2021年3月2日火曜日

IPO分析(ウイングアーク1st)

 【事業内容】

[帳票・文書管理ソリューション] 

 帳票・文書管理ソリューションは、帳票に関する業務基盤として国内で最も多く利用されているソフトウェア及びそれらをベースとしたソリューションを提供しています。請求書、納品書、発送伝票、eチケットなどの業務帳票から公的機関が発行する各種証明書まで社会の様々な場所で帳票の作成や出力、管理に利用されています。主力の「SVF」は、帳票の作成や出力を担っています。現在では「SVF」での帳票出力の85%はデジタル化されています。文書管理基盤の「SPA」と合わせて企業、公的機関の双方でデジタル化による業務の効率化に貢献しています。 

 当社グループは帳票ソフトウェアの先駆者として、多くの顧客にご利用頂いており、機能の豊富さやシステムの安定性等が評価されております。その結果、「SVF」の帳票市場における市場シェアは、68.3%となっております。主なソフトウェア及びサービスは以下のとおりです。 


(a)SVF 

 当社グループの主力製品である「SVF」は、帳票開発の効率化と多様な出力要件に応えるための帳票基盤ソリューションです。「SVF」は、日本固有の複雑な帳票フォームをノンプログラミングで直感的に設計し、PDF、Excel、紙などへ多様な形式で出力できるソフトウェア/ソリューションです。独自開発のソフトウェアにより高い汎用性を有しており、メーカーやOSの種類に依存しない帳票運用を実現しています。企業や公的機関の多くで複数のシステムを共通化した帳票基盤として活用されており、システム運用の効率化や内部統制の強化に貢献しています。

 「SVF Cloud」は、従来の「SVF」の強みに加え、柔軟性とリアルタイム性を兼ね備えた帳票クラウドサービスです。クラウド上でのSFAサービスを提供している株式会社セールスフォース・ドットコムと連携した「SVF Cloud for Salesforce」やビジネスプラットフォームを提供しているサイボウズ株式会社と連携した「SVF Cloud for kintone」を提供しております。更に、Web API機能により様々なクラウドサービスと連携し、企業間のシステムの違いやシステム変更にも柔軟に対応することができます。また、外出先で、スマートフォンやタブレットからその場でPDFの見積書を出力する、といったリアルタイム性が求められる場面での利用も可能となっております。 

 

(b)SPA 

 「SPA」は、企業や公的機関で流通している帳票を電子化し、一元管理することで、その後の業務の自動化や効率化に貢献するソフトウェア及びクラウドサービスです。「SPA」は、電子文書の保管・管理業務を効率化するとともに、電子化された文書からデータを抽出し、他の業務システムに連携させることができます。従来手作業で行っていたデータ入力業務の自動化を行うとともにシステム間のシームレスなデータ連携をサポートします。また、「SPA」では利用者が設定したルールにもとづき、電子化された文書を自動で該当のフォルダへ保管することができます。これにより担当者がファイルの内容を確認しながら、手作業で分類するといった業務が不要になり、文書管理工数の削減が可能となります。

  

[データエンパワーメントソリューション]

 データエンパワーメントソリューションでは、エンドユーザーに対して、ソフトウェアの販売、クラウドサービス、保守サポートの提供を主に行っております。これらは様々な種類のデータを組み合わせ、分析することにより、気づきや今までにない価値を生み出すビジネスの基盤となる(一般的にビジネスインテリジェンス(Business Intelligence)と呼ばれる)ソフトウェア及びそれらをベースとしたソリューションを提供しています。生産性の向上やビジネスプロセスの効率化による経営スピードの向上を実現することをコンセプトとし、データの集計、分析、可視化、意思決定支援というデータ活用の一連の流れをカバーしており、経営者から現場の業務担当者まで多くの方々にご利用頂いております。主なソフトウェア及びサービスは以下の通りです。

 

(c)Dr.Sum 

 「Dr.Sum」は、企業内外のデータを収集、蓄積し、そのデータを加工・分析することによって企業の意思決定に活用することを目的としたソフトウェアです。「Dr.Sum」は数百億件ものビッグデータを数秒で処理できる性能と、ユーザーが使い慣れたwebベースとExcelベースのユーザーインターフェースを備えており、システム担当者でなくともビッグデータの集計や分析を容易に行うことが可能となっております。また、「Dr.Sum」上で販売や会計といった社内の様々なデータを統合管理することで、企業を支える情報分析基盤として利用されております。

  

(d)MotionBoard

 「MotionBoard」は、企業をとりまく様々なデータを価値ある情報に変え、企業にイノベーションをもたらすことをコンセプトとした情報活用ダッシュボードです。

 第一の特徴は多彩な表現力です。PC画面上にグラフィカルな数多くのチャートを自由に配置可能で、業務内容の確認から事業戦略の遂行状況の確認まで、目的に合わせた使い方が可能です。また、GIS機能を備えており、位置情報を持つデータを地図上にプロットすることが可能です。これにより、競合店舗情報と人口動態情報を組み合わせた店舗戦略や走行情報を利用したトラックの運行管理等、新しい情報活用の形が生まれております。第二の特徴は、リアルタイム処理です。「MotionBoard」は、基幹システム、情報系システム、SFAや CRM、外部のクラウドサービス等様々なデータソースとリアルタイムに接続し、これらの情報を一つのチャート上で統合し、分析して可視化することができます。またノンプログラミングで利用できることが特長で、多くは企業内のシステムに組み込まれる形で利用されています。近年では、Salesforceと連携した営業の生産性向上や小売業でのビッグデータ活用に加え、IoTで発生するデータの分析、可視化や閾値の設定によるリスク検知等にも利用されています。第三の特徴は、高いメンテナンス性です。通常、情報システムの構築は、高度な知識を持ったシステム担当者が行うことが一般的ですが、「MotionBoard」は、ユーザーが自由な発想で可視化や分析を行うことを想定しているため、データの設定から表示項目やチャートの選定、配置までユーザー自身で行うことが可能です。これにより、業務フローの変更等にも迅速に対応できます。

 

(e)プロフェッショナルサービス 

 当社グループのソフトウェア及びサービスは、導入が容易であることが特徴の一つですが、大規模案件では、複雑なシステム要件が発生することがあります。そのような場合には、システムに熟知した当社の技術スタッフが、導入支援サービスの提供を行っております。また、近年では、製造業でのIoTを用いた工場の可視化や小売業でのビッグデータ分析といった業界特有の課題解決のニーズが増加しており、このような要望に対しては、社内の専門チームが要件定義から導入まで、総合的なコンサルティングサービスを提供しております。

 

【業績等】

業績動向(百万円) 売上収益 営業利益 税引き前利益 純利益

(連結実績)2019.2 17,287 4,887 4,738 3,293

(連結実績)2020.2 18,677 5,684 5,523 4,076

(連結予想)2021.2 18,000 3,300 3,230 2,309

(連結予想)2022.2 19,000 5,880 5,760 4,118


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(連結予想)2022.2 134.16 -  - 

調達資金使途 -


上場時発行済み株数 31,198,000株 (別に潜在株式4,450,500株)

公開株数 12,229,800株(売り出し10,634,700株、オーバーアロットメント1,595,100株)


PER:11.9

PSR:2.4

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:182億

公募時時価:464億

    

【株主構成】 以下90日

CJP WA Holdings, L.P. ベンチャーキャピタル(ファンド) 12,229,830 34.79

IW.DXパートナーズ(株) 資本業務提携先の子会社 7,643,470 21.75

東芝デジタルソリューションズ(株) 資本業務提携先 4,604,700 13.10

Sansan(株) 資本業務提携先 2,394,800 6.81

モノリス有限責任事業組合 役員らが議決権の過半数を所有する会社 1,400,000 3.98

(株)PKSHA Technology 資本業務提携先 1,174,900 3.34

鈴与(株) 資本業務提携先 537,300 1.53

(同)PKSHA Technology Capital ベンチャーキャピタル(ファンド) 360,000 1.02

内野弘幸 取締役会長など 280,000 0.80

(株)データ・アプリケーション 資本業務提携先 214,200 0.61


引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人及び貸株人であるCJP WA Holdings, L.P.、当社の株主であるIW.DXパートナーズ株式会社、東芝デジタルソリューションズ株式会社、Sansan株式会社、モノリス有限責任事業組合、株式会社PKSHA Technology、鈴与株式会社、合同会社PKSHA Technology Capital、株式会社データ・アプリケーション及び株式会社タケオホールディングス並びに当社の新株予約権者である内野弘幸、田中潤、藤本泰輔、島澤甲、森脇匡紀、久我温紀、大澤重雄、吉田善幸、森下将憲、渡會公士及び浅田泰輔は、野村證券株式会社、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社及びモルガン・スタンレーMUFG証券株式会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含みます。)後90日目の2021年6月13日(当日を含みます。)までの期間中、野村證券株式会社、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社及びモルガン・スタンレーMUFG証券株式会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(但し、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのための当社普通株式の貸渡し、グリーンシューオプションの行使に基づく当社普通株式の売却等を除きます。)を行わない旨を約束する書面を2021年3月8日付で差し入れる予定であります。


【代表者】

代表者名 田中 潤(上場時44歳3カ月)/1976年生

本店所在地 東京都港区六本木

設立年 2016年

従業員数 592人 (1/31現在)(平均40歳、年収769.1万円)、連結689人

株主数 12人 (目論見書より)

資本金 200,000,000円 (2/18現在)

代表者生年月日 1976年11月22日生まれ

代表者略歴

1999年04月 (株)エリスネット 入社

2004年09月 当社 入社

2012年03月 1stネクスパイア(株) 代表取締役  5月 当社 取締役

2017年05月 当社 取締役副社長  SPACE-TIME RESEARCH PTY. LTD. (現 WINGARC AUSTRALIA PTY LTD) Director(現任)

2018年01月 (株)Everforth 取締役(現任)  3月 文雅科信息技術(大連)有限公司 董事(現任)

2018年05月 当社 代表取締役社長

2018年09月 SFインベストメント(株) 代表取締役(現任) (株)Optimus Capital 代表取締役(現任)  10月 文雅科信息技術(上海)有限公司 董事長(現任)

2020年06月 当社 代表取締役社長兼CEO(現任)


【幹事団】

主幹事証券 野村 - -

主幹事証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -

主幹事証券 モルガン・スタンレーMUFG - -

幹事証券 みずほ - -

幹事証券 SMBC日興 - -

幹事証券 大和 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 楽天 - -


【参考類似企業】今期予想PER(2/25)

2492  インフォマート 518.8倍(連結予想 )

3763  プロシップ 17.5倍(連結予想 )

3836  アバント 33.7倍(連結予想 )

3916  DIT 24.2倍(連結予想 )

3923  ラクス 119.3倍(連結予想 )

4733  OBC 50.6倍(単独予想 )

4776  サイボウズ 1,006.8倍(連結予想 )

4832  JFE-SI 8.7倍(連結予想 )

8023  大興通 15.3倍(連結予想 )

9629  ピーシーエー 20.2倍(連結予想 )


【私見】

 カーライルの出口案件で2回の上場延期などイメージが良くなく、今回も苦戦が予想されます。しかし、サーバーワークスとの提携やPKSHA Technologyの出資や業績面でいくらかは良いのかもしれません。需給はロックはかかっており問題はありませんが、東1とはいえ、外資の出口案件で買い手不在の公募割れが予想されます。


想定価額:1490円

仮条件上限:1590円

初値予想:1500円

ブック申し込み度・・・弱気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価2

0 件のコメント:

コメントを投稿