2021年6月8日火曜日

IPO分析(ドリームベッド)

 【事業内容】

 マットレス、ベッドフレーム、ソファ、寝装品(枕・布団類)等のデザイン開発、製造、販売を主たる事業としております。自社ブランド製品と海外提携ブランド製品を自社工場及び協力工場で製造して、「家具販売店向け」と「商業施設向け」を主要な販売チャネルとして営業展開をしております。

 また、八千代第一工場(マットレス)、八千代第二工場(ベッドフレーム)、千代田工場(リビングソファ)、あさひ工場(寝装品)という生産体制を構築し、これらの商品の製造と販売によって、「快適で美しいくらし」を提供することを通して、企業価値の向上を図っております。

(1)各販売経路について

(家具販売店向け)

 全国の家具販売店に対して販売しております。一般消費者には家具販売店を通じて購入していただきます。当社が取引をしている家具販売店は長年の取引をしている先が多く、取引を通じて信頼関係をさらに深耕するとともに、新規取引先の開拓にも注力しております。単なるモノの販売にとどまらず、一般家庭を対象とした商品を卸販売するとともに、家具販売店ごとに、商品の販売コンセプトに対応した売り場のプロデュースを含め、きめ細やかな支援をしております。


(商業施設向け)

 全国のホテル等の宿泊施設に対し直接販売しております。主要都市やリゾート地で展開する大型ホテルから宿泊特化型など比較的小規模のホテルなどあらゆる取引先及び消費者のニーズを実現すべく、ホテルや商業空間のベッド・インテリアについて企画段階から参加し提案から施工までプロジェクト全体をプロデュースしております。ラグジュアリーホテルでの採用実績も積み重ねております。


(ショップ/ショールーム)

 「リーン・ロゼショップ」とショールームの2つがあります。「リーン・ロゼショップ」は、東京都に3店舗(港区六本木、中央区銀座、新宿区新宿)、大阪府に1店舗(大阪市中央区)展開しており、来店した一般消費者への直接販売をしております。ショールームでは、広島県(広島市西区)、東京都(渋谷区渋谷)、大阪府(大阪市中央区)に開設している当社ショールームに来店した一般消費者に専門の業者を通じて販売しております。


(ハウスメーカー向け)

 ハウスメーカーが主催した催事に来場した一般消費者にハウスメーカーを通じて販売しております。当社商品のマットレス、ベッドフレーム及び「ligne roset(リーン・ロゼ)」の商品を催事に展示頂けるよう営業活動を行っております。モデルルーム展示商品としての採用依頼や、ハウスメーカー向けフェアに出展するなど、それぞれの住宅に適した商品を提案・販売する活動をしております。


(その他)

 主にベッド製造メーカー向けのOEM商品の販売及び一般消費者向けのウォーターベッドの設置料やアフターメンテナンス等であります


 2020 年3月期における売上高構成比は、「家具販売店向け」71.0%、「商業施設向け」18.0%、「ショップ/ショールーム」6.6%、「ハウスメーカー向け」3.1%、「その他」1.3%であります。


(2)事業の特徴について

①販売経路の波及効果

 前述の主要な販売チャネルにおけるその特徴を他の販売チャネルにも活かすことができるような商品開発に取り組んでおります。具体的には空間の利用目的や演出方法等、機能性とインテリア性を両立させるノウハウを蓄積することで、「家具販売店向け」単一の販売チャネルから「商業施設向け」や「ハウスメーカー向け」などの複数の販売チャネルに拡大しました。

 「商業施設向け」では、ラグジュアリーホテルに当社商品が採用されることによって、当社のブランドイメージを向上させ、「家具販売店向け」では、ブランドイメージを活かして、消費者への訴求力を向上させるという波及効果が見込まれます。それぞれの販売チャネルにおける特徴を他の販売チャネルにも活用・応用することによって、購入を考える消費者がまず思い浮かべる企業となるべく、認知度を高めていく体制となっております。

 「家具販売店向け」、「商業施設向け」、「ショップ/ショールーム」及び「ハウスメーカー向け」のそれぞれの販売チャネルで窓口となる営業担当者は、取引先、消費者の多様化・複雑化するニーズを実現すべく、取引先とコミュニケーションを密に行い、消費者の様々な要望を収集します。営業担当者は、各営業所で何度もミーティングを重ね、消費者のニーズに対応した商品を提供できる企業として、取引先への提案営業活動を行います。


②複数ブランド

 当社は、複数の自社ブランドと海外提携ブランドを展開しております。

自社ブランドとしては、「dream bed(ドリームベッド)」(日本)、「WATER WORLD(ウォーターワールド)」(日本)を展開しております。

 自社製造で培った技術力が評価され、海外複数のインテリアブランドとライセンス契約を締結しており、主な海外提携ブランドは、「Serta(サータ)」(アメリカ合衆国)、「ligne roset(リーン・ロゼ)」(フランス共和国)、「ruf(ルフ)」(ドイツ連邦共和国)です。中でも、Serta,Inc.とのライセンス契約によって「Serta(サータ)」ブランドを用いた日本国内における独占的な販売及び商標等の使用許諾を有していることが当社の特徴であります。高価格帯マットレスとして、家具販売店等で販売しております。

 ブランド志向の顧客層をターゲットとしている「Serta(サータ)」、より幅広い顧客層をターゲットとしている「dream bed(ドリームベッド)」の2つのブランドを主に展開することによって、幅広い消費者のニーズに対応しております。また「Serta(サータ)」の製造を通して、製造技術の高度化を図るとともに、同じ技術、同じ工場で「dream bed(ドリームベッド)」を製造することによる品質の確保に努めております。


 ③商品の特長

 当社のマットレスは、全日本ベッド工業会認定の衛生マーク表示の資格を獲得し、ISO9001(品質マネジメントシステムに関する国際規格)認証も取得した工場で製造しております。当社が製造するポケットコイルマットレスは、マットレスに必要な硬さと、人が感じるソフト感の相反する2つの要素を組み合わせ、寝心地を追求しております。ポケットコイルとは、スプリングが連結されず、袋内に収納されているコイルです。そのため、個々のスプリングがそれぞれ独立して加重を支えることができます。ポケットコイルのメリットは、寝る人の体の凹凸に対して、フィットすることによって、理想的な寝姿勢を作り出すことができます。


④生産体制

 自ら生産拠点を持ち、自社製造で培った技術を活かすため、社内の専属デザイナーのアイデアを形にすべく、細部の改良はもとより、縫製の糸一本一本にまでこだわった製品づくりを行っております。

 海外提携ブランドの「Serta(サータ)」や「ruf(ルフ)」はライセンス生産を行うことにより、ディテールにこだわりながらも、日本の生活様式や環境に合うよう微調整した製品を生産することができます。さらに、国内で生産することによって、海上運賃や通関等の輸入コストを抑えることもできます。ライセンス契約で生産する場合、提携ブランド本社で起こしたデザインを日本仕様にして生産するのが基本ですが、当社でデザインを起こして提携ブランド本社の認可を受け、生産をすることもできます。

 なお、1981年5月及び1997年5月のROSET S.A.とのライセンス契約により、「ligne roset(リーン・ロゼ)」ブランドのライセンス生産が認められているのは、現時点において全世界で当社のみとなっております。

 当社の技術力は、国内・海外協力工場へ展開されており、製品の品質を支えております。国内協力工場での製品における品質管理のみならず、海外協力工場においても社員を駐在させる体制をとり、品質管理、納期管理、検品などを直接行うことにより、全体として製品の品質を支える体制を構築しております。

 また、国内協力工場は当社工場の周辺に存在しているため、生産における継続的な技術指導が可能であるとともに、輸送距離が短いことにより当社へ短時間で商品を納入できるため、受注を受けてから出荷が完了するまでのリードタイムを短くすることができます。

 さらに、当社は、家具販売店及び物流会社との連携を進めることによって、少量多品種生産かつ受注から出荷まで概ね1週間の受注生産体制を構築しております。この体制は、原材料の効率的投入を可能にするとともに、在庫の圧縮を可能にしています。


⑤開発体制

 当社が取り扱う全商品カテゴリにおいて、自社でデザインした新作を毎年5月と11月の年2回発表しております。当社には商品デザイン、各ブランドのイメージに沿ったディスプレイ用什器やポスター、タペストリー等の販促ツールを開発する部署があり、毎年、海外で開催される家具見本市の視察を行い、ベッド、周辺家具、リビング家具等のデザインに活かしております。

 展示会で販売先に評価をいただいたものが、製造プロセスに移り、販売チャネルに展開されます。販売先、消費者の声を聞くことが当社の企画・開発の起点であり、様々な意見や要望を開発につなげております。


【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(単独実績)2019.3 10,204 520 503 285

(単独実績)2020.3 10,034 484 469 331

(単独実績)2021.3 8,976 704 730 521

(単独予想)2022.3 9,612 683 703 485


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(単独予想)2022.3 122.64 913.10 20

調達資金使途 工場建物の新設・増改築


上場時発行済み株数 4,152,820株

公開株数 1,973,100株(公募860,000株、売り出し855,800株、オーバーアロットメント257,300株)


PER:11.9

PBR:

配当利回り:1.4%

公募時吸い上げ資金:28.8億

公募時時価:61億

    


【株主構成】 

ブルーインベストメント投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 700,000 21.26 90日・1.5倍

(株)広島銀行 特別利害関係者など 655,240 19.90 90日・1.5倍

従業員持ち株会 特別利害関係者など 388,000 11.78 

(株)もみじ銀行 特別利害関係者など 265,640 8.07 90日・1.5倍

渡辺靖子 特別利害関係者など 265,000 8.05 90日

三宅尚子 特別利害関係者など 265,000 8.05 90日

小出克己 代表取締役社長 148,000 4.49 90日

(株)商工組合中央金庫 特別利害関係者など 131,940 4.01 90日・1.5倍

(株)山陰合同銀行 特別利害関係者など 100,000 3.04

光正明義 専務取締役 50,000 1.52 90日

 

 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人であるブルーインベストメント投資事業有限責任組合、売出人である株式会社広島銀行及び株式会社もみじ銀行並びに当社株主である株式会社商工組合中央金庫は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2021年9月20日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること及びその売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う売却等は除く。)を行わない旨合意しております。

 また、当社株主である渡辺靖子、三宅尚子、小出克己、光正明義、加藤久明、峰岡道男、小田慎二、髙橋浩幸、吉村公孝、武田浩伸、野田雄二、藤原誉、山本孝司、豆谷健治、奥村敏徳、橋本英樹、大西弘子、平岡広明、大森秀樹及び増野静明は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2021年9月20日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等を行わない旨合意しております。

 当社株主であるドリームベッド従業員持株会は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2021年12月19日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等を行わない旨合意しております。


【代表者】

代表者名 小出 克己(上場時72歳8カ月)/1948年生

本店所在地 広島県広島市西区己斐本町

設立年 1957年

従業員数 349人 (3/31現在)(平均45.2歳、年収384.8万円)

株主数 35人 (目論見書より)

資本金 205,000,000円 (5/20現在)】

代表者生年月日 1948年10月11日生まれ

代表者略歴

1971年04月 株式会社広島銀行入行

1994年12月 同社柳井支店長

1997年06月 同社三川町支店長

2000年12月 同社名古屋支店長

2003年03月 (株)広島銀行より当社に出向

2004年10月 (株)広島銀行より当社に転籍 当社取締役社長室長就任 11月:当社常務取締役就任

2013年07月 当社専務取締役就任

2017年03月 当社代表取締役社長就任(現)


【幹事団】

主幹事証券 野村 1,544,400 90.01

引受証券 ひろぎん 68,600 4.00

引受証券 みずほ 34,300 2.00

引受証券 SMBC日興 34,300 2.00

引受証券 東洋 17,100 1.00

引受証券 SBI 17,100 1.00


【参考類似企業】今期予想PER

3202  ダイトウボウ 16.5倍(連結予想 )

3504  丸八HD 15.2倍(連結予想 )

7813  プラッツ 21.3倍(連結予想 )

7817  パラベッド 16.6倍(連結予想 )

7840  フラベッドH 15.0倍(連結予想 )


【私見】

 ベッド販売で、業種妙味はありませんが、東証2部で安定性はありそうな銘柄です。コロナ禍入口であれば、ニトリのように巣ごもり銘柄で人気になった可能性はありますが、出口に入った段階で注目される可能性は低いと想定します。業績は横ばい程度ですが、PERは低いので他社なみに16あたりの2000円弱までは、規模も小さいので長期であれば可能性はあると思いあます。筆頭株主がVCで初値人気は低いと予想します。


想定価額:1400円

仮条件上限:1460円

初値予想:1600円

ブック申し込み度・・・中立

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価3

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