2021年6月21日月曜日

IPO分析(ジィ・シィ企画)

 【事業内容】

 (1) ビジネスモデルの概要(事業の特徴)

  当社の顧客は中堅から大手の流通事業者が中心となっております。これら事業者は複数のテナントがあったり、フランチャイズで多店舗展開を行ったりしており、複数のレジで発生するクレジットカードや電子マネー等の決済をこなし、これに伴う与信処理や取消・返品の対応、決済後のクレジットカード会社等との精算業務などが必要です。

 当社が提供するキャッシュレス決済サービスはこれらカード会社加盟店とカード会社を接続し、クレジットカード会社などの事業者の間に入って決済処理、精算データ生成のうえ、カード会社加盟店にデータ還元を行うなどのプロセシングの一部を担います。


(2) 具体的な商品又はサービスの内容

 当社の提供するキャッシュレス決済サービス事業は、カード会社加盟店の運用負担やコスト低減、セキュリティの確保など多様なニーズにお応えするため、カード会社加盟店が自身で管理する環境へシステム構築を行うオンプレミス型に加え、当社が保有するシステムをクラウドとしてご利用いただく決済ASPサービスを提供しております。いずれの場合にもカード会社加盟店向けのサービスとして24時間365日のヘルプデスクを設置し、開発、導入から保守、運用までワンストップで提供しております。


① 情報システム開発

 プロセシング業務を顧客自身が運用する場合に必要な決済処理システムを提供するものです。顧客は当社が直接契約するカード会社加盟店と大手システムインテグレータを通して契約するカード会社加盟店となっております。基本機能は決済パッケージソフトウェアCARD CREWシリーズをライセンス提供しております。顧客ニーズに合わせてオンプレミス型、決済ASPサービス型で提供しておりますが、オンプレミス型ではほとんどの場合、カスタマイズが発生し、決済ASPサービス型では顧客環境に合わせたカスタマイズが発生することがあります。これら顧客に対し直接営業することにより発注をいただくほか、既存顧客からの照会にお応えしプロポーザル方式でのご用命をいただくケースもございます。特にPOSシステムとの親和性が高い事から対面販売事業者を中心にユーザーを獲得しております。

  また、対面販売での決済に欠かせない決済端末の販売もこのカテゴリーに含んでおります。決済端末アプリケーションは全て自社開発し、基本パッケージをベースにご希望のカスタマイズを承っています。収益構造としてはフロー収益であり、需要により売上が変動します。


 ② アウトソーシングサービス

 上記に対し、ストック収益となっているのが、以下の2つのサービスです。顧客にとってはアウトソーシングとなることから、社内でもこの名称で区分しております。

(a) 決済ASPサービス(クラウド型) 

 顧客環境に当社の決済システムを設置又は導入するのではなく、当社がプロセシングに必要なソフトウェア、通信専用回線、サーバー、保守・運用までを用意しご利用いただくクラウド型のサービスです。当社ではセキュリティが厳しく安定的なシステム運用が可能な外部事業者が提供するデータセンター内にサービスに必要なシステムと通信環境を設置した当社専用データセンターで運用しております。

 初期費用を抑え永くご利用いただくことで、顧客にとっては導入しやすく、当社にとっては安定的なストック収益となっています。

 第25期事業年度においては、収益全体のうち開発売上のフロー収益が66.5%、アウトソーシングサービスのストック収益は33.5%であります。

 クレジット取引セキュリティ対策協議会が2020年3月までにPCI DSSの準拠又はカード情報の非保持化を求めたことから管理コストが上昇したため、顧客にとっては、面倒なシステム管理が不要で、多様化する決済手段にも柔軟に対応することが可能なことから、当初オンプレミス型でスタートした顧客がリプレースの段階でクラウド型の決済ASPサービスに切替えるケースが増加しております。


 (b)保守運用サービス 

 当社がオンプレミス型で提供したシステムの保守並びに運用サービスを行っております。24時間365日対応の保守運用体制とヘルプデスクを自社で用意し、緊急時には開発者も交えながら万全の体制で決済システムを監視サポートしております。

  

【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(単独実績)2019.6 1,546 90 95 80

(単独実績)2020.6 2,638 386 377 268

(単独予想)2021.6 2,187 218 207 144

(単独3Q累計実績)2021.6 1,516 118 116 88


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(単独予想)2021.6 70.23 382.73  - 

調達資金使途 設備投資、人材採用


上場時発行済み株数 2,288,160株 (別に潜在株式237,600株)

公開株数 476,500株(公募200,000株、売り出し214,400株、オーバーアロットメント62,100株)


PER:25.9

PBR:

利回り:

公募時吸い上げ資金:8.8億

公募時時価:42億

    

【株主構成】 

(株)コミューン 役員らが議決権の過半数を所有する会社 607,440 26.13 180日

金子哲司 取締役会長 274,000 11.78 180日

矢ヶ部啓一 代表取締役社長 203,600 8.76 180日

(株)アイネット 取引先 160,000 6.88 90日・1.5倍

坂井正人 取締役 158,000 6.80 180日

従業員持株会 特別利害関係者など 145,240 6.25

金子京子 取締役会長の配偶者 134,400 5.78 180日

小坂大輔 従業員 71,200 3.06 180日

近藤茂男 執行役員 56,800 2.44 180日

高木洋介 取締役 56,120 2.41 180日

小関哲 取締役 55,600 2.39 180日

高橋恵二 特別利害関係者など 45,760 1.97 180日


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人及び貸株人である金子哲司、売出人である矢ヶ部啓一、坂井正人及び金子京子並びに当社株主である株式会社コミューン、小坂大輔、近藤茂男、小関哲及び髙木洋介は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2022年1月2日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等は除く。)を行わない旨合意しております。

 また、当社株主である株式会社アイネットは、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2021年10月4日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、その売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う東京証券取引所における売却を除く。)を行わない旨合意しております。 


 【代表者】

代表者名 矢ヶ部 啓一(上場時59歳4カ月)/1962年生

本店所在地 千葉県佐倉市王子台

設立年 1995年

従業員数 117人 (4/30現在)(平均40.3歳、年収609.5万円)

株主数 56人 (目論見書より)

資本金 190,650,000円 (6/2現在)

代表者生年月日 1962年03月02日生まれ

代表者略歴

1985年04月 (株)糧友福岡(現:㈱リョーユーパン)入社

1991年08月 セイコーシステム(株)(現:セイコーソリューションズ(株))入社

1997年12月 当社入社 システム部長

1998年09月 当社取締役システム部長

2000年09月 当社取締役営業部長

2012年07月 当社取締役システム開発部長 2013年7月:当社取締役品証工程管理部長

2014年01月 当社取締役総合情報管理室長

2016年04月 当社代表取締役社長(現任)


【幹事団】

主幹事証券 岡三 356,800 86.10

引受証券 みずほ 20,700 5.00

引受証券 ちばぎん 8,200 1.98

引受証券 いちよし 8,200 1.98

引受証券 SBI 8,200 1.98

引受証券 エイチ・エス 4,100 0.99

引受証券 水戸 4,100 0.99

引受証券 むさし 4,100 0.99


【参考類似企業】今期予想PER(6/9)

2428  ウェルネット 19.8倍(単独予想 )

3623  ビリングシス 39.8倍(連結予想 )

3630  電算システム 16.4倍(連結予想 )

3753  フライトHD 25.6倍(連結予想 )

3769  GMOPG 119.5倍(連結予想 )

4015  アララ 40.5倍(単独予想 )

4051  GMO-FG 192.7倍(連結予想 )

4847  インテリW 21.3倍(単独予想 )

6172  メタップス 60.9倍(連結予想 )


【私見】

 クレジット決済ということで時流には乗っていますが、やや飽きられた感はあり、同業も多くなってきたので大きな優位性は感じません。業績も伸びていはいますが、ここからの成長力を考えると、PERからも何倍にもなる銘柄ではないでしょう。需給は良く、1.5倍でロックが外れる社はありますが、全体的には規模も含めて売り圧力は大きくはありません。


想定価額:1720円

仮条件上限:1840円

初値予想:4500円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価3.5

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