2021年6月4日金曜日

IPO分析(ペイロール)

 【事業内容】

 マネージドサービスと、クラウドサービスを用いた給与計算業務のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を主たる事業として行っております。

 当社グループが事業を展開する給与計算業務のアウトソーシング市場は、政府の提唱する「働き方改革」により各企業が行う長時間労働是正の手段として、アウトソーシングを活用し、コア業務に注力することに対する機運が高まっていることから需要が拡大しており、今後も発展していくことが見込まれると考えております。この様な環境下、当社グループの給与計算業務のアウトソーシングサービスは、給与・定期賞与計算はもちろん、年末調整補助業務や地方税特別徴収補助などの季節性業務、身上異動等の人事関連業務、従業員及び各拠点との直接対応など、給与計算に関わる様々な周辺業務をサポートする「フルスコープ型アウトソーシング」であり、顧客企業の人事・労務関連業務の工数削減を行い、コア業務に特化するためのサービスを提供しております。

 また、当社グループは、2016年1月よりマイナンバー制度の開始に伴い、フルスコープ型アウトソーシングサービスのノウハウを活かした「マイナンバー管理サービス」を提供しております。このように、給与計算のみを受託するのではなく、サポート範囲を給与計算に関わる業務とし、また、法改正等の市場の動向に合わせて業務範囲の拡大を行うことで、給与計算業務を受託するマーケットにおいて競争力を有するとともに、顧客企業の満足度の向上にも繋がっており、2020年3月期実績として、97.8%のリテンション率((当期運用売上高※3-喪失顧客の前期運用売上高)÷当期運用売上高)を有しております(ストック型の事業モデル)。


(1)フルスコープ型アウトソーシング

 フルスコープ型アウトソーシングは、企業の人事部門に代わり、顧客企業の人事部門が担っている給与計算業務を受託することで、顧客企業に対し工数削減、コア業務への特化を実現いただくことができるサービスであります。フルスコープ型アウトソーシングの特徴である「業務範囲が給与計算のみならず、その周辺業務まで幅広く扱うこと」、「従業員に対する申請の督促や問い合わせ、従業員からの問い合わせ受付などの従業員直接対応業務を受託すること」を実現することで、顧客企業は給与計算に関する多大な業務から解放され、同時に当社グループは顧客企業の人事部門の一部として、その土台を根底から支える存在として機能することができます。

① 顧客企業の共通業務運用の標準化による精度向上、大量処理(マネージドサービス)

 当社グループは、業務ごとに標準フローやオペレーションシステムを構築し、専門センター(以下、「BPOセンター」という。)を設置しております。このセンターを活用することで、大量処理や幅広い業務を効率的に実施しております。

 一般的に社内にて給与計算業務を実施する場合、給与担当者の退職や季節性業務による業務負担の増加、企業の成長に合わせた担当部門の人員増加などにより、「属人化のリスク」「精度担保のリスク」が発生いたします。そこで当社グループは、細分化された業務を、顧客企業ごとの給与担当者とは別にBPOセンターが担うことで、顧客企業の共通業務を標準化し、まとめて処理できる体制を確立しております。これにより、担当者に頼った運用を回避し、かつ精度の高い大量の業務処理を実現しております。

 

② クラウドサービスにより、顧客企業の更なる利便性の向上を図るとともに、各種サービスの品質を高める

 当社グループは、パーソナルコンピューターとインターネット環境があればすぐに導入できるWebサービス(e-payサービス)を提供しており、顧客企業のシステム負担の最小化を実現しております。e-payサービスでは、各種計算結果の納品、人事関連情報の管理など、給与計算に関わるサービスを簡単に利用できる形で提供しております。また、従業員にはパーソナルコンピューターを利用いただくことにより、各種申請・承認や勤怠管理をリアルタイムで行う機能、明細情報を過去情報まで遡って閲覧できる機能等、充実したサービスを提供することで利便性の向上を図っております。


③ セキュリティとBCPの構築による安定したサービス提供

 プライバシーマーク及びISMSの認証取得、SSAE18及びISAE3402に準拠したType2報告書


(2)具体的なサービス

① 給与計算業務のアウトソーシングサービス

 当社は、(1)に記載した給与計算業務の「フルスコープ型アウトソーシング」を提供しており、サービスラインナップは、給与・定期賞与計算、年末調整補助、地方税特別徴収補助を基本サービスとして、附随する各種オプションサービスを提供しております。なお、給与計算業務のアウトソーシングに伴い、顧客企業へ業務改善提案(BPR)を行っております。BPRによって課題解決を図り顧客企業での作業を削減することや、当社基幹システムへの標準化を企図することによって、顧客及び当社での工数削減を実現いたします。

 また、株式会社HRテクノロジーソリューションズは、新サービスに伴うお客様への教育・研修のサービスを提供しております。


② マイナンバー管理サービス

 当社が提供するマイナンバー管理サービスは、「新たな投資」「新たな業務コスト」「新たな情報漏洩リスク」という、マイナンバー対応により発生する業務負担の最小化をサービスコンセプトとしており、給与計算業務のアウトソーシングサービスで培ったノウハウを活かし、保管・管理・削除に伴う業務負担、情報漏洩リスクなどの軽減を実現できます。

 本サービスにより、顧客企業は、申請書の授受、システム改修などの業務プロセスの煩雑化を回避することができます。具体的には、書類の送付・回収・督促等の全てをセキュアな環境を実現したセンターにおいて、顧客企業の従業員との直接対応をしております。


【業績等】

業績動向(百万円) 売上収益 営業利益 税引き前利益 純利益

(連結実績)2019.3 6,629 1,150 934 649

(連結実績)2020.3 7,252 1,151 1,069 727

(連結実績)2021.3 7,484 1,224 1,152 758

(連結予想)2022.3 8,569 1,502 1,424 1,088


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(連結予想)2022.3 61.11 681.94 0

調達資金使途 基幹システム機能強化のための設備資金、運転資金


上場時発行済み株数 17,906,100株 (別に潜在株式600,000株)

公開株数 7,863,700株(公募428,000株、売り出し6,410,000株、オーバーアロットメント1,025,700株)


PER:22.5

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:108億

公募時時価:247億

  

【株主構成】 

Pacificグロース投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 4,000,100 22.13 90日

Pacific戦略投資1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 3,816,600 21.11 90日

Pacific2号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 2,540,000 14.05 90日

リサ・コーポレート・ソリューション・ファンド4号投 ベンチャーキャピタル(ファンド) 2,533,400 14.01

Pacificグロース3号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,280,000 7.08 90日

Pacificプリンシパル投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,250,000 6.91 90日

(株)アイネット 特別利害関係者など 1,000,000 5.53 90日

湯浅哲哉 代表取締役社長 987,000 5.46 90日

従業員持ち株会 特別利害関係者など 416,000 2.30 180日

山崎雅敏 執行役員 49,900 0.28 90日

前田有美 取締役 21,300 0.12 90日


本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人及び貸株人であるPacific グロース投資事業有限責任組合及びPacific2号投資事業有限責任組合並びに当社株主であるPacific戦略投資1号投資事業有限責任組合、Pacific グロース3号投資事業有限責任組合、Pacificプリンシパル投資事業有限責任組合、株式会社アイネット、湯浅哲哉、前田有美(旧姓:菅野)及び益田美貴は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2021年9月19日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと及びグリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等は除く。)は行わない旨合意しております。

 加えて、当社株主であるペイロール従業員持株会は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2021年12月18日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等は行わない旨合意しております。

 また、当社の新株予約権者である山﨑雅敏、浅井周嗣、安川悠介、中村雄樹、樋口浩二、江刺家亜沙美、木村嵩、富岡大、矢野英理子、穂坂英、徳野貴信、田中健太郎、巴祐治、中富初美、森圭司及び橋本修は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2021年9月19日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等を行わない旨合意しております。


 【代表者】

代表者名 湯浅 哲哉(上場時62歳6カ月)/1958年生

本店所在地 東京都江東区有明

設立年 2017年

従業員数 566人 (4/30現在)(平均33.9歳、年収449.9万円)、連結569人

株主数 11人 (目論見書より)

資本金 100,000,000円 (5/18現在)

代表者略歴

1982年04月 東芝情報機器(株)(現 Dynabook(株)) 入社

1989年04月 (有)コンフィデンスサービス(旧(株)ペイロール)設立 代表取締役社長

2014年01月 旧(株)ペイロール代表取締役

2017年12月 当社 代表取締役社長就任(現任)

2019年03月 (株)HRテクノロジーソリューションズ取締役(現任)


【幹事団】

主幹事証券 野村 - -

引受証券 SMBC日興 - -

引受証券 東海東京 - -

引受証券 岡地 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 いちよし - -


【参考類似企業】今期予想PER(5/21)

3802  エコミック 16.4倍(連結予想 )

3979  うるる -倍(連結予想 )

4290  PI 26.8倍(連結予想 )

4708  りらいあ 14.8倍(連結予想 )

6183  ベル24HD 15.3倍(連結予想 )

6188  富士ソフSB 12.6倍(単独予想 )

9715  トランスコスモ 13.6倍(連結予想 )


【私見】

 給与計算業務のアウトソーシングということで、完全な類似業種はないものの参入障壁が高いわけではなく、大きな優位性は感じません。業績は伸びていことは評価できますが、成長性を考えると公募価額が妥当な水準だと感じます。ロックが整備されて需給は悪くないのですが、ファンドの売出し案件で買い手不在が予想されます。


想定価額:1380円

仮条件上限:1380円

初値予想:1450円

ブック申し込み度・・・やや弱気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価2.5

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