2023年6月9日金曜日

IPO分析(ブリッジコンサルティンググループ)

 【事業内容】

(1)特性

 ワーキングプラットフォーム「会計士.job」というメディアを運営しており、当メディアには、様々な経験と知見を有している公認会計士等が2023年3月時点で3,800名超登録しており、1年間の稼働者数は223名となっております。当社所属のコンサルタントは、クライアントニーズに適合したサービス提供するため「会計士.job」の登録者から最適なパートナー会計士を抽出・アサインし、プロジェクトを実行していくというプロシェアリングモデルを活用しております。プロシェアリングモデルを活用することにより、より細かいニーズに的確に対応したサービスが可能となり、3,800名超というリソースにより、ご依頼からサービス提供までのセットアップ期間が短く、リソースを効率よく活用していくため適切な価格でのサービス提供が可能となっております。

 提供サービスとしては、設立時から一貫してIPOを志向されるクライアントが多く、IPO支援に関して2022年のIPO会社への関与割合が17.6%と屈指の実績を誇っており、IPOに向けて発生する課題を過去の経験や最新の状況を踏まえて効率的に解決していくことが可能となっております。また、決算開示や内部管理体制の整備、M&Aに関連したサポートなど企業成長において継続して生じるクライアントニーズに対し必要なリソースを提供し解決しております。これらの支援はコンサルタント及びパートナー会計士がクライアントとチーム一丸となり、口頭でのアドバイスのみではなく、実際に手を動かす形での支援を実施しております。当社はこれまでに積み重ねてきたノウハウのチェックリスト化や、業務オペレーションの最適化により、IPO準備を始めとしたクライアントの経営管理課題の有効性の向上と業務の効率性の両立を追求しております。


(2)サービス概要

 経営管理における課題を解決することで積み重ねてきたナレッジのシェアを軸とした「経営管理コンサルティングサービス」、「プロフェッショナル人材の紹介」等、公認会計士人材の経験・知見のデータベース化・最適配分を通じて、経営管理の課題解決を支援するプロシェアリング事業及び付帯関連事業を実施しております。なお、東京証券取引所の市場再編への対応やIPO市場の盛り上がりを背景に成長を志向する企業へのご支援を拡大しております。

 主なサービスラインナップは当社売上の9割超を占める「経営管理コンサルティングサービス」としての①IPO支援、②リスクマネジメントサービス、③アカウンティングサービス及び④ファイナンシャルアドバイザリーサービスと「プロフェッショナル人材の紹介」としての⑤プロフェッショナル人材紹介サービスとなります。

 「経営管理コンサルティングサービス」は当社コンサルタントとパートナー会計士がチームを組成し、パートナー会計士による実際に手を動かすサポートを、当社コンサルタントがプロジェクトマネジメントを行うことでクライアントに伴走した支援を実施します。また、「プロフェッショナル人材の紹介」は当社コンサルタントがクライアントの人材ニーズをもとに適切な候補者を紹介しております。各サービスの内容は以下のとおりです。


① IPO支援

 上場(IPO)準備・市場区分の変更を進める上で、様々な課題を支援し、解決へ導く「IPO総合支援」や、申請書類(Ⅰの部、Ⅱの部、各種説明資料)の作成等、IPOに関連する様々な経営課題を、IPO専門知識や経験、能力を有する人材と共に解決して参ります。

 これまでのIPO準備はインソース(内製)のみでの実施が当たり前とされてきましたが、強固な経営管理体制構築の必要性、ノウハウ不足の補填、人材不足の補充等の理由から当社へのアウトソーシングの依頼が増加しています。IPOの専門的な知識や能力を有する人材は社内のみならず社外でも想像以上に貴重な人材で中々見つからず、IPO経験のある経理担当者を新規採用するにも採用活動には「時間」「手間」「コスト」「ミスマッチ」など様々なリスクがあります。

 また、Web上にはIPOに関する情報が散乱していますが、IPOに関する経験者が不在で自社の状況を勘案して全体を通して「いつまでに」「何を」「どうやって」準備したらよいのか、誰に相談したらよいかわからないなどの不安・お悩み・問題があり、これら経営課題の解決を行っております。


② リスクマネジメントサービス

 当社が提供している「リスクマネジメントサービス」は、J-SOX(内部統制)支援、内部監査支援、海外子会社管理、IT監査、不正調査など、企業が抱える様々なリスクへの適切な対応をサポートしております。上場・非上場問わず、企業が考える法令遵守や不正防止など、様々なリスクに対して企業の状況を踏まえた優先順位をつけ、優先度の高いリスクを中心にアプローチするサービスを行っております。これらのサービスは人手不足で当社へアウトソーシングする企業が増えております。

 「J-SOX(内部統制)」支援は、外部の視点を取り入れることで、リソース不足の解消だけではなく、経営効率の改善も期待できる改善提案も提案するなど「意味のある」監査の実行を図る企業が増加しており、当社への依頼が増加しております。また、企業成長に欠かせない「内部監査」は①IPO支援でも記載のとおり、当社へのアウトソーシングの依頼が増加しています。当社では、昨今の時代の流れの速さ、ビジネスリスクの複雑化等から必要性が増している内部監査業務にいち早く特化し、多くの実績を積んできました。人的リソース不足やノウハウ不足を、プロフェッショナル人材を活用することで解消するとともに、より効果的かつ効率的な内部監査の実施をご支援しております。


③ アカウンティングサービス

 バックオフィスに関する「決算開示」、「クラウド会計導入」、「決算早期化・管理体制強化」、「IFRS導入」などを支援しております。当社が運営している3,800名超の公認会計士等が登録しているサイト「会計士.job」から最適な人材と共に、経営課題の解決を行っております。

「決算開示」では、金融商品取引法・会社法で求められている開示書類の作成をご支援いたします。クライアントのビジネスを理解し、スケジュールの策定と決算上のトピックスの洗い出しから始めます。また、連結子会社があれば、迅速な連結決算の実行が不可欠です。しかしながら、子会社の決算報告について問題を抱えていたり、会計処理が複雑化することで悩んでいたりする会社も多いのが現状です。当社は、決算業務の経験を有する公認会計士等が現場において決算に必要な根拠資料等の作成サポートや実際の開示書類への落とし込みまで決算業務そのものをご支援し、開示作業につなげてまいります。決算業務はもちろん、会計監査人への対応として、監査法人との会計処理や開示処理に関するコミュニケーションにおける情報・考え方の整理などのご支援も行います。決算体制を強化したいクライアント、決算早期化を目指したいクライアントにフィットするサービスです。

 IPO準備会社向けの「クラウド会計導入」では、クラウド会計システムの導入を検討しているクライアントに対し、知識・経験を有した公認会計士等が、クライアントのビジネスを理解し最適なクラウド会計システムのご利用に関してシステムの選定から導入・運用の安定化までを支援いたします。

 「決算早期化・管理体制強化」では、現状の業務フローを把握することで、必要な業務と過度な業務の見直しや統制の追加などを行い管理体制を強化することにより決算の早期化をご支援いたします。管理体制の強化および決算の早期化はスピーディーな経営分析を促進し、経営力の強化につながります。しかしながら、正確かつスピードが求められる決算作業は非常に煩雑であり、多くの担当者を悩ませています。企業の規模や業種によってもあるべき管理体制は千差万別です。ツール導入だけでは解決できないほど社内プロセス含めた管理体制が複雑になってしまっていることも少なくありません。当社では多くの成長企業をご支援してきた実績をもとに企業にとってのあるべき管理体制の構築をお手伝いします。

 「IFRS導入」は、クライアントのIFRS(国際財務報告基準)の導入を検討段階から実際の開示書類の作成まで伴走する形でご支援いたします。IFRSは日本企業でも導入が進んできているとはいえ、経験者が不足していることなどから「対応が難しい」「コストがかかる」「実務負担が増える」ことが多いです。当社では成長企業を数多く支援してきた実績を生かし、クライアントの業務実態に見合ったIFRS導入・開示支援をいたします。


④ ファイナンシャルアドバイザリーサービス

 我々はこれまでに培ってきたM&Aに関する支援実績から得られた知見を活かして適切な支援サービスを提供致します。当社は、M&Aアドバイザリー、デューデリジェンス業務、各種バリュエーション、M&A後のPMI(※1)支援をワンストップサービスにより窓口を一本化し提供しております。各専門家とのネットワークにより、デューデリジェンスの領域を幅広にカバーしております。

 これらは専門分野ごとに依頼することが一般的ですが、窓口が複数になると買収・買収対象企業にとって大きな負担となります。また、専門家の間で情報交換がなされないことで、担当者のコミュニケーションコストが増大したり、各報告書の整合性がとれていなかったりという問題が生じますが、当社では窓口を一本化して各DDの専門家と連携していますので、クライアントに無駄な負担をおかけしません。


⑤ プロフェッショナル人材紹介サービス

 当社は「会計士.job」ネットワークにより2023年3月時点で3,800名を超えるプロフェッショナル人材のスキル情報を有し、外部の人材データベースも活用することで十分な知識や能力を有する最適な人材をスピーディーに紹介することが可能です。企業の人材ニーズを的確に判断し、CFO、IPO準備室長、経理部長、監査役等の経営管理体制の強化に必要なハイクラス人材を紹介しております。

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【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/09 単独中間実績 789 101 101 69

2023/09 単独会社予想 1,598 111 110 77

2022/09 単独実績 1,270 96 95 64

2021/09 単独実績 970 100 101 66


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/09 単独会社予想 40.24 - 0.00


上場時発行済株数 2,031,400株(別に潜在株式189,900株)

公開株数 230,000株(公募100,000株、売り出し100,000株、オーバーアロットメント30,000株)

調達資金使途 本社移転費用


PER:25.1

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:2.3億

公募時時価:21億

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【株主構成】 

宮崎良一 代表取締役 554,000 29.02% 180日

GOOD ONE PARTNERS(同) 代表取締役の資産管理会社 399,600 20.93% 180日

WMグロース4号投組 投資業(ファンド) 292,700 15.33% 90日・1.5倍

(株)プロネクサス 資本業務提携先 172,500 9.04% 180日

(株)エスネットワークス 資本業務提携先 80,000 4.19% 180日

パーソルテンプスタッフ(株) 取引先 69,600 3.65% 180日

田中智行 執行役員 34,200 1.79% 180日

稲岡賢 執行役員 34,200 1.79% 180日

伊東心 取締役 26,400 1.38% 180日

フリー(株) 特別利害関係者など 23,100 1.21% 180日

(株)日本M&Aセンター 特別利害関係者など 23,100 1.21% 180日

ギークス(株) 特別利害関係者など 23,100 1.21% 180日


(1)TOKYO PRO Marketにおける当社普通株式の取引(気配表記も含む。)がブックビルディング方式による発行価格及び売出価格の決定に影響を及ぼすおそれを可及的に排除する観点から、本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、貸株人である宮崎良一、売出人であるWMグロース4号投資事業有限責任組合、当社株主又は新株予約権者である株式会社プロネクサス、株式会社エスネットワークス、パーソルテンプスタッフ株式会社その他39名の計44名(新株予約権者含む全株主)は、主幹事会社に対し、本書提出日から当社普通株式に係るTOKYO PRO Marketからの上場廃止予定日である2023年6月25日までの期間中は、本書提出日現在に自己の計算で保有する当社普通株式(当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した当社普通株式を含む。)の売却等又はこれらに係る注文を行わない旨を約束しております。

(2)本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、貸株人である宮崎良一、当社役員である伊東心、土谷祐三郎、山田琴江及び大友潤並びに当社株主であるGOOD ONE PARTNERS合同会社、株式会社プロネクサス、株式会社エスネットワークス、パーソルテンプスタッフ株式会社、田中智行、稲岡賢、本田琢磨、中山博行、豊田史朗、フリー株式会社、株式会社日本M&Aセンター及びギークス株式会社は、主幹事会社に対し、東京証券取引所グロース市場への上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2023年12月22日までの期間(以下「ロックアップ期間①」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式(当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した当社普通株式を含む。)の売却等(ただし、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと及びグリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等は除く。)は行わない旨合意しております。

 加えて、売出人であるWMグロース4号投資事業有限責任組合及び当社株主であるNCBベンチャー投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2023年9月23日までの期間(以下「ロックアップ期間②」といい、ロックアップ期間①とあわせて以下、「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及び当社普通株式の売却価格が本募集等における発行価格又は売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う株式会社東京証券取引所での売却等を除く。)は行わない旨合意しております。

【代表者】

代表者名 宮崎 良一(上場時40歳5カ月)/1983年生

本店所在地 東京都港区虎ノ門

設立年 2011年

従業員数 58人 (2023/04/30現在)(平均36.6歳、年収724.7万円)

事業内容 公認会計士人材の経験・知見のデータベース化・最適配分を通じて、経営管理の課題解決を支援するプロシェアリング事業および付帯関連事業

URL https://bridge-group.co.jp/

株主数 22人 (目論見書より)

資本金 121,080,000円 (2023/05/19現在)

代表者略歴

年月 概要

2006年12月 監査法人トーマツ(現有限責任監査 法人トーマツ)入所

2011年10月 (株)Bridge(現当社)設立 代表取締 役(現任)

2016年01月 (株)Casa監査役(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SBI 170,000 85.00%

引受証券 SMBC日興 14,000 7.00%

引受証券 極東 2,000 1.00%

引受証券 東海東京 2,000 1.00%

引受証券 マネックス 2,000 1.00%

引受証券 楽天 2,000 1.00%

引受証券 Jトラストグローバル 2,000 1.00%

引受証券 あかつき 1,000 0.50%

引受証券 岩井コスモ 1,000 0.50%

引受証券 岡三 1,000 0.50%

引受証券 ひろぎん 1,000 0.50%

引受証券 松井 1,000 0.50%

引受証券 丸三 1,000 0.50%


【参考類似企業】今期予想PER(5/30)

4490 ビザスク 127.9倍 (連結予想)

6539 MS-Japan 18.1倍 (連結予想)

6563 みらいWK 29.4倍 (連結予想)

7060 ギークス 21.4倍 (連結予想)

7379 サーキュ 15.6倍 (単独予想)

9246 プロジェクC 27.9倍 (連結予想)

9344 アクシスC 19.7倍 (連結予想)

9556 INTLOOP 38.3倍 (単独予想)


【私見】

 公認会計士のシェリング事業で、完全な類似業種はないことは評価できますが、IPO支援などが中心で、そういった意味では類似業種もあり、大きな優位性はあるとは言い難いです。業績は小粒で、プロ市場の時価総額からは割安感がありますが、業績からは上値余地はそこまで大きくはないと思います。吸収金額が極端に小さいことは人気材料ですが、PRO市場からの鞍替えで、買いは少なく初値以外は妙味はないと予想します。


想定価額:1010円

仮条件上限:1300円

初値予想:2500円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

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