2023年3月22日水曜日

IPO分析(トランザクション・メディア・ネットワークス)

 【事業内容】

​ 主に流通業の事業者を顧客とし、複数のキャッシュレス決済事業者と加盟店をつなぎ、あらゆるキャッシュレス決済サービスをワンストップで提供するゲートウェイサービスと、また、それに伴う決済端末の販売や、関連する開発等を提供しております

 当社は「クラウド(シンクライアント)型電子決済」を国内で初めて商用化した企業です。決済サービスをクラウド化したことで、それまで店舗に複数台設置されていた決済ブランド毎の決済端末を1台に集約することが可能となった他、複雑な複数層のネットワークの簡素化による障害箇所の低減や、決済情報をデータベース化の上、一元管理することによる保守性の大幅改善等を実現しました。また、従来のリッチ型決済端末の処理方式に比べ、「安価な端末導入コスト」、決済手段追加時の「優れた拡張性」、「運用の簡素化」等の競争優位性を有し、業界の新たなスタンダードを牽引してきと考えております。当社の技術力だけでなく、大手POSメーカーやカード会社との緊密な連携を梃に、クラウド型決済プラットフォームとしてシェアを拡大してきました。

 現在は加盟店に対して電子マネーのみならずクレジット、QR・バーコード、ハウスプリペイド、共通ポイントといった幅広い43の決済サービスをワンストップで提供できる企業として事業を拡張し、1台の端末で複数の決済手段に対応したい小売店舗のニーズと、多くの小売店舗と繋がりたい決済ブランド事業者のニーズに対応するゲートウェイとして、1,000社を超える加盟店に導入されています。2023年1月末現在で接続されている決済端末台数は80万台、年間で3.1兆円、17億件決済処理を行うまでに規模拡大を続けております。

 今後、「総合的な流通・CRMソリューション」を提供する等、流通業のデジタライゼーション等の変革を支援するとともに、データエコノミーの到来を見据え、各社がデータ利活用できる高度なインフラサービスを提供することで「情報プロセシング企業」への進化を標榜しております。


・接続端末台数および年間決済処理金額、年間決済処理件数推移

接続端末台数 200,000台→300,000台→502,000台→589,000台→696,000台

年間決済処理金額  0.7兆円→1.1兆円→1.7兆円→2.6兆円→3.1兆円

年間決済処理件数  5億件→9億件→12億件→15億件→17億件


[事業の特徴と強み]

 キャッシュレスの支払手段の中でも「電子マネー」決済処理のクラウドサービス及び決済端末の販売を祖業としておりますが、広域で汎用電子マネーを取り扱うにあたり、電子マネー事業者による独自の厳格な基準に対応するため、技術力を磨き、大規模な投資を行うとともに、自社のオリジナル端末を開発することで、センターオペレーターとしてソフトウェア技術だけでなく、端末サプライヤーとしてハードウェアの技術力も蓄積してきました。

 小売事業者が汎用電子マネーに対応するには、少数である当社のようなゲートウェイ事業者のうちどこか(およびホワイトレーベル先(注1)と接続する必要がありますが、特に大規模小売店のPOSと接続するためには、ポイント連携等多様なニーズに対応するため、大規模なカスタマイズ開発が必要となることから、当社のハードウェア、ソフトウェア双方における技術力が競争力の源泉にもなっております。

 また、小売事業者のシステムと密接に結合していることからスイッチングコストが高額となることが事業の特徴であり、多くの消費者が利用している汎用電子マネーサービスをフックに、クレジットやQR・バーコード等、その他の決済手段もセットで販売できる1ストップソリューションも強みとなっております。


[事業の主なビジネスモデル]

 当社の収益源は、(1)当社が製造・販売する非接触リーダー・ライター等の「決済端末販売売上」、(2)加盟店へのデータ還元や決済ブランド追加等のシステムカスタマイズによる「開発売上」、(3)主に加盟店等から得られる月額固定の決済処理利用料である「センター利用料」、(4)利用する決済ブランド毎の課金および台数から設定する「登録設定料」(5)当社から加盟店への入金精算の手数料である「QR・バーコード精算料」の5つとなります。

 当社ではサービス内容に従って(1)「決済端末販売売上」(2)「開発売上」をフロー収入、(3)「センター利用料」(4) 「登録設定料」(5)「QR・バーコード精算料」をストック収入と区分しております。

 フロー収入は、その後のセンター利用料(ストック収入)につながる入り口として機能し、端末台数の累積に伴い、ストック収入が増加する安定的な収益構造となっております。


[事業系統図]

 主に大型加盟店向けのダイレクト営業による「POSレジ直結型」及びホワイトレーベルによる中小加盟店向けの「CCT(クレジットカード端末)接続型」の2つの接続方式にて商流は大別できます。「POSレジ直結型」では、加盟店のシステムと当社センターを密接に結合させるため、大型加盟店独自の多様なニーズに対応する大規模開発(カスタマイズ)が必要となり、技術力と運用体制を強みに、さまざまな業種で導入を獲得しております。

 一方、「CCT接続型」では、クレジット共同利用端末と当社に接続する決済端末がセット(あるいは当社のオールインワンの決済端末)で、クレジットカード会社により販売されるため、株主であるクレジットカード会社との協力・連携体制を構築するなど、徹底的なホワイトレーベルにより、面的拡大を図っております。

 なお、事業系統図の中の番号は上記[事業の主なビジネスモデル]の収益源(1)「決済端末販売売上」、(2)「開発売上」、(3)「センター利用料」、(4)「登録設定料」、(5)「QR・バーコード精算料」と対応しております。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2024/03 単独会社予想 9,423 795 785 705

2023/03 単独会社予想 7,681 418 400 390

2022/03 単独実績 7,139 711 712 -385

2021/03 単独実績 6,451 154 158 98


決算期 種別 EPS BPS 配当

2024/03 単独会社予想 19.15 - 0.00


上場時発行済株数 36,872,500株(別に潜在株式2,879,500株)

公開株数 13,053,800株(公募5,971,700株、売り出し5,379,500株、オーバーアロットメント1,702,600株)

調達資金使途 データセンターのシステム投資


PER:48.6

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:121億

公募時時価:343億

​   

【株主構成】 以下90日

三菱商事(株) その他の関係会社 11,494,500 34.03%

トヨタファイナンシャルサービス(株) 取引先 4,508,000 13.35%

(株)NTTドコモ 取引先 3,225,000 9.55%

(株)エヌ・ティ・ティ・データ 取引先 2,000,000 5.92%

三井住友カード(株) 取引先 1,904,500 5.64%

(株)ジェーシービー 資本業務提携先 1,904,500 5.64%

ユーシーカード(株) 取引先 1,904,500 5.64%

トヨタファイナンス(株) 取引先 1,350,000 4.00%

大高敦 代表取締役社長 1,007,000 2.98%

(株)インターネットイニシアティブ 特別利害関係者など 1,000,000 2.96%

大日本印刷(株) 資本業務提携先 952,000 2.82%


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である三菱商事株式会社、トヨタファイナンシャルサービス株式会社、株式会社NTTドコモ、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ、三井住友カード株式会社、株式会社ジェーシービー、ユーシーカード株式会社、トヨタファイナンス株式会社、株式会社インターネットイニシアティブ及び大日本印刷株式会社は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2023年7月2日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと及びグリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等は除く。また、株式会社エヌ・ティ・ティ・データについては、株式会社NTTデータ国内事業準備会社への吸収分割に伴う当社普通株式の承継を除く。)を行わない旨合意しております。

【代表者】

代表者名 大高 敦(上場時53歳1カ月)/1970年生

本店所在地 東京都中央区日本橋

設立年 2008年

従業員数 251人 (2023/01/31現在)(平均41.5歳、年収685.3万円)

事業内容 電子マネーを中心としたキャッシュレス決済サービスやそれに伴う決済端末の販売、関連する開発など

URL https://www.tm-nets.com/

株主数 11人 (目論見書より)

資本金 3,553,343,000円 (2023/02/27現在)

代表者生年月日 1970年03月03日生まれ

代表者略歴

1992年06月 三菱商事株式会社入社

2002年01月 同社新機能事業グループ金融企画部 シニアマネージャー 4月:同社コーポレートグループビジ ネスクリエーション室 シニアマネージャー

2005年04月 同社イノベーション事業グルー プビジネスクリエーション部 シニアマネージャー

2008年03月 当社出向 代表取締役社長

2020年11月 当社移籍 代表取締役社長(現任)


【幹事団】

主幹事証券 野村 10,216,300 90.00%

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー 227,000 2.00%

引受証券 SMBC日興 227,000 2.00%

引受証券 東海東京 170,200 1.50%

引受証券 SBI 170,200 1.50%

引受証券 楽天 113,500 1.00%

引受証券 松井 113,500 1.00%

引受証券 岩井コスモ 113,500 1.00%


【参考類似企業】 今期予想PER(3/8)

3753 フライトHD 409.4倍 (連結予想)

4051 GMO-FG 134.7倍 (連結予想)

4073 ジィ・シィ企 - (単独予想)

4431 スマレジ 121.9倍 (連結予想)  売上58億 経常8.5億 時価570億

4847 インテリW 14.6倍 (単独予想)

6588 東芝テック - (連結予想)


【私見】

 キャッシュレス関連で業種としては時流にのっており、評価できます。比較対象としてはスマレジで、TMN社の来期予想が、現状のスマレジの利益規模と同等で、時価総額としては最大500億までは評価できるかもしれません。PERはやや高い水準ですが、高PERが容認される業種なのであまり気にしなくても良いかもしれません。魅力は株主構成で、三菱系からトヨタ系までに大企業が連なっているので安心感は抜群です。規模は大きいので、重い動きになるかもしれませんが、ロックもかかっており売り要素もないので、中期で時価総額500億を目指す展開を予想します。


想定価額:880円

仮条件上限:930円

初値予想:1200円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立~やや強気

総合評価:4

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