2023年6月7日水曜日

IPO分析(オービーシステム)

 【事業内容】

​ この50年の歴史の中で、株式会社日立製作所と40年以上、三菱電機ソフトウエア株式会社と30年以上にわたりシステム開発実績を積み重ねることで、ビジネスパートナーとしての関係を築いており、売上高の大きな割合を占める大口取引先となっております。


(1)サービスラインの概要

① 金融事業

 地銀・都銀、取引所、保険、証券、クレジットの各分野のシステムインテグレーション、コンサルティング、ソフトウェアの設計・開発・保守等、ソフトウェア開発の全領域に対応した総合的なサービス事業を、顧客であるエンドユーザや国内ITメーカ、元請システムインテグレーターからの受託開発、運用保守を中心に展開しております。

 

② 産業流通事業

 産業流通、マイコン、医療の各分野は東京・名古屋・大阪に組織を配置し、ソフトウェアの設計・開発・保守全般における総合サービス事業を、顧客であるエンドユーザや国内ITメーカ、元請システムインテグレーターからの受託開発、運用保守を中心に展開しております。


③ 社会公共事業

 社会基盤(電力ICT、社会インフラ、電力系統、交通)分野、メディア情報分野、公共分野、文教・教育系分野のシステムインテグレーション、コンサルティング、ソフトウェアの設計・開発・保守等、ソフトウェア開発の全領域に対応した総合的なサービス事業を、顧客であるエンドユーザや国内ITメーカ、元請システムインテグレーターからの受託開発を中心に展開しております。


④ ITイノベーション事業

 2022年4月から追加(金融事業から独立)したサービスラインです。

自社の競争力強化に向け、先端技術をリードする人材育成及び、さまざまな事業領域のデジタルソリューションサービス事業拡大に向け、元請システムインテグレーターとの協業を推進しております。また、各分野のシステム全体を支えるフロントシステムエンジニアとして、システム全体の見積り、業務支援アプリケーションパッケージの設定、オンプレミスシステム及びクラウドシステムのインフラ構築、プロジェクトマネージメントのサービス事業を、顧客であるエンドユーザや国内ITメーカ、元請システムインテグレーターからの受託開発、運用保守を中心に展開しております。


(2)サービスラインの特徴

① 金融事業

 地銀・都銀のほか、流通系銀行の勘定系システムに加え、ネットバンキングシステムなどのサブシステムの開発・保守を基盤事業としておりますが、今後は、オープンイノベーションに関わるDX化へと基軸を移行しつつあります。

 これらDX化への取り組みとしまして、次世代オープン勘定系システム開発への参画、保険分野での現行システムをサーバー環境で動作させるためのマイグレーション事業及び、ビッグデータ活用に向けたシステムのオープン化事業への参画等のDX化事業にも注力しております。


② 産業流通事業

 ビッグデータを活用した受注予測システムの構築やクラウドコンピューティング需要が増加しております。DX関連事業は伸長しており、これまで培った要素技術に加え、分野間での技術融合による新しいソリューション事業の構築を目指しております。小売り事業者の販売、物流管理システム開発等に参画しております。また、マイコン分野では培った開発技術によるIoT組込みソリューション事業の拡大に注力しております。

 更に、医療分野では2021年8月に臨床検査システム新製品「CLIP-Version5」を販売開始しました。この製品は、電子カルテ等の他システムとの連携性や操作性の向上を図っております。新健診システム「MEX-Plus」含め、ご利用いただいております全国の病院・施設システムの更改や新しい顧客への導入を目指しております。


③ 社会公共事業

 メディア情報分野では、2020年10月から作業開始した新分野であり、クラウド環境でのWEBシステム開発、ビッグデータ加工システム開発を中心とした、DX化に力を入れ顧客ニーズに対応しております。この一環として、電力ICT分野のシステム開発にも積極的に取り組んでおり、大きな成長分野となっております。

 また、公共分野では自治体のガバメントクラウド(Gov-Cloud)活用を見据えて、自治体情報システムの標準化対応へ参画する等、DX化事業にも注力しております。


④ ITイノベーション事業

 当サービスラインの主な特徴は、顧客ファーストの観点で、一人ひとりがお客様目線で考え、お客様の事業継続、発展に貢献し、お客様に近いところでシステム全体を支えるフロントシステムエンジニアとして活動している集団であります。

 顧客のDX化事業を含めた業務改革の取り組みを支援するシステム開発や、元請システムインテグレーターとの協業によるデジタルソリューション事業の拡大に注力しております。


(3)協力会社との連携

 顧客ニーズの高度化、オープン化の進展によるシステムの複雑化が進み、開発の難易度がますます増加しております。各サービスラインにおいては、システムインテグレーションサービスの提供にあたって、システムの構築にかかる顧客ニーズに柔軟に応えられるよう当社の社員のみならず、当社と協力会社(外注先)が技術を共有し連携して一体となってプロジェクトに参画しております。当社では協力会社のシステムエンジニアが当社と一体になれるよう安定的、継続的な発注、定期的な情報交換を実施し、長期的な協力関係を構築できるよう推進しており、大型プロジェクトへの参画可能な環境を整えております。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2024/03 単独会社予想 6,503 546 579 400

2023/03 単独実績 6,163 502 517 497

2022/03 単独実績 5,992 413 482 338

2021/03 単独実績 6,069 377 403 275


決算期 種別 EPS BPS 配当

2024/03 単独会社予想 179.30 1,991.41 -


上場時発行済株数 2,277,000株

公開株数 690,000株(公募200,000株、売り出し400,000株、オーバーアロットメント90,000株)

調達資金使途 自社製品のクラウド版の開発資金、研修費、求人費、人件費


PER:9.5

PBR:0.86

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:11.8億

公募時時価:47億

​   

【株主構成】 

山田孝 取締役会長 840,000 40.44% 180日

(株)オービック その他の関係会社 800,000 38.52% 180日

(株)日立ソリューションズ 特別利害関係者など 120,000 5.78%

山田慶子 取締役会長の配偶者 100,000 4.81% 180日

オービーシステム従業員持株会 特別利害関係者など 87,000 4.19% 180日

豊田利雄 代表取締役社長 40,000 1.93% 180日

小島一翁 取締役 40,000 1.93% 180日

峰尾欽士 特別利害関係者など 20,000 0.96% 180日

田中勝彦 特別利害関係者など 10,000 0.48% 180日

陳夢琳 特別利害関係者など 10,000 0.48% 180日


本募集及び引受人の買取引受による売出しに関し、売出人かつ貸株人である山田孝並びに当社株主である株式会社オービック、山田慶子、オービーシステム従業員持株会、豊田利雄、小島一翁、峰尾欽士、田中勝彦、陳夢琳、杉田欣哉、上村忠嗣、渡辺天山、山口雅也、杉本繁治及び和田三紀夫は、SMBC日興証券株式会社(以下「主幹事会社」という。)に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しにかかる元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2023年12月17日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等を行わない旨を約束しております。

【代表者】

代表者名 豊田 利雄(上場時68歳9カ月)/1954年生

本店所在地 大阪府大阪市中央区平野町

設立年 1972年

従業員数 468人 (2023/04/30現在)(平均38.4歳、年収540.4万円)

事業内容 金融、産業流通、社会公共およびIT(情報技術)イノベーションの4つのサービスラインを展開するシステムインテグレーションサービス事業

URL https://www.obs.co.jp/

株主数 16人 (目論見書より)

資本金 74,750,000円 (2023/05/19現在)

代表者略歴

1979年04月 大和証券株式会社入社

2007年11月 コスモ証券株式会社(現岩井コスモ証券株式会社)入社

2015年08月 エイチ・エス証券株式会社(現Jトラストグローバル証券株式会社) 入社

2019年03月 当社入社 経営企画室長

2019年06月 当社取締役

2020年04月 当社代表取締役社長(現任)



【幹事団】

主幹事証券 SMBC日興 540,000 90.00%

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー 18,000 3.00%

引受証券 SBI 12,000 2.00%

引受証券 岩井コスモ 12,000 2.00%

引受証券 マネックス 6,000 1.00%

引受証券 松井 6,000 1.00%

引受証券 あかつき 6,000 1.00%


【参考類似企業】今期予想PER(5/23)

2307 クロスキャット 15.4倍 (連結予想)

3816 大和コン 10.6倍 (連結予想)

3924 ランドコンピ 12.2倍 (連結予想)

4491 Cマネジメント 10.1倍 (連結予想)

4684 オービック 37.9倍 (連結予想)

4687 TDCソフト 13.9倍 (連結予想)

4752 昭和システム 8.0倍 (単独予想)

5257 ノバシステム 13.8倍 (単独予想)


【私見】

 オービックの関連会社で、日立との取引が大半を占め、三菱電機など大手企業相手で安心感はあるものの、成長性の観点からは物足りなさがあります。業績は緩やかに伸び、PERからは同業も低いですが、割安感はあります。VCなしで売り要素は少なく、吸収金額も大きくはないので、下値不安はないものの、IPOラッシュで買われる要素も少ないと予想します。


想定価額:1710円

仮条件上限:1710円

初値予想:2200円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3

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