2023年6月19日月曜日

IPO分析(ジーデップ・アドバンス)

【事業内容】

 ​当社のシステムインキュベーション事業とは、主にAIやビジュアライゼーション、その他ビッグデータを取扱う市場における研究者や開発者のシステム環境上の課題に対して、最先端テクノロジーを用いたサーバー機等のハードウエアの提供といった当社オリジナルソリューションを提供することにより、今までとは違ったアプローチで研究や開発のスピードアップを支援するサービスとなります。

 具体的には、当社が認定とトレーニングを受けているグローバルコンピューティングカンパニーの最新のテクノロジーと、提携しているグローバルベンダーの製品を顧客の課題に合わせて適宜組み合わせ、ハードウエア等の企画・設計から構築・運用支援までのサービスをワンストップで提供いたします。企画・設計のフェーズでは顧客の課題をヒアリングし、最新のテクノロジーを組み合わせたオリジナルモデルの設計と提案を行い、そして構築のフェーズでは提案したハードウエアの提供に加えて、ハードウエアを効果的かつ効率的に動作させる環境の構築を行っています。更に運用支援フェーズでは、ハードウエアの保守・メンテナンスに加えて、継続的な開発環境のアップデートサービスを提供しシステムの性能向上を図ります。

 また、顧客の課題を解決する際に生み出された解決方法(ハードウエアやソフトウエア、その組み合わせ)をセミオーダー化して他の同様の課題を持っている顧客へソリューションサービスとして提供しております。


 (1)当社のサービスの特徴について

 「DXサービス」はソリューション提供のフローのヒアリングから環境設定までを対象としており、主なサービス内容としては顧客の課題解決に適したハードウエア及びソフトウエアの提供と、ハードウエアを効果的かつ効率的に動作させる環境の構築であります。ハードウエアの提供形態についてはオンプレミスのみならずクラウドやレンタルといった形態で提供するサブスクリプションサービスを提供しており、多様な顧客ニーズに柔軟に対応することが可能であります。

 「Service & Support」はソリューション提供のフローの運用支援を対象としており、当社の「DXサービス」を提供した顧客に対して、常に最新で安定したシステムをご利用頂くためにハードウエアの保守と、継続的な開発環境のアップデートを組み合わせた運用支援を提供しております。当社の顧客は研究開発を行っている顧客が多く、その後の安定稼働は重要な顧客ニーズとなっており、そのニーズに沿ったソリューションとして、この「Service&Support」を提供しております。

  

① DXサービス

 DXサービスとして「a.AI・ビジュアライズソリューションサービス」と、「b.その他DXソリューションサービス」を提供しております。加えて、ソリューションの提供方法もクラウドやレンタルでの導入を可能にする「c.サブスクリプションサービス」も提供しております。


a.AI・ビジュアライズソリューションサービス

 AIサービスを開発・運用するための製品やサービスの提供である「AIソリューションサービス」と、映像や画像を用いるコンピュータ処理を行うための製品やサービスである「ビジュアライズソリューションサービス」の2つで構成されています。

 

AIソリューションサービス

 AIサービスを開発・運用する顧客を対象としています。AIの開発では現在Deeplearningという手法が一般的に用いられており、当社ではDeeplearningを用いたAIの開発や運用に適した仕様のハードウエアと、Deeplearningで使用するソフトウエア(フレームワーク)、そのフレームワークを使いやすく設定したオリジナルのツールを組み合わせたターンキーシステム(電源を入れたらすぐに使えるシステム)を開発・組立・販売しています。


b.その他DXソリューションサービス

 データを大量に保管しておくための記憶装置(高速大容量ストレージ)の組立・販売や、高速にデータを送受信するための広帯域ネットワーク機器の販売・設定、ハードウエアの利便性を高めるためのソフトウエアの販売・設定、及びそれらを組み合わせたシステムの設計や構築となります。

 

c.サブスクリプションサービス

 当社のソリューションサービスはユーザーが資産として購入し、自社内で利用するオンプレミスによる提供の他に、レンタルやクラウドなどの「サブスクリプションサービス」として提供しております。

 当社のクラウドサービスの特徴は仮想化しないベアメタルクラウドであるという点です。従来の仮想化を基盤としたハイパーバイザー型のクラウドサービスは、低コストやスケーラビリティなどのメリットがある反面、物理環境の性能劣化が避けられません。一方当社のベアメタルクラウドは、その利用用途がAI、ビジュアライゼーション、HPC(注24)などの分野であることを想定し、従来のクラウドサービスにおける予算内でのフレキシブルな利用などのメリットをある程度享受しつつ、1ユーザー占有のベアメタルを仮想化されていない状態で提供することで、物理環境の性能劣化がなく、オンプレミスと同等の性能を実現することを主眼としています。更に、ベアメタルクラウドでは1ユーザーが1台の機器を占有することができるためセキュリティ面でも大きなメリットがあります。

 また、顧客のご要望に応じてクラウドではなく、レンタル形式で物理サーバーを提供するサービスも行っています。半導体の技術革新は猛烈なスピードで進化しており、18カ月から24カ月で新しいアーキテクチャ(注25)に置き換わります。当社の顧客は先端の研究開発を行っているユーザーが多く、常に最新の開発環境を利用して研究開発のスピードをあげることが重要なニーズとなっており、これに対応するため定額及び定期で当社の扱う先進的な技術を用いたソリューションを利用できるサブスクリプションサービスを提供しております。


② Service&Support

 当社が提供する全てのソリューション(ハードウエア、ソフトウエア、構築ノウハウ)に対してハードウエアの保守だけではなく継続的な環境のアップデートを通して、常に最新で安定したシステムとして利用頂くためのオプショナル運用支援サービスです。

 具体的には、ハードウエアの保証の他、サポート問い合わせ、メンテナンスパーツストック、オンサイト保守(出張保守)、パフォーマンスベンチマーク、利用環境アップデート、プライベートレクチャーの提供を行っております。これにより顧客はシステム環境の保守・運用に顧客自身のリソースを割くこと無く、常に最新で安定した状態で稼働できるシステムを利用可能であり、本来の業務に専念して頂くことが可能となります。

 当社の顧客は研究開発を行っている顧客が多く、システムの安定稼働とダウンタイムの短縮は重要な顧客ニーズとなっています。これらのニーズに沿ったソリューションとして、この「Service&Support」を提供しております。


(2)当社のビジネスモデルについて

 当社の「①DXサービス」のうち、「a.AI・ビジュアライズソリューションサービス」及び「b.その他DXソリューションサービス」はフロービジネスであり、「①DXサービス」のうち「c.サブスクリプションサービス」及び「②Service&Support」はストックビジネスであります。

 「a.AI・ビジュアライズソリューションサービス」及び「b.その他DXソリューションサービス」を提供している顧客に対して、「②Service&Support」を併せて提供することにより、フロー売上に加えてストック型の売上を計上しております。


(3)当社の事業の特徴について

① パートナーシップ

 当社は半導体のグローバルコンピューティングカンパニーであるNVIDIA社、Intel社、Advanced Micro Devices, Inc.(以下「AMD社」という。)、XILINX社からパートナー認定を受けております。なお、商材については各グローバルコンピューティングカンパニーの国内代理店から購入するスキームとなっております。


② ストックビジネス化による正のスパイラル創出

 導入支援のみならず、「Service&Support」を通じた運用支援を行うことにより、当社のサービスを顧客に享受頂き、それが満足度の向上となり、次のフロービジネス(DXサービス)の案件創出へとつながります。そして更に新たな「Service&Support」へつながるという、“正のスパイラル”が当社の価値となっております。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/05 単独3Q累計実績 2,947 478 491 321

2023/05 単独会社予想 3,766 561 568 371

2022/05 単独実績 3,491 405 447 283

2021/05 単独実績 3,442 343 380 233


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/05 単独会社予想 309.38 1,262.84 62.00


上場時発行済株数 1,320,000株(別に潜在株式73,200株)

公開株数 460,000株(公募120,000株、売り出し280,000株、オーバーアロットメント60,000株)

調達資金使途 運転資金、設備資金


PER:14.6

PBR:

配当利回り:1.4%

公募時吸い上げ資金:20.7億

公募時時価:60億

​   

【株主構成】 

(株)IAM 役員らが議決権の過半数所有 758,000 59.54% 180日

飯野匡道 代表取締役社長 366,400 28.78% 180日

飯野亜矢子 代表取締役の配偶者 75,600 5.94% 180日

大橋達夫 取締役 24,000 1.89%

小島広 取締役 12,000 0.94%

堀籠学 従業員 7,400 0.58%

高橋千晶 従業員 5,000 0.39%

大宮和子 従業員 4,800 0.38%

永井基一郎 執行役員 3,600 0.28%

藤波雅人 執行役員 3,400 0.27%


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である飯野匡道、当社株主である株式会社IAM及び飯野亜矢子は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後180日目の2023年12月26日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得することを除く。)等を行わない旨合意しております。


【代表者】

代表者名 飯野 匡道(上場時57歳11カ月)/1965年生

本店所在地 宮城県仙台市青葉区国分町

設立年 2016年

従業員数 21人 (2023/04/30現在)(平均41.3歳、年収620.9万円)

事業内容 AI(人工知能)学習など高度な処理を可能とするハードウエアなどの販売事業

URL https://info.gdep.co.jp/

株主数 3人 (目論見書より)

資本金 30,000,000円 (2023/05/26現在)

代表者略歴

1988年06月 オムロン・マイコンシステムズ株式会社 (現 ソフトバンク株式会社)入社

1993年11月 トーワ電機株式会社入社

2001年08月 トーワ電機株式会社取締役就任

2010年03月 日本GPUコンピューティング有限責任事業組合理事長就任

2012年06月 日本GPUコンピューティング有限責任事業組合副理事長就任(現任)

2016年01月 当社代表取締役社長就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 みずほ - -

引受証券 野村 - -

引受証券 岡三 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 松井 - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 極東 - -

引受証券 あかつき - -

引受証券 SBI - -


【参考類似企業】今期予想PER(6/2)

3054 ハイパー 31.3倍 (連結予想)

6597 HPCシステムス 67.5倍 (単独予想)

6599 エブレン 8.3倍 (連結予想)

6670 MCJ 9.4倍 (連結予想)

6734 ニューテック 8.8倍 (連結予想)

6836 プラットホーム 150.7倍 (単独予想)


【私見】

 DXサービスではありますが、DX関連などのハードの提供が中心で、ソフト中心の他のDX銘柄とはやや異なり、評価は落ちます。ただし、エヌビディアのパートナーでもあるので、エヌビディア銘柄としても優位性はあります。ソフトなら高PERが容認されるのですが、スタンダードの卸売り業なので、30までが限界ラインと感じます。単価が高いので吸収金額はやや大きめですが、数は少なく、VCなしの完全ロックなので需給面では評価できます。


想定価額:4170円

仮条件上限:4510円

初値予想:8000円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

2 件のコメント:

  1. 日経平均銘柄の上昇が目立ちましたが、新興銘柄にも資金が回ってきましたね。保有するカバーはabejaと共に上昇が目立ちました。それにしても、ヘッドウォータースの上昇は凄まじいですね。
    時価総額的にも、5000円以下の時に少し買えば良かったです。

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  2. と真ん中の良い銘柄買っていますね。ヘッドウォータース、ノーマークでしたが綺麗な右肩上がりの動きですね。

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