2018年12月6日木曜日

IPO分析(自律制御システム研究所)

【事業内容】
 当社は、「科学は社会貢献のためにある」という創業精神のもと、「ドローンは、空の産業革命をもたらす」という企業ビジョンを掲げ、ロボットの自律制御技術を用いて業務効率化・無人化・IoT化を実現するシステムを創り、既存の様々な業務を改革していくことで、国内外企業の競争力を高めることを目指し、事業を展開しております。
 その主たる事業内容は、「インダストリアル向け」、「コーポレート向け」の飛行ロボットの自社開発、ドローンを活用した無人化・IoTシステムの受注開発、生産、及び販売・サービス提供であります。
 ドローンの普及及び技術革新により、既存産業の業務効率化並びに新規価値創出が期待されております。当社では、自律制御の研究開発をゼロから国内で行うことで技術力を蓄積してきており、「自ら考えて飛ぶ」最先端の自律制御を中心に点検、物流、防災分野などで求められる周辺技術・システムも開発し、現存するドローン市場の定義に縛られることなく顧客に対してドローンを活用した新たな無人化・IoTシステムを提示してまいります。
(1)当社の事業内容 
 当社は「自ら考えて飛ぶ」自律制御技術を中心に周辺技術・システム開発能力を一気通貫で保有することで、点検、物流、防災、空撮、測量、農業といった分野でドローンを活用したインダストリアル向け無人化・IoTシステムの構築に係る事業を運営しております。最先端の制御技術を核として、通信・ソフトウエアなどを統合した制御パッケージや高性能な機体プラットフォームの提供が可能となるとともに、用途別にカスタマイズしたインダストリアル向け特注機体、特注システム、最終的には顧客システムに統合されたレベルまで、事業として幅広く対応することが可能となっております。
 またドローン以外の分野に対しても、機械等が「自ら考える」ための制御技術を通信やソフトウエアと組み合わせて制御プラットフォームとして販売しております。当該プラットフォームの主な活用見込先は、宇宙産業や無人地上車両であります。
 当社のビジネスモデルは、顧客企業からのドローン導入の打診に基づき、顧客企業におけるドローン活用による課題解決の概念検証(PoC:Proof of Concept)(STEP1)、及び用途に応じたシステム全体の仕様策定と特注システム開発を請け負うシステムインテグレータとしての役割(STEP2)と、その後の特注システムの量産供給を担う製造業としての役割(STEP3、STEP4)を併せ持っております。 
 当社では、主に大企業におけるドローン活用において、検討段階から実際の導入まで全面的なシステム構築をワンストップで提供することを前提とした営業活動を促進しており、これまでにも楽天株式会社の「天空」や株式会社NJSの「AirSlider」などの実績があります。既に主要顧客約40社に対して、概念検証(PoC)(STEP1)に係るサービス提供に取り組んでおり、今後の特注システム開発や量産供給に繋がるように営業活動を促進しております。
 サービス提供の各段階(STEP)に関して、まずSTEP1として、顧客のドローン導入のニーズを踏まえて、課題解決のために当社のテスト機体を用いた概念検証(PoC)に係るサービスを有償で提供しております。この概念検証(PoC)では、最小限のシステム構成により顧客のドローン活用の導入検討における障壁を下げつつ、業務効率化・無人化・IoT化の検証を並行して行っております。なお、当社の指す概念検証(PoC)は「導入コンサルティング」を超えた概念であり、単にアイデア提供等を行うサービスではなく、目的の業務においてドローン導入の有効性を判断するための飛行試験・実演を伴う概念検証サービスを指します。
  当社では、各段階(STEP)毎に収益を獲得する案件が一般的ですが、案件によっては各STEPを組み合わせて包括的に契約を締結する場合もあります。なお、機体販売後の運用サポートにおいては、販売後定常的に発生する機体の保守手数料や消耗品の販売料及びスポットでのコンサルティングサービスに係るサービス提供料を主な収益源としております。

 (2)当社保有のプラットフォーム技術 
 当社は千葉大学発のスタートアップ企業として創業して以来、自律制御技術を中核技術と位置づけ、継続的に開発投資を行ってまいりました。2017年より、自社開発の制御技術の競争力を高めるために、無人化・IoTシステムの一部としてドローンを採用することが多い企業需要に着目し、ドローンを活用したインダストリアル向けの無人化・IoTシステムの開発に資本注力してまいりました。
 この分野においてシステム構築を実現するためには、非GPS環境などあらゆる環境での飛行を可能にする最先端の「自律飛行能力(Autonomy)」と、業務効率化・無人化・IoT化を実現するための「既存システムへの組み込み能力(Connectivity)」が必要になります。当社では、非GPS環境下での自律飛行を実現する画像処理による自己位置推定(Visual SLAM))(ドローン以外にもUGV(Unmanned Ground Vehicle:無人地上車両)などにも適用可)、ドローンの飛行ログや取得画像データ蓄積・解析を行うための独自通信・クラウドシステムの整備、人間や通路認識などの飛行制御向けAI、安全機能強化として落下エネルギーを約90%減少させ、高度10m以上であれば終端速度を5m/s程度まで減速可能なパラシュート等を、点検、防災、物流、測量など多様な用途に対応可能なプラットフォーム技術として開発・商用化しております。

(3)国家プロジェクトへの参画 
 当社製品・サービスがインダストリアル向けドローン業界におけるデファクト・スタンダードとなるためには、今後も継続的かつ積極的に研究開発活動を実施していくことが不可欠となります。そこで、当社では産学官連携で様々なプロジェクトに参画し、最先端の技術開発に取り組んでおります。国家プロジェクトにおいては、各プロジェクトにおいて発生した研究開発費用について、管轄機関の監査を受けて認められた金額を、助成金又は補助金として収受しております。なお、助成金又は補助金に関して、新規技術の研究開発に係るものについては、営業外収益として計上しております。また、新規の研究開発を行わず、既存の当社の技術を用いて委託された実験を行うことが主目的であるものについては、売上高として計上しております。


【業績等】
業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益 
(単独実績)2017.3 156 -533 -486 -488 
(単独実績)2018.3 370 -542 -454 -460 
(単独予想)2019.3 803 -302 -150 -150 
(単独中間実績)2019.3 246 -232 -86 -87 

1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当 
(単独予想 )2019.3 -16.01 - 0  
調達資金使途 製造関連費用、人件費・採用費、販促費、研究開発費 

上場時発行済み株数 10,152,105株 (別に潜在株式1,286,250株) 
公開株数 2,971,200株(公募900,000株、売り出し1,683,700株、オーバーアロットメント387,500株) 

PER:
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:100億
公募時時価:343億
    

【株主構成】 
UTEC3号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 2,100,000 19.93 
野波 健蔵 取締役会長 1,500,000 14.23 
楽天(株) 特別利害関係者など 1,350,000 12.81 
(株)菊池製作所 特別利害関係者など 1,050,000 9.96 
iGlobePlatinumFundII Pte. Ltd. ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,000,005 9.49 
SMBC信託銀行特定運用金外信託口 ベンチャーキャピタル(ファンド) 833,340 7.91 
太田 裕朗 代表取締役社長 525,000 4.98 
鷲谷 聡之 取締役COO 375,000 3.56 
早川 研介 取締役CFO、CAO 375,000 3.56 
みずほ成長支援第2号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 333,330 3.16 
千葉道場ドローン部1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 166,680 1.58 
五十嵐 恵美子 特別利害関係者など 150,000 1.42 
(株)アトックス 特別利害関係者など 150,000 1.42 

 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である野波健藏、売出人である株式会社菊池製作所、楽天株式会社、及びツカサ電工株式会社は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後90日目の2019年3月20日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること及びその売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、東京証券取引所における初値が形成された後に主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)等を行わない旨合意しております。
 また、売出人であるUTEC3号投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対し、ロックアップ期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し及びその売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)等を行わない旨合意しております。


【代表者】
代表者生年月日
1976年08月18日生まれ 

代表者略歴
2004年04月 ローム(株)入社 
2004年07月 京都大学エネルギー科学研究科工学博士課程修了(工学博士) 
2008年01月 京都大学大学院工学研究科航空宇宙工学専攻助教 
2008年11月 カリフォルニア大学サンタバーバラ校研究員 
2010年09月 マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク ジャパン入社 
2016年06月 当社取締役最高執行責任者(COO) 
2017年06月 代表取締役最高執行責任者(COO) 
2018年03月 代表取締役社長(現任) 

【幹事団】
主幹事証券 みずほ - - 
引受証券 野村 - - 
引受証券 大和 - - 
引受証券 SBI - - 
引受証券 いちよし - - 
引受証券 SMBC日興 - - 
引受証券 岡三 - - 
引受証券 水戸 - - 
引受証券 楽天 - - 

【私見】
  ドローンの開発ということで初物上場で業務妙味が非常にある銘柄です。業績は赤字でバイオ銘柄と変わらない状況です。需給は大型で、VC1社にロックがかかっておらず、あまりよろしくありません。判断が難しいのですがサイバーダインのような化けるの可能性もなくはないのですが、赤字で規模の大きさからもスタートは緩やかだと思います。

想定価額:3380円
仮条件上限:3400円
初値予想:4000円
ブック申し込み度・・・やや強気
セカンダリー期待度・・・中立
総合評価3.5


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