東圏、関西圏、名古屋、福岡などを拠点とする10センターを展開の上で全国各地を訪問する体制を構築しております。
「出張訪問買取」により、査定を希望される商品種類が多岐にわたる場合や査定数量が多量となる場合や査定商品の重量があり持ち運び困難な場合などのほか、遠方にお住まいのお客様やご高齢のお客様からの問い合わせなどの店頭買取や宅配買取の利用が難しいお客様からの買取依頼にも柔軟に対応可能とすることで、より幅広いお客様ニーズに対応できるように努めております。例えば、当社では着物買取にも注力しておりますが、着物は1着で1kg程度の重量のものもあり整理したい着物の枚数が多くなる等の持ち運びが困難となる場合、当社の査定員がご自宅まで訪問して査定買取を実施する「出張訪問買取」はお客様ニーズに即した親和性が高いサービスとなっております。

また、お客様に安心してサービスをご利用いただくため、全査定員に対する営業研修等や現場への同行等のOJTを定期的に実施することにより質の高い営業や査定、コンプライアンス意識の向上等を担保する体制を構築しております。
上記の「出張訪問買取」のほか、売却をご希望される商品を弊社までお送り頂く「宅配買取」や直接お客様が弊社まで商品をお持ち込み頂き査定を実施する「持込買取」も行っております。

④ コンプライアンス
強固なコンプライアンスの観点から、査定員のみでの契約決裁権限を持たせておらず、契約時にコンプライアンス専門部署がお客様にお電話の上で、売買契約の内容についての確認とクーリング・オフの案内、査定の対応についての確認を行う決裁コールを行ったうえで最終契約を締結するフローを構築しております。

⑤ 真贋鑑定・査定
当社の査定体制は、正確な査定、贋物買取防止および査定員不正を防止する観点から、出張訪問する査定員の現場査定に加えて、当該査定員からモバイル端末を利用して送られて来る画像や動画等の情報をもとに、真贋及び鑑定を専門とする社員により二重で査定内容をチェックする体制を構築しております。

⑥ 在庫管理
買取商品はクーリング・オフの期間を経た後、関東圏に所有する4,000㎡程の倉庫において商材ごとに適切な管理を行っており、100名を超える社員・アルバイトスタッフにより検品から出品までを本倉庫にて一元管理しております。また、在庫管理は、自社開発のITシステムにて管理しております。これにより、クーリング・オフへの対応を含めた商品一点ごとの在庫管理から、商品の特徴・状態・市場環境など様々な面を考慮した上、最適な販路へと繋いでおります。

⑦ 販売
在庫状況を踏まえて販売戦略を企画立案の上で、古物市場や業者向けオークションでの販売、EC販売、催事での販売、着物自社オークション等の販売チャネルにより買い取った商品の販売を行っております。
古物市場やオークション販売等のtoB販売では、商材ごとに対面形式・対面オークション形式を使い分け、取引先との交渉を繰り返し、より高い利益率を出せる販売先を選定しています。また、習志野倉庫にて定期的に着物の自社オークションを開催し、品質毎での適正な販売、流通量の拡大に寄与しております。
さらに自社ECサイト「バイセルオンライン」及びECモールでの販売や百貨店での催事を中心とする一般消費者向けのtoC販売にも注力しており、直接一般消費者に対する販路の拡大と利益率の最大化を図っております。

【業績等】
業績動向(百万円) 売上高 営業利益  経常利益 純利益
(単独実績)2017.12 8,917 341 319 226
(単独実績)2018.12 10,118 496 472 329
(単独予想)2019.12 12,891 848 804 513
(単独3Q累計実績)2019.12 9,418 797 787 500
1株当たりの数値(円) EPS BPS 配当
(単独予想)2019.12 85.29 296.06 15
調達資金使 広告宣伝、人件費および採用費、倉庫移転にかかる設備投資
上場時発行済み株数 6,445,000株 (別に潜在株式560,780株)
公開株数 770,500株(公募445,000株、売り出し225,000株、オーバーアロットメント100,500株)
PER:22.6
PBR:
配当利回り:0.7%
公募時吸い上げ資金:14.8億
公募時時価:124億
    
【株主構成】
ミダス第1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド)3,474,000 52.94 180
ミダス第2号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド)1,320,000 20.12 180
大石崇徳 特別利害関係者など 600,000 9.15 180・1.5
岩田匡平 代表取締役社長CEO 372,000 5.67 180
丸山聖司 特別利害関係者など 120,000 1.83
Soltec Investments Pte. Ltd. ベンチャーキャピタル(ファンド) 60,000 0.91 180・1.5
(株)イングリウッド特別利害関係者など 60,000 0.91 180・1.5
R&T Partners, LP ベンチャーキャピタル(ファンド)60,000 0.91 180
畑野洋平 取締役 48,000 0.73
(株)ベクトル 特別利害関係者など 30,000 0.46
100キャピタル投組 ベンチャーキャピタル(ファンド)30,000 0.46
小野晃嗣 取締役CFO 30,000 0.46
谷口雅紀 取締役CMO 30,000 0.46
本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人であるミダス第1号投資事業有限責任組合、当社株主であるミダス第2号投資事業有限責任組合、岩田匡平、R&T Partners, LP、株式会社ベクトル及び100キャピタル投資事業有限責任組合は、主幹事証券に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日の2020年6月14日までの期間中、主幹事証券の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等は除く。)は行わない旨合意しております。
また、当社株主である大石崇徳、Soltec Investments Pte. Ltd.、株式会社イングリウッド及び伊野友紀は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日の2020年6月14日までの期間中、主幹事証券の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等(ただし、その売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等を除く。)は行わない旨合意しております。

【代表者】
代表者生年月日
1984年05月29日生まれ
代表者略歴
2008年04月 (株)博報堂 入社
2014年04月 OWL(株)(現(株)AViC)設立 代表取締役社長就任
2015年11月 (株)日本リーガルネットワーク 取締役CMO就任
2016年10月 (株)エース (現 当社) 取締役CSMO就任
2017年09月 当社代表取締役社長就任(現任)

【幹事団】
主幹事証券 SBI 569,400 84.99
引受証券 大和 33,500 5.00
引受証券 みずほ 33,500 5.00
引受証券 SMBC日興 13,400 2.00
引受証券 岡三 3,400 0.51
引受証券 東海東京 3,400 0.51
引受証券 丸三 3,400 0.51
引受証券 水戸 3,400 0.51
引受証券 岩井コスモ 2,000 0.30
引受証券 エース 1,300 0.19
引受証券 藍沢 1,300 0.19
引受証券 エイチ・エス 1,300 0.19
引受証券 むさし 700 0.10

【参考類似企業】今期予想PER 
2674  ハードオフ 15.9倍(連結予想 )
2780  コメ兵 15.5倍(連結予想 )
3093  トレファク 20.8倍(連結予想 )
3135  マーケットエンタ 65.8倍(連結予想 )
3177  ありがと 8.2倍(連結予想 )
3179  シュッピン 23.3倍(単独予想 )
3377  バイク王 26.5倍(単独予想 )
3545  デファクト 18.4倍(単独予想 )
3556  リネットJPN 30.7倍(連結予想 )
6993  大黒屋 -倍(連結予想 )
7228  デイトナ 6.5倍(連結予想 )
7602  カーチスHD 328.9倍(連結予想 )
9270  SOU 16.3倍(連結予想 )

【私見】
 活況な中古市場で同業種は多いですが、出張ということで50歳以上の顧客が多く、遺品整理などに強みを持つことから優位性は充分あるかと思います。業績も好調で、来期の伸びを加味すると他社の15~20が平均の中、30くらいまでは許容範囲かと思います。需給はやや規模が大きめすが、ロックもしっかりしているので需給不安はありません。もう少し割安な設定であればセカンダリーも妙味があるかと思いますが、来期予想のPERから考えても上値には限界があるので、高騰した初値の高値追いは危険で落ち着いてからの参戦でも良いかと思います。

想定価額:1840円
仮条件上限:1930円
初値予想:3000円
ブック申し込み度・・・強気
セカンダリー期待度・・・中立
総合評価3.5

0 件のコメント:

コメントを投稿