2021年3月5日金曜日

IPO分析(ココナラ)

 【事業内容】

 (1)当社の事業内容

 当社は、様々な分野の知識・スキル・経験に基づくサービス・役務をユーザー間で売買するマーケットプレイスを運営しております。スキルのマーケットプレイス「ココナラ」を主として展開しておりますが、その他に、より良いUI、UXを提供するため、ユーザーが弁護士へ法律相談ができる「ココナラ法律相談」、またユーザー同士が対面で会ってサービス提供ができる「ココナラミーツ」を展開しております。なお、「ココナラ法律相談」では「ココナラ」とユーザーIDを統一しサービスを横断的に利用できるようにしており、「ココナラミーツ」では「ココナラ」とユーザーIDを連携することができ、横断的な利用を可能にしております。


① 「ココナラ」

 「ココナラ」はユーザー間(出品者及び購入者)における多種多様な知識・スキル・経験に基づくサービス・役務の売買を行うマーケットプレイスであります。ユーザーが「ココナラ」を使うメリットとして、本業として利用する出品者にとっては本人に代わって集客がなされることで収入が増加する、また、副業として利用する出品者には、副収入が得られる、自分のスキルが人の役に立つことによる喜びが得られるといったことが挙げられます。また、購入者側はコストパフォーマンスが高い(既存業者に依頼するよりも移動が不要であり、自身の期待や予算に合った価格帯を選ぶことができる)、多様な出品サービスや幅広いカテゴリから選べる、いつでも必要な時に必要な分だけ購入できる、個々のニーズに合致しているものが見つけやすいといったことが挙げられます。

 購入者は約40万件(2020年11月末)に及ぶ各種出品サービスから、自らが必要とするサービス・役務を選択・購入することが可能であります。また、希望する出品サービスが無い場合には、「見積り・カスタマイズ相談」や「仕事・相談の公開依頼」を通じて特定・不特定の出品者からの提案を募集することが可能であります。

 なお、当社は出品者のサービス提供完了時に、ユーザー間の取引金額の一定率(25%を基本とし、取引金額が5万円超となる場合は段階的に低減)を手数料として受領しております。


(a)サービスの流れについて

 「ココナラ」では、自らの知識・スキル・経験を生かしたサービス・役務を出品者が出品します。出品者は、出品前に予めテキスト、電話またはビデオチャットのいずれかの形態でサービス提供するかを選択し、当社が提供する機能を通じてその形態でのみ出品されることになります。購入者は、多様な出品サービスの中から希望するサービス・役務を選択し購入します。購入後、出品者と購入者の間で提供サービスにかかるダイレクトメッセージのやりとりが開始されます。メッセージは、非公開の専用トークルームにおいて行われ、相談事項に対する回答・アドバイスの提供、依頼事項に基づく成果物の提供等の役務提供が終了した時点で、サービス提供が完了となります。

 出品者及び購入者間における取引代金の授受については、購入時に当社が購入者より受領し、サービス提供完了後に、サービス売上金(当社手数料控除後)が出品者に付与されます。


(b)多種多様な出品サービスを有していること

 「ココナラ」は、出品者が、自らの知識・スキル・経験を出品サービスとして提供することにより、ユーザーが購入できるマーケットプレイスであり、個人が有する幅広い分野の知識・スキル・経験に基づいて、出品者約20万人により約40万件(2020年11月末)のサービスが出品されております。

 出品者が、自分ができることを商品化したサービスを、先に出品し、購入者が出品されているサービスを閲覧して購入する流れになっているため、メジャーなものからニッチなもの、高品質なものからカジュアルなものまで、幅広く出品されております。この結果、多様なユーザーのニーズに応える多種類の出品があふれ、購入者にとっても、広範な世代のニーズにマッチしたサービスが出品されており、自らが必要とするサービスを発見することが容易になっております。例えば、法人や個人事業主向けには、例として起業相談、マーケティング、企業ロゴ・名刺作成、会社HP作成、WEB集客サポートという起業から事業拡大までの一連の業務に関する出品物が存在しています。また、個人向けの例として、恋愛相談、ダイエットアドバイス、招待状作成、似顔絵作成、ムービー制作、ハネムーンプラン作成という各個人のライフステージやライフスタイルに沿った一連のイベントに関する出品物も存在しております。

 また、購入者によるサービスの検索を容易にするために、出品サービスを21カテゴリ及び211サブカテゴリに区分しております。

 当社では各カテゴリを制作・ビジネス系カテゴリと相談系カテゴリの大きく2つに分類しております。過去より「占い」関連サービスに関する取引が活発に行われてきた結果、相談系カテゴリの取引割合が多数を占めておりました。2018年以降、「PRO認定制度」、「見積り・カスタマイズ相談」、「法人アカウント」、「出品者検索」の導入や、「プロフィールページ」、「仕事・相談の公開依頼」のリニューアル等の施策により、制作・ビジネス系カテゴリが拡大しており、現在ではその流通高が半数を超えております。


 各カテゴリの分類は以下のとおりであります。

分類  カテゴリ  制作・

ビジネス系カテゴリ (12カテゴリ)

 イラスト・似顔絵・漫画、デザイン、Webサイト制作・Webデザイン、集客・Webマーケティング、ライティング・ネーミング、音楽・ナレーション、動画・写真・画像、翻訳・語学、IT・プログラミング、士業(行政書士・税理士etc.)、ビジネス相談・アドバイス、ビジネスサポート・代行


相談系カテゴリ (9カテゴリ)

 占い、悩み相談・カウンセリング、マネー・副業・アフィリエイト、恋愛・結婚、美容・ファッション・健康、ライフスタイル、キャリア・就職・資格・学習、趣味・エンターテイメント、その他


(c)ユーザーニーズに応じたサービス提供手段

 「ココナラ」は、出品者及び購入者間の取引について、時間や場所の制約を受けずに、誰でも、どこでも、いつでもサービスの売買ができるオンライン上でのサービス提供を基本としております。当社は、オンライン上の様々な分野・内容の出品ニーズに対応するため、テキスト、電話及びビデオチャットといったコミュニケーション手段を提供しております。また、トークルームにおいてはデータファイル等による制作物の納品ができるなど、出品者はサービス内容に合わせて提供手段を選択することが可能となっております。 なお、2019年9月には、対面でサービス提供ができるマーケットプレイスである「ココナラミーツ」のβ版をリリースし、2020年7月に正式リリースいたしました。


(d)ランク制度

 「ココナラ」では、販売実績、納品完了率及び評価に基づく出品者の認定基準を策定し、5段階のランク認定を出品者に対して行なっております。当該ランク認定制度により出品者の信頼性が明示的となり、購入者への判断基準の提供を図っております。購入者はこのランクの明示により、安心して購入することができるため、購入の促進につながっていると当社は考えております。


(e)PRO認定制度、法人アカウント

 2018年2月に開始した「PRO認定制度」では、上記のランク制度とは別に、「ココナラ」内外を問わず特定分野のプロフェッショナルとして活躍されている方々による出品サービスを、当社の独自基準を用いて審査し、「PRO」として認定しております。当制度の導入により、ビジネスシーンでの利用や、企業が購入者となり、「ココナラ」を利用することを目指しております。

 また、2019年4月には「法人アカウント」の機能を導入いたしました。法人アカウントは審査制で、一定の信用力を有する法人と認められたユーザーについては、請求書払い等の利用が可能となります。これにより、法人を中心としたビジネスシーンでの利用がさらに促進されて、単価の高いスキルを有するPRO出品者の獲得も進むものと考えております。


(f)出品価格の設定

 「ココナラ」では、制作・ビジネス系カテゴリでは500円から1,000,000円、相談系カテゴリでは500円から100,000円の範囲で販売価格の設定が可能となっております。

 「ココナラ」開始時においては、販売価格を500円均一としておりましたが、利用者拡大に伴う販売実績の積み上がりや利用者ニーズ等を考慮して、販売価格の上限及びカテゴリ毎に下限の引き上げを継続して実施しております。当該対応により、出品者による多様な販売価格の設定が可能となっております。これにより、出品者は販売価格を徐々に引き上げているため、平均販売単価は上昇傾向にあります。


② その他のサービス

(a)「ココナラ法律相談」

 「ココナラ法律相談」は、当社登録弁護士とユーザーのマッチングサイトです。ユーザーは、身近な悩みやトラブル等に関する相談をするために、自身にあった弁護士を見つけ、必要に応じて弁護士へ依頼を行うことが可能となっております。

 なお、「ココナラ法律相談」は、登録弁護士に関する情報をサイト上に掲載しており、無料プランと有料プランを提供しています。有料プランは2017年3月から開始しており、当社は成果報酬型ではなく、所定の料金体系に基づいた固定の利用料金を受領しております。具体的には、掲載可能な注力分野の個数、当社によるインタビュー取材記事の作成サービスや掲載写真の撮影サービスの有無、料金表などの詳細情報の掲載可否や、PR枠表示の有無といった内容によって、有料会員の月額料金が決定されます。

 

(b)「ココナラミーツ」

 「ココナラミーツ」は、インターネット上で購入者と出品者のマッチング後、場所、時間を調整した上で、リアル対面でスキルのサービス提供が可能となるマーケットプレイスです。「ココナラミーツ」では暮らし・ハウスクリーニング、レッスン、ビジネス調査・業界ヒアリング、体験・アクティビティ、出張撮影、出張サービス・エンターテイメントの6カテゴリに分類しております。

 オンラインよりも対面で会うことで、質の良いサービスを提供できるものや、オンラインで提供できなかったカテゴリでのサービスについては、「ココナラミーツ」を利用することになります。これにより、提供の選択肢が拡大したことで、より広い出品者、購入者によって利用が促進されるものと考えております。なお、当社は出品者のサービス提供完了時に、ユーザー間の取引金額の一定率を手数料として受領しております。


(2)当社の事業の特徴

① 総合カテゴリ型の知識・スキル・経験の取引プラットフォーム

 「ココナラ」では、多種多様なカテゴリでサービスが出品され、取引されるため、購入者にとっても、広範な世代のニーズにマッチしたサービスが出品されております。結果として、「ココナラ」は性別を問わず、幅広い年齢の多様な属性のユーザーに利用されております。2020年8月期に「ココナラ」で購入実績のあるユーザーは男女それぞれ半数程度であり、年齢層としては幅広いものの、特に20代から40代が中心となっております。


② 強力な顧客エンゲージメントをベースにした高成長の収益モデル

 「ココナラ」は、利用者の多種多様なニーズに応える出品サービスが存在していることで、単一のカテゴリからの継続購入だけではなく、一度サービスを利用したユーザーが複数カテゴリから購入する傾向にあります。これは、一度「ココナラ」を利用した際に、自らが抱える課題が解決されたり、サービスによりニーズが満たされたりした場合には、その後に何かに困った際には「ココナラ」を連想し、「ココナラ」で課題等を解決しようとするため、このような傾向が生み出されているからだと当社は考えております。「ココナラ」の特徴として、毎月利用されるものではないものの、一度利用したユーザーは、その後複数カテゴリから購入するというユーザーの行動特性により、中長期的で安定した継続購入を実現し、一度定着するとそれ以降も継続して利用する傾向があります。そのため、既存の顧客層からの継続的な収益が見込めることになり、結果としてリカーリング型の収益モデルと同等の安定した収益構造を有しております。


③ ビジネスモデルの拡張

 創業当初の「ココナラ」では、取引単価をワンコイン(500円)のみ、対面でのサービス提供を禁止しオンライン限定とすることでマッチングを成立させてきました。その後は徐々に制約を開放することで、サービスの拡張を行っております。例えば、従来、テキスト、電話を用いたサービス提供のみが可能でしたが、2018年2月よりビデオチャットによるサービス提供を可能とするほか、出品サービスの質の向上に伴って2014年10月から徐々に価格の緩和を開始しております。また、2020年7月に「ココナラミーツ」を開始し、対面によるサービス提供を可能にしております。今後も、適宜、各種制約の見直しを行い、機能の追加とともにサービスの拡張を行っていく方針であります。


【業績等】

業績動向(百万円) 営業収益 営業利益 経常利益 純利益

(単独実績)2019.8 1,138 -1,038 -1,052 -1,054

(単独実績)2020.8 1,775 -80 -83 -94

(単独予想)2021.8 2,426 74 46 44

(単独1Q実績)2021.8 612 69 65 65


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(単独予想)2021.8 2.13 - 0

調達資金使途 広告宣伝費、採用費・人件費、システム関連費、短期借入金の返済


海外販売の売出数(海外販売株数)

海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)の海外投資家に対して販売します。


上場時発行済み株数 21,474,000株 (別に潜在株式2,595,500株)

公開株数 13,905,900株(公募1,000,000株、売り出し11,092,900株、オーバーアロットメント1,813,000株)

 

PER:563

PSR:10.6

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:167億

公募時時価:258億


【株主構成】 以下180日

ジャフコSV4共有投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 3,540,000 15.34

南章行 代表取締役会長 3,030,000 13.13

新明智 取締役 2,700,000 11.70

ニッセイ・キャピタル5号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,764,000 7.65

Mistletoe Japan(同) ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,620,000 7.02

Fidelity Funds ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,495,300 6.48

ImproVistaI投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 965,400 4.18

鈴木歩 代表取締役社長CEO 880,300 3.82

ニッセイ・キャピタル6号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 863,400 3.74

Fidelity Japan Trust PLC ベンチャーキャピタル(ファンド) 747,700 3.24

沢山明依 従業員 624,000 2.70

EEIスマートエナジー投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 540,000 2.34

DBJキャピタル投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 540,000 2.34


本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、当社取締役、売出人かつ貸株人である南章行及び新明智、売出人であるジャフコSV4共有投資事業有限責任組合、ニッセイ・キャピタル5号投資事業有限責任組合、Mistletoe Japan合同会社、ニッセイ・キャピタル6号投資事業有限責任組合、澤山明依及びDBJキャピタル投資事業有限責任組合、当社取締役かつ当社の株主である鈴木歩、並びに当社の株主であるFidelity Funds及びFidelity Japan Trust PLCは、共同主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日(当日を含む)後180目(2021年9月14日)までの期間(以下、「ロックアップ期間」という。)、共同主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を大和証券株式会社が取得することを除く。)を行わない旨を合意しております。

 さらに、当社の新株予約権を保有する南章行、新明智、鈴木歩及びその他67名は、共同主幹事会社に対し、ロックアップ期間中は、共同主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した当社普通株式の売却等を行わない旨を合意しております。

 当社は共同主幹事会社に対し、ロックアップ期間中は共同主幹事会社の事前の書面による同意なしに、当社普通株式の発行、当社普通株式に転換もしくは交換される有価証券の発行又は当社普通株式を取得もしくは受領する権利を付与された有価証券の発行等(ただし、本募集、本件第三者割当増資、株式分割及びストックオプションにかかわる発行等を除く。)を行わない旨合意しております。

 

【代表者】

代表者名 鈴木 歩(上場時38歳6カ月)/1982年生

本店所在地 東京都渋谷区桜丘町

設立年 2012年

従業員数 110人 (12/31現在)(平均35.2歳、年収613.5万円)

株主数 25人 (目論見書より)

資本金 90,000,000円 (2/10現在)

代表者生年月日 1982年09月03日生まれ

代表者略歴 年月 概要

2006年04月 (株)リクルート(現(株)リクルートホールディングス)入社

2012年10月 (株)リクルートマーケティングパートナーズ転籍

2015年04月 (株)リクルートホールディングス出向

2016年05月 当社入社

2016年09月 当社執行役員就任

2017年03月 当社取締役就任

2020年09月 当社代表取締役社長CEO就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 大和 - -

主幹事証券 みずほ - -

主幹事証券 クレディスイス - -

引受証券 いちよし - -

引受証券 SBI - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 松井 - -


【参考類似企業】今期予想PER(2/15)

3691  リアルワールド 47.4倍(連結予想 )

3900  クラウドワクス 143.3倍(連結予想 )

3979  うるる -倍(連結予想 )

4484  ランサーズ 1,257.8倍(連結予想 )

4490  ビザスク 382.4倍(連結予想 )

7060  ギークス 40.4倍(連結予想 )


【私見】

 ネット上でのスキルの売買という初物業種で業種評価はできます。ただし、占いがトップで、市場規模は広がっていく試算もありますが、先行有利ではあるものの短期では爆発的に広がるかは疑問です。吸収金額は大きいですが、海外売出しがあることは評価できます。またVCだらけの株主構成ですがロックはかかっているので心配はなさそうです。規模的に200憶超えのスタートなので、初値が高ければ上値は重く初値比1.5倍~2倍のラインで落ち着くかと思っています。


想定価額:1000円

仮条件上限:1200円

初値予想:1900円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価3.5

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