2023年6月9日金曜日

IPO分析(QLSホールディングス)

 【事業内容】

​(1)保育事業

 大阪市、東京都及び横浜市を中心に、認可保育所等の保育施設を運営しており、2023年4月末現在、認可保育所33施設(うち民間委託1施設)、小規模認可保育所2施設、東京都認証保育所1施設、企業主導型保育所3施設(うち運営受託保育所2施設)、学童保育1施設を運営しております。「豊かな人間性をもった子どもを育成すること」を保育理念として掲げ、子どもが健康、安全で情緒の安定した生活ができるよう行き届いた環境を提供し、人とのかかわりを大切にし、人に対する愛情と信頼感を育てるとともに、自然や社会への興味や関心を育て、喜んで話したり聞いたりすることができる子どもたちの育成に努めております。

 主な収益として、児童数や職員配置に応じて自治体から委託費及び補助金が交付されます。認可保育所においては、保護者が負担する保育料は保護者が自治体に直接納めるため、当社グループでは徴収しません。一方で、小規模保育園・東京都認証保育所・企業主導型保育園(自主運営)においては保育必要時間に応じて定められた保育料を当社グループで徴収します。また、保育施設につきましては、一部当社グループで所有している土地・建物はありますが、主に賃貸となっております。

 具体的な保育施設の内容は、次のとおりです。

① 認可保育所

 児童福祉法に基づいた児童福祉施設であり、国が定めた設置基準(施設の広さ、保育士等の数、給食設備等)を満たし、都道府県知事などに認可された施設をいいます。保護者が仕事や病気などの理由で、0歳から就学前の子どもの保育ができない場合に、子どもを預かって保育を行います。当社グループは、利用者からの保育料及び国または自治体が負担する施設型給付を委託費として交付を受け施設運営を行っております。


② 小規模認可保育所

 子ども・子育て支援制度に基づいた保育施設であり、0歳から3歳未満の子どもを対象とした定員6名~19名の市町村の認可を受けた施設をいいます。認可保育所より小規模で柔軟な保育事業を提供することが可能となり、大都市における待機児童解消を図るとともに、地方における児童人口減少による保育所運営の維持も図ることができると期待されております。当社グループは、利用者からの保育料及び地方自治体からの地域型保育給付の交付を受け施設運営を行っております。


③ 東京都認証保育所

 認可保育所だけでは応えきれない大都市における待機児童対策の一環として、多様な保育ニーズに応えることができるよう東京都が独自に認証基準を定め、認証された施設をいいます。当社グループは、利用者からの保育料及び東京都から交付される運営費により施設運営を行っております。


④ 企業主導型保育所の運営及び運営受託

 内閣府が開始した、企業向けの助成制度に基づき設置された保育所であります。企業の従業員の子どもを対象とした従業員枠と地域住民向けの地域枠があり、地域枠を弾力的に設定できるなど柔軟な運営が可能となります。当社グループは、利用者からの保育料及び公益財団法人児童育成協会から運営費補助金の交付を受け施設運営を行っております。また、他社の企業主導型保育所の運営受託も行っております。


⑤ 学童保育

 小学校に就学しているおおむね10歳未満の児童であって、保護者が労働等により昼間家庭にいないものに対し、授業の終了後に児童館等を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、健全な育成を図ることを目的とした事業をいいます。当社グループは、利用者からの利用料または自治体から交付される運営費により学童クラブを運営しております。


(2)介護福祉事業

 大阪市及び周辺都市を中心に、訪問介護や居宅介護支援を提供する介護事業所を運営しており、東京都及び沖縄県で、障がいのある児童の支援を行う放課後等デイサービスや障がい者の共同生活の支援を行う共同生活援助を運営しております。2023年4月末現在、訪問介護13拠点(うち5拠点において居宅介護も、3拠点において居宅介護支援も行っております。)、認知症対応型共同生活介護1施設、訪問看護1拠点、児童発達支援1施設、放課後等デイサービス6施設、共同生活援助18施設、就労支援3施設となっております。

 主な収益として、国が定めた利用者単価に利用回数を乗じた報酬が国保連合会から給付されます。利用者が負担する利用料については、利用者の所得に応じて負担割合が1割~3割と定められており、当社グループが徴収します。また、介護福祉施設につきましては賃貸となっております。


 具体的なサービスの内容は、次のとおりです。

① 訪問介護(介護保険法の介護給付)

 自宅で生活される利用者の自立支援を目的として、身体介護・生活援助の介護サービスを提供する事業です。介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)以上の資格を持ったホームヘルパーが訪問して、居宅サービス計画(ケアプラン)に沿った訪問介護計画に基づき排泄、入浴、掃除、洗濯等、日常生活の世話や介助を行います。当社グループは、利用者からの利用料及び自治体から給付される介護保険報酬により運営しております。


② 居宅介護(障害者総合支援法の自立支援給付)

 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(略称:障害者総合支援法)による、障害福祉サービスの中の訪問系サービスの一つで、障がい者を対象として、介護保険の訪問介護と同様のサービス提供を行う事業です。訪問介護と同様に居宅に訪問して、日常生活の支援並びに生活等に関する相談及び助言その他生活全般に渡る援助を行っております。当社グループは、利用者からの利用料及び自治体から給付される障害福祉サービス報酬により運営しております。


③ 居宅介護支援(介護保険法の介護給付)

 利用者が介護保険サービスを利用する際には居宅介護サービスの利用計画が必要となるため、その計画を作成する事業を居宅介護支援事業と呼びます。居宅介護支援は、当社グループの介護支援専門員(ケアマネジャー)が利用者の自宅に訪問して、利用者及びその家族と相談しながら、利用者のニーズに合わせた最適なケアプランを作成し、介護サービス事業者等との連絡調整を行います。当社グループは、自治体から給付される介護保険報酬により運営しております。


④ 認知症対応型共同生活介護

 認知症対応型共同生活援助は65歳以上の方で、身体上または精神上の障がいがある方に対して、日常生活を行う住居を提供し、生活上の支援を行う事業です。入浴、排せつ、食事等の介護、その他の日常生活上の支援を行います。当社グループは、利用者からの利用料及び自治体から給付される介護保険報酬により運営しております。


⑤ 訪問看護

 症状が安定期にある人の自宅を看護師や理学療法士等が訪問して看護サービスを提供する事業で、主治医が必要と認める場合に受けることができます。自宅で療養される方に治療及びリハビリを行います。当社グループは、利用者からの利用料及び自治体から給付される介護保険報酬または医療保険等の診療報酬により運営しております。


⑥ 児童発達支援

 児童発達支援事業所は0歳~小学校入学前の発達に不安のある児童を対象に、自分の慣れ親しんだ地域での発達支援を提供する施設です。日常生活での基本的な動作の指導、集団生活に馴染むための訓練、技能や知識の習得等を行っております。当社グループは、利用者からの利用料及び自治体から給付される障害福祉サービス報酬により運営しております。


⑦ 放課後等デイサービス

 障がいのある就学児童が学校の授業終了後や学校休業日に通い、生活能力の向上と子どもの状況に応じた発達支援を行う事業です。児童の成長と子育てを支援するサービスを提供しております。当社グループは、利用者からの利用料及び自治体から給付される障害福祉サービス報酬により運営しております。


⑧ 共同生活援助(障がい者グループホーム)

 障がいを持つ人達が地域社会に溶け込んで生活できるよう、共同生活をする場所を提供し、生活の支援を行う事業です。調理・洗濯、掃除等の日常生活の支援、社会生活上の相談及び助言を行い、自立に向けた支援を行っております。当社グループは、利用者からの利用料及び自治体から給付される障害福祉サービス報酬により運営しております。


⑨ 就労支援

 一般企業への就労を希望する障がい者に、一定期間、就労に向けた支援を行う事業です。就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行うとともに、就職時における相談や支援、就職後の定着支援などの福祉サービス、また、働く場の提供等を行っております。当社グループは、利用者からの利用料及び自治体から給付される障害福祉サービス報酬により運営しております。



(3)人材派遣事業

 当社グループは、国内5拠点(兵庫、京都、愛知、東京、沖縄)にて人材派遣事業を展開しております。自動車メーカー等を顧客として、主として自動車整備士など専門性を持つ人材派遣サービスを提供しております。特に、自動車メーカーのリコール対応などの緊急時における人材派遣サービスに強みを持っております。他にも、介護、保育、看護など福祉に専門特化した人材派遣を行っております。


(4)その他

 業務受託による携帯電話等の通信機器の販売等を株式会社ダウイン(東京、福岡)において行っており、事業系統図において「モバイル事業」として記載しております。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2024/03 連結会社予想 7,649 346 327 240

2023/03 連結実績 6,923 339 340 229

2022/03 連結実績 5,638 200 139 13

2021/03 連結実績 4,468 181 55 -164


決算期 種別 EPS BPS 配当

2024/03 連結会社予想 111.18 505.85 20.00


上場時発行済株数 2,214,560株(別に潜在株式292,500株)

公開株数 345,000株(公募200,000株、売り出し100,000株、オーバーアロットメント45,000株)

調達資金使途 銀行借入の返済


PER:5.8

PBR:1.28

配当利回り:3.1%

公募時吸い上げ資金:2.2億

公募時時価:14億

​   


【株主構成】 

(株)GRIT 代表取締役社長の資産管理会社 1,511,000 75.00% 180日

雨田武史 代表取締役社長 503,460 24.99% 180日

(株)エンタープライズ 特別利害関係者など 100 0.00%

(1)TOKYO PRO Marketにおける当社普通株式の取引(気配表記を含む。)がブックビルディング方式による発行価格及び売出価格の決定に影響を及ぼすおそれを可及的に排除する観点から、本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、当社株主である雨田武史、株式会社GRIT及び株式会社エンタープライズは、Jトラストグローバル証券株式会社(主幹事会社)に対し、本書提出日から当社普通株式に係るTOKYO PRO Marketからの上場廃止予定日である2023年6月25日までの期間中は、本書提出日現在に自己の計算で保有する当社普通株式の売却等又はこれらに係る注文を行わない旨を約束しております。

(2)本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、当社又は当社子会社の役員である雨田武史、光田佳生、大畑清香、豊田尚孝、伊藤栄治、釜山隆之、中山高文、濱坂昌之及び堤健治並びに当社株主である株式会社GRITは、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2023年12月2日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得することは除く。)等は行わない旨合意しております。


【代表者】

代表者名 雨田 武史(上場時45歳7カ月)/1977年生

本店所在地 大阪府大阪市浪速区難波中

設立年 2019年

従業員数 15人 (2023/04/30現在)(平均32.7歳、年収356.5万円)、連結719人

事業内容 保育事業、介護福祉事業および人材派遣事業など

URL https://www.qlshd.co.jp/

株主数 3人 (目論見書より)

資本金 30,000,000円 (2023/05/26現在)

代表者略歴

2001年04月 株式会社クリスタル入社

2004年10月 株式会社クリスタル介護センター 代表取締役就任

2006年02月 有限会社クオリス(現 株式会社クオリス)入社 執行役員就任

2007年05月 有限会社クオリス(現 株式会社クオリス)代表取締役就任(現任)

2018年12月 株式会社ダウイン代表取締役就任

2019年02月 当社代表取締役社長就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 Jトラストグローバル 246,000 82.00%

引受証券 SBI 18,000 6.00%

引受証券 岡三 18,000 6.00%

引受証券 東海東京 6,000 2.00%

引受証券 フィリップ 3,000 1.00%

引受証券 松井 3,000 1.00%

引受証券 マネックス 3,000 1.00%

引受証券 楽天 3,000 1.00%


【参考類似企業】 今期予想PER(5/31)

2462  ライク 9.7倍 (連結予想)

2749 JPHD 10.7倍 (連結予想)

4650 SDエンター 242.9倍 (連結予想)

6189 グローキッズ 36.7倍 (連結予想)

6557 AIAI 11.9倍 (連結予想)

6567 SERIOHD 33.9倍 (連結予想)

7037 テノ. 21.8倍 (連結予想)

7084 キッズスマイル 45.1倍 (連結予想)

7091 LPF 23.8倍 (連結予想)

7097 さくらさ 11.2倍 (連結予想)

7129 ミアヘルサHD 19.3倍 (連結予想)

7358 ポピンズ 17.5倍 (連結予想)


【私見】

 保育園・介護事業ということで、業種妙味はなく、セントレックス上場で人気になる可能性は低そうな銘柄です。補助金事業なので業績は安定していますが、成長性の観点からはPERからも適度だと思います。吸収金額も小さく、株主構成からも売り要素もないのですが、PRO市場からの鞍替えで買い手不在で公募前後の動きでしょう。


想定価額:650円

仮条件上限:650円

初値予想:650円

ブック申し込み度・・・弱気

セカンダリー期待度・・・弱気

総合評価:2

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