2023年6月14日水曜日

IPO分析(W TOKYO)

 【事業内容】

(1)TGCプロデュース領域

 毎年春と秋に東京近郊で開催するTOKYO GIRLS COLLECTIONにおいて主として協賛金収入(協賛企業にプロモーションの機会を提供することによる収入)、チケット販売による収入及びブランド出展料収入を得ております。また、TOKYO GIRLS COLLECTIONの企画・ブランド力を活かした地方都市での開催、SDGs推進を始めとするシティプロモーション等を展開しており、地方自治体からも収入を得ております。これらを通じて、また、これらで培ったノウハウを活かして、プロモーション機会の提供、企業のPRコンサルティング、コンテンツ制作、タレントキャスティング等を行っております。当社の事業におけるブランドの源泉であり、主たる収益源となる事業領域です。


①TOKYO GIRLS COLLECTION

 当社主力ブランドのTOKYO GIRLS COLLECTIONは常に最先端のテクノロジーや最旬のトレンドを取り入れたキャスティング・コンテンツプロデュースにより、日本のリアルクローズ(現実の生活の中で、日常的に着こなせる衣服)を披露するファッションショーをはじめ、豪華アーティストによる音楽ライブや、旬なインフルエンサーが多数登場するスペシャルステージ、話題のアイテムにタッチアンドトライできるブース等を組み合わせた、青年層(10代~30代)に対する発信型プラットフォームです。毎年春と秋に東京近郊のアリーナクラスの会場において開催しており、2005年より通算36回の開催実績があり、直近開催回では1開催回あたりの総体感人数(来場者数・配信視聴者数の合計)はのべ約800万人を超えています。特定のメディアやコンテンツ等に左右されないビジネス展開により、来場者及びオンライン配信の視聴者、各種メディアによるその拡散力を活用し、企業や地方自治体・官公庁に対しプロモーション・コンテンツプロデュースの機会を提供する対価としての協賛金収入を主たる収益源として運営しております。具体的には、協賛ステージ枠の提供・協賛ブース枠の提供・公式SNSサイトと連動したキャンペーン・来場者及びオンライン配信の視聴者に向けたCM放映枠の提供等の様々な協賛メニューを用意し、企業等のニーズに応じたプロモーションを実施いたします。また、青年層等の個人顧客に対し、ライブ・エンタテインメントの体験を提供し、チケット収入を得ており、アパレルブランド企業に対しファッションショー出展によるプロモーションの機会を提供する対価としてのブランド出展料収入を得ております。


 ②TOKYO GIRLS COLLECTIONの地方開催

 TOKYO GIRLS COLLECTIONの企画力・ブランド力を活かし、地方都市でTOKYO GIRLS COLLECTIONを開催しております。企業からの協賛金収入及び開催地の道府県・市町村からの開催に伴う対価を主たる収益源として運営しております。昨今ではSNS等の普及により、東京をはじめとする主要都市と地方都市の間に「情報格差」がほとんどない一方で、地方都市においては、主要都市と比較してエンタテインメントを体験できる機会が少なく、両者間の体験の質と量の格差、すなわち「体験格差」は非常に広がっております。また、地域単独での発信力の弱さから当該地域が有する貴重な財産の価値を世に広めることが難しいという課題が存在していると当社では分析しています。当社は、この「体験格差」及び地域における発信力の課題の重要性に着目し、そのソリューションとして、コンテンツ企画力・発信力を有するTOKYO GIRLS COLLECTIONのプロデュースにより、その地域・企業が有する財産をステージ・ブース等を利用してコンテンツ化し、体験の機会及び日本全国に対する発信の場を提供しております。地方で開催するTOKYO GIRLS COLLECTIONは、地方自治体、商工会議所、地場の有力企業等と横断的に連携し、市民参加型の企画・地元商業施設との連動等、地域の活性化に貢献できる仕掛けを企画することで、経済効果を創出しています。さらに、過去の開催実績から自治体ごとの課題やニーズに応じた企画の立案が可能であり、他の地方都市への展開の再現性が高い事業モデルといえます。


③その他シティプロモーション

 今後の日本は首都一極集中のリスクに備えるため、地方が有する社会課題を解決し、青年層の力で地域を活性化させ地域独自の価値を高めていくニーズが増すと当社は分析しています。当社は、TOKYO GIRLS COLLECTIONで培った発信力・企画力をもとに、TOKYO GIRLS COLLECTIONのプラットフォーム以外でも、各自治体のニーズやサイズに応じたプラン、たとえば観光PRムービーの制作、地域の名産品のブランド化やプロモーション、地元イベントのプロデュース等で地域活性化のソリューション提供を行っており、地方自治体から受託収入を得ております。

 具体的には、2021年より東京都江戸川区に対して、SDGsを推進する都市としてのシティプロモーション(イベントのプロデュースやSNSを活用したプロモーション)の実施、2021年より神奈川県足柄下郡湯河原町に対して、湯河原町の天然資源である温泉を活用した商品のプロデュース及びプロモーションの実施等の事例があり、今後も日本のあらゆる自治体を対象にオーダーメイドでサービスを展開する予定です。


(2)コンテンツプロデュース・ブランディング領域

 TOKYO GIRLS COLLECTIONで培った企画力・ブランド力を活かし、顧客のニーズに適う商材のブランディングを行うため、トップインフルエンサーやアーティストを広告塔としてキャスティングすることに加え、新たなクリエイティブの企画を行うことにより、広告キャスティング収入やクリエイティブ制作収入を得ております。

 その他、TOKYO GIRLS COLLECTIONのブランドと他のモノ・コトとコラボレーションし、スクール事業・オーディション事業・ティーン世代向けのイベントプロデュース・オリジナル商品の開発等を展開しております。スクール事業はスクール運営者からブランドロイヤリティとして入会金及びレッスン料の一部を受領、オーディション事業は協賛企業及び配信プラットフォーマーから協賛金収入を受領、ティーン世代向けのイベントプロデュースではイベント制作者からブランドロイヤリティとして監修料及び協賛金売上の一部を受領、オリジナル商品の開発ではブランドロイヤリティとして販売額の一部を受領しております。


(3)デジタル広告領域

①アフィリエイトwalker

 アフィリエイトプラットフォームとして、アフィリエイト・サービス・プロバイダー(ASP)である「アフィリエイトwalker」を展開しております。アフィリエイトは、広告主からアフィリエイトwalkerを通じて出稿の依頼を受けた広告を、提携先パートナーであるポイントサイトメディア・比較サイトメディア・その他オウンドメディアに掲載し、消費者を広告主のサイトへ誘導し、課金サービスに加入する等の広告成果の発生に応じて報酬を得る仕組みであります。当社は、月額課金サイト(サブスクリプションサービス)の広告案件を多く有していることで安定的な収益源となっております。広告主より成果報酬を受領し、また、当社からメディア運営者へ、当社手数料相当分を差し引いて成果報酬の支払を行います。


 ②girlswalker

 当社の主力ブランドであるTOKYO GIRLS COLLECTIONの公式メディアとして、「girlswalker(ガールズウォーカー)」(https://girlswalker.com/)の運営を行っております。当サイトは、最旬のエンタメ情報を中心にファッション、ライフスタイル、SDGs等の最新トレンドを発信するメディアとして機能しており、広告主企業からのネットワーク広告収入及び企業の依頼に基づきプロモーション記事を編集・投稿することでタイアップ広告収入を得ております。

 

【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/06 単独3Q累計実績 3,221 734 725 435

2023/06 単独会社予想 3,546 598 575 423

2022/06 単独実績 2,065 93 87 128

2021/06 単独実績 1,987 -211 -202 -218


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/06 単独会社予想 172.70 489.50 -


上場時発行済株数 2,588,000株(別に潜在株式360,720株)

公開株数 504,800株(公募120,000株、売り出し319,000株、オーバーアロットメント65,800株)

調達資金使途 人材採用・育成費および人件費、借入金の返済


PER:17.4

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:15.1億

公募時時価:78億

​   

【株主構成】 

村上範義 代表取締役 795,000 28.10% 90日

(株)ディー・エル・イー 元親会社 430,000 15.20% 90日

帝都インベストメンツ投組 投資業(ファンド) 252,000 8.91% 90日・1.5倍

(株)マイナビ 特別利害関係者など 184,000 6.50% 90日

(株)ベクトル 特別利害関係者など 150,000 5.30% 90日

(株)電通グループ 特別利害関係者など 150,000 5.30% 90日

(株)トランザクション 特別利害関係者など 150,000 5.30% 90日

カルチュア・エンタテインメント(株) 特別利害関係者など 150,000 5.30% 90日

片山晃 特別利害関係者など 138,000 4.88% 90日

(株)ジェイ・ストーム 特別利害関係者など 81,600 2.88% 90日


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、貸株人かつ売出人である村上範義、売出人である株式会社ディー・エル・イー、片山晃及び東義和、当社株主である株式会社マイナビ、株式会社ベクトル、株式会社トランザクション、カルチュア・エンタテインメント株式会社、株式会社ジェイ・ストーム、マリングロース株式会社、株式会社ビーマップ及び藤野英人並びに当社新株予約権者である田嶋康弘、青木充、本田冬海、井上北斗、牧田真由美、並木安生、原口侑子及びその他65名は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2023年9月26日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと及びグリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等を除く。)を行わない旨合意しております。

 また、当社株主である帝都インベストメンツ投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2023年9月26日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、その売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う売却等を除く。)を行わない旨合意しております。


【代表者】

代表者名 村上 範義(上場時42歳2カ月)/1981年生

本店所在地 東京都渋谷区神宮前

設立年 2015年

従業員数 44人 (2023/04/30現在)(平均33歳、年収599.9万円)

事業内容 TOKYO GIRLS COLLECTIONのブランドを活用したブランディング・コンテンツプロデュース事業

URL https://www.w-tokyo.co.jp/

株主数 15人 (目論見書より)

資本金 45,925,000円 (2023/05/26現在)

代表者略歴

2004年04月 ㈱リクルートメディアコミュニケーションズ(現 ㈱リクルート) 入社

2004年05月 ㈱ゼイヴェル(現 ㈱ブランディング) 入社

2006年05月 合資会社弥富食品加工所 有限責任社員(現任)

2007年10月 ㈱STARLET 代表取締役 就任

2009年05月 ㈱F1メディア(㈱W mediaに商号変更後、㈱TOKYO GIRLS COLLECTION(現 当社)との吸収合併により消滅) 入社

2014年09月 同社 代表取締役 就任

2016年09月 ㈱TOKYO GIRLS COLLECTION(現当社)代表取締役 就任(現任)

2019年05月 ㈱W 代表取締役 就任(現任)



【幹事団】

主幹事証券 野村 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 静銀ティーエム - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 松井 - -


【参考類似企業】 今期予想PER

2433 博報堂DY 20.7倍 (連結予想)

4324 電通G 15.7倍 (連結予想)

7803 ブシロード 24.8倍 (連結予想)

9565 WPRZT 45.0倍 (単独予想)


【私見】

 TGCのプロデュースが中心で、話題性と知名度は非常に評価でき、完全な類似業種がないことは評価できます。業績は非常に良く、割高感もなく、ここからの成長性戦略がどうなるかが焦点ですが、単純にはいかないような気はします。規模的には中規模で、ロックが外れるVCも1社程度なので影響は少なく、藤野氏や片山氏など著名人も株主てあることも注目材料の一つです。きな臭さはあるので個人的には好みではありませんが、注目銘柄なので初値人気はでるでしょう。


想定価額:2870円

仮条件上限:3000円

初値予想:6900円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

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