2023年6月16日金曜日

IPO分析(クラダシ)

 【事業内容】

​ (1) ビジネスの概要

①ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」

 「3分の1ルール」に抵触した商品、季節商品、終売商品、賞味期限切迫商品、滞留商品など、様々な理由で販路を失いブランドイメージ保護及び市場価格保護のために廃棄される商品を買い取り、迅速に消費者に販売することで、廃棄物(フードロスなど)の発生を大幅に削減する仕組みであるソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」を運営しております。

 様々な理由で廃棄予定となっている商品をサプライヤー(以下、「パートナー企業」という。)から安価で買い取り、当商品を当社ウェブサイト又は当社アプリ上で販売しており、会員に廉価で提供することを実現しております。「Kuradashi」の利用のためには会員登録が必須であり、その登録が完了した消費者を「会員」と呼称しております。

 取引形態は在庫型とマーケットプレイス型の2種類に分類されます。契約形態は売買契約である点、「Kuradashi」での販売価格は当社が決定する点、掲載業務及びカスタマーサポート業務は当社が行う点は両者共通ですが、在庫型は当社がパートナー企業から仕入れ当社倉庫へ一括納入いただいたうえで「Kuradashi」へ掲載・販売し、会員から受注した分を当社倉庫から会員へ配送する取引形態である一方、マーケットプレイス型は、先に「Kuradashi」へ掲載・販売し、会員から受注した分だけを当社からパートナー企業へ発注・仕入し、パートナー企業から会員へ直接配送する取引形態です。

 「Kuradashi」は、商品特性からラインナップが頻繁に入れ替わり、また、季節品や地域品などの様々な珍しい商品を、廉価で販売しているのみならず、当社は、「Kuradashi」での売上金の一部を環境保護支援団体等へ寄付する仕組みを構築しております。「Kuradashi」は、会員がお得なお買い物を楽しみながらエシカル消費を実現でき、会員の購買体験が「持続可能な社会の実現」につながる「エコでソーシャルなビジネスモデル」であります。

 また、当社の販売活動は、通常ルート販売である1次流通、中古販売である2次流通に対して、問題なく消費できるが廃棄されてしまう商品を価値あるものに変え、中古でも新品でもない商品を市場に提供する、1.5次流通を創出しております。1.5次流通は1次流通とのすみわけが明確なため、パートナー企業が懸念するブランド価値、市場価格への影響にも対応することが出来ます。2019年10月1日に「食品ロスの削減の推進に関する法律」が施行されるなど、SDGsをはじめフードロスに対する課題意識が高まり、廃棄を中心とした従来の余剰在庫処理方法がまかり通らなくなる中、「Kuradashi」を活用することで、廃棄処理コストを圧縮し、更にCSR、CSV、SDGs、ESG等の観点からも企業イメージの向上に繋がることが期待され、フードロス削減に取組む企業のブランド価値創出を支援しております。

 このように社会性、環境性、経済性を重視したビジネスモデルを展開しているため、「Kuradashi」の会員やパートナー企業が増え取引が増加し事業規模が拡大すればするほど、フードロス削減や社会貢献が拡大し持続可能な社会を実現できます。


②Kuradashi Hub

 「Kuradashi」事業の認知拡大及び実店舗にて集客した顧客を「Kuradashi」に誘導することを主目的として商業施設にて期間限定のポップアップストアの運営や、「Kuradashi」特設ブースを設置した小売店への商品提供など、オンラインとオフラインをつなぎ会員の商品の認知から比較・検討、購入後のアフターサポートに至る一連の体験価値の向上を図っております。


③Kuradashi Stores

 ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」の運営で獲得したエシカル消費に感度の高い会員に向け、パートナー企業のブランディングを支援するサービス「ブランドスタジオサービス」を運営しております。当社は、「Kuradashi」サイト上の「くらだしマガジン」ページに、パートナー企業のフードロスやSDGsに対する取り組みに焦点を当てた記事を執筆・公開し、同時にメールマガジンの配信やキャンペーン、公開している記事のバナーを「Kuradashi」に掲載することで、単純な販促目的だけではなく、パートナー企業のブランド価値の向上をサポートするサービスを提供しております。

 また、「Kuradashi Partner Page」及び「Kuradashi Analytics」を月額のサブスクリプションモデルとして提供を開始しております。「Kuradashi Partner Page」は、「Kuradashi」サイト上に、パートナー企業ごとの専用のページを公開し、会員にパートナー企業のブランドや商品ストーリーを知ってもらいながら購入できる購買体験を提供するサービスであり、「Kuradashi Analytics」は、「Kuradashi」での販売実績から、当社に蓄積したパートナー企業ごとの商品に関するPV(閲覧数)、CVR(購入転換率)、AUP(平均購入単価)等のデータをパートナー企業に提供するサービスであります。

 商品の販売促進プロモーション・広告宣伝(ブランディング)を通じて、データ及びナレッジをパートナー企業に提供し、パートナー企業がビジネス課題を特定、もしくはニーズを把握し、それに対しての改善策、ニーズに応える戦略、アクションプランの企画立案、提案、実行をサポートしております。


(2) 社会貢献活動

 会員は、「Kuradashi」での商品購入時に、サイト上で寄付先・支援先を選択し、当社は「Kuradashi」の売上金の一部を社会貢献活動の支援金とし、その一部を社会問題の解決に取り組む団体に寄付しております。寄付の用途は環境保護、災害対策、医療・福祉サービスの充実などであります。また外部団体へ寄付するだけでなく、その一部を当社が運営する「クラダシ基金」に積み立て、当社が実施する社会貢献活動の費用に充当しております。具体的な活動例として地方創生のための取り組みである社会貢献型インターンシップ「クラダシチャレンジ」を実施しております。

 「クラダシチャレンジ」とは、「フードロス削減」「食育」「農家の売上増加」「地方創生」が同時実現できる取り組みであります。人手不足で未収穫廃棄が発生している農家に地方創生やフードロス問題に興味がある学生を派遣し、収穫の担い手になってもらいます。収穫した一次産品は「Kuradashi」で販売することもあり、その売上の一部を、地方創生等を目的とした「クラダシ基金」に還元します。当活動の旅費・交通費や宿泊費などを「クラダシ基金」から拠出しております。

 また、寄付先や「クラダシ基金」の活動内容は、当社のサイト上に公開しております。当社は、ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」を通じて、様々な社会課題解決のための活動を活性化・強化していく中、この社会貢献の活動の輪をさらに広く深く展開していきます。


(3) 受賞歴抜粋

 当社は社会課題解決への取り組みや提供するサービスの革新性を評価され、複数の賞を受賞しております。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/06 単独3Q累計実績 2,224 -134 -126 -126

2023/06 単独会社予想 3,004 -164 -170 -170

2022/06 単独実績 2,073 -74 -74 -80

2021/06 単独実績 1,263 54 60 34


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/06 単独会社予想 -17.76 - -


上場時発行済株数 10,763,358株(別に潜在株式706,670株)

公開株数 3,795,000株(公募1,150,000株、売り出し2,150,000株、オーバーアロットメント495,000株)

調達資金使途 UI/UX(利用者接点/利用者体験)開発、システム開発費


PER:

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:19.7億

公募時時価:56億

​   

【株主構成】 

(同)Social Good 代表取締役社長が所有する会社 7,330,000 71.03% 180日

ACTWELL(同) 取締役が所有する会社 860,000 8.33% 180日

高杉慧 取締役執行役員CFO 425,490 4.12% 180日

新生ベンチャーパートナーズ2号投組 投資業(ファンド) 378,214 3.66%

HAKUHODO DY FUTURE DESIGN 投組 投資業(ファンド) 302,572 2.93%

徳山耕平 取締役執行役員CHRO 201,370 1.95% 180日

河村晃平 取締役執行役員CEO 165,490 1.60%

ロート製薬(株) 特別利害関係者など 151,286 1.47%

大沢亮 従業員 119,260 1.16%

城前圭毅 従業員 100,000 0.97%

池森ベンチャーサポート(同) 投資業(ファンド) 75,643 0.73%

SGインキュベート第1号投組 投資業(ファンド) 75,643 0.73%


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である合同会社Social Good、売出人であるACTWELL合同会社、並びに当社の株主である髙杉慧、徳山耕平及び大沢亮は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後180日目(2023年12月26日)までの期間(以下、「ロックアップ期間」という。)、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等を除く。)を行わない旨を合意しております。

 加えて、当社の新株予約権を保有する河村晃平、髙杉慧、徳山耕平、大沢亮、川嶋浩介、櫻井唯香、三寳里菜、宇野愛子、齊藤夏希、中村あかり、小河原朝香、柳田美巳子、小平佳鈴及び岡安美樹は、主幹事会社に対し、ロックアップ期間中は主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した当社普通株式の売却等を行わない旨を合意しております。


【代表者】

代表者名 関藤 竜也(上場時52歳1カ月)/1971年生

本店所在地 東京都品川区上大崎

設立年 2014年

従業員数 40人 (2023/04/30現在)(平均34.6歳、年収654.1万円)

事業内容 ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」の企画・制作・運営

URL https://corp.kuradashi.jp/

株主数 10人 (目論見書より)

資本金 35,000,000円 (2023/05/26現在)

代表者略歴

1995年04月 住金物産株式会社(現日鉄物産株式会社)入社

2001年06月 デジット株式会社入社

2002年06月 ヒューマンエージェント株式会社取締役副社長就任

2014年07月 グラウクス株式会社(現株式会社クラダシ)設立 代表取締役社長就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 大和 - -

引受証券 みずほ - -

引受証券 SMBC日興 - -

引受証券 野村 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 東洋 - -

引受証券 松井 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 楽天 - -


【参考類似企業】今期予想PER(6/8)

3080 ジェーソン 9.9倍 (連結予想)

3182 オイラ大地 21.0倍 (連結予想)

7532 パンパシHD 24.1倍 (連結予想)

8203 MrMaxHD 8.0倍 (連結予想)

9890 マキヤ 6.1倍 (連結予想)


【私見】

 売れ残り食品販売サイトということで、上場企業では完全な同業はなく、日本初の国際的な認証制度のBコープを取得しており、SDGsの観点からは高い評価はできます。業績は赤字で、次期予測で黒字見通しがでれば良いのですが、利益追求と社会貢献という双方を求めることからもあまり儲からないビジネスモデルのような気もしています。ロックなしVCもいるので需給面ではそこまで良くないのも気になります。SDGs関連で機関投資家から評価を受けるのか判断が難しいですが、初物ということでセカンダリーも注目したい銘柄です。


想定価額:500円

仮条件上限:520円

初値予想:750円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立〜やや強気

総合評価:4

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