2023年3月13日月曜日

IPO分析(Arent)

 【事業内容】

​ 主に建設業界及びプラントエンジニアリング業界の大手企業に対し、DXによる業務効率化・生産性向上を実現するためのコンサルティング及びシステム開発・販売を行っております。

 当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。

 当社は、顧客企業とDXにおけるパートナーとしての関係を構築し、パートナー企業との継続的な協同関係を通じて、課題発見からプロダクトの共創開発、事業化までを実行し、開発した共創プロダクトについて、パートナー企業を通じて、又は、パートナー企業とのジョイントベンチャーを通じて販売しております。また、パートナー企業との協同を通じて得た業界の深いドメイン知識を活かす形で、自社プロダクトの開発・サービス提供を展開しております。当社グループが提供しているプロダクト共創開発、共創プロダクト販売、自社プロダクトの内容は以下のとおりです。


1.プロダクト共創開発(当社、株式会社VestOne)

 現在の当社グループのメインとなる事業であり、建設業界の大手企業等に対し、DX支援のためのコンサルティング・システム開発(主に準委任契約)を行っております。当セグメントでは、コンサルティングから本開発、さらに事業化後の継続開発まで、長期にわたりパートナー企業と協同します。

 コンサルティングでは、エンジニアリングにどう落とすかという視点からヒアリングや情報分析を行い、業界の状況、顧客の課題を深く把握し、3ヶ月程度でPoCやプロトタイプを作成します。次にパートナー企業からのフィードバックを受け、対話をしながら、2年程度でMVPを開発します。これらをアジャイル開発により行う中で、初期フェーズに見られた、クライアント側に不足するIT知識、当社グループ側に不足する業務知識のギャップが埋まっていき、よりクライアントの実態に合ったシステムプロダクトを構築できます。

 プロダクトの初期リリース後は、顧客の要望する追加機能の開発を行うフェーズに移行し、プロダクトの利用終了まで、長期間にわたり継続的な収益獲得を期待できます。

 当社の関連会社である株式会社PlantStreamは、このフェーズに移行している事例であり、現在も当セグメントの主要顧客として、安定的な取引を継続しております。

 当セグメントにおける本開発の継続月数は24ヶ月(2019年6月~2022年6月実績)、本開発から継続開発への移行率は57%(2019年6月期~2022年6月期実績)です。移行後は、年間50百万円~数億円規模の継続的な開発受注があり、プロジェクト全体の継続期間(本開発~継続開発の期間)は平均37.8ヶ月(2022年12月末時点実績)となっております。工程が進むにつれ開発が大規模化・安定化し、収益が拡大するビジネスモデルを構築しております。また、当社の連結子会社である株式会社VestOneは、Web3.0と呼ばれるブロックチェーンをはじめとした先端技術領域に着目して、システム開発に取り組んでおります。


2.共創プロダクト販売(株式会社PlantStream)

 1.のプロダクト共創開発による成果の商品化・外販を行っており、現在は、当社の持分法適用関連会社である株式会社PlantStreamを通じて、主にプラントエンジニアリング業界に対し、プラント設計における配管作業を自動的に行うソフトウエア「PlantStream®」のライセンス販売を行い、利用期間に応じた継続的な収益を得ております。

 プロダクト共創開発を進めていく中で、パートナー企業の社内システムとしてだけではなく、外販できるプロダクトとして事業化を進めることがあります。事業化の手法は様々ですが、当社グループでは、パートナー企業との協力関係をより強固なものとしながら事業化を図る手段として、共同出資によるジョイントベンチャーの設立を有力な選択肢と考えております。

 具体的な事例として当社は、千代田化工建設株式会社と「PlantStream®」をプラントエンジニアリング業界に特化したソフトウエアとして世界中のプラントオーナーやEPCコントラクターなど向けに販売を目指すことを目的として、折半出資のジョイントベンチャーである株式会社PlantStreamを設立し、2021年4月には「PlantStream®」を世界に正式リリースしております。「PlantStream®」は、プラント設計における膨大な配管作業を、各配管の間隔等の諸条件をクリアしながら自動的に行うツールであり、1分間に1,000本もの配管を行い、手作業が一般的であった従来の工数を削減するものです。

 なお、共創プロダクト販売の売上高及びセグメント利益の金額は、当社の持分法適用関連会社である株式会社PlantStreamの財務情報の金額に当社の持分割合を乗じた金額であるため、連結損益計算書において、当セグメントの売上高は計上されず、持分法の会計処理を通じて、持分法による投資損失に反映されております。


3.自社プロダクト(当社)

 主に建設業界に対し、自社で開発したソフトウエアのライセンス販売等を行い、利用期間に応じた継続的な収益獲得を目指す事業です。

 パートナー企業との協同を通じて得た業界の深いドメイン知識を活かす形で、自社プロダクトの開発・サービス提供も展開しております。具体的な事例としては、建設業界向けに、2022年4月、米国のAutodesk社が提供するBIMツール「Revit」のアドイン(ソフトウエアへ機能を追加するプログラム)として「LightningBIM 自動配筋」をリリースしております。「LightningBIM 自動配筋」は、建設設計における膨大な鉄筋の配置を、各鉄筋の間隔や柱表面からの距離等の諸条件をクリアしながら自動的に行うツールであり、手作業が一般的であった従来の工数を削減するものです。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/06 連結中間実績 851 301 168 75

2023/06 連結会社予想 1,868 523 286 204

2022/06 連結実績 1,011 243 14 -48

2021/06 連結実績 722 165 45 -19


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/06 連結会社予想 37.05 - 0.00


上場時発行済株数 6,023,280株(別に潜在株式709,200株)

公開株数 1,495,000株(公募700,000株、売り出し600,000株、オーバーアロットメント195,000株)

調達資金使途 広報マーケティング費、採用関連費、新プロダクト・事業開発費、関連会社の事業拡大・販売体制強化のための投融資


PER:38.9

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:21.5億

公募時時価:87億

​   

【株主構成】 

鴨林広軌 代表取締役社長 2,411,480 39.98% 180日

梅林真如 新株予約権信託の受託者 702,600 11.65% 180日

SBI4&5投組 投資業(ファンド) 457,840 7.59%

佐海文隆 代表取締役副社長 440,000 7.29% 180日

大北尚永 元取締役 400,000 6.63% 180日

中川高志 従業員 400,000 6.63% 180日

丸山篤史 従業員 400,000 6.63% 180日

SBI4&5投組2号 投資業(ファンド) 120,960 2.01% 180日

(同)J&TC Frontier 投資業(ファンド) 112,520 1.87% 180日

清水利恭 従業員 92,440 1.53% 180日

しんきん-やらまいか投組 投資業(ファンド) 62,520 1.04% 180日

投組しんきんの翼 投資業(ファンド) 62,520 1.04%


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である鴨林広軌、売出人である佐海文隆、大北尚永、中川高志、丸山篤史、清水利恭、安藤洋一郎、織田岳志、下池昌広、田中秀生、河野知久及び佐藤幸久並びに当社株主(新株予約権者を含む。)である梅林真如、合同会社J&TC Frontier、しんきん-やらまいか投資事業有限責任組合、投資事業有限責任組合しんきんの翼、岡本龍一、田村省太、中嶋翼、池本亨、水鳥敬広、山道了輔及び植田光信は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後180日目の2023年9月23日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等を除く。)等を行わない旨合意しております。

【代表者】

代表者名 鴨林 広軌(上場時40歳9カ月)/1982年生

本店所在地 東京都中央区八丁堀(実質上:静岡県浜松市中区和地山)

設立年 2012年

従業員数 56人 (2023/01/31現在)(平均37.8歳、年収641.3万円)、連結59人

事業内容 建設業界を中心としたDX(デジタルトランスフォーメーション)コンサルティング、システム開発、システム販売など

URL https://arent.co.jp/

株主数 29人 (目論見書より)

資本金 150,000,000円 (2023/02/20現在)

代表者生年月日 1982年06月12日生まれ

代表者略歴

2007年04月 MU投資顧問株式会社入社

2012年06月 グリー株式会社入社

2015年07月 株式会社CFlat(現 株式会社Arent)取締役就任

2015年07月 株式会社ASTROTECH SOFTWARE DESIGN STUDIOS (2019年4月株式会社CFlatに吸収合併)代表取締役就任

2018年08月 株式会社CFlat(現 株式会社Arent)代表取締役副社長就任

2019年04月 株式会社CFlat(現 株式会社Arent)代表取締役社長就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 みずほ - -

引受証券 SBI - -

引受証券 野村 - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 岡三 - -


【参考類似企業】今期予想PER(2/28)

3443 川田TECH 8.9倍 (連結予想)

3987 エコモット 141.2倍 (連結予想)

4192 スパイダーP - (単独予想)    売上33億 経常-7億 時価194億

4345 シーティーエス 17.3倍 (連結予想)

4356 応用技術 20.3倍 (単独予想)

4667 アイサンテクノロ 52.6倍 (連結予想)

4685 菱友システム 8.5倍 (連結予想)

9790 福井コンピ 15.9倍 (連結予想)


【私見】

 建設業界のDXということで、直近ではスパイダーPが類似業種で、期待ほど伸びなかったことから、ここも業種としては高い評価はできません。売上・利益の伸びは非常に高いのですが、PERは高めの設定で、仮条件を下げてもまだ割安感は感じません。規模は中規模で、1社ロックなしVCがあることは需給で不安を残します。売上規模では、スパイダーの半分程度なので時価総額も半分となる仮条件は妥当で、利益の良さを考えると、プラスαが落ち着きどころと予想します。


想定価額:1750円

仮条件上限:1440円

初値予想:1700円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

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