2020年3月10日火曜日

IPO分析(アディッシュ)

【事業内容】
1:ソーシャルアプリサポート
 利用者からのお問い合わせを、顧客企業に代わって対応するカスタマーサポートサービスであります。主な顧客企業は、アプリあるいはサイトの運営企業であります。電話、メール及びチャットを利用したカスタマーサポートに対応しております。海外市場に向けてサービス展開をしている顧客企業にも幅広くサポートするために、当社は10ヵ国語以上の言語に対応しております。
 当社は、ソーシャルゲーム、シェアリングエコノミー、Fintech、MaaSといった業界に特化したカスタマーサポートを得意としております。この業界の特徴は、非常に早い速度で開発がなされ、毎週のようにサービスがアップデートされることです。又、利用者間でコミュニケーションが取れたり、サービスを提供し合ったりすることが可能であり、従来のあらかじめ定めた回答を行うという方法では、利用者の不明点や不満を即時解決することが難しいという課題が起きております。
 当社では、このような業界が抱えるカスタマーサポートの課題に応えていくため、システムを独自に開発し、顧客企業に提供しております。当社だけでは判断ができないお問い合わせについては、顧客企業と連携して協議や判断を仰ぐ必要があり、当社のシステムを介して効率的に運用できるようにしております。様々なお問い合わせを整理し、顧客企業及び当社内での情報共有を確実かつ迅速に行うことで対応の質とスピードを両立させております。
 なお、第5期連結会計年度におけるソーシャルアプリサポートの売上高比率は、47.9%であります。

2:インターネットモニタリング
 利用者の行う投稿を24時間365日体制でモニタリングし、不適切なものが発見された場合に、注意、報告、警告、非表示化等の対応を行うサービスであります。
 インターネットモニタリングには2種類が存在します。1つは利用者による投稿機能のあるオウンドメディアを対象としたモニタリングであります。主な顧客企業は当該オウンドメディアの運営企業であり、当該オウンドメディアが利用者にとって健全で心地よい場となる支援を行います。顧客企業は適切なコミュニケーションが行われることを求めておりますが、一方で、違法行為、誹謗中傷、自殺幇助、出会い目当て、個人情報の流布、残虐・暴力的、卑猥・猥雑等、一部の利用者により、不適切な内容にあたる投稿がされることがあります。このような投稿はオウンドメディアの利用者に不快感を与え、利用者による継続的なコミュニケーション及び当該オウンドメディアの健全な成長を阻害します。そこで当社グループでは、そのような投稿に対するモニタリングを実施し、注意、報告、警告、非表示化等の対応を行っております。単に投稿のモニタリングを実施するのではなく、利用者が継続してコミュニケーションできる場に導くために、監視基準の設計専門担当者により顧客企業ごとの基準設計を行い、顧客企業が理想とする体制の実現をサポートしております。さらに、当該オウンドメディアと当社モニタリングシステムをAPI連携(注8)させ、システム連携を図ることで、複数のオウンドメディアの投稿モニタリング業務を同一のシステム上で行うことが可能なことから、効率的なモニタリングを実施することができます。
 オウンドメディアを対象としたモニタリングの他に、利用者に提供されるサービス形態の多様化に伴い、リアルタイムにコメントが投稿されるライブ配信動画に対するモニタリング、決済サービス提供事業者・決済サービス導入事業者向け不正決済対策業務、利用者が本人であるかどうか登録情報を照合する本人確認業務、キュレーションメディア等の情報配信サイトの運営者を対象に記事校正・校閲を代行する記事審査業務、顧客企業が保有するテキストや画像等のデータに対して分類及びラベル付けをするアノテーション業務等を提供しております。
 もう1つの形態は、ソーシャルメディアを対象としたモニタリングです。顧客企業の社名、商品名、サービス名、ブランド名等のキーワードで検索し、抽出された投稿について、顧客企業の課題に沿う形で分類、レポートにまとめ報告するソーシャルリスニング業務であります。ソーシャルメディア上では、利用者によって商品やサービスについての様々な投稿が行われております。それらの情報を確認し、製品開発やマーケティングに活かしていきたい企業が顧客となります。また、炎上対策を目的とする顧客企業もあります。
 なお、第5期連結会計年度におけるインターネットモニタリングの売上高比率は、35.7%であります。

3:スクールガーディアン
 学校生活上の課題となり得るネットいじめの可能性がある書き込みやインターネットでの個人情報流出をモニタリングして生徒指導に活かしていくコンサルティングサービスであります。
 主な顧客は、各都道府県等教育委員会又は公立学校、私立学校法人です。当該学校に関連すると思われる書き込みを目視でモニタリングを実施、当社の定めるリスクレベル別に分類し、問題のある内容が発見された場合に、レポートにまとめて報告しております。又、「スクールサイン」というサービス名称にて、各学校及び自治体用に匿名で通報ができるウェブサービスを提供し、いじめに関する通報や相談を受けております。生徒指導に活かせる可能性のある書き込みが発見された場合は、学校関係者、教育委員会関係者、状況によっては警察とも連携し、それら関係者の方を通じて、生徒への指導等を行うことで、学校生活上の課題解決を支援しております。
 その他、ソーシャルメディアやコミュニケーションサービスを健全かつ有効に活用できるよう、子どもはもちろん、教員や保護者等周囲の大人の意識向上を促す啓発講演活動も継続的に実施し、子どもが健全にソーシャルメディアを活用できる環境づくりを目指しております。

4:フロントサポート
 企業がソーシャルメディアを活用して利用者に能動的に働きかけることで、利用者とのつながりを維持、向上させ、ファンコミュニティを形成していくためのサービスであります。
 昨今、企業がソーシャルメディアの公式アカウントを作成し、情報を発信したり、利用者と直接コメント等を交わしたりすることで、利用者との関係性の強化を図っております。具体的には、顧客企業が抱える課題あるいは求める目的に対して、公式アカウントの戦略設計を行い、情報発信する記事の企画、作成、配信及びコメント返信対応を行っております。加えて、インターネットモニタリングで培った技術を活かし、企業名、商品名、サービス名及びブランド名等のキーワードを用いてソーシャルメディアの投稿を検索し、利用者に対して能動的にコメントを行う等、ファンコミュニティの形成を支援しております。
 又、企業と利用者との関係性の強化をするために、自社のウェブサイト等にチャットやチャットボットを設置し、利用者が抱える課題の即時解決を図ろうとする企業が増えており、このような新しい動きに応えるために、インターネットモニタリング、カスタマーサポートの技術及び知見を活かしたチャットボットサービスである「hitobo」を提供しております。顧客企業は、よくある質問とその回答を「hitobo」にアップロードするだけで、手軽に自社のウェブサイト等にチャットボットを設置することが可能であります。従来であれば、カスタマーサポート体制を敷く必要がありましたが、チャットボットを設置することで、利用者が抱える課題の即時解決を図り、利用者の満足度の向上を支援しております。

【業績等】
業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益
(連結実績)2017.12 1,907 -41 -31 -21
(連結実績)2018.12 2,160 47 44 35
(連結実績)2019.12 2,501 130 135 92
(連結予想)2020.12 3,147 187 180 108

1株当たりの数値(円) EPS BPS 配当
(連結予想)2020.12 67.03  -  0
調達資金使途 技術開発研究投資、福岡センター増床の設備資金、差し入れ保証金、地代家賃、人材採用

上場時発行済み株数 1,676,500株 (別に潜在株式214,900株)
公開株数 335,000株(公募237,000株、売り出し68,000株、オーバーアロットメント30,000株)
PER:16.2
PBR:
配当利回り:
公募時吸い上げ資金:3.7億
公募時時価:18億
    
【株主構成】
(株)ガイアックス 特別利害関係者など 691,300 41.79 180日・1.5
江戸浩樹 代表取締役 205,300 12.41 180日
MSIVC2016V投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 140,000 8.46
コロプラネクスト7号ファンド投資事業組合 ベンチャーキャピタル(ファンド)125,800 7.60 180日
(株)モバイルファクトリー 特別利害関係者など 38,700 2.34 180日
(株)ヴァル研究所 特別利害関係者など 38,700 2.34 180日
(株)セレス 特別利害関係者など 38,700 2.34 
フリービットインベストメント(株) ベンチャーキャピタル(ファンド)30,000 1.81
みずほ成長支援第2号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 30,000 1.81
杉之原明子 取締役 20,400 1.23
池谷昌大 取締役 20,400 1.23
石川琢磨 取締役 20,400 1.23
吉川敏広 取締役 20,400 1.23
本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である江戸浩樹、売出人である杉之原明子、石川琢磨、池谷昌大、並びに吉川敏広、及び当社株主であるコロプラネクスト7号ファンド投資事業組合、株式会社モバイルファクトリー、株式会社ヴァル研究所、株式会社セレス、松田光希、小澤豊、小原良太郎、久保芳和、秋場修、飯塚隆、並びに馬渕泰至は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2020年9月21日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すことは除く。)等は行わない旨合意しております。また、売出人かつ当社株主である株式会社ガイアックスは、主幹事会社に対し、ロックアップ期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、その売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う東京証券取引所における売却等は除く。)は行わない旨合意しております。 

【代表者】
代表者生年月日 1982年01月18日生まれ
2004年04月 (株)ガイアックス 入社
2011年05月 GaiaX Asia Corporation(現adish International Corporation)設立 代表取締役就任
2012年06月 (株)GaiaX Interactive Solutions(現アディッシュプラス(株))設立 代表取締役就任
2012年11月 GaiaX Asia Corporation(現adish International Corporation) 取締役就任
2014年10月 当社 設立 代表取締役就任(現任)
2015年04月 アディッシュプラス(株) 取締役就任(現任)  (株)ガイアックス 執行役就任
2017年08月 adish International Corporation 取締役会長 就任(現任)
2018年05月 (一財)全国SNSカウンセリング協議会 理事就任(現任)

【幹事団】
主幹事証券 SBI 263,800 86.5
引受証券 みずほ 12,200 4.0
引受証券 岩井コスモ 6,100 2.0
引受証券 SMBC日興 6,100 2.0
引受証券 東海東京 6,100 2.0
引受証券 エース 6,100 2.0
引受証券 マネックス 3,100 1.0
引受証券 藍沢 1,500 0.5
引受証券 エイチ・エス 1,500 0.5
引受証券 むさし1,500 0.5

【参考類似企業】今期予想PER 2/27
3657  ポールHD 16.6倍(連結見込 )
3775  ガイアックス 23.9倍(連結予想 )
4290  PI 31.1倍(連結予想 )
4708  りらいあ 15.8倍(連結予想 )
6050  EG 20.9倍(連結予想 )
6183  ベル24HD 14.4倍(連結予想 )
6188  富士ソフSB 12.7倍(単独予想 )
6193  バーチャレクス -倍(連結予想 )
9715  トランスコスモ 17.2倍(連結予想 )


【私見】
 業種はソーシャルサポートということで面白く人気になりそうな銘柄です。業績も小規模ですが伸びていて、PERからは同業と比べて同程度ですが、成長性を加味すれば割高感はありません。吸収金額は極端に小さく時価総額も小さいので初値で高騰する可能性は非常に高いです。心配なことは、ガイアックスのロックが外れることで需給一気に崩れる可能性は高く、SBI主幹事で他の株主構成を見ても怪しさもありセカンダリー参戦には短期という割り切りが必要そうです。

想定価額:1090円
仮条件上限:1230円
初値予想3000円
ブック申し込み度・・・強気
セカンダリー期待度・・・中立
総合評価4

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