2023年6月13日火曜日

IPO分析(プロディライト)

 【事業内容】

​ 主にPBXをクラウドで提供する「システムサービス」、公衆回線網から各端末までIP回線を使用して音声通信を提供する「回線サービス」、IP電話等の端末機器を販売する「端末販売」を営んでおり、電話環境の構築に必要なサービスの「ワンストップ・ソリューション」を提供することが可能です。「テレワークの導入」や「オフィスのフリーアドレス化」等の働き方改革、企業の「BCP対策」が進む中、固定電話を切り口に、固定電話・モバイル端末という垣根を超え、「電話のあり方」そのものを変革する電話のデジタルトランスフォーメーション「電話のDX」を顧客に提供しています。


(1)システムサービス

 技術革新における大きなパラダイムシフトのひとつであるクラウド技術をPBXに応用し、当社が独自に開発したクラウドPBX「INNOVERA」を顧客に提供しております。これまで社内に設置していたPBXをクラウド上に構築することにより、固定電話の機能をスマートフォンやPC、専用のIP電話等で場所を問わずに利用でき、会社のビジネスフォンを持ち出す感覚で電話を利用することができます。このように「INNOVERA」では、旧来の電話システムの弱点であった場所の制約を無くすことで、「テレワークの導入」や「オフィスのフリーアドレス化」の障害のひとつとなっていた電話の問題を解決することが可能です。

 もう一つの「INNOVERA」の特徴として、過去6ヵ月間分の全通話を自動録音する「全通話録音」、自動応答内容や流す時間を自由設定できる「ガイダンス設定」、その他「通話履歴検索」や「着信拒否」など多種多様な標準機能を備えています。また、用途に応じて、「順番にお繋ぎしますのでお待ちください」などの案内アナウンスでオペレーター数を超えた受電を保留し、順番に対応することが可能な「キューイング」等豊富な追加オプションや、コールセンターなどの架電業務に役立つ機能にも対応しています。

 さらに、突然の出社自粛要請や、地震・災害など企業のBCP対策としても「INNOVERA」は有効です。発着信、内線番号及びIVR(自動音声応答)の設定など電話環境の変更が必要になった場合、従来のPBXでは専門家による現地のローカルネットワーク環境下での変更作業が必要でした。しかし「INNOVERA」はクラウド上にシステムが構築されているため、環境設定などには場所の制約がなく、全てWebブラウザから行うことができ、AIオプションなど機能の追加も現地での作業や工事は不要であります。例えば支店で災害が起こり出社困難になった場合でも、インターネット環境下にある別の場所からPCやスマートフォンのWebブラウザを通して、被災した支店の電話応対が他拠点でできるように発着信設定を変更することも可能です。

 「INNOVERA」はクラウド上にシステムが構築されているため、従来のPBXのように機械的な故障という概念がなく、現地でのメンテナンス作業も不要です。「INNOVERA」は当社が随時メンテナンスや更新を行っているため、ユーザーは常に最新状態の電話環境を利用できます。オプション等の機能追加も物理的な作業や工事が不要なため、必要に応じて随時追加が可能です。

 2015年9月のサービス開始後、「INNOVERA」は従業員数10人以下の事務所から従業員数1,000人以上の大企業まで、顧客の規模を問わず幅広く導入されてきました。さらに利便性を向上すべく2020年12月には「INNOVERA PBX2.0」にプラットフォームを一新しました。「INNOVERA PBX2.0」では、ID・パスワードであらゆる端末にログインが可能な「ホットデスク」、パーク保留電話をグループ毎に分けることができる「パークグループ」、一つの電話番号で電話も音声会議も可能な「カンファレンス」などの新機能を搭載しております。

 上記以外にも、オフィスなどで利用されるビジネスフォンの機能と、「Autocall」や「Outbound」、「プレディクティブコール」等、顧客応対に特化したコールセンター用の機能を同一のプラットフォームで使用することが可能です。当社は、「INNOVERA PBX2.0」により、これからの「電話のあり方」や業界の常識を変え、顧客の利便性を向上させ、業務コストの削減や、小規模コールセンターの内製化などにも対応が可能と考えております。

 さらにクラウドPBXである「INNOVERA PBX2.0」は、API技術を用いて「kintone」や「カイクラ」など他社のクラウドサービスと連携することで、電話機能に付加価値を追加した新たなサービスを提供しております。

 AI技術を応用したオプションでは、留守番電話に吹き込んだメッセージをそのままチャットツールに送りテキストで内容が確認できる「Speech Posting」や通話録音の内容を文字化して送る「INNOVERA Text」、音声通話からユーザーの感情を分析できる「INNOVERA Emotion」などの便利なサービスを追加しています。今後は「音声合成」や「音声翻訳」、「多言語通訳」など様々なAI技術を応用することにより、「INNOVERA」を更に進化させ、誰もが分け隔てなく意思疎通ができる「バリアフリー・コミュニケーション」プラットフォームの実現を目指し、音声コミュニケーションを通じたよりよい社会の構築に貢献してまいります。


(2)回線サービス

 アルテリア・ネットワークス株式会社と提携した「IP-Line」などクラウド上の「INNOVERA」に直接収容(接続)可能なIP電話回線サービスを提供しています。通常、電話を開設する際は、屋外から屋内の電話へ物理的な回線を引く必要がありますが、「IP-Line」はクラウド上の「INNOVERA」に直接収容し、インターネットを利用し音声通話を行うため、電話回線の設置は不要です。そのため、現地が災害に見舞われた場合にもインターネットが繋がっていれば電話の利用が可能であり、企業におけるBCP対策としても有効です。

 また、「IP-Line」では、「90秒課金」の料金設定により通話料削減が見込めるほか、IP電話回線でありながら、東京23区や大阪市など全国主要都市の市外局番(0AB~J番号)が利用でき、使用中の電話番号を変えずに、固定電話回線からIP電話回線へ移行できる特徴を持っています。

 また電話回線のほか、NTT東日本、NTT西日本との光コラボレーション事業である当社ブランドの光回線「INNOVERA光」も提供しており、クラウドPBXと各利用端末間のインターネット回線も提供しています。

 

(3)端末販売

 インターネット環境下でクラウドPBXと組み合わせて利用可能な、LANケーブルを接続インターフェイスとするSIP電話機を販売している中国Yealink社との間で、日本におけるSIP電話機の総代理店契約を締結し、販売やサポート、日本語ファームウェア(組み込みソフトウェア)の開発と運用を担っております。「INNOVERA」と共に端末を提供するだけでは無く、「INNOVERA」以外の他社製クラウドPBXでも利用できる汎用性を持つため、端末単独での販売も行っております。

 4K表示、1,200万画素カメラや高機能スピーカーも搭載するWeb会議用大型ディスプレイ「MAXHUB」の販売も行っております。「MAXHUB」はプレゼンテーション機能に加え、ホワイトボード機能も有するなど、大画面での会議の効率化に寄与する製品です。また、同商品はオフィスなどのビジネスシーンだけでなく、電子黒板として教育現場への導入も進んでおり、教育のIT化、リモート授業推進の一翼を担っています。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/08 単独中間実績 958 62 59 38

2023/08 単独会社予想 2,008 156 152 101

2022/08 単独実績 1,777 110 114 81

2021/08 単独実績 1,599 94 89 63


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/08 単独会社予想 70.22 - -


上場時発行済株数 1,561,650株(別に潜在株式140,250株)

公開株数 545,900株(公募150,000株、売り出し324,700株、オーバーアロットメント71,200株)

調達資金使途 「INNOVERA」の開発費用、広告宣伝費、借入金返済・社債償還


PER:20.5

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:7.9億

公募時時価:22億

【株主構成】 

小南秀光 代表取締役社長 700,000 45.11% 90日

川田友也 専務取締役 300,000 19.33% 90日

SMBCベンチャーキャピタル1号投組 投資業(ファンド) 175,000 11.28% 90日・1.5倍

日本ビジネスシステムズ(株) 取引先 100,000 6.44% 90日

SMBCベンチャーキャピタル2号投組 投資業(ファンド) 60,000 3.87% 90日・1.5倍

池田泉州キャピタルニュービジネス4号投組 投資業(ファンド) 60,000 3.87% 90日・1.5倍

奥井琢磨 常務取締役 40,000 2.58%

三菱UFJキャピタル5号投組 投資業(ファンド) 16,650 1.07% 90日・1.5倍

金森一樹 取締役 12,000 0.77%

岡田良平 従業員 8,250 0.53%


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である小南秀光、売出人である川田友也並びに当社株主である日本ビジネスシステムズ株式会社は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2023年9月25日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等を除く。)を行わない旨合意しております。

 また、売出人であるSMBCベンチャーキャピタル1号投資事業有限責任組合、SMBCベンチャーキャピタル2号投資事業有限責任組合、池田泉州キャピタルニュービジネス4号投資事業有限責任組合及び三菱UFJキャピタル5号投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2023年9月25日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びその売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う売却等を除く。)を行わない旨合意しております。


【代表者】

代表者名 小南 秀光(上場時49歳6カ月)/1973年生

本店所在地 大阪府大阪市中央区高麗橋

設立年 2008年

従業員数 95人 (2023/04/30現在)(平均38.2歳、年収483.9万円)

事業内容 自社開発のIP電話用クラウドPBX(構内交換機)「INNOVERA」など、音声コミュニケーションのDX(デジタルトランスフォーメーション)に向けたワンストップ・ソリューションの提供

URL https://prodelight.co.jp/

株主数 7人 (目論見書より)

資本金 99,495,000円 (2023/05/25現在)

代表者生年月日 1973年12月20日生まれ

代表者略歴

1993年06月     富士キャッシュサービス株式会社入社

2008年06月     当社設立 代表取締役社長就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 野村 432,300 91.07%

引受証券 SBI 18,900 3.98%

引受証券 岡三 9,400 1.98%

引受証券 極東 4,700 0.99%

引受証券 松井 4,700 0.99%

引受証券 マネックス 4,700 0.99%


【参考類似企業】 今期予想PER(6/2)

1992 神通機 21.4倍 (連結予想)

2321 ソフトフロントH 111.2倍 (連結予想)

3842 ネクストジェン 25.0倍 (連結予想)

3908 コラボス - (単独予想)

4441 トビラシステム 27.3倍 (単独予想)

6942 ソフィアHD - (連結予想)

7505 扶桑電通 13.7倍 (単独予想)

9216 ビーウィズ 15.5倍 (連結見込)


【私見】

 音声コミュニケーションのDXに向けたワンストップ・ソリューションの提供ということで、業種的には大きな魅力はなく、優位性は見出すことが難しく、高い評価はできません。業績は小粒で、成長性がどこまであるかはわかりませんが、PERからは上値余地は大きくはないと思います。1.5倍でロックが外れるVCが存在することはマイナス材料ですが、規模は小さいので初値に関してはそれなりの人気となるでしょう。

想定価額:1400円

仮条件上限:1440円

初値予想:2800円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

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