2023年3月30日木曜日

訂正版 IPO分析(トライアルホールディングス)

 【事業内容】

(1)流通小売事業

①多様な店舗フォーマットとワンストップショッピングを可能にする豊富な商品ラインナップ

 中核事業会社である㈱トライアルカンパニーを中心に、「あなたの生活必需店」をストアコンセプトとした『TRIAL』ブランドのディスカウントストアを全国に展開しております。店舗フォーマットはメガセンター、スーパーセンター(SuC)、smart及び小型店の4種のフォーマットで、商圏人口や立地、店舗面積等に応じて様々なエリアに出店ができるマルチフォーマット戦略を軸に、市場のニーズに応じた店舗開発に取組んでおります。

 また、商品ラインナップは、生鮮食品などの食品を強みとして、日用消耗品などの生活必需品から家電製品や、アパレル用品及びホビー用品などの非食品まで、豊富な品揃えを特徴としております。営業時間は原則24時間としており、何でも・いつでも・欲しいものがお得に買えるワンストップショッピングストアとして、利便性や価格優位性を特徴としております。

 また、当社グループ内に弁当・惣菜製造や生鮮食品の加工を行うプロセスセンターやセントラルキッチン、飲料製造工場を有しており、商品製造のノウハウを増強しております。ナショナルブランド商品を調達して販売するスタイルが主流である一方、プライベートブランド(PB)商品も展開しております。PB商品においては、ミネラルウォーターやお茶などの飲料や菓子類及びフリースなどのアパレルが人気商品であります。いずれも低価格と高品質であることが、人気の理由であると考えております。


 なお、2022年12月末日時点の地域別の店舗数及び体系は以下の通りです。

九州105 中国24 近畿35 中部11 関東58 東北15 北海道26 合計274店舗


・メガセンター 約8,000㎡ 地方都市  

食品から趣味嗜好品までフルラインで商品を取り揃える大型店

24店舗


・スーパーセンター(SuC) 約4,000㎡ 郊外 

生鮮食品や加工食品をはじめとする食品及び日用消耗品などの生活必需品を商品構成の中心としながら、家電製品や衣料品などの非食品を取り揃える中型店

176店舗


・smart 約1,400㎡ 都市部

加工食品や弁当、惣菜を含む生鮮食品など、食品を中心とする商品構成で、メガセンター、SuCが出店困難な都市部・小商圏エリアへの出店が可能なフォーマット

67店舗


・小型店  ~約1,000㎡ 都市部

加工食品や弁当、惣菜を含む生鮮食品など、食品を中心とする商品構成で、自動値下げソリューションや顔認証決済などのテクノロジーを活用した高い生産性・ローコストオペレーションを実現する未来型小型店

7店舗


②ローコストオペレーションを確立したユニークな店舗運営

 1992年にトライアル1号店となる南ヶ丘店(福岡県大野城市)を開店して以来、当社は約30年におよぶディスカウントストアの運営ノウハウを蓄積しており、当社グループにてアライアンス先との物流網の共有化を通じた自社物流による最適化等、効率的な仕入れの確立と徹底したコスト管理、最適化した物流網の整備、後述するリテールテックを活用した省力化によって、ローコストオペレーションを実現しております。

 また、当社はグループ内に店舗の設計や建築を担う子会社を有しており、新規出店時における新築コストを抑えることができるほか、居抜きによる出店も活用しており、新規出店時による一時的なコスト増加についても低位に抑える戦略が確立されております。

 EDLP(Every Day Low Price)を価格戦略における基本方針としております。EDLPが実現できる背景はEDLC(Every Day Low Cost)、すなわちローコストオペレーションであります。生鮮食料品などの生活必需品を中心に、競争力のある価格提案を行い、欲しいものがいつでも安い、地域一番の生活必需店として、お客様に寄り添った店舗運営を確立しております。


③リテールテックを活用した独自のビジネスモデル

 流通小売業をはじめ、あらゆる産業・分野においてDXが浸透しており、様々な企業がIoT/AIなどのデジタル技術を活用することで新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通じた価値の創出に取組んでおりますが、当社は、「テクノロジーと、人の経験知で、世界のリアルコマースを変える。」をビジョンとして、常に革新的な技術開発に取組んできた企業であり、現在も流通小売業(リテール)のDXである『リテールDX』を牽引する先駆者として、業界の改革に取組んでおります。

 1996年のスーパーセンター1号店であるトライアル北九州空港バイパス店(北九州市小倉南区)の開店以降、自社開発のPC-POSシステムによって顧客データの蓄積と活用をはじめており、現在は各メーカー企業とお客様の購買情報がスムーズに連携できるデータベースエンジンの運用や商品の自動発注等を可能にする独自のPACERを活用した効率的な店舗オペレーションを実現しております。

 また、当社のシステム開発等を所管する㈱Retail AIを中心に、お客様の更なる買い物体験の向上と店舗運営の省力化を企図とした取組みを加速しております。

 2015年には会計手続きを省力化するスマートショッピングカート(SSC)の導入を開始したほか、お客様の導線や商品の在庫を記録するAIカメラや商品の販促等に活用するデジタルサイネージを導入するなど、リテールテックを活用した独自性のあるビジネスモデルを構築できているものと考えております。特に、スマートショッピングカート(SSC)の利用によってお客様のレジ待ち時間が大幅に改善され、お客様の利便性向上につながっております。当社の特徴である①ワンストップショッピング、②ユニークな店舗運営、そして③リテールテックを活用したビジネスモデルは既存店の安定的な客数及び客単価の成長に貢献しており、順調な事業規模の拡大を実現できております。

 さらに流通業界全体が活性化するような仕組みを『リテールDX』を通じて実現させることに注力しており、自社のみならず業界全体を巻き込んだ改革に取組んでおります。

 当該改革の一環として、2021年7月には、当社と福岡県宮若市、九州大学が連携し、産官学協働で『リテールDX』を軸にしたまちづくり「リモートワークタウン ムスブ宮若」プロジェクトを開始しました。同プロジェクトは、『リテールDX』を推進する当社グループと、宮若市及び九州大学が協働して推進する地方創生・まちづくり構想の一つであり、産官学による「リテールDXの拠点づくり」を目指し、リテール企業とメーカー企業が共同で実証実験を行っております。また、既成概念にとらわれない、自由な発想を取り入れたイノベーションを誘発する仕組みを設けることで、よりスピード感のある開発を実現し、リテールDXの最先端拠点を目指しています。


(2)リテールAI事業

 小売事業者や食品・消費財メーカーに対して、お客様の買い物体験の向上やリアル店舗のオペレーション改善、広告・販売促進活動の効率化等に資するプロダクトやソリューションを提供しております。当社では実店舗の運営で発生する現場のニーズを速やかに開発に活かすことができ、また、開発した技術を速やかに現場で実証実験できる体制が最大の特徴であり、実際の小売店舗という現場や流通サプライチェーンのステークホルダーの営業活動などの場面で実活用できるプロダクトやソリューションを開発する「オペレーション・ドリブン」のコンセプトのもと、流通小売事業と連携を図りながら、実店舗で実利用され、効果を生み出すことのできるプロダクトを開発しております。

 主力プロダクトであるスマートショッピングカート(SSC)は、セルフスキャンによるレジ待ちの解消及びレジ人時の削減やクーポン・レコメンドを活用した実店舗におけるワン・トゥ・ワンマーケティングなど、新しい価値をお客様、小売事業者、食品・消費財メーカーに提供しております。なお、スマートショッピングカートやその他のプロダクトの月額利用料・ライセンス利用料等の収入を得ております。

 2022年12月末現在で、SSCの当社グループ外での導入も含む導入店舗数は120店舗、導入台数は11,560台となっております。マンスリーユーザー数は208万人となっております。また、SSCの利用者に占める50歳以上のお客様の割合は55%となっております。

 他にもPOSやID-POS等のデータ分析プラットフォームの「MD-Link」及びそのインフラ基盤である「e3-SMART」、棚状況の監視等を行う「AIカメラソリューション」、店頭における広告・販売促進ツールである「デジタルサイネージ」などのプロダクトやソリューションの開発を行うとともに、グループ内の基幹システムや各種業務システムの開発・運用・保守を行っております。


(3)その他

 「食」のブランディングを通じて本業である流通小売業における「ロイヤルカスタマー」を確立するため旅館施設である「久織亭(くおりてい)」、「虎の湯」、「古民家煉り(ねり)」やゴルフ場運営などのリゾート関連事業及び建築・不動産管理等を行っております。各事業の連携を通じて、会員サービスの拡充及び周遊性を高めることを目指しています。

 なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/06 連結中間実績 336,327 7,264 7,519 4,185

2023/06 連結会社予想 665,826 12,886 13,475 8,072

2022/06 連結実績 597,653 12,046 12,687 7,135

2021/06 連結実績 157,384 2,031 3,051 1,846


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/06 連結会社予想 78.52 908.68 15.00


上場時発行済株数 121,490,400株(別に潜在株式1,902,400株)

公開株数 29,503,900株(公募23,800,000株、売り出し1,855,600株、オーバーアロットメント3,848,300株)

調達資金使途 店舗や物流センター、飲料水工場への設備投資、借入金の返済、スマートショッピングカートの製造、運転資金


米国及び欧州を中心とする海外市場における募集を行われる予定であります。本件募集による、国内募集株式数9,048,100株及び海外募集株式数14,751,900株を目処に募集を行う予定です。


PER:25.4

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:590億

公募時時価:2429億

​   

【株主構成】 以下180日

(株)ティー・エイチ・シー 役員らが議決権の過半数所有 66,000,000 66.38%

(株)Heroic investment 役員らが議決権の過半数所有 9,374,200 9.43%

永田久男 代表取締役会長 1,963,800 1.98%

(株)PALTAC 取引先 1,200,000 1.21%

サントリー(株) 特別利害関係者など 1,000,000 1.01%

三井食品(株) 特別利害関係者など 1,000,000 1.01%

ヤマエ久野(株) 特別利害関係者など 1,000,000 1.01%

加藤産業(株) 特別利害関係者など 600,000 0.60%

北尾吉孝 特別利害関係者など 400,000 0.40%

SBIVenturesTwo(株) 投資業(ファンド) 400,000 0.40%

フクシマガリレイ(株) 取引先 400,000 0.40%


グローバル・オファリングに関連して、貸株人である株式会社Heroic investment、売出人であるSBIVenturesTwo株式会社、株式会社肥後銀行、株式会社福岡銀行、株式会社みずほ銀行、芙蓉総合リース株式会社、中山哲良、山崎敦夫、石橋亮太、笹渕勝、吉田淳、坂本圭司、百武佳美、森俊二、田中浩也、阿部俊之、寺﨑雅彦、後藤睦男、山下和之、矢野博幸、金光洋、岡薗修、楢木野仁司、馬場千昌、田坂欣也、中井敦、德岡毅、牧草光彦、池下光史、古賀輝幸、上野真之、梶原茂浩、鶴川伸一、高橋宏侍、塩川直之、春本徹、松重広一、副島康宏、有光和孝、枝村力、熊坂直也、森田彰、内山智博、玉貞健志、牛原純二及び野中英一、当社株主である株式会社ティー・エイチ・シー、永田久男、株式会社PALTAC、サントリー株式会社、三井食品株式会社、ヤマエ久野株式会社、加藤産業株式会社、フクシマガリレイ株式会社、亀田晃一、伊藤ハム株式会社、三菱食品株式会社、陳鉉淑、アサヒビール株式会社、エスフーズ株式会社、麒麟麦酒株式会社、宝酒造株式会社、株式会社電通グループ、株式会社日本アクセス、竹中洋、日本ハム株式会社、西川晋二、中山福株式会社、野田大輔、東洋水産株式会社及びその他441名並びに上記に含まれない当社の新株予約権者である191名は、ジョイント・グローバル・コーディネーターに対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む。)後180日目(2023年10月8日)までの期間(以下、「ロックアップ期間」という。)、ジョイント・グローバル・コーディネーターの事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(但し、引受人の買取引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために大和証券株式会社に対して当社普通株式の貸付けを行うこと等を除く。)を行わない旨を合意しております。

【代表者】

代表者名 亀田 晃一(上場時59歳0カ月)/1964年生

本店所在地 福岡県福岡市東区

設立年 2015年

従業員数 48人 (2023/01/31現在)(平均41.2歳、年収1060.1万円)、連結6021人

事業内容 小売り、物流、金融・決済、リテールテックなど、各事業を中心とした企業グループの企画・管理・運営(純粋持ち株会社)

URL https://trial-holdings.inc/

株主数 531人 (目論見書より)

資本金 100,000,000円 (2023/03/08現在)

代表者生年月日 1964年03月22日生まれ

代表者略歴

1987年04月 株式会社富士銀行(現 株式会社みずほ銀行)入行

2008年05月 株式会社トライアルカンパニー入社 6月:同社取締役就任

2009年04月 同社専務取締役就任 経営戦略本部長

2012年06月 同社取締役副社長就任

2015年09月 当社代表取締役社長就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 大和 - -

主幹事証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -

引受証券 野村 - -

引受証券 みずほ - -

引受証券 SBI - -

引受証券 FFG - -


【参考類似企業】今期予想PER(3/17)

3080 ジェーソン 12.0倍 (連結見込)

7532 パンパシHD 26.1倍 (連結予想)

8203 MrMaxHD 7.3倍 (連結見込)

8279 ヤオコー 16.4倍  時価2700億 売上 5360億 経常 232億 純利 153億 

8273 イズミ 10.4倍   時価2185億 売上 7298億 経常 382億 純利 269億

9890 マキヤ 7.3倍 (連結予想)


【私見】

 九州を中心としたスーパーで、リテールDXという強みがあり、DX化されたカートなどマスコミに取り上げられることも多く、他のスーパーよりも優位性はあります。成長力も高く、売上1兆を目指す中、PERからはヤオコーなど他のスーパーに比べて割安感はなく、成長性をどこまで評価するかどうか。時価総額ではスタート時点でヤオコーと同等で、利益規模は劣るものの、売上では勝っているので上の評価はしても良いかと思っています。既存株主にはロックがかっており、規模は大きいので静かなスタートになるかもしれませんが、いずれはプライム鞍替えを視野に、中期では緩やかに上がっていくことを予想します。


想定価額:2000円

仮条件上限:2000円

初値予想:2200円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

2 件のコメント:

  1. 2023年6月度、連結予想EPSは78.52。
    想定価格2,000円から計算される予想PERは約25.47倍になりブック申し込み検討中です。申し込み予定ですか?

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  2. わたし、計算違ってますね。既に申し込んだのですが今更ながら割高感ありますね。

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