2021年6月10日木曜日

IPO分析(HCSホールディングス)

 【事業内容】

(1) 情報サービス事業

①システムインテグレーションサービス

 製造、運輸、公共、金融等の幅広い分野において、大手エンドユーザ系情報子会社や大手システムインテグレータ等の開発案件に主に2次請けとして参画しており、常駐型を中心に、主に業務ソフトウェアの設計・開発・保守及び運用サービスを提供しております。

 業務ソフトウェア開発においては、システム機能や入出力データの概要を決定する「基本設計」、システムの内部処理を設計する「詳細設計」、プログラムを作成する「製造・単体テスト」、各プログラムの連携を確認する「結合テスト」、システム全体機能や性能を確認する「総合テスト」を行っております。また、システム稼働後は、安定稼働をさせるための「保守・システム運用」を行っております。

 

②マスターファイルソリューションサービス

 当社グループの前身となるリッカー株式会社の電算センターにて、顧客管理を目的に住所マスターが開発され、1970年に同センターが子会社化される際に事業譲渡を受けた後、1972年より外販を開始いたしました。以来、当社グループでは、全国住所マスターである国土行政区画コードマスター及び関連製品・サービス等を提供しております。

 当社グループの住所マスターは、日本国内の各地区に9または12桁のコードを割り当て、各住所コードに地名や番地情報を付与したデータ集であります。当社は収集した住所変更情報を、該当する住所コードに付与された地名や番地に反映し、地名や番地を最新化した住所マスターを毎月お届けしております。

 

(2) ERP事業

①SAP導入支援・開発サービス

 SAPジャパン株式会社よりサービスパートナー認定を取得しております。大手コンサルティングファームや大手システムインテグレータ等からのSAP導入・保守案件に、主に2次請けとして参画しており、常駐型を中心に、独SAP社のERPソフトウェア導入支援、カスタマイズ、アドオン開発、保守及び運用サービスを提供しております。

 ERPソフトウェアとは、調達・購買、製造・生産、物流・在庫管理、販売・受発注管理、人事・給与、財務・会計等の業務データを相互に参照・連携できるように各業務機能を共通のシステム基盤のもとに統合したソフトウェアです。ERPソフトウェアを導入することにより、部門間の業務連携が容易になり、調達・購買・生産・在庫・販売・請求・入金といった業務の流れを迅速化することができます。また、各部門の状況をリアルタイムに把握しやすくなるため、部門最適化による非効率を排して全体最適化を促したり、経営層の意思決定の精度向上などに資することが期待できます。ERPソフトウェアは1990年代半ばから国内で使われ始め、2000年代に入って国内での本格的な普及が始まりましたが、当社グループではこれらの需要に対応すべく1999年から本サービスを提供しております。

a.SAP導入支援

 SAP導入プロジェクトにおけるコンサルタント業務や、SAP保守業務を支援しております。


b.ERP開発支援

 SAPの導入・保守プロジェクトにおける周辺機能のアドオン開発や、アドオン部分のパフォーマンス調査・改善などテクニカル領域での開発支援を行っております。また、SAP周辺のWeb系開発等も行っております。


c.インフラ構築支援

 SAPの導入・保守プロジェクトにおけるシステム環境の構築・運用業務の他、ITインフラの維持・運用管理・構築に関わるさまざまな業務を支援しております。


②リソースプランニングサポートサービス(RPSサービス)

a.リモート保守・運用サービス

 SAPシステム及び運用管理ツール等の保守・運用及びヘルプデスク業務について、当社グループのサポートセンターからリモートによる支援サービスを提供しております。お客様はシステム運用のために個別に技術者を抱えることなく、適宜必要なだけのリソースのみを利用する事でコストダウンを図ることができます。

 

b.教育支援サービス

 パートナー企業やSAP導入を検討するユーザー企業向けに、プログラミングに関する実践的なアドバイスや、QAに対するサポート等、教育に関する支援サービスを提供しております。


(3) デジタルマーケティング事業

①マーケティングソリューションサービス

 インターネットの普及により、情報流通量は飛躍的に増加しており、膨大な情報の中から自社の商品・サービスに関心を持つユーザー層を見つけ、最適な情報を提供することが、マーケティング上の大きな課題になっております。インターネットユーザーの多くは、Googleに代表される検索エンジンを利用して情報を探しておりますが、当社グループでは、これらのユーザーをお客様のWebサイトに効率良く集客し、商品購入や問い合わせ、会員登録等の成果に導くために、インターネット広告に関する広告プラン策定及び広告運用等のサービスを提供しております。

 当社グループが提供するサービスでは、お客様から提示される広告の目的と予算に対して、広告プランを策定し、広告配信の仕組みを持つ広告プラットフォームを通じて、各広告媒体に広告を配信しております。また広告配信後には、インターネット閲覧者が、お客様のWebサイトにどの広告から来訪し、どのページやコンテンツを閲覧した後、Webサイト上での商品購入や問い合わせ等のコンバージョンに至っているか等を分析し、分析結果を基にターゲットユーザー層、お客様Webサイト設計、広告素材、広告配信先、入札額等の広告プランの見直しを行ないお客様に提案しております。このように当サービスでは、データドリブンマーケティングを導入し、データ分析に基づいたPDCAサイクルを繰り返すことにより、広告効果の向上を図っております。

 

②パッケージソリューションサービス

 点検・検査報告書作成アプリケーションである点検エースの開発・販売をしております。本製品は紙の報告書をタブレットPCに置き換えるために開発されたソフトウェアであり、紙媒体の利用が多かった検査報告書の作成業務を電子化することで、作業の効率化を実現する製品であります。また、本製品はExcelアドインソフトであるため、Excelで作成された報告書フォーマットをそのまま利用することが可能であります。その他、本製品から取得したデータを統合・可視化することで、今まで見えなかった気づきの発見によるお客様ビジネスの改善等に活用することができます。  


【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(連結実績)2019.3 4,436 144 173 103

(連結実績)2020.3 4,747 305 366 283

(連結実績)2021.3 4,758 365 398 208

(連結予想)2022.3 5,054 368 407 231


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(連結予想)2022.3 94.33 - 20

調達資金使途 サービス拡大、借入金の返済


上場時発行済み株数 2,520,000株 (別に潜在株式454,400株)

公開株数 724,500株(公募360,000株、売り出し270,000株、オーバーアロットメント94,500株)


PER:19.0

PBR:

配当利回り:1.1%

公募時吸い上げ資金:13.0億

公募時時価:45億

    

【株主構成】 

宮本公 取締役会長 501,600 19.19 180日

日本ユニシス(株) 特別利害関係者など 372,000 14.23 180日

(株)東陽建物 役員らが議決権の過半数を所有する会社 202,800 7.76 180日

従業員持ち株会 特別利害関係者など 146,800 5.62

牟田口陽介 子会社の代表取締役社長 123,600 4.73 180日

AGキャピタル(株) ベンチャーキャピタル(ファンド) 120,000 4.59 90日・1.5倍

沖電気工業(株) 特別利害関係者など 120,000 4.59

(株)きんでん 特別利害関係者など 120,000 4.59 180日

田上泰利 特別利害関係者など 60,000 2.29

加藤俊彦 代表取締役社長 58,400 2.23 180日

(株)みずほ銀行 特別利害関係者など 50,400 1.93 180日

(株)三菱UFJ銀行 特別利害関係者など 50,400 1.93 180日


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人及び貸株人である宮本公並びに当社株主である日本ユニシス株式会社、株式会社東陽建物、HCSホールディングス従業員持株会、株式会社きんでん、株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行、ワールドビジネスセンター株式会社、永山コンピューターサービス株式会社、加藤俊彦、大久保利幸、長嶋博、畠山幸雄、株式会社豊田住宅、竹村正宏、宮本みや子、大髙良浩、古池信男、高橋峰輝、牟田口陽介、天野進、渡邊裕之、亀山元、吉田佳尚、菅野藤典、大竹義紀、鳥越慎司、小森和佳、荒井久司及び藤井肇は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2021年12月20日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等は除く。)等は行わない旨合意しております。

 また、当社株主であるAGキャピタル株式会社及びみずほ成長支援第3号投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2021年9月21日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、その売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)等は行わない旨合意しております。


【代表者】

代表者名 加藤 俊彦(上場時70歳3カ月)/1951年生

本店所在地 東京都江東区東陽

設立年 2016年

従業員数 31人 (4/30現在)(平均48.3歳、年収601.1万円)、連結428人

株主数 66人 (目論見書より)

資本金 90,000,000円 (5/21現在)

代表者生年月日 1951年03月06日生まれ

代表者略歴

1973年04月 日本ユニバック(株)(現日本ユニシス(株))入社

2001年04月 同社執行役員エンジニアリング営業本部長

2012年03月 同社退社

2012年04月 (株)日比谷コンピュータシステム入社 6月:同社取締役常務執行役員総合企画部長兼事業開発部長

2016年07月 当社代表取締役副社長 7月:(株)日比谷コンピュータシステム取締役就任

2017年04月 同社代表取締役社長

2018年04月 当社代表取締役社長(現任) (株)オートマティゴ取締役就任 10月:同社取締役退任

2019年06月 (株)日比谷コンピュータシステム取締役退任

役員名


【幹事団】

主幹事証券 SBI 535,400 84.98

引受証券 みずほ 31,500 5.00

引受証券 丸三 12,600 2.00

引受証券 水戸 12,600 2.00

引受証券 岩井コスモ 6,300 1.00

引受証券 エイチ・エス 6,300 1.00

引受証券 東海東京 6,300 1.00

引受証券 東洋 6,300 1.00

引受証券 むさし 6,300 1.00

引受証券 藍沢 3,200 0.51

引受証券 極東 3,200 0.51


【参考類似企業】今期予想PER(5/27)

2307  クロスキャット 20.5倍(連結予想 )

3677  システム情報 21.0倍(連結予想 )

3816  大和コン 15.9倍(連結予想 )

3924  ランドコンピ 12.8倍(連結予想 )

4335  IPS 14.1倍(連結予想 )

4491  Cマネジメント 10.5倍(連結予想 )

4662  フォーカスS 12.9倍(単独予想 )

8056  日ユニシス 18.6倍(連結予想 )


【私見】

 ソフト関連で、業種的には類似業種も多く真新しさは感じません。業績も横ばい程度で、PERも公募からやや上が妥当な水準かと思います。1.5倍でロックが外れるVCもいますが、全体的には需給は心配なさそうです。総合的に考えて、初値・セカンダリー共にそれほど人気にはならないと予想します。


想定価額:1730円

仮条件上限:1800円

初値予想:2500円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価3

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