2023年6月22日木曜日

IPO分析(ブリーチ)

 【事業内容】

​ (1) 事業概要

 レベニューシェア型の報酬体系にて顧客企業のマーケティング支援を行う、シェアリング型統合マーケティング事業を展開しております。主に化粧品、日用品、機能性表示食品等のインターネット通販会社、及び美容サロンや金融サービス等を展開する企業に対し、インターネットを通じた売上拡大を支援しております。

 従来のマーケティング支援会社は主に予算型の報酬体系を採用しており(以下、「予算型マーケティング支援会社」といいます。)、同社に依頼する場合、顧客企業はその効果を十分に見通せないまま、事前に多額の予算を確保する必要があります。また、期待した効果が出ない場合、顧客企業におけるユーザー獲得コスト(CPA)は上昇することとなります。さらに、予算型マーケティング支援会社の場合、事前に決められたマーケティング予算の範囲内での支援なるため、実施できるマーケティング施策の量には限りがあります。

 一方、当社の場合、顧客企業から初期費用やコンサルティング料を受領せず、新規ユーザーの獲得など実際に当社が実現したマーケティング効果に応じて報酬を頂く、レベニューシェア型の報酬体系を採用しております。

 このような報酬体系を採用することにより、予算が限られた中小・中堅企業を含めて幅広い顧客企業を支援することが可能です。また、顧客企業は、事前にユーザー獲得コスト(CPA)を確定することができるため、収益の見通しが立ちやすくなります。さらに、当社のマーケティング支援に基づき顧客企業が新規ユーザーの獲得等のマーケティング効果を発揮するほど当社の売上高も増えていくことから、当社は効果のある施策を次々に実施することができ、様々な顧客企業の売上拡大に貢献しております。

 マーケティング戦略の構築、広告制作、広告運用などの一連のマーケティング支援機能のほぼ全てを内製化しております。これにより、マーケティング戦略から施策実行までを一貫させるとともに、大量のA/Bテストを行い、仮説構築・実行・検証・改善を高速で行うこと(高速PDCA)が可能となり、マーケティング効果を最大化しております。また、また大量のデータやノウハウを全て社内に蓄積することで、マーケティング力を継続的に進化させています。

 このように、当社は、レベニューシェア型の報酬体系により顧客企業が事前にユーザー獲得コスト(CPA)を確定できること、また支援機能を内製化しており一気通貫でマーケティング支援を提供できる等の特徴を持つ、独自のビジネスモデルを有しております。当社は、このような独自のビジネスモデルにより、顧客企業における売上拡大とマーケティング費用の抑制を両立し、顧客企業と当社が共に成長できる顧客本位のサービスを展開してまいります。

 なお、当社はシェアリング型統合マーケティング事業の単一セグメントであります。また、事業の内容に関しましては、章末に「用語集」として用語の解説を記載しております。

 

(2) サービスの流れと報酬体系

 まず、当社が独自に蓄積しているマーケティング関連データ等に基づき、商材に関するマーケティング戦略を検討し、当該戦略に基づき広告を制作の上、当社の費用負担にてLINEやYahoo!などのウェブメディア(広告媒体)に広告を出稿していきます。そして、当社は、新規ユーザーを獲得した後、その数と、予め顧客企業と合意した新規ユーザー獲得当たりの報酬単価(レベニューシェア単価)を乗じて計算されるレベニューシェア額を顧客企業から受領します。

 

(3) 主な顧客対象企業とターゲット市場

 レベニューシェア型の報酬体系を採用しているため、潤沢なマーケティング予算を確保しにくい中小・中堅企業を含め、企業規模を問わずマーケティングDX支援が可能です。特に、魅力的な商品やサービスを持ちながらもCMO(Chief Marketing Officer)が不在である等、デジタルでのマーケティングノウハウを持たない企業を支援し、その商品やサービスのポテンシャルを最大限引き出すことを強みとしています。当社は幅広い分野・領域の商品やサービスについてマーケティング支援を行っておりますが、本書提出日現在においては、化粧品、日用品、機能性表示食品等のインターネット通販、並びに美容サロンや金融サービス等を中心に支援しております

 当社は、独自のビジネスモデルを軸に、マーケティングDX支援への顕在化されたニーズを取り込んでおります。加えて、従来のマーケティング支援会社のビジネスモデルでは捉えきれなかった潜在的なニーズを掘り起こし、EC化率向上や国内消費者市場そのものの拡大を図っていきます。なお、広告主との仲介を行う広告代理店経由の取引が主であり、一部広告主と直取引を行っております。


(4) 商材パイプラインと商材選定

 独自のビジネスモデルと豊富なマーケティング支援実績を有することから、顧客企業や広告代理店等から多数のお問い合わせを頂いております。これまで支援を行った主な商材は、化粧品、ヘアケア・日用品、機能性表示食品などのインターネット通販、美容サロン等の店舗事業、金融サービスなど多岐に亘ります。

 このような多数のパイプラインの中から、当社が独自に蓄積した過去のマーケティング関連データ等に基づく独自の選定メカニズムにより、売上拡大余地が大きい商材を選定します。商材選定にあたっては、実際にマーケティング施策を実行するテストマーケティングがプロセスに含まれております。テストマーケティングでは数十万円~100万円程度の広告宣伝費を投下しますが、これにより本運用前に商材の売上拡大余地とマーケティング戦略における仮説を高精度で検証することができます。


(5) マーケティング戦略構築と施策の実施

 これまでに蓄積したマーケティング関連データや最新の消費トレンド、市場調査等を踏まえ、商材における消費者への訴求ポイント(USP)、利用する広告媒体や配信面の選択を含むウェブにおける広告戦略を検討します。また、当社は顧客企業に対し、ユーザーの動線や訴求ポイントを含めて顧客ランディングページ(LP)についても改善提案を行います。

 その上で、当社内で当該戦略に基づく広告を制作し、当社の費用負担にてウェブメディアに広告を出稿します。

 レベニューシェア型の報酬体系であり当社の裁量で広告宣伝費を設定することができるため、当社のマーケティング支援に基づき顧客企業が新規ユーザーの獲得等のマーケティング効果を発揮するほど当社も売上高を増やせることから、当社は効果のある施策を次々に実施することができます。また、当社は、社内に多数のマーケターやクリエイターを抱えており、マーケティング支援機能のほとんどを内製化しております。そのため、マーケティング施策における高速PDCAが可能であり、一定の獲得コストの中でより多くの新規ユーザーを獲得できるよう、マーケティング効果を最大化していきます。さらに、当社は、独自のビジネスモデルを構築する上で、マーケター各々が、高く設定した目標から逆算して課題を徹底的に洗い出し、その解決に向けて全力で行動する等の行動指針を浸透させております。


(6) 主に利用する広告媒体、マーケティング手法

 顧客企業の商品やサービスの特性に応じて、LINE、Yahoo!、Pangle、Google、Facebook等のウェブメディアの中から適切な配信面やターゲットを選択し、広告を配信しています。これらの広告媒体におけるディスプレイ広告、リスティング広告等のインターネット広告を活用しています。

 当社は特にディスプレイ広告の活用に強みを持っております。ディスプレイ広告は、まだ課題に気づいていない、或いは具体的な行動には至っていないユーザー(潜在層)に訴求し、ニーズを掘り起こすことができる広告です。リスティング広告との比較では、コンバージョン率(CVR)は低いものの、インプレッション数が多く広告のクリック単価が安いこと、画像や動画等で視覚的に訴求できること等から、適切に運用すれば低いユーザー獲得コストで多くの新規ユーザーを獲得することが可能です。

 LINEやYahoo!等のウェブメディアを通じてディスプレイ広告を配信し、当社制作の広告ページを経て、顧客LPにユーザーを誘導します。ディスプレイ広告にて、ユーザーの興味を適切に誘引し、当社制作の広告ページにて支援対象となる商材の魅力をストーリーを交えて伝え、そして顧客LPにてユーザーに購買や申し込み等を促すことで、顧客企業の新規ユーザーを獲得しております。当社はCookieを利用した広告のリターゲティング機能には頼らず、知名度の低い商品やサービスであっても、その場で魅力を訴求して購買に至るダイレクトマーケティングに強みを持っております。


(7) 広告審査体制

 、独自の広告審査体制を設けております。社内担当者のチェックに加えて、外部の弁護士や専門機関のレビューも受けることで、不当景品類及び不当表示防止法や医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の広告関連法令の遵守はもちろん、一般の消費者から見て誤認を招くことがないか等を広告配信前に確認する体制を構築しております。


(8) 広告運用体制と収益管理

 広告媒体への広告出稿額に対して、顧客企業から受領したレベニューシェア額の比率として算出されるROAS、及び売上高から広告宣伝費を控除して算出される広告利益を収益指標として管理しております。

 広告運用において、一定水準以上のROASを維持するよう、商品や広告媒体、広告キャンペーン毎にタイムリーにモニタリングを行い、広告出稿額の調整等を行っております。広告出稿額を増やすと、メインターゲットからやや外れたユーザーにも広告が配信される等の要因により,基本的にコンバージョン率(CVR)は下落し、ROASは低下する傾向にあります。ROASが低下した局面では、当社独自の判断で広告出稿額を縮小することで利益率の低下を防ぎます。一方、高いROASを維持できる場合には、広告出稿額を増やし広告のインプレッション数を増やすことでより多くのユーザーを獲得し、広告利益の拡大を図ります。当社はレベニューシェア型の報酬体系を採用しているため、当社独自の判断で広告出稿額を大幅に増やすことが可能であることから、当社の高い売上グロース力の一因になっております。

 また、様々なデータによりマーケティング効果を測定・分析しながら、商材の訴求ポイントや広告に使用するコピーライトや画像等のクリエイティブ、広告の配信方法等について高速PDCAを繰り返し、マーケティング施策を継続的に更新・改善することで、ROASの維持・向上、及び広告利益の最大化を図っております。


(9) 商材と社内リソースのポートフォリオ管理

 当社はレベニューシェア型の報酬体系を採用しているため、基本的に当社にて新規商材に関する支援開始、支援の規模や期間、及び取り扱い中止について判断・決定することができます。そのため、新規商材の取り扱いにおいては、当社にて、過去のマーケティング関連データ等に基づき売上の拡大余地を分析し、支援の開始・継続の可否や優先度を決定しております。また、消費者トレンドの変化や商品ライフサイクル等により、売上の拡大余地に限りがあると判断された商材については、当社の判断で支援の規模を縮小又は中止することができます。

 また、売上の拡大余地が大きい商材に社内リソース(マーケターの工数や外注費等)を再配置していくことで、その商材の売上をより伸ばしていく戦略を採用しております。一定の広告媒体や配信面で売上を伸ばした商材について、社内リソースを追加投入し、その“勝ちパターン”を他の広告媒体や配信面にも展開していくことで、売上の拡大余地が大きい商材の売上高をより拡大し、当社の売上高や広告利益も拡大していきます。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/06 単独3Q累計実績 12,265 1,781 1,787 1,103

2023/06 単独会社予想 15,910 2,043 2,040 1,328

2022/06 単独実績 14,606 1,027 1,002 621

2021/06 単独実績 8,145 777 722 440


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/06 単独会社予想 66.21 - 0.00


上場時発行済株数 25,050,000株(別に潜在株式2,100,500株)

公開株数 7,130,000株(公募5,000,000株、売り出し1,200,000株、オーバーアロットメント930,000株)

調達資金使途 シスステム投資、人件費、広告宣伝費、増床費用、借入金の返済


募集を行う地域

欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)


PER:20.2

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:96億

公募時時価:335億

​   

【株主構成】 以下180日

(株)大平事務所 代表取締役社長の資産管理会社 14,000,000 63.20%

大平啓介 代表取締役社長 5,734,100 25.89%

コタエル信託(株) 新株予約権信託の受託者 1,400,000 6.32%

(株)イングリウッド 特別利害関係者など 200,000 0.90%

稲田淳 従業員 132,200 0.60%

松本卓也 取締役CFO 100,300 0.45%

ブリーチ従業員持株会 特別利害関係者など 65,900 0.30%

松井俊昭 取締役 62,300 0.28%

中川修平 取締役 60,200 0.27%

(株)Scoville 取引先 50,000 0.23%

 本募集及び引受人の買取引受による売出しに関し、貸株人かつ売出人である大平啓介、売出人である株式会社大平事務所及び株式会社イングリウッド、当社株主であるブリーチ従業員持株会及び株式会社Scoville並びに当社新株予約権者であるコタエル信託株式会社、稲田淳、渡邉緑、相馬弘明、外川穣、浅井啓紀、伊藤明日斗、西村政晃、富田廣大、的山敦宏、荻原虎大、宇野健太、的山咲希、福田織浦、小澤裕希、青山嘉晃、甲野誠、中村悠人、鈴木大志、株式会社キープレイヤーズ、笹森諒、高原舞、川東亮介、赤木賢敏、株式会社ユニヴィストータルサービス、大川央倫、星洋子及びその他9名は、共同主幹事会社に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しにかかる元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2023年12月31日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中は、共同主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等を行わない旨を約束しております。


【代表者】

代表者名 大平 啓介(上場時36歳0カ月)/1987年生

本店所在地 東京都目黒区上目黒

設立年 2010年

従業員数 94人 (2023/04/30現在)(平均27.4歳、年収711.5万円)

事業内容 レベニューシェア型(同社の広告により獲得した新規ユーザー獲得数に、あらかじめ顧客企業と合意した新規ユーザー獲得当たりの報酬単価を乗じて計算されるレベニューシェア額を報酬として受領する成果報酬型のビジネスモデル)のインターネットマーケティング

URL https://bleach.co.jp/

株主数 5人 (目論見書より)

資本金 100,000,000円 (2023/06/01現在)

代表者略歴

2010年04月 ジャパンウェブリンク株式会社(現当社)設立代表取締役社長就任(現任)

2018年11月 株式会社大平啓介事務所(現株式会社大平事務所)設立代表取締役就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SMBC日興 - -

主幹事証券 野村 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 みずほ - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 松井 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 岩井コスモ - -


【参考類似企業】今期予想PER(6/14)

2122 Iスペース 8.2倍 (連結予想)

2130 メンバーズ 20.1倍 (連結予想)

2389 デジタルHD - (連結予想)

2461 ファンコミ 15.8倍 (連結予想)

2489 アドウェイズ 20.2倍 (連結予想)

2491 Vコマース 14.7倍 (連結予想)

3622 ネットイヤー 19.2倍 (単独予想)

4293 セプテーニHD 13.1倍 (連結予想)

4751 サイバエージ 35.3倍 (連結予想)

4784 GMO-AP 15.6倍 (連結予想)

6533 オーケストラHD 12.8倍 (連結予想)

7036 イーエムネットJ 11.9倍 (単独予想)

7044 ピアラ 50.9倍 (連結予想)

7095 MacbeeP 37.2倍 (連結予想)

9554 AViC 16.4倍 (単独予想)

9561 グラッドキュ 23.5倍 (単独予想)


【私見】

 レベニューシェア型のネット広告ということで、類似業種は多いですが優位性もあり評価はできますが、やや一部に怪しさもあるいう噂もあります。業績の伸びは非常によく、前期は売上が大幅増、今期は利益が大幅増と非常に良いです。PERからは適正で、成長力次第で上値余地はありそうです。規模が大きいですが、VCなしの完全ロックなので下値不安はなく、それなりの初値となるでしょう。


想定価額:1250円

仮条件上限:1340円

初値予想:2000円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

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