2023年6月12日月曜日

IPO分析(エリッツホールディングス)

 【事業内容】

<経営指導業務・事務受託業務>

 当社が各子会社に対し経営計画、事業企画等の経営指導を行うと同時に、人事・経理・システム・総務等の事務管理業務を集中受託して事務の効率化を図っております。また、グループで使用する事務機器や車両等を当社が一括管理し各社にリースしております。


(不動産仲介事業)

<不動産賃貸仲介事業>

 株式会社エリッツが賃貸マンション・アパート等の賃貸仲介を担っております。京都・滋賀を中心に近畿圏で55店舗を展開し、単身、ファミリーを問わず広く社会人層を中心に、学生層にも間口を広げて、当社保有の賃貸不動産、株式会社エリッツ建物管理がオーナーからお預かりしている管理物件といった当社グループの管理物件のほか、他社管理物件やオーナーが自ら管理する物件などの当社グループ管理物件以外の物件についても賃貸の仲介をしております。特に当社グループ管理物件の仲介におきましては、グループとしてシナジー効果が発揮される事業であります。


<不動産仲介関連事業>

 株式会社エリッツホールディングスへの火災保険取次紹介、株式会社VASTへのインターネット接続取次、新電力・ガス取次紹介や、仲介・管理に伴う室内リフォーム・室内消毒・引越・NHK加入取次等の業務を株式会社エリッツが各店舗において行っております。


<不動産売買仲介事業>

 株式会社エリッツ不動産販売が不動産売買仲介事業を担っております。一般住宅及び投資用マンションの情報収集をし、広告をして集客し、顧客に仲介をしております。当社グループ管理物件のオーナーが、所有物件を売却又は新規購入される際には株式会社エリッツ建物管理から紹介を受け、株式会社エリッツ不動産販売がその売買仲介を行うことによりグループとしてシナジー効果が発揮される事業であります。


<不動産賃貸事業>

 京都市内に賃貸マンション8棟、商業ビル2棟、店舗1軒を保有しており、自社使用のほか、276室の居室と10戸のテナントから家賃収入を得ております。競売情報や当社が収集した投資用マンション情報をもとに、利回りや当社グループの仲介力・管理能力とのシナジー等を考慮して物件を購入しております。購入した不動産については仲介事業から得た情報をもとに、顧客需要を満たすようにリノベーションを行い、入居率100%を目指しております。株式会社エリッツが賃貸仲介し、株式会社エリッツ建物管理が管理を行っておりますので、グループとしてシナジー効果が発揮される事業であります。


<不動産開発事業>

 競売情報や株式会社エリッツ不動産販売が入手した情報をもとに再販可能性を慎重に検討し、物件を厳選して購入しております。購入後は当社が当社グループのノウハウを生かし、時代のニーズに沿った投資用マンション等を企画・計画し、改装や建設は専門業者を利用しますが、株式会社エリッツの仲介力を生かした満室引渡しや、株式会社エリッツ建物管理によるメンテナンスサービスの提供など、他社には真似のできない賃貸マンション経営に関するワンストップでのトータルサービスを提供することで、グループ全体のシナジー効果が発揮される事業であります。また、不動産特定共同事業も当社が企画して、当社、株式会社エリッツ、株式会社エリッツ建物管理及び株式会社エリッツ不動産販売が協働してワンストップで行っておりますので、グループとしてシナジー効果が発揮される事業であります。


 <海外事業>

 ELITZ INTERNATIONAL MALAYSIA SDN.BHD.(以下、エリッツインターナショナルマレーシアという。)が、マレーシア・クアラルンプールで不動産賃貸、売買の紹介及びマンスリー・ウィークリーマンションの運営、管理を行っております。現在はコロナ禍の影響もあり、一時的に事業が停滞しておりますが、元来、日本人の旅行先、リタイア後の移住先として人気の地域であることから、引き続き市況把握と事業基盤構築等、アフターコロナを見据えた取り組みを展開しております。本事業は当社とエリッツインターナショナルマレーシアが協働して行っております。


(不動産管理事業)

<賃貸マンション・アパート等の管理事業>

 株式会社エリッツ建物管理は管理物件の保守管理や入居者管理を担っております。建物の保守管理では大型改装工事や日々の小規模修繕工事、エレベーター保守や日々の清掃などの維持管理を行っております。入居者管理では入居者からの問い合わせ対応や家賃等の収納・集計管理、契約更新手続きなどを行っております。また、入居者が退去される際の改装工事を元請けとして行っております。


<分譲マンション管理事業>

 株式会社ARC建物管理は分譲マンションの保守管理や、マンション管理組合の運営サポートを行っております。

建物の保守管理では大型改装工事や日々の小規模修繕工事、エレベーター保守や日々の清掃、ごみの収集、植栽などの維持管理を行っております。管理組合の運営サポートでは理事会の運営や管理費の集金管理などを行っております。また、清掃事業も担っており、自社の管理物件のほか、株式会社エリッツ建物管理から業務委託を受け、同社管理物件の清掃業務を行っております。


(居住者サポート事業)

<保険代理店事業>

 当社グループ各社にて契約いただいたお客様(管理物件のオーナー、入居者、物件購入者)に対し、火災保険等の損害保険を中心に勧誘を行っております。当社は提携保険会社に対する窓口としてグループ各社の勧誘・募集結果のとりまとめ、事故発生時の対応、事務処理を受託しております。グループ各社における保険契約の勧誘・募集が保険代理店収入となり、グループとしてシナジー効果が発揮される事業であります。


<滞納保証事業>

 当社グループの管理物件入居者に係る家賃の滞納保証を行う事業であり、顧客への勧誘は主に株式会社エリッツが、顧客の審査、家賃の収納やオーナーへの引渡しは株式会社エリッツ建物管理が行い、当社は家賃保証会社との事務処理のほか、自社資金による滞納保証業務も行っておりますので、グループとしてシナジー効果が発揮される事業であります。


<入居後サービス事業>

 居住者に安心と利便性を提供するため、専門業者と提携し、REサポート(24時間、365日駆けつけサービス)等の入居後サービスを行っております。


<コールセンター事業>

 株式会社VASTはコールセンター事業を担っており、株式会社エリッツから賃貸仲介で契約されたお客様の紹介を受け、インターネット契約、NHK受信契約、電気・ガス契約などの取次を行っております。

 また、不動産業者向けの顧客管理システム「バストレージ」の開発及び販売、顧客管理システムと連動させることで顧客情報を確認しながら電話対応ができ、円滑なコミュニケーションを実現する「AI VASTシステム」のOEM販売を行っております。


<引越事業、古物・遺品整理事業、シェアサイクル事業>

 「株式会社エリッツ」は「弁慶ひっこしサービス」というブランド名で引越事業を行っております。主に「株式会社エリッツ」の賃貸仲介でお部屋を契約されたお客様に引越、引越に伴う中古家電等の処分・売買、遺品整理などのサービスを提供しており、一般貨物自動車運送業、古物商の許可を取得して行っております。

 また、環境にやさしく、京都ならではの観光客需要に応えられるだけでなく、居住者の利便性を高めることで当社グループ管理物件の魅力向上にもつながり、賃貸仲介においてもシナジー効果が期待できるシェアサイクル事業を、2022年9月期からスタートしております。


(当社事業の特徴)

<不動産仲介事業>

 不動産仲介事業においては現在、当社グループの基幹システムとして賃貸仲介システム(バストレージ、不動産ポータルサイトとの自動連携、空室情報更新、契約管理、全店舗情報共有、顧客管理などを行う)を駆使することにより、賃貸仲介の業績を左右する反響数、反響来店率、応対決定や成約率の向上を図っております。

 また、このITシステムにより、未経験者の育成面でも短期間で戦力化できており、新規店舗の出店に際しても基幹システムにネットワークを接続することで瞬時に情報が共有できるなど、速やかな店舗立上げが可能になっております。

 当社グループの基盤である京都・滋賀エリアの賃貸住宅需要については、学生数も多く、今後も底堅いニーズが期待できる状況であり、現在、当社は京都・滋賀エリアにおいて48店舗を有しておりますが、さらなる成長を目指し、近隣他府県エリアへ店舗網の展開を進め、すでに大阪・奈良へは拡大中であります。テレビやSNS、インターネット広告の充実、社宅代行会社からの依頼拡大等も含め、新規エリア需要の獲得や京都・滋賀エリアにおけるさらなるシェア拡大に努めております。


<不動産管理事業>

 不動産管理事業においては現在、自社ビルを除き24,000戸以上の管理戸数を有しており、その入居率は直近2連結会計年度において約95%の水準を維持しております。この入居率を維持できている理由は、「株式会社エリッツ」の仲介力の強さにあります。自社管理物件の入居者のうち約9割が「株式会社エリッツ」の仲介によるものであり、この仲介率がそのまま約95%の入居率となって表れております。この水準の入居率を維持できる自社仲介力は管理戸数拡大において賃貸不動産オーナーの判断基準に大きな影響があります。また、当社グループの最近の毎年の仲介件数における自社管理物件の割合は約20%に過ぎず、残りの約80%はオーナーが自ら管理する物件や他社管理物件を仲介しておりますので、当社グループ管理物件が今後、相当数伸びたとしても現在の仲介力をもって入居率を維持することが可能であり、管理戸数拡大を継続できると考えております。


<居住者サポート事業>

 居住者サポート事業は、保険会社や滞納保証会社、インターネットプロバイダー、新電力会社などの当社グループ業務提携先が直接サービス提供主体となるため、小口多数の取引の集積でありながら、当社グループにおいては低コストで運営でき収益性が高い事業であります。他方、本事業自体が独立して成立するというよりも、不動産仲介事業や不動産管理事業と相まって多数の顧客情報や居住者ニーズを取込んで付加価値をつける事業であり、不動産仲介事業での仲介件数の伸びや当社グループ管理物件戸数の伸びが事業成長の重要な要件となります。

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【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/09 連結中間実績 2,851 568 571 379

2023/09 連結会社予想 5,376 937 882 564

2022/09 連結実績 4,864 612 685 432

2021/09 連結実績 4,565 605 649 438


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/09 連結会社予想 176.82 - 56.00


上場時発行済株数 3,342,200株(別に潜在株式196,400株)

公開株数 316,300株(公募200,000株、売り出し75,100株、オーバーアロットメント41,200株)

調達資金使途 顧客管理システムの構築、不動産開発


PER:8.9

PBR:

配当利回り:3.5%

公募時吸い上げ資金:5.0億

公募時時価:53億

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【株主構成】 

槙野常美 代表取締役社長 1,537,809 46.06% 180日

佐々木茂喜 常務取締役 299,600 8.97% 180日

黒田富久子 取締役 299,600 8.97% 180日

エリッツHDG従業員持株会 特別利害関係者など 251,669 7.54% 180日

龍池法子 特別利害関係者など 217,000 6.50% 180日

平山浩 専務取締役 180,200 5.40% 180日

龍池亮 子会社の従業員 108,600 3.25% 180日

龍池美沙 特別利害関係者など 108,600 3.25% 180日

(株)ハウズ 代表取締役の親族の資産管理会社 99,991 2.99% 180日

東寛昭 子会社の取締役 29,600 0.89% 180日


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である槙野常美、売出人である佐々木茂喜、黒田富久子、龍池法子、平山浩、龍池亮、龍池美沙、株式会社ハウズ、東寛昭及び柿田学並びに当社株主であるエリッツホールディングスグループ従業員持株会、田中健敏、武平裕、井上尚之、株式会社京都銀行、京都中央信用金庫、長田修、小林健二及び当社新株予約権者である木村元治、若竹浩司、好井有一郎他52名は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後180日目の2023年12月23日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得することを除く。)等を行わない旨合意しております。


【代表者】

代表者名 槙野 常美(上場時62歳8カ月)/1960年生

本店所在地 京都府京都市中京区三坊堀川町

設立年 2012年

従業員数 50人 (2023/04/30現在)(平均37.5歳、年収318.4万円)、連結392人

事業内容 不動産賃貸事業、不動産ファンド事業、不動産の企画・コンサルティング事業、人材紹介事業、不動産仲介および管理事業ならびにシステム開発・販売事業を行うグループ会社の経営管理およびこれに付帯する業務

URL https://www.elitz-holdings.co.jp/

株主数 18人 (目論見書より)

資本金 100,000,000円 (2023/05/22現在)

代表者略歴

1986年10月 長栄(現株式会社長栄) 入社

1989年07月 株式会社長栄ホーム(現株式会社エリッツ)設立 代表取締役社長に就任

1997年05月 株式会社トライ(現株式会社ネクシヴ) 代表取締役就任

2012年03月 株式会社エリッツホールディングス(当社) 代表取締役社長に就任(現任)

2017年02月 ELITZ INTERNATIONAL MALASIA SDN.BHD. 代表取締役就任(現任)

2019年12月 株式会社ネクシヴ代表取締役就任

2020年10月 株式会社VAST 代表取締役就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 みずほ 192,700 70.05%

引受証券 SBI 27,500 10.00%

引受証券 野村 19,200 6.98%

引受証券 西村 13,700 4.98%

引受証券 岡三 11,000 4.00%

引受証券 東洋 11,000 4.00%


【参考類似企業】 今期予想PER(5/31)

2993 長栄 7.8倍 (単独予想)

3275 ハウスコム 18.2倍 (連結予想)

3276 JPMC 11.1倍 (連結予想)

3300 アンビション 7.3倍 (連結予想)

8850 スターツ 6.4倍 (連結予想)

8889 APAMAN 27.3倍 (連結予想)

8898 センチュリー21 16.2倍 (単独予想)


【私見】

 京都を中心とした不動産銘柄で、京都に特化しているという優位性はややあるものの、一般的な不動産銘柄なので、同業者との業績比較になります。昨今の不動産高騰で業績は非常に良く、PERからは適度で、今後の成長性を加味しても上値余地は大きくないと思います。需給面では、吸収金額も非常に小さく、ロックもしっかりしているので売り要素はなく、初値に関してはそこそこ上がると予想します。3社同時上場ですが、注目銘柄はないので影響はないでしょう。


想定価額:1580円

仮条件上限:1580円

初値予想:2000円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3

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