2020年3月11日水曜日

IPO分析(サイバーセキュリティクラウド)

【事業内容】
  当社は、「世界中の人々が安心安全に使えるサイバー空間を創造する」という経営理念を掲げ、クラウド型WAF「攻撃遮断くん」及び、AWS WAのルール自動運用サービス「WafCharm」を軸とした、Webセキュリティ事業を展開しております。
 あらゆるサービスがインターネットを通じて普及し、日常生活やビジネス面での利便性が格段に向上する中、サイバー攻撃数は年々増加傾向にあり、1IPアドレス当たりの年間総観測パケット数は過去10年間で約35倍にまで急増しております。増加し続けるサイバー攻撃に対するセキュリティ対策は大きく2つに分けることができ、ひとつはマルウェア等に対してPC端末や社内ネットワークを守るための社内セキュリティ、もうひとつはソフトウエアの脆弱性やWebアプリケーション層への攻撃から外部公開サーバを守るWebセキュリティです。
 Webセキュリティ対策を行うにあたっては、Webアプリケーション、ソフトウエアやOS、インフラやネットワークなど、保護対象のレイヤーによって対策が異なります。この中でWebサイトを構成するWebアプリケーションをサイバー攻撃から守るための対策にはWAF(Web Application Firewall)が必要です。
 また、WAFの提供形態は主にアプライアンス型WAF、とソフトウエア型WAF、クラウド型WAFがあり、当社のWebセキュリティ事業では主にWebサイトやWebサービスを提供している法人に対して、クラウド型WAF「攻撃遮断くん」の提供を行っております。
 当社が開発したクラウド型WAF「攻撃遮断くん」は、2013年より販売を開始し、導入の手軽さ、自社開発・自社運用という強みや大企業へのサービス提供実績などもあり、日本国内のクラウド型WAF市場における累計導入社数・導入サイト数が国内No.1になるまでに事業が拡大していきました。しかしながら、近年の情報漏洩事故の多くが、Webサイトに対する不正アクセスが原因といわれているにも関わらず、Webサイトへのセキュリティ対策は未だ十分行われておらず、また対策済みであると誤認している経営者が多いという実態があります。
 このような状況の中、当社は経営理念を実現し、Webセキュリティ対策が当たり前に行われる世の中にするため、「攻撃遮断くん」の提供で培った技術をもとに、AWSが提供する「AWS WAF」のルールの自動運用を行うサービス「WafCharm」の提供も行っております。
 また、2018年には「AWS WAF」のルールセットであるManaged Rulesの提供、「WafCharm」及び「攻撃遮断くん」の北米地域を中心とした海外展開を見据え、「Cyber Security Cloud Inc.」を米国ワシントン州に設立しております。
 当社がWebセキュリティ事業において提供している具体的なサービスの内容については以下のとおりです。なお、当社はWebセキュリティ事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。

(1)当社のサービスについて
a.クラウド型WAF「攻撃遮断くん」
 「攻撃遮断くん」は、Webアプリケーションに対するサイバー攻撃を検知・遮断・可視化する、クラウド型のセキュリティ・サービスです。製品の開発・運用・販売・サポートまで、当社が一貫して提供しているため、Webサイトへの多種、大量のサイバー攻撃のデータと運用ノウハウを当社が保持しております。本サービスではそれらをスムーズに開発・カスタマイズに反映させており、日々発見される新たなWebアプリケーションの脆弱性に対するセキュリティパッチをすぐに適用できない状況や、定期的に脆弱性診断が出来ない状況でも、当社によってシグネチャが更新されるため「攻撃遮断くん」を導入することでサイバー攻撃を遮断し、Webサイトをセキュアな環境に保つことを実現しております。
 また「攻撃遮断くん」は、リアルタイムでサイバー攻撃を可視化し、攻撃元IPや攻撃種別などを管理画面で把握することができます。目には見えないサイバー攻撃をヴィジュアル化することで、より適切な状況把握と情報共有が可能になります。
 「攻撃遮断くん」には、サーバにエージェントをインストールし、クラウドの監視センターへログ送信・遮断命令を受けて攻撃を検知・遮断するサーバセキュリティタイプと、DNSを切り替えて攻撃遮断くんWAFセンターで攻撃を検知・遮断するWEB/DDoSセキュリティタイプの2タイプを提供しており、その概要については以下のとおりです。2つのタイプを提供することにより、お客様のWebアプリケーションの環境に捉われずに導入可能なことが特徴となっております。
 「攻撃遮断くん」では、AIを活用することで従来のシグネチャでは発見することができなかった攻撃や、顧客のサービスに影響がある誤検知を発見しております。当社では、一般的な攻撃情報だけでなく、ユーザーの正規のアクセス、攻撃として検知されたアクセスをニューラルネットワークに学習させることで、日々のアクセスデータや検知データを AI で評価することにより、シグネチャ精度向上に取り組んでおります。
 
b.AWS WAFのルール自動運用サービス「WafCharm」
 「WafCharm」は、AWSの提供するAWS WAFを利用するお客様に対して、「攻撃遮断くん」で培ったWebアプリケーションに対する攻撃パターンをAIによって学習し、AWS WAFのルールを自動運用するサービスです。
 AWS WAFを導入することによってWebアプリケーションのセキュリティを高めることができますが、お客様がWebアプリケーションを利用してユーザーに提供しているサービスに合わせたルールを設定する敷居は高く、多くの知識と時間が必要です。
 「WafCharm」を利用することにより、AWS WAFの持つ複数のルールから、お客様のサイトに最適なルールをAIが設定し、ルールの運用を自動化することができます。
 新たな脆弱性への対応も自動でアップデートされるため、セキュアな状態でWebサイトの運用が可能となります。また、「WafCharm」を活用することで、お客様毎に柔軟なルール設定が可能となるだけでなく、ルール毎の検知数/攻撃種別/攻撃元国/攻撃元IPアドレスをまとめたレポート機能や、検知した内容をリアルタイムでメール通知するメール通知機能を利用することができます。

c.AWS WAFのManaged Rules
 AWS WAFのManaged Rulesとは、セキュリティ専門のベンダーが独自に作成する厳選されたAWS WAFのセキュリティルールセットです。
 2019年2月末時点で世界で7社目となるAWS WAFマネージドルールセラーに認定された当社の米国子会社を通じ、AWS MarketplaceでのManaged Rulesの提供が開始されました。当社が「攻撃遮断くん」及び「WafCharm」で培ったAWS WAFにおけるルール設定ノウハウをもとにパッケージ化することで、AWS WAFを利用するお客様は、AWS Marketplaceから簡単にManaged Rulesを利用することができます。
 
(2)当社のビジネスモデルについて
 当社の主要サービス「攻撃遮断くん」は、顧客に対し提供するサービスの対価を、使用した期間に応じて受領するサブスクリプション(月額課金)型モデルとなっており、継続したサービス提供を前提としております。収益構造は、ストック収益である月額課金額(MRR)と、初期導入費用、スポット費用で構成され、2018年12月期において、「攻撃遮断くん」の月額課金額が当社の「攻撃遮断くん」売上高全体に占める比率は94.9%となっております。
 月額課金額の成長を実現するために、エンジニアとサポートが一丸となって「世界中の人々が安心安全に使えるサイバー空間を創造する」ためのセキュリティサービスを提供すべく、Webアプリケーションの脆弱性の情報収集及び迅速な脆弱性への対応、シグネチャの設定、カスタマイズ等、顧客価値向上を実現することで高い継続率の維持の実現を目指してまいります。自社にて開発から運用、サポートまで一気通貫していることによって、顧客満足度を高めながらサービス提供を行っております。なお、2017年以降の月次平均解約率は1.1%と低い数値を維持しております。

【業績等】
業績動向(百万円)売上高 営業利益 経常利益 純利益
(単独実績)2017.12 246 -42 -46 -52
(単独実績)2018.12 488 -29 -27 -27
(単独実績)2019.12 816 143 141 153
(単独予想)2020.12 1,126 176 166 140

1株当たりの数値(円) EPS BPS 配当
(単独予想)2020.12 61.42  -   - 
調達資金使途 人件費・採用費

PER:73.2
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:3.1億
公募時時価:103億

上場時発行済み株数 2,305,000株 (別に潜在株式89,600株)
公開株数 70,000株(公募70,000株)  

【株主構成】
VectorGroupInternationalLTD. 特別利害関係者など 383,000 16.48 90日
(株)オークファン 特別利害関係者など 333,000 14.33 90日
GMCMVentureCapitalPartnersIInc ベンチャーキャピタル(ファンド)307,000 13.2180日・1.5
西江肇司 特別利害関係者など 218,000 9.38 90日
武永修一 特別利害関係者など 148,000 6.3790日 
大野暉 代表取締役社長 121,000 5.21  180日
海老根智仁 特別利害関係者など 97,000 4.17 90日
B Dash Fund3号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド)87,000 3.74 90日・1.5
(株)AMBITION 特別利害関係者など 67,000 2.88 90日
S173(株) 特別利害関係者など 59,000 2.54 90日

【代表者】
代表者生年月日 1990年06月19日生まれ
代表者略歴
2013年11月 スターフェスティバル(株)入社 新規事業部長 兼 社長室長
2016年11月 当社代表取締役社長(現任)
2018年09月 Cyber Security Cloud Inc. CEO(現任)

【幹事団】
主幹事証券 SBI 59,500 85.0
引受証券 大和 4,200 6.0
引受証券 みずほ 1,400 2.0
引受証券 SMBC日興 700 1.0
引受証券 あかつき 700 1.0
引受証券 岩井コスモ 700 1.0
引受証券 エース 700 1.0
引受証券 岡三 700  1.0
引受証券 香川 700 1.0
引受証券 楽天 700 1.0

【参考類似企業】今期予想PER 2/28
3040  ソリトン 29.9倍(連結予想 )
3692  FFRI 72.5倍(連結予想 )
4704  トレンド 27.4倍(連結予想 )
4726  SBテクノロジ 24.0倍(連結予想 )
6701  NEC 16.1倍(連結予想 )
9432  NTT 11.0倍(連結予想 )

【私見】
 サイバー、セキュリティ、クラウドと名前からいかにも人気になりそうな銘柄です。業績は小規模で、成長性はありそうですがPERは高めの設定です。需給は公開株7万株という極端に少なく以前なら3日目突入という超品薄銘柄ですが、3位株主のVCのロックが外れることから初値後は一気に需給が崩れる可能性は高いと思います。SBI主幹事でなければ評価4.5を付け、初値3倍のセカンダリー銘柄になるのですが、上場目的の売り抜け感は感じるのでここも短期の割り切りが必要かと思います。上がってしまえば時価総額も高いのでセカンダリーの妙味はないと感じます。

想定価額:4010円
仮条件上限:4500円
初値予想:11000円
ブック申し込み度・・・強気
セカンダリー期待度・・・中立
総合評価4

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