2021年6月6日日曜日

IPO分析(ペルセウスプロテオミクス)

 【事業内容】

  東京大学先端科学技術研究センター・システム生物医学ラボラトリー(LSBM)で開発された蛋白質発現・抗体作製技術を基盤として、診断・創薬標的に対応する抗体の医療への活用を目指して設立されました。創業以来、医薬品シーズ抗体を創生する事で、がん及びその他疾患の治療用医薬品の研究開発、及び関連業務を行っております。LSBMで開発された蛋白質発現技術は、従来調製が困難であった膜蛋白質を効率的に発現し、これを動物免疫法と組み合わせる事で、親和性の高い抗体の効率的な取得を可能にしています。更に当社は多様性に富むファージ抗体ライブラリと特許技術でもある独自の抗体スクリーニング技術を保有しており、これらを対象とする疾患の細胞に適用する事で、創薬標的の探索、及び従来の動物免疫法で得られるものとは異なる特徴を持つ高機能シーズ抗体の同時取得を可能にしています。当社の技術は、これら二つの抗体技術とシーズ探索術を融合し、医療ニーズにマッチした医薬品シーズ抗体を取得することを特長としております。また、当社は東京大学発である事を起点として、さらにそのネットワークを広げ、多くのアカデミアとの連携により最新のサイエンスのもとで創薬を行うことを使命としております。

 抗体医薬品は、近年副作用の少ない画期的な治療薬として脚光を浴び、現在低分子医薬を抜いて抗がん剤の主流となっています。2018年度の世界の医薬品売上高上位10位のうち6品目が抗がん剤で、そのうち5品目が抗体医薬品であります。しかしながら、がんは極めて巧妙なメカニズムにより、治療から逃れていこうとしており、抗体医薬品ですら未だ満足できるものは完成しているとは言えません。また、近年免疫チェックポイント阻害抗体やADC等の抗体医薬品の新しい潮流は見えてきておりますが、奏効率、副作用の観点から未だ満足できるものではなく、未だ新規抗体医薬品の開発が望まれております。なお、がん以外も含めた抗体医薬品では、医薬品売上高上位10位のうち6品目を占め、抗体医薬品の重要性がますます増してきています。(出典:日経バイオテク 世界の医薬品ランキング2018年度)このような事業環境の中で、当社は機能性の高い抗体を、当社独自の技術で作製し、その抗体を治療薬として開発し、また、治療薬として開発した抗体にRIや毒素を化学的に結合させることでがん細胞への攻撃力を高めるような研究開発も行っております。


3) 当社の開発品

① PPMX-T001

中外製薬株式会社 開発コード等

a.特徴

 PPMX-T001は、遺伝子チップを用いたトランスクリプトーム解析により見出された肝臓がんで特異的に発現が高いグリピカン3(GPC3)を標的としております。

b.開発状況

 この開発中の治療薬は、第Ⅰ相試験で患者での有効性が確認され、第Ⅱ相試験は、主要評価項目が未達となりました。一方、アデゾリズマブとの併用で第Ⅰ相試験を行い、患者での有効性が確認されたことが学会発表されております。更に2016年にBispecific抗体)ERY974(抗GPC3-抗CD3)の第Ⅰ相試験が開始され、2019年8月に終了しております。

c.対象疾患

肝臓がん


② PPMX-T002

富士フイルム株式会社 開発コード:FF-21101

a.特徴

PPMX-T002は、がん細胞表面に存在するカドヘリン3(CDH3)を標的とした開発中の治療薬です。カドヘリン3は、細胞間接着蛋白質として機能すると考えられています。トランスクリプトーム解析から、主要正常臓器において発現が低く、各種がんで多く発現している標的として見出されました。


b.開発状況

富士フイルム株式会社が米国にて2016年より進行性固形がん患者に対する抗がん剤として、第Ⅰ相試験を開始し、投与された患者でPPMX-T002の抗体が、がん組織に集積すること、及び安全性が確認された用量で一部症例において腫瘍の縮小が確認されました。2019年より第Ⅰ相試験を拡大し、最大耐容用量で症例数を増やし、日本の厚生労働省の定める第Ⅱ相試験相当を実施中です。なお、国内での第Ⅰ相試験も検討中との説明を受けております。

c.対象疾患

CDH3陽性難治性固形がん(卵巣がん、胆道がん、頭頸部扁平上皮がん)

d.ライセンスの状況

2011年1月に、当社及び富士フイルムRIファーマ株式会社(現 富士フイルム富山化学株式会社)のPPMX-T002に関する権利(「研究・開発」及び「製造・販売」等)を富士フイルム株式会社に実施許諾する契約を締結しました。


【業績等】

業績動向(百万円)売上高 営業利益 経常利益 純利益

(単独実績)2019.3 275 -144 -145 -163

(単独実績)2020.3 85 -812 -834 -841

(単独実績)2021.3 67 -411 -410 -413

(単独予想)2022.3 70 -564 -583 -625


上場時発行済み株数 11,686,400株 (別に潜在株式838,600株)

公開株数 3,795,000株(公募3,300,000株、オーバーアロットメント495,000株)

シンジケート 公開株数3,300,000株 


PER:

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:33億

公募時時価:101億

   

【株主構成】 

富士フイルム(株) その他の関係会社 2,988,210 32.39 90日・1.5倍

NVCC8号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,274,370 13.81 90日・1.5倍

DBJキャピタル投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 444,400 4.82

SBI4&5投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 444,400 4.82

エムスリー(株) 特別利害関係者など 444,400 4.82

イノベーション・エンジン産業創出投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 390,000 4.23 90日・1.5倍

みずほ成長支援第2号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 384,300 4.17 90日・1.5倍

横川拓哉 代表取締役社長執行役員 379,000 4.11 180日

Newton Biocapital I Pricaf pri ベンチャーキャピタル(ファンド) 329,200 3.57

三菱UFJキャピタル(株) ベンチャーキャピタル(ファンド) 284,910 3.09 90日・1.5倍

SMBCベンチャーキャピタル4号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 256,110 2.78


本募集に関連して、貸株人である富士フイルム株式会社並びに当社株主であるNVCC8号投資事業有限責任組合、イノベーション・エンジン産業創出投資事業有限責任組合、みずほ成長支援第2号投資事業有限責任組合、三菱UFJキャピタル株式会社、SMBCベンチャーキャピタル4号投資事業有限責任組合及び富士フイルム富山化学株式会社は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後90日目の2020年6月21日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと及びその売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う取引所での売却等を除く。)等を行わない旨合意しております。


【代表者】

代表者名 横川 拓哉(上場時60歳8カ月)/1960年生

本店所在地 東京都目黒区駒場

設立年 2001年

従業員数 22人 (4/30現在)(平均46.8歳、年収590.2万円)

株主数 31人 (目論見書より)

資本金 604,000,000円 (5/19現在)

代表者生年月日 1960年10月13日生まれ

代表者略歴

1985年04月 富士写真フイルム(株)(現 富士フイルム(株))入社

2004年04月 同社 R&D統括本部材料研究本部 デジタル&フォトイメージング材料研究所研究担当部長

2007年06月 富士フイルム(株) R&D統括本部ライフサイエンス研究所副所長 兼ライフサイエンス事業部事業開発室技術担当部長

2009年06月 富士フイルム(株) R&D統括本部医薬品研究所所長

2015年04月 同社 再生医療事業推進室マネージャー兼 一般社団法人再生医療イノベーションフォーラム出向(運営委員長)

2017年12月 富士フイルム株式会社 ヘルスケア事業推進室マネージャー

2018年03月 当社 取締役 6月:当社 代表取締役(現任)

2019年01月 当社 執行役員(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SBI 2,805,000 85.00

引受証券 みずほ 165,000 5.00

引受証券 SMBC日興 99,000 3.00

引受証券 いちよし 33,000 1.00

引受証券 岡三 33,000 1.00

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー 33,000 1.00

引受証券 藍沢 16,500 0.50

引受証券 岩井コスモ 16,500 0.50

引受証券 エイチ・エス 16,500 0.50

引受証券 極東 16,500 0.50

引受証券 東洋 16,500 0.50

引受証券 松井 16,500 0.50

引受証券 水戸 16,500 0.50

引受証券 むさし 16,500 0.50


【参考類似企業】 時価総額(5/21)

4564  OTS 203億円

4575  CANBAS 84億円

4582  シンバイオ 610億円

4583  カイオム 96億円

4588  オンコリス 173億円

4594  ブライトパス 94億円

4597  ソレイジア 184億円

4598  DELTA-P 79億円


【私見】

 富士フィルムとの関係はあるものの、赤字のバイオ銘柄で売上も僅かで苦戦が予想されます。

規模的には100憶程度なので下値不安はなく公募価額が妥当と考えますが、ネット証券主幹事で、買い手不在で厳しいスタートが予想されます。3桁銘柄は上がることも多いのですが、不人気要素が多いかと思います。


想定価額:870円

仮条件上限:870円

初値予想:870円

ブック申し込み度・・・弱気

セカンダリー期待度・・・弱気

総合評価2

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