2019年12月7日土曜日

IPO分析(ランディックス)

【事業内容】
(1) 「sumuzu」事業
 「sumuzu」事業では、住宅用地等を仕入れて分譲することによる売買収入、不動産仲介収入、オーダーメイド住宅建築に伴う建築業者からの紹介手数料収入を得ております。
当社グループは主に戸建住宅用の土地の売買を行っておりますが、全国の住宅着工数推移によれば、戸建住宅は全国的にも新築住宅着工数は安定的に推移しており、東京都の戸建住宅の着工件数は全国1位であります。その中で、特に当社グループのターゲットとしている城南6区は、住宅エリアとして人気があり、東京都23区の中でも最大の戸建住宅着工数である世田谷区を含んでおり、かつ東京都財務局の地価調査から、現在の地価は安定的に上昇していると当社は捉えており、住民の流入も増加傾向にある地域であることから、今後も継続して安定した需要が想定されるエリアであると考えております。
 事業遂行にあたっては、当社グループ内で連携しながら、不動産の仕入から販売、売買に係る仲介、住宅用地販売後のオーダーメイド住宅のマッチング、建築後のアフターフォローに至るまでのプロセスをワンストップソリューションで提供しております。取引の主体としては、当社子会社の株式会社グランデが不動産仕入・開発分譲、当社が不動産売買・仲介及びオーダーメイド住宅建築に伴う土地保有顧客と施工業者、建築デザイナー等とのマッチングを行っております。

(当社の特徴)
① 顧客満足を背景としたリピート・紹介の獲得
 当社グループは東京23区でも富裕層の多いと言われる城南エリアを中心に、主に富裕層を対象として、リセールバリューの高い不動産の売買仲介、ならびに住宅用地販売後のオーダーメイド住宅のマッチングサービスを行っております。一般的に「不動産取引は一生に1度である。」と考えられておりますが、当社グループのメインターゲットである富裕層のお客様の不動産取引の特徴として、一度取引した後も買い替え、家族分の購入等を目的として複数回の取引を行うと当社では分析しております。当社では、この富裕層顧客における複数回の不動産取引を起点とした顧客データの蓄積を行っており、累計顧客データ数は2019年3月末時点で約8,000件、2019年9月末時点で約9,700件となっております。このデータを効果的に活用することで、富裕層の潜在顧客に対するマーケティング及び適切なタイミングのアプローチを行うことが可能となっております。

 また、既存顧客の他、地域の建築事業者等からの顧客紹介獲得に力をいれており、競合他社に比べてこの割合が高いと当社は考えており、これによる営業効率の高さが強みの一つであると分析しております。また、当社は自社内に販売部門と仕入部門の両方を保有していることから、販売部門において蓄積した過去の富裕層取引データを基に、当該エリアの実際の成約価格をすぐに参照し、売主に対してスピーディーで適切な不動産価格を提示できるため、競合他社に比べて仕入力があると当社は考えております。これにより、当社が常に一定量の不動産を保有していることから、建築業者等からは「顧客を紹介することで、顧客の気に入る不動産が見つかり購入までつなげることが可能である。」と認識されていると考えております。当社では、建築業者等からの紹介は、既存顧客からの紹介と同じく重要な集客源と位置づけており、建築業者等に最新の土地の情報等を提供すると共に、当社から送客を行うといったアクションをとることでパートナーシップを強固なものにしております。
 2019年3月期の実績において、当社グループの成約顧客の集客経路は、建築業者からの紹介による成約が22.0%、既客および会社関係者からの紹介による成約が11.0%、過去の成約顧客の保有不動産売却が9.0%、過去の成約顧客による再度の購入が3.5%(以上合計45.5%)となっております。<br>
当社においては、関係事業者や顧客、会社関係者との関係を長期的に保つことで、既存の人的関係から顧客や取引先の紹介サイクルが生まれ、この蓄積が当社グループの事業における大きな強みであり特徴だと捉えております。また、紹介・リピートによるお客様は、購入意欲が高い顧客と捉えており、当社グループは紹介・リピートを重視したビジネス展開で成長を継続していきたいと考えております。

② オーダーメイド住宅建築のワンストップサービス
 住宅金融支援機構の「平成30年度における住宅市場動向について」によると、購入希望者が住宅事業者選びで重視するポイントは、1位が「建物の性能」、2位が「住宅の立地」、3位に「デザイン」となっております。当社グループでは、お客様のご要望に応え、且つデザイン性に優れたリセールバリューの高いオーダーメイド住宅を実現すべく、デザイン性に優れた施工業者、デザイナーをアレンジするコンサルティングを実施しております。通常の戸建建物は経年劣化により査定価格低下が避けられないものの、建築デザインは劣化するものではないため、デザイン性に優れた住宅は購入者からも高い評価を得る可能性が高い分、中古住宅としての査定価格も高くなることから、デザイン性に優れた住宅はリセールバリューが高い住宅であると当社では考えております。

③ ITを活用した効果的な不動産集客
 当社グループは、オムニチャネル戦略により、ネットとリアルを融合した集客を行っております。特にスマートフォンの普及により、インターネットでいつでもどこでも不動産情報を入手できるようになり、インターネット上での集客が極めて重要になってきており、当社では30.0%がインターネットからの集客による成約です。
当社では、他社運営の不動産情報ポータルサイト、自社サイト「sumuzu」、自社ホームページ、その他チラシおよび販売現地の看板反響等から集客を行っております。自社サイト「sumuzu」は、不動産や住宅に関する情報メディアとしての性質も持ち合わせており、当社注力エリアの不動産情報を収集したうえで分析・可視化して購入希望者が見て理解しやすくすることにより、有用な不動産情報を提供しております。これらの活動を通じて不動産や住宅に興味を持った潜在顧客との接点を持つことができ、興味を持った潜在顧客には定期的に情報発信を行っており、自社サイト「sumuzu」開始以降、会員数は増加してきております。また、購入希望者の疑問・課題の回答を効率的に提供するためにチャットボットのサポートもホームページ上で提供しており、潜在顧客を見込み客に育成した上で営業部門に引き継ぐことにより、営業部門ではより確度の高い顧客との接点が生まれる流れになっております。
 更に、獲得した潜在顧客に対する情報提供をより質の高いものとするために、対面接客でしか得ることができない顧客の情報を蓄積しデータベースとして社内で活用することや、リテンションマーケティングとして、定期的な物件情報やイベント情報などのアフターフォローメールの送信などによる情報提供により既存顧客のリピート率向上や既存顧客からの紹介顧客の獲得に向けた活動を展開しております。
 当社のみの取り扱い物件については、地域の歴史や特徴、最寄駅からの道のり、周辺の物件との比較情報などの購入希望者が物件を検討する際に通常は営業員に聞くような情報を当社が運営する「sumuzu」上で公開するように取り組んでおります。最近では、インターネットからの問い合わせからそのまま成約に至るケースもあり、当社においては、1億円の不動産がインターネットで売れる時代になってきていると認識しております。
特に新規顧客獲得の部分については、ITを活用した集客を中心に進めることで効率化し、営業員一人あたりの生産性向上を進めており、特に「sumuzu」サイトからの集客を、より一層拡大する方針であります。
(2)  賃貸事業
当社グループの賃貸事業は、収益用不動産を購入し、賃料収入を継続的に得ることで、安定収益の基盤を形成しております。

【業績等】
業績動向(百万円)売上高 営業利益 経常利益 純利益
(連結実績)2018.3 5,581 696 664 436
(連結実績)2019.3 6,441 860 832 571
(連結予想)2020.3 7,848 1,003 938 646
(連結中間実績)2020.3 4,948 740 730 500

1株当たりの数値(円)EPS BPS 配当
(連結予想)2020.3 263.94 1,610.51 42.3
調達資金使途 システム開発、借入金の返済
上場時発行済み株数 2,734,693株 (別に潜在株式153,000株)
公開株数 747,500株(公募400,000株、売り出し250,000株、オーバーアロットメント97,500株)
PER:6.2
PBR:
配当利回り:2.6%
公募時吸い上げ資金:12.2億
公募時時価:45億

    
【株主構成】 以下90
岡田和也 代表取締役社長 1,510,000 60.70
MJ・R(同) 役員らが議決権の過半数を所有する会社 500,000 20.10
岡田英利子 代表取締役社長の親族 120,000 4.82
岡田光盛 代表取締役社長の親族 120,000 4.82
渡辺光章 常務取締役 35,000 1.41
古室健 取締役 35,000 1.41
小野雅之 子会社の代表取締役 35,000 1.41
宇野康秀 特別利害関係者など 30,000 1.21
岡田純子 代表取締役社長の親族 20,000 0.80
中山周一郎 取締役 19,000 0.7
  本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人である当社の株主、貸株人かつ代表取締役である岡田和也、並びに当社の株主かつ取締役である渡邉光章、古室健及び中山周一郎、並びに当社の株主かつ当社子会社代表取締役である小野雅之、並びに当社の株主かつ監査役である髙木和則、並びに当社の株主であるMJ・R合同会社、岡田英利子、岡田光盛、宇野康秀、岡田純子、宇都宮孝志、松村隆平、木村珠美及びランディックス従業員持株会は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後90日目(2020年3月17日)までの期間(以下、「ロックアップ期間」という。)、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びグリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得することを除く。)を行わない旨を合意しております。
 また、当社の新株予約権を有する渡邉光章、古室健、小野雅之、中山周一郎、髙木和則、松村隆平、宇都宮孝志及び木村珠美は、主幹事会社に対し、ロックアップ期間中は主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等を行わない旨を合意しております。

【代表者】
代表者生年月日 1969年05月24日生まれ
代表者略歴
1991年04月 協立広告(株)入社
1993年11月 城南リハウス(株)入社
1995年04月 (株)ランディックス(旧会社)入社
2001年02月 当社入社
2002年06月 当社代表取締役社長(現任)
2003年08月 (株)グランデ設立、取締役(現任)


【幹事団】
幹事証券 大和 572,000 88.00
引受証券 SBI 26,000 4.00
引受証券 みずほ 19,500 3.00
引受証券 楽天 13,000 2.00
引受証券 岡三 6,500 1.00
引受証券 岩井コスモ 6,500 1.00
引受証券 SMBC日興 6,500 1.00


【参考類似企業】今期予想PER 11/22
3250  ADワークス 20.8倍(連結予想 )
3467  アグレ都市 8.5倍(単独予想 )
3477  フォーライフ 8.7倍(単独予想 )
3489  フェイスNW 8.3倍(単独予想 )
3497  リーガル不 4.5倍(単独予想 )
6085  アーキテクツSJ -8.8倍(単独予想 )
8929  青山財産 16.6倍(連結予想 )


【私見】
 富裕層向け不動産ということで多少の優位性はありますが、基本不動産なので業種妙味はありません。業績は良くPERは低めの設定ですが、今後の成長性を考えると、上値はは大きくないと思います。需給はロックが完全なので、焦点は需給戦になるかどうかでしょう。


想定価額:1530円
仮条件上限:1630円
初値予想:1800円
ブック申し込み度・・・中立
セカンダリー期待度・・・中立
総合評価3

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