2023年3月6日月曜日

IPO分析(ハルメクホールディングス)

 【事業内容】

​ 当社グループのお客様は主に50代以上の女性です。この年代の女性たちは、以下のようなニーズを有していると考えておりますが、世の中にはこれらのニーズを満たすサービスが少ないという問題意識が当社グループの事業の背景となっています。

・ より元気にアクティブになりたいのに、周りからは介護や認知症など暗い提案が多く、自分に向けた話とは思えない

・ 新しいことを知りたい、挑戦したいという気持ちはあるが機会がない

・ 自分のことを年寄りだと思っておらず、もっと若々しくいたいのに、世の中のシニア向けのサービスや商品は年寄り向けばかり

・ おしゃれもしたい、素敵になりたいけど勇気が出ない、やり方が分からない

・ 将来、子供に迷惑をかけたくないという思いが強いが、具体策がわからない

・ いつか夫に先立たれ一人になる可能性があることを分かっているが、孤独を回避する手立てがわからない

 そんな女性の皆さまが、人生の後半を元気に前向きに楽しく暮らせるようお手伝いすることこそが使命であると考え、雑誌「ハルメク」の出版をはじめ、商品の開発や販売、旅行や講座といったサービスの提供など、さまざまな事業を行うシニア向けプラットフォームビジネスを展開しています。これにより、上記のニーズと世の中で提供されるサービスとのギャップの解消に寄与しています。

 現代社会には情報や商品、サービスがあふれています。インターネットの発達でこれがさらに加速した結果、自分の暮らしに本当に役立ち、信頼できるものを見つけることはどんどん難しくなっています。そのような中、当社グループは、お客さまにとって真に必要な情報とは何か、優れた商品・サービスとは何かを常に考え、選りすぐり、あるいは自ら創りだして提供します。健康、美容から、おしゃれ、住まい、学び、レジャーまで、暮らしを取り巻くあらゆる分野において、「本当に価値あるもの」をしっかりとお届けしていくことが私たちの信条です。


(1) ハルメク事業

 販売部数全雑誌No.1である雑誌「ハルメク」の出版によりお客様を獲得し、雑誌に共感してくださったお客様に対して、雑誌の特集と連動するなどしたオリジナル商品等(オリジナル商品比率:7割)を、雑誌と同封してお送りするカタログによる通信販売で提案・販売することや、雑誌の特集と連動するなどしたイベント部門が講座や旅行などを提供することにより、お客様の満足度を高めると共に、収益を獲得している事業となります。

 雑誌「ハルメク」は書店では購入できない自宅へ配送される定期購読のみで販売している雑誌です。シニア女性の不安や不満、期待に応える幅広い記事を提供し、コンテンツの内容も、特集、ファッション、健康、レシピ、手づくり、インタビュー、連載等シニア女性の生活全体に応える内容となっており、2022年12月時点での購読者数は50万人と高い支持を受けております。

 「ハルメク365」は、2018年8月に開始した「ハルメクWEB」を起源としたシニア女性向けのWEBサイトであります。前身の「ハルメクWEB」としては、掲載する広告を収益源としつつ、無料の記事を配信してきました。記事の内容は、暮らし、美と健康、カルチャー、連載、素朴な疑問、特集、人気ランキング、ハルトモ倶楽部等多岐に渡り、2022年4月から7月までの新規の掲載記事は月平均230本のペースで配信されています。2022年7月における月間のページビュー数(PVは641万回、Monthly Active Users(MAU)は278万ユーザーという実績であり、それらの推移は以下のとおり堅調に推移しております。さらに、LINEのエンゲージメントランクで1位を獲得した実績があるなど、シニア女性向けWEBサイトとしてトップクラスのアクセス数と評価を獲得し、高い支持を集めました。2022年8月に有料の動画や記事などのコンテンツ、講座などの企画を大幅拡充した新サービス「ハルメク365」へ変貌を遂げ、シニア女性を対象としたコンテンツ&ソリューションプラットフォームとして有料・無料会員を獲得し始めております。 通信販売においては、お客様の声を聞いたうえでお客様の悩みや期待に応える商品を開発し、中高価格帯で提供しております。

 

 このほか、情報コンテンツや商品と関連した体験やつながりを提供するコミュニティも多数設けております。そこで取り扱う内容は、散歩、料理、食巡り、スマホ講座、旅行、メイク、ファッション、学び、コンサート、歌唱、芸術、体操等多岐に渡っており、2022年3月期においては、オフライン及びオンラインを合わせると100本以上のイベントを開催し、2017年以降の延べ参加人数は約6.7万人にのぼります。

 ハルメク事業の強みは、「情報コンテンツ」、「物販」及び「コミュニティ」の3つの事業が連動し相乗効果を生んでいることにあります。特に、「情報コンテンツ」を中核にすることで商品及びサービスの利用率が高まったりお客様の当社グループに対するロイヤリティが高まる好循環が生まれるビジネスモデルとなっており、通信販売のみを行う事業者とは一線を画すことを可能にしています。


情報コンテンツ:雑誌「ハルメク」及び「ハルメク365」にてシニア女性に役立つ情報を提供

物販:シニア女性の生の声をもとにオリジナル商品を開発し、自社ECサイト、カタログ通販及び店舗を通じて販売

コミュニティ:オフライン・オンラインによるイベント・講座・旅行を通じてシニア女性に「繋がり」の場を提供


 3つの事業が連動している例としては、情報コンテンツをリアルやオンラインで体験する場を設けたり、情報コンテンツのメッセージに沿った商品を開発し、更に商品を体験する場を設けたりする例もあります。商品の開発にあたっては当社内に限らず、社外の企業と連携することもあります。

 これら3つの事業を有することにより、主に雑誌「ハルメク」を起点にして集客から始まり、ユーザーの育成ないし顧客単価の上昇、そしてファン化までのサイクルが形成されております。集客の観点では、「情報コンテンツ」による新規顧客の獲得が24万人(雑誌「ハルメク」の新規読者数:2022年3月期実績)あり、次いで「物販」による新規顧客の獲得が11万人(新聞単品外販の新規顧客獲得数:2022年3月期実績)という形で貢献しています。育成の観点では、「物販」が再購入という形で最も貢献しており、次いで「情報コンテンツ」が78%の継続率という形で寄与し、一部「コミュニティ」が担っております。ファン化の観点では、高い顧客満足度を誇る「情報コンテンツ」及び「コミュニティ」が貢献しております。

 このように、3つの事業の相乗効果により継続的な利用をするユーザーの確保が可能となり、利用金額ないし利用回数が多いファンユーザーが多くの売上収益を生み出すことが可能な構図となっております。


(2) 全国通販事業

 新聞広告などで集客したお客様へ通販カタログ「ことせ」を送付し、通信販売で商品等を提案・販売し、収益を獲得している事業となります。こちらもハルメク事業同様にシニア女性をターゲットとしておりますが、販売している商品の価格が低価格であることからハルメク事業の顧客属性とは異なっており、棲み分けがなされております。

 ハルメク事業のような雑誌による集客はありませんが、お客様ごとに定めた担当者(お得意様コンシェルジュ)が電話で親身にお客様に寄り添いながら商品を提案し、販売するという、通信販売でありながらも外商営業的な要素も取り入れた独自のスタイルで事業を運営しており、1970年の創業以来、多くのお客様にご支持頂いてきております。


【業績等】

決算期 種別 売上収益 営業利益 税引き前利益 純利益

2023/03 連結3Q累計実績 22,966 2,138 2,009 1,346

2023/03 連結会社予想 28,472 2,018 1,851 1,226

2022/03 連結実績 25,233 1,358 1,172 796

2021/03 連結実績 15,135 601 474 301


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/03 連結会社予想 152.09 - 0.00


募集を行う地域

欧州及びアジアを中心とする海外市場(但し、米国及びカナダを除く。)


上場時発行済株数 10,222,000株(別に潜在株式775,820株)

公開株数 2,815,200株(公募2,222,000株、売り出し226,000株、オーバーアロットメント367,200株)

調達資金使途 システム投資、借入金の返済

OAを除く販売株式数内訳(国内売出:2,045,000株、海外売出し:177,000株)※3月13日決定 


PER:11.3

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:48.4億

公募時時価:178億

​   

【株主構成】 

宮沢孝夫 代表取締役社長 3,040,000 34.64% 180日

松島陽介 特別利害関係者など 1,900,000 21.65% 180日

山元雄太 特別利害関係者など 1,520,000 17.32% 180日

土屋淳一 取締役 800,000 9.12% 180日

和田朝子 取締役 270,000 3.08% 180日

林南平 取締役(監査等委員) 240,000 2.73% 180日

大谷貴志 特別利害関係者など 160,000 1.82% 180日

石井文範 取締役CFO 70,000 0.80%

中村大 取締役(監査等委員) 50,000 0.57% 180日

長谷部智也 特別利害関係者など 50,000 0.57% 180日


本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である宮澤孝夫並びに当社株主である松島陽介、山元雄太、土屋淳一、和田朝子、林南平、大谷貴志、中村大及び長谷部智也は、共同主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後180日目の2023年9月18日までの期間(以下、「ロックアップ期間」という。)中、共同主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(但し、引受人の買取引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等を除く。)等を行わない旨合意しております。


【代表者】

代表者名 宮沢 孝夫(上場時123歳2カ月)/1956年生

本店所在地 東京都新宿区神楽坂

設立年 2020年

従業員数 64人 (2023/01/31現在)(平均47.7歳、年収784.1万円)、連結329人

事業内容 雑誌「ハルメク」、動画や講座の配信サービス「ハルメク365」を提供する「情報コンテンツ」事業、カタログ、EC(電子商取引)、店舗でオリジナル商品を開発・販売する「物販」事業

URL https://www.halmek-holdings.co.jp/

株主数 9人 (目論見書より)

資本金 10,000,000円 (2023/02/16現在)

代表者生年月日 1956年10月23日生まれ

代表者略歴

1982年04月 (株)野村総合研究所入社

1992年06月 (株)ボストンコンサルティンググル ープ入社

2012年11月 (新)いきいき(株)(現:(株)ハルメク) 代表取締役(現任)

2015年08月 (株)全国通販代表取締役会長

2018年04月 (旧)(株)ハルメクホールディングス 代表取締役

2019年06月 (株)全国通販代表取締役社長

2020年07月 当社代表取締役社長(現任)

2021年06月 (株)全国通販代表取締役会長


【幹事団】

主幹事証券 みずほ - -

主幹事証券 大和 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 松井 - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 岡三 - -


【参考類似企業】今期予想PER(2/21)

2673 夢隊 18.5倍 (連結予想)

2722 IKHD - (連結予想)

3396 フェリシモ 8.7倍 (連結予想)

7849 スターツ出版 11.0倍 (単独予想)

8005 スクロール 7.3倍 (連結予想)

8072 出版貿 6.1倍 (連結予想)

8165 千趣会 123.4倍 (連結予想)

9468 KADOKAWA 35.3倍 (連結予想)

9470 学研HD 10.6倍 (連結予想)

9476 中央経済 427.1倍 (連結予想)

9478 SEH&I 6.2倍 (連結予想)

9479 インプレス 12.2倍 (連結予想)

9997 ベルーナ 6.7倍 (連結予想)


【私見】

 50代以上の女性をターゲットにした雑誌を中心とした販売業で、この好業績は隙間を付いた産業で非常に評価できます。しかし、この媒体を軸に他展開すれば違った見方もできますが、現状はこれ以上望むのも限界もあり、好業績といえども、類似業種のPERからも10を大幅に超えて評価をすることか簡単ではないかとも思います。海外売り出しもあり、女性をターゲットにしていることからもファンドも好みそうな銘柄で、中期で上がっていく可能性もありそうではありマークはしたい銘柄です。


想定価額:1550円

仮条件上限:1720円

初値予想:2100円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

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