2021年6月10日木曜日

IPO分析(アルマード)

 【事業内容】

(1)卵殻膜とは

 卵殻膜とは鶏卵の殻の内側にある薄い膜で、シスチンを含む18種類のアミノ酸、プロテオグリカン、ヒアルロン酸等で構成されており、美容・健康成分が含まれております。バクテリアなどの外敵から卵の中のひなを保護するためのバリアとして機能する他、卵が落下した場合などの物理的なダメージにも耐えられるよう、強固な繊維状のメッシュ構造をしております。また、酸素を透過させ水分を保有する力も有しております。

 力士が傷口の治療に用いるなど天然の絆創膏として古くから民間療法で利用されているように、卵殻膜は中国や日本で古くから人体における創傷治癒素材として活用されてきました。その一方で、熱に強く水や油に溶けにくいためそのままでは体内で成分を吸収することができず特殊な加工が必要であり、また、天然素材であるがゆえその効果の検出とメカニズムの解明が難しいとされてきました。しかし、2007年よりスタートしたアルマード産学連携プロジェクトにより、卵殻膜塗布と摂取の両側面からの有用性とメカニズム検証で解明を進め、最近の研究では創傷治癒の早期化のみならず、皮膚の弾力性増加、肝機能の改善への有用性も認められ、また、難病指定されている潰瘍性大腸炎の改善にも有効であるという研究結果を、2017年3月に米科学誌「Scientific Reports」で発表しております。さらに、卵殻膜摂取が脂質代謝に有効である可能性について、2020年4月に食品科学ジャーナル「Food Science & Nutrition」にて掲載しております。 


(2)アルマードの卵殻膜加工技術について

 卵殻膜は、当社設立より以前から食品及び化粧品の原料として既に流通しておりましたが、天然素材であるがゆえに品質面でばらつきがあり、また、加工コストも非常に高く、その効果を科学的に立証できる研究も十分になされていなかったため、一般に広く受容されるレベルの卵殻膜製品を流通させるのが困難な状況にありました。しかしながら、当社創業者である長谷部由紀夫が中心となり、大学や他企業等の外部機関との研究開発活動を進め、品質面、コスト面での課題を解決する独自の卵殻膜原料の加工技術を開発しました。当社の技術は以下のとおりです。

 なお、創業来20年間蓄積をしてきた卵殻膜に関する技術・知見の一部は、特許として出願しており、他社と比較して多くの卵殻膜関連特許(国内においては本書提出日現在、権利継続15件、出願中8件)を有しております。

 

(3)卵殻膜ヘルスケア事業について

 卵殻膜原料を活用した食品及び化粧品の製造販売を、単一事業として行っております。なお、食品及び化粧品の製造はすべて外注先に委託をしております。

 したがって当社の事業は「卵殻膜ヘルスケア事業」の単一セグメントであるため、以下においては当社事業の特徴について販売チャネル別に記載しております。

①TVショッピング販売(以下「TV通販」)

 TVショッピング専門チャンネルであるQVCテレビショッピングにおいて、当社が企画・開発した卵殻膜食品及び卵殻膜化粧品について、TV放送を通じて視聴者に紹介し、株式会社QVCジャパンがお客様より受注した数量を当社からQVCに納品し、QVCがお客様へ出荷するという販売を行っております。主要商品としては、化粧品のOdeシリーズ、健康食品のTO-Ⅱ等がございます。


②外部間接販売(以下「外販」)

a.OEM製品の販売

 取引先と共同で製品仕様を決定し、取引先からの注文に基づき当社製造委託先にて製品製造を行い、取引先へ販売するビジネスモデルです。これらOEM製品は、取引先の製品ブランドとして消費者に販売されております。

b.卸販売(一般流通)

 当社が企画・開発した製品を、ドラッグストアを中心とした量販店、理美容室及び他社通信販売業者等に卸売販売をする形態です。主要商品としては、Ⅲ型ビューティードリンク(全身美容ドリンク)、Ⅲ型サプリメント等がございます。


③自社直接販売(以下「直販」)

 自社ECサイト、他社ECサイト等を通じて、当社が最終消費者から直接注文を受け、製品を配送する販売を行っております。主要商品としては、化粧品のCELLULAシリーズ等がございます。2018年4月に自社ECサイトを通じた定期購買サービスを開始して以降、定期顧客会員数は増加傾向にあり、会員数は3万7千人に達しております。 


【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(単独実績)2019.3 3,788 459 456 333

(単独実績)2020.3 5,796 985 982 651

(単独実績)2021.3 4,547 527 537 367

(単独予想)2022.3 4,883 820 819 556


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(単独予想)2022.3 55.31 289.43 0

調達資金使途 全社広告、ブランディング費用


上場時発行済み株数 10,394,000株 (別に潜在株式314,000株)

公開株数 6,095,000株(公募50,000株、売り出し5,250,000株、オーバーアロットメント795,000株)


PER:15.9

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:53.6億

公募時時価:92億

    

【株主構成】 

アント・ブリッジ4号A投組 ベンチャーキャピタル(ファンド)6,870,000 66.42 90日・1.5倍

(株)DALMA 役員らが議決権の過半数を所有する会社 1,540,000 14.89 90日

鈴江由美 特別利害関係者など 500,000 4.83 90日

グリーンコア(株) 特別利害関係者など 500,000 4.83 90日

CBC(株) 特別利害関係者など 200,000 1.93 90日

みずほ成長支援投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 150,000 1.45

(株)ヒト・コミュニケーションズ 特別利害関係者など 100,000 0.97 90日

大幸薬品(株) 特別利害関係者など 100,000 0.97

保科史朗 常務取締役 100,000 0.97 90日

長谷部裕二 取締役 100,000 0.97 90日


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人及び貸株人であるアント・ブリッジ4号A投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2021年9月21日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による株式売出し、オーバーアロットメントによる株式売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること及びその売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う売却等は除く。)を行わない旨合意しております。

 加えて、売出人である鈴江由美及びグリーンコア株式会社並びに当社株主である株式会社DALMA、CBC株式会社、株式会社ヒト・コミュニケーションズ並びに当社新株予約権者である保科史朗、長谷部裕二、小池里香、須山久実、酒井裕世、新井智美、佐藤圭紀、成田夏実、須藤正子、永嶋早苗、覺田美津子、瀧島麻美、本間夏葉、荒木絵里香、内田和代及び大西隆晴は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2021年9月21日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による株式売出し等は除く。)を行わない旨合意しております。



【代表者】

代表者名 荒西 俊和(上場時44歳9カ月)/1976年生

本店所在地 東京都中央区京橋

設立年 2000年

従業員数 36人 (4/30現在)(平均43.8歳、年収660万円)

株主数 16人 (目論見書より)

資本金 110,000,000円 (5/21現在)

代表者生年月日 1976年09月10日生まれ

2000年09月 (株)野村総合研究所入社

2006年06月 (株)電通イーマーケティングワン(現(株)電通コンサルティング)入社

2010年04月 (株)電通コンサルティングへ転籍

2012年09月 レッドホース(株)(現レッドホースコーポレーション(株))入社

2013年01月 RHトラベラー(株)入社 常務執行役員 経営戦略室長

2015年07月 (株)ジェネックスパートナーズ入社

2016年04月 フロンティア・ターンアラウンド(株)入社

2017年04月 フロンティア・マネジメント(株)へ転籍  9月 当社代表取締役社長就任(現任)

役員名


【幹事団】

主幹事証券 野村 - -

引受証券 みずほ - -

引受証券 SMBC日興 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 岡三 - -

引受証券 いちよし - -

引受証券 東海東京 - -

引受証券 楽天 - -


【参考類似企業】今期予想PER(5/28)

4921  ファンケル 51.1倍(連結予想 )

4925  HABA 29.2倍(連結予想 )

4926  シーボン 161.8倍(連結予想 )

4928  ノエビアHD 27.9倍(連結予想 )

4931  新日製薬 19.9倍(単独予想 )

4933  Ine 54.9倍(連結予想 )

4934  Pアンチエイジ 52.6倍(連結予想 )

4936  アクシージア 53.2倍(連結予想 )


【私見】

 卵殻膜を使った美容関連の銘柄で、業種としては特異性もあり面白いのですが、VCの売出し案件で人気化する可能性は極めて低いです。業績は悪くないですが、成長性は微妙で、PERからは適正ではあります。吸収金額が大きく、買い手不在で厳しい初値が予想されます。


想定価額:840円

仮条件上限:880円

初値予想:880円

ブック申し込み度・・・弱気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価2.5

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