2019年12月4日水曜日

IPO分析(JTOWER)

【事業内容】
(1)事業の概要
 当社グループは、通信インフラシェアリング事業を行っております。従来は携帯キャリア各社単独で行われてきた携帯基地局関連インフラに係る装置、アンテナ、工事、構築物、電源、ファイバー等の設備投資を当社グループで一本化し、各社へシェアリングする事業を国内外で展開しております。従来は、各社毎に行われていた設備投資を一度で済ませることが可能となるため、対策にかかる設備投資や作業工程を大幅に削減することが可能となります。

(2)事業別の主な内容
 主として国内における大型施設内の携帯インフラのシェアリングを行う事業、海外における大型施設内の携帯インフラのシェアリングを行う事業、屋外の鉄塔等の携帯インフラのシェアリングを行う事業、それらに関連する付加価値ソリューション事業を展開しております。
①国内IBS事業
 国内IBS事業は、これまで日本において携帯キャリア各社がそれぞれ単独で行ってきた屋内携帯インフラの設備投資を、独自に開発した共用設備により一本化するソリューションを提供する事業となります。当ソリューションは、不動産事業者にとっては設備一本化による設備の簡素化・消費電力の削減・対策負担金の削減・窓口の一本化等、携帯キャリアにとっては、設備投資・運用費用の削減等、携帯電話ユーザーにとっては、屋内携帯電波環境整備による満足度向上等のメリットを提供しています。
 当社は、各携帯キャリアと共用設備利用に係る基本契約を締結し、当社の収入は、当社設備の共用利用に対して携帯キャリアから受領する利用料が主な収入となっております。

当社のこれまでの成長
 国内IBS事業は、2014年9月の商用サービス開始以来、導入物件数の増加、Tenancy Ratio(物件当たり平均参画キャリア数)の増加により着実に成長しております。
 
導入物件の種別と導入エリア
 導入物件については、商業施設・オフィスビルを中心に、大手不動産事業者を含む多くの不動産事業者での採用が進み、商業施設・オフィスビル以外にも、病院、大学、高層マンション、ホテル、公共施設、展示場等、幅広い種別の施設で導入が広がってきております。また、エリアについても日本全国の各地方で導入がなされております。

②海外IBS事業
 海外IBS事業として、IBS事業を海外でも展開しており、主な展開国はベトナム、ミャンマーとなっております。ベトナムにおいては、2017年7月に同国最大手のIBS事業者Southern Star Telecommunication Equipment Joint Stock Companyを株式取得により連結子会社化し、累計導入済み物件数は2019年9月末時点で145物件となっております。ミャンマーにおいては、2016年10月より事業開始し、持分法適用会社であるGNI Myanmar Co., Ltd.で事業運営を行っており、累計導入済み物件数は、2019年9月末時点で5物件となっております。また、2019年1月には、マレーシア最大手の通信インフラシェアリング事業者のedotco Group Sdn BhdとIBS事業展開に関する戦略的事業提携を発表しており、マレーシアで協業の取り組みを推進しております。

③タワー事業
 日本国内における5Gに係る基地局設備投資需要の拡大、第4の携帯キャリアの参入を受け、通信インフラシェアリング事業を屋内だけでなく、屋外でも提供するために、2018年10月にタワー事業への参入を発表しました。タワー事業は、携帯キャリアが屋外での基地局整備において建設する鉄塔・コンクリート柱・ポール・アンテナ・電源・ファイバー等について携帯キャリア向けにシェアリングを行う事業となります。2019年9月末時点では、本格展開開始に向けて、各携帯キャリアとの協議を行っている状況です。

④ソリューション事業
 通信インフラシェアリング事業を提供するうえで、更なる付加価値を提供するためのソリューション強化にも努めており、以下のサービスを展開しております。
(a)クラウドWi-Fiソリューション
 国内IBS事業において、不動産事業者への更なる付加価値を提供するためのソリューションとして、不動産事業者に対してクラウドWi-Fiソリューションを提供しております。国内IBS事業の提供先である不動産事業者のニーズに応え、Wi-Fiソリューションを安定的に提供する体制を構築するために、2018年10月にクラウドWi-Fiソリューションを提供する株式会社ナビックを連結子会社化し、体制強化を図りました。クラウドWi-Fiソリューションでは、設備数が多く長い構築期間を要する旧来型のコントローラ・監視サーバによるWi-Fiではなく、クラウドマネジメントシステムにより、低コストかつ短納期で導入が可能で、遠隔監視による運用管理が可能なシステムを提供しております。
(b)SITE LOCATORサービス
 当社で開発したシステムである、屋上への基地局設置許可を得た不動産事業者情報を集約するデータベース「SITE LOCATOR」を活用して、屋上の遊休スペースの収益化ニーズを有する不動産事業者と、屋上への基地局設置ニーズを有する携帯キャリアをマッチングするサービスを展開しております。不動産事業者に対しては、効率的・能動的な屋上の有効活用、携帯キャリアに対しては、これまで時間・コストを要していた置局(基地局設置)業務の効率化等のメリットを提供しております。

【業績等】
業績動向(百万円)売上高 営業利益 経常利益 純利益
(連結実績)2018.3 756 -474 -479 -577
(連結実績)2019.3 1,377 -169 -166 -214
(連結予想)2020.3 2,439 -165 -258 -289
(連結中間実績)2020.3 1,096 10 -3 -28

1株当たりの数値(円) EPS BPS 配当
(連結予想)2020.3 -16.77 249.07 0
調達資金使途 設備投資、借入金の返済
上場時発行済み株数 19,354,472株 (別に潜在株式793,600株)
公開株数 6,777,200株(公募2,987,000株、売り出し2,906,300株、オーバーアロットメント883,900株)

PER:
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:108億
公募時時価:310億
    
【株主構成】
(株)カルティブ 役員らが議決権の過半数を所有する会社 5,000,000 29.14 180
日本電信電話(株) 特別利害関係者など 3,639,600 21.21  180
田中敦史 代表取締役社長、子会社の取締役 1,834,400 10.69  180
JA三井リース(株) 特別利害関係者など 1,175,200 6.85 180
三菱UFJキャピタル4号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド)914,000 5.33 90・1.5
日本郵政キャピタル(株) ベンチャーキャピタル(ファンド) 842,000 4.91
アイティーファーム・のぞみ投組 ベンチャーキャピタル(ファンド)571,600 3.33 90・1.5
(株)INCJ ベンチャーキャピタル(ファンド)463,160 2.70
DBJキャピタル投組 ベンチャーキャピタル(ファンド)457,200 2.66 90・1.5
SMBCベンチャーキャピタル1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド)457,200 2.66 90・1.5
みずほ成長支援投組 ベンチャーキャピタル(ファンド)457,200 2.66 90・1.5

 本募集及び引受人の買取引受による売出しに関し、貸株人である田中敦史、売出人である株式会社カルティブ、JA三井リース株式会社、桐谷裕介、中村亮介、祢津信夫、六反学、当社株主である日本電信電話株式会社、当社新株予約権者である松浦隆、山本重好、丸井智弥及び加藤一郎は、SMBC日興証券株式会社に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2020年6月14日までの期間中は、SMBC日興証券株式会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等を行わない旨を約束しております。
 売出人である三菱UFJキャピタル4号投資事業有限責任組合、アイティーファーム・のぞみ投資事業有限責任組合、DBJキャピタル投資事業有限責任組合、SMBCベンチャーキャピタル1号投資事業有限責任組合、みずほ成長支援投資事業有限責任組合、SMBCベンチャーキャピタル4号投資事業有限責任組合は、SMBC日興証券株式会社に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して90日目の2020年3月16日までの期間中は、SMBC日興証券株式会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等(ただし、その売却価格が募集における発行価格又は売出しにおける売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。

【代表者】
代表者生年月日 1974年07月03日生まれ
代表者略歴
1997年05月 ゴールドマン・サックス証券(株)入社
2000年04月 イー・アクセス(株)(現ソフトバンク(株))入社 経営企画室長
2006年05月 同社 執行役員財務本部長   イー・モバイル(株)(現ソフトバンク(株)) 財務本部長
2007年04月 イー・モバイル(株)(現ソフトバンク(株)) CFO 常務執行役員財務本部長
2011年06月 イー・アクセス(株)(現ソフトバンク(株)) 常務執行役員経営企画本部長
2012年06月 当社設立 代表取締役社長(現任)
2017年03月 GNJT Solutions Co., Ltd. 取締役(現任)  4月 VIBS PTE.LTD. 取締役(現任)  7月 Southern Star Telecommunications Equipment Joint Stock Company 取締役(現任)、Vietnam Data and Aerial System Co., Ltd. 取締役(現任)
2018年08月 GNI Myanmar Co., Ltd. 取締役(現任)  11月 株式会社ナビック 取締役(現任)

【幹事団】
主幹事証券 SMBC日興 - -
主幹事証券 大和 - -
引受証券 みずほ - -
引受証券 野村 - -
引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -
引受証券 SBI - -
引受証券 楽天 - -
引受証券 マネックス - -
引受証券 岩井コスモ - -

【参考類似企業】今期予想PER 11/18
4423  アルテリア 14.7倍(連結予想 )
9450  ファイバーGT 38.8倍(連結予想 )

【私見】
 業種としては3大キャリア相手のビジネスで優位性はあり、5G関連でもあるので業種妙味はあります。業績は売上は伸びているのは評価できますが、赤字が続いているので次回の決算は発表次第です。VC1社除き1.5倍までのロックはされているので大きな問題ではありませんが、吸収金額が大きくこの時期には厳しい状況です。GS出身の社長で株価には期待できますが、現段階での投資にはリスクが高く、様子を見てからで充分かと思います。

想定価額:1550円
仮条件上限:1600円
初値予想:1650円
ブック申し込み度・・・中立
セカンダリー期待度・・・中立
総合評価3

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