2021年3月22日月曜日

IPO分析(オキサイド)

 【事業内容】

 国内外の光計測機器/光学製品メーカー及び大学等研究機関に単結晶、光部品、レーザ光源及び光学測定装置を開発、製造、販売しております。同時に、当社のコア技術である単結晶技術/光学技術を活用し、様々な顧客ニーズへの対応、光学分野での問題解決策の提供及びそうしたプロセスの中で有望な新用途/新製品をインキュベートしています。


・半導体事業

 当事業は、半導体ウエハの検査装置メーカー向けの単結晶・レーザの開発・製造・販売を行っております。当社の単結晶のうち、非線形光学効果の強い単結晶及びその単結晶を搭載したレーザは、波長や出力をはじめとする各種性能・品質の観点から、販売先の最新機種に搭載されております。

 半導体製造工程の「前工程」と呼ばれるウエハ処理工程では、投入するシリコンウエハの品質検査が半導体チップの歩留まり管理上不可欠であり、専用のウエハ検査装置が利用されております。当社の単結晶と単結晶を搭載したレーザは、そのウエハ検査装置に搭載されております。半導体の微細化に伴い、検査装置に搭載する単結晶及びレーザも、次世代製品の開発が常に求められております。当社は、こうした市場の要求に対し、材料工学、光学などの観点から常に開発・提案を行い、あるいは、一部製品に関しては特許権者からのライセンスを受け、次世代製品への取り組みを継続しております。

 拡大する半導体市場の微細化への要求については、光学分野では短波長化と高出力化が重要となります。当社の単結晶、レーザ光源は、波長変換による短波長化(266nm)と2W以上の高出力化の特徴を有しております。その結果、単結晶については、2006年に開発を受託、その成功を受けて、2011年から量産へ、またレーザは、2010年に株式会社マグネスケールより事業を買収し生産を開始しました。その後、2011年に開発を受託、その成功を受けて2016年から量産に移行しております。顧客の新製品投入に合わせてこうした「開発」→「量産」のプロセスが繰り返されております。

 一方、顧客が製造販売する検査装置においては、エンドユーザーである世界の半導体工場にて昼夜連続での稼働が要求事項となっております。その結果、搭載された単結晶、レーザはその使用に応じて定期的なメンテナンス需要が発生します。メンテナンスの内容は、概ね1〜2年の一定期間ごとに使用に伴って劣化した単結晶や光学ユニットを交換するものです。これらのメンテナンス需要は、ほぼ事前予想が可能なため、景況の山と谷のギャップの激しいと言われる半導体分野での事業としては収益安定要素と言えます。加えて、10年以上の長期間稼働が求められるレーザの新規出荷売上に従い、累積的に増えることが見込まれるリカーリングの性質を持つ売上収益となります。第20期におけるメンテナンス売上高は、当事業売上の2割強を占めております。


・ヘルスケア事業

 当事業は、がんの診断に使用されるPET検査装置に搭載されるシンチレータ単結晶の開発、製造、販売を行っております。具体的には、製造したシンチレータ単結晶を加工した数mm角×約25mm長の直方体(PET用素子と呼びます。その素子を数万本、PET検査装置内に配列して使用します。)として国内外のPET検査装置メーカーに販売しております。当社のシンチレータ単結晶は、継続的な品質向上とコスト低減の実績及び品質管理体制の構築により、既に主流となっている全身検査用PET検査装置に採用されています。当社の単結晶は、全身検査用PET検査装置におけるシンチレータ単結晶の世界市場の約20%シェアを獲得しています。

 また、当社のシンチレータ単結晶は、乳房検査専用PET検査装置や、重粒子線を用いたがん治療中の粒子線位置をリアルタイムで確認することができるOpen-PET検査装置に採用されています。Open-PET検査装置は、従来のがん診断だけでなく、治療にも使われる装置として、国内においては放射線医学総合研究所を中心として研究が進んでいるものです。

 加えてPET検査装置は、将来、がんの診断以外にアルツハイマー型認知症診断への適用範囲拡大が見込まれており、当社でも用途拡大に対応すべく研究開発活動を進めています。認知症は、国内外の高齢化により増加傾向が顕著で、診断への潜在的な需要が高まっているものと考えられます。  


【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(単独実績)2019.2 2,608 103 87 140

(単独実績)2020.2 3,065 122 104 76

(単独見込)2021.2 3,573 323 276 252

(単独予想)2022.2 4,279 416 417 354


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(単独予想)2022.2 79.34 - 0

調達資金使途 設備資金


上場時発行済み株数 4,531,500株 (別に潜在株式864,000株)

公開株数 1,245,300株(公募750,000株、売り出し332,900株、オーバーアロットメント162,400株)


PER:35.2

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:34.9億

公募時時価:122億

    


【株主構成】 

古川保典 代表取締役社長(CEO) 915,500 19.71 90日

NTTアドバンステクノロジ(株) 資本業務提携先 335,000 7.21 90日

(株)日立ハイテク 資本業務提携先 280,000 6.03 90日

NTTファイナンス(株) 特別利害関係者など 250,000 5.38 90日・1.5倍

KLA‐TENCOR(SINGAPORE)PTE,LTD 資本業務提携先 205,000 4.41 90日

ティー・ハンズオン1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 200,000 4.31 90日・1.5倍

KT VENTURE GROUP 2,L.L.C. ベンチャーキャピタル(ファンド) 125,500 2.7090日 

(株)ニコン 資本業務提携先 125,000 2.69 90日

レーザーテック(株) 資本提携先 125,000 2.69 90日

山梨中銀経営コンサルティング(株) ベンチャーキャピタル(ファンド) 122,500 2.64 90日


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人及び貸株人である古川保典、売出人である松村禎夫、クアーズテック株式会社、古屋堯民、金田有史及び武居文彦並びに当社株主であるエヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社、株式会社日立ハイテク、KLA-TENCOR(SINGAPORE)PTE,LTD、KT VENTURE GROUP Ⅱ,L.L.C.、株式会社ニコン、レーザーテック株式会社、株式会社山梨中央銀行、株式会社内藤ハウス、株式会社島津製作所、朝鮮耐火株式会社、野村アール・アンド・エー第四号投資事業有限責任組合、山本正幸、宮本晃男、株式会社日立ハイテクネクサス、原文一、内藤篤、原島規吉、田中鹿十郎、坂田泰之、竹川俊二、河西富士雄、木村茂行、清水金富、廣橋淳二、神宮寺修、濱島統一、島田カツ、中野目慎一、白倉清美、藤浦和夫、株式会社マーキュリアインベストメント、田中久子、原島忠三、竹内耕一、松倉誠、山崎博義、北村明美、千田敦司、石橋浩之、殿村悦子、小松征三、坂入光佳、茂手木浩、田子毅、福部博、山本忠俊、栗村直、佐々敏明、田邉晴男、畑野秀樹、岡直哉、佐々木孝友、澤田勉、関根一弘、寺部一弥、平出玲子、平等拓範、和田芳夫、牛沢次三郎、小島孝広、輿石政江、進藤三千子、高田康利、冨張康弘、中村優及び星正幸並びに当社新株予約権者である内田誠二、伊藤健吾、安斎裕、久保田重夫、岡美智雄、大迫純一、松香充昭、笹浦正弘、名取美智、牧尾諭、三尾徹、小坂義人、川部英雄、山下賢哉、佐久間喜資、今井信一、林武志及び山村俊夫は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2021年7月3日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等を除く。)を行わない旨合意しております。

 また、売出人である山梨中銀経営コンサルティング株式会社並びに当社株主であるNTTファイナンス株式会社、ティー・ハンズオン1号投資事業有限責任組合、りそなキャピタル4号投資事業組合、みずほキャピタル株式会社、及びやまなし新事業応援投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2021年7月3日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びその売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う売却等は除く。)を行わない旨合意しております。 

 

【代表者】

代表者名 古川 保典(上場時61歳6カ月)/1959年生

本店所在地 山梨県北杜市武川町

設立年 2000年

従業員数 155人 (1/31現在)(平均41.7歳、年収484万円)

株主数 90人 (目論見書より)

資本金 405,500,000円 (3/1現在)

代表者生年月日 1959年09月12日生まれ

代表者略歴

1983年04月 日立金属(株) 入社

1992年06月 スタンフォード大学 応用物理研究所 客員研究員

1996年04月 独立行政法人物質・材料研究機構(現 国立研究開発法人物質・材料研究機構) 入社

1998年04月 国立大学法人九州大学理工学研究院 助教授

2000年10月 当社設立、代表取締役社長(CEO)(現任)

2018年04月 国立研究開発法人理化学研究所 チームリーダー(非常勤)


【幹事団】

主幹事証券 野村 953,200 88.02

引受証券 大和 75,800 7.00

引受証券 SMBC日興 21,600 1.99

引受証券 楽天 10,800 1.00

引受証券 マネックス 10,800 1.00

引受証券 極東 2,700 0.25

引受証券 水戸 2,700 0.25

引受証券 SBI 2,700 0.25

引受証券 岡三 1,300 0.12

引受証券 岩井コスモ 1,300 0.12


【参考類似企業】今期予想PER(3/12)

6384  昭和真空 12.9倍(連結予想 )

6501  日立 14.0倍(連結予想 )

6666  リバーエレテク 17.3倍(連結予想 )

6777  santec 19.7倍(連結予想 )

6920  レーザーテク 81.4倍(連結予想 )

6962  大真空 29.4倍(連結予想 )

7713  シグマ光機 14.4倍(連結予想 )

7731  ニコン -倍(連結予想 )

7751  キヤノン 21.4倍(連結予想 )


【私見】

 半導体事業、ヘルスケア事業の二本柱でどちらも技術力が高く、いくつかの賞なども受賞し地味ながら注目したい銘柄です。売上も毎年2割程度増収で、利益も増益で業績面でも評価できます。代表はスタンフォード大学での経験がある研究者で技術力は相当に高そうです。規模は適度にあり、VCのロックも1.5倍で外れることから短期では何倍にもなる銘柄ではありませんが、長期で注目したいと思います。最近の傾向で、野村が強気な価格設定になり、割安感が薄れているので高騰した初値を追うのはリスクも伴うと思います。


想定価額:2480円

仮条件上限:2800円

初値予想:6000円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・やや強気(中期)

総合評価4

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