2021年6月17日木曜日

IPO分析(プラスアルファ・コンサルティング)

 【事業内容】

 当社の事業の最大の特徴は、「見える化」するSaaS型ソリューションの開発力もさることながら、顧客業務に関する知識や分析手法についての知見・経験をもったコンサルタントによるコンサルティング/サポート(当社サービスの活用支援にとどまらず、顧客業務に合わせたサービス利用方法の提案や、データ解析手法・ノウハウの提供等)の充実にあります。当社のコンサルティングチームによる導入先企業に寄り添ったコンサルティング/サポートを実施することにより、導入先企業の担当者は、当社の提供するサービスを「使える」から「使いこなせる」、そして「結果を出せる」レベルに到達できると考えております。このコンサルティング/サポートの過程で導入先企業との間に信頼関係が構築されるとともに、当社は様々な「気づき」を得ることが可能となります。ここで得た「気づき」が、当社のコンサルティングチームから開発・営業チームへとタイムリーに共有されることとなります。このようにコンサルティング・開発・営業チームが、「気づき」をタイムリーに共有し、密に連携することで、導入先企業からのフィードバックを素早く新機能開発・機能改善に取り込み、一早く市場に新たな提案を行うことが可能となるなど、チームを超えた連携開発プロセスを高速に進める仕組みを構築しております。当社では、このような高速進化の流れをPACサイクル(Plus Alpha Consultingサイクル)と呼んでおります。このPACサイクルにより、当社の提供するサービスは、導入先企業である顧客資産をベースに新機能の速やかな市場投入を進めており、その結果、機能の高速進化による差別化、サービスの高付加価値化によるARPU上昇、充実したサポートによる解約率低減とLTV向上などを実現しております。また、業界を主導する先進的な取り組みを行っている導入先企業について、当社のコンサルティング活動を通じて当該マネジメント層の協働パートナーとして新手法の開発をリードしており、高付加価値のサービス提供を実現する推進力となっております。このように高付加価値で差別化されたサービスは、高い効率で顧客を獲得することが可能となっております。

 このようなPACサイクルにより、短い期間に多くの機能を追加することが可能となり、サービスを高速進化させることにつながっております。例えば、下記はタレントパレットのバージョンアップ機能数(累積)となりますが、2016年9月のリリースから約4年の間にバージョンアップが40回、実装機能数は2,300件(設計・開発・テストの一連のプロセスを経て進行する開発案件数をカウント)を超えており、平均で1日1件以上の機能が新たに実装されております。

 また当社では、自社技術により開発した自然言語処理エンジン「Waters」を提供しており、全てのサービスに組み込むことで活用しております。Watersは形態素・構文解析エンジンの商用サービスの先駆けとして、長期にわたり民間や研究機関など、多くの顧客からの要望・要求に応える形で機能の強化・改良を継続してきております。また頻繁に辞書アップデートを行うことで経年による言葉・口語表現の変化へタイムリーに対応しており、解析精度の高さが特徴となっております。解析スピードが速いことから、実用においてデータ量がボトルネックとならず、ビッグデータ時代に対応した技術となっております。


(1) 見える化エンジン事業

 見える化エンジン事業では、大量の顧客の声を「見える化」するマーケティング領域のテキストマイニングツール「見える化エンジン」を提供しております。主に一般消費者向けに商品・サービスを提供する企業のコンタクトセンターやマーケティング部門において導入され、2008年5月のサービス開始以来、累計で1,674社(2021年3月31日時点)に導入されております。顧客アンケートやNPS(顧客推奨度)、コールセンターのログ、SNSやブログ等の膨大な顧客の声、営業員の営業日報、テキスト化した音声データ、特許・論文等の知的資産情報など、幅広いデータソースによる情報をテキストマイニングで分析し、顧客の不満やニーズを「見える化」できるサービスとなっているほか、直感的に操作できるインターフェースなどの特徴により、顧客の商品・サービスの改善や新商品の開発などに活用されております。

 テキストマイニングは、大きく「自然言語処理」と「データマイニング」という二つの技術で構成されています。「自然言語処理」は、コンピュータでは処理しづらい文章の要素や構造、意味の解析技術のことをいい、「データマイニング」とは統計処理や多変量解析、AIなどの機械学習等の手法を用いてデータから一定の相関関係やパターンを見つけ出す技術のことをいいます。当社は、自社技術により自然言語処理エンジンを開発し、長い年月をかけて、日本語特有の多岐にわたるルールに対応するため、継続的な研究・開発を進めてまいりました。そのため、毎年誕生する新たな若者言葉のような独特な表現にも適時に対応することが可能であります。こうしたテキストマイニング技術のアップデートにあたっては、時代の変遷に伴う表現の変化の情報を一つひとつ積上げ、解析ルールをチューニングし続ける必要があります。このことが、日本語特有の複雑さに高い精度で対応した解析サービスの提供につながっています。

 

(2) カスタマーリングス事業

 BtoC事業者向けの統合マーケティングプラットフォーム「カスタマーリングス」を提供しております。「カスタマーリングス」は、EC事業者(アパレル/健康食品/化粧品/雑貨など)や小売業などの企業を中心として、オンライン・マーケティング施策の検討やその実行のために採用されております。2011年7月のサービス開始以来、累計で592社に導入されており、その実績から培ったCRMノウハウとデータマイニングなどの分析技術を凝縮したマーケティングオートメーションの二つを融合させることで、最新のトレンドに合わせて常に進化を続けております。

 近年、マーケティング対象となるデータの多種多量化かつ複雑化が進展しております。このような状況下で、マーケティングオートメーションツールを導入する場合、通常は、各種データ(商品購買情報、顧客属性、顧客の購買履歴、Webサイトへのアクセスログ、アンケート解答、IoTデバイス情報など)を整理・統合し、分析可能な状態にするために多大な時間とコストを投じて要件定義を行う必要があります。しかしながら、「カスタマーリングス」では、ファイル数/ファイル容量の制限なく、ノンカスタマイズで自由な連携を実現しながら環境を構築することができる「はじめやすさ」に特徴があります。

 また、「カスタマーリングス」では、誰でも、すぐに、欲しいデータを抽出することを可能にする自由なセグメンテーション力に特徴を有しています。複数セグメントにおける多様な条件設定に合致したリアルタイムなデータ抽出を可能としており、このような自由なセグメンテーションにより顧客一人ひとりを自在に「見える化」することができます。例えば、利用者は、購買パターン分析機能により、顧客の商品購買データ等から一人ひとりの顧客行動を可視化し、リピート購入するような優良顧客がたどってきた購買経路等を把握することが可能となっております。その結果、メール一斉送信のような従来のメールマーケティングにとどまらず、メール・SMS・チャット・アプリなど多様なチャネルへ対応した上で、推奨商品、配信対象、配信方法、配信タイミングなどの要素を考慮に入れながら、直感的に操作できるインターフェースにより、顧客に合わせたきめ細かなマーケティング・シナリオを構築し、その実行までを自動化することが可能となっており、導入先企業における最適なマーケティングアクションを実現しております。


(3) タレントパレット事業

 人事情報・社員を「見える化」するHR・人事領域のタレントマネジメントシステム「タレントパレット」を提供しております。主に人事部門において、人材活用により社員パフォーマンスの向上に取り組む人事の企画・戦略において活用されております。社内に散在する社員のスキル、適性、モチベーション、キャリア、人事評価、従業員アンケート、採用情報等の人事情報を集約し、分析・「見える化」することにより、最適配置や離職防止、採用効率化を科学的視点により実現する科学的人事のプラットフォームとなっております。


【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(単独実績)2019.9 3,439 990 995 638

(単独実績)2020.9 4,726 1,430 1,445 1,026

(単独予想)2021.9 6,000 1,838 1,821 1,191

(単独中間実績)2021.9 2,880 1,043 1,050 688


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(単独予想)2021.9 29.77 115.66 5.94

調達資金使途 人件費、広告宣伝


上場時発行済み株数 40,050,000株 (別に潜在株式3,069,600株)

公開株数 10,916,300株(公募50,000株、売り出し9,442,500株、オーバーアロットメント1,423,800株)


PER:19.9

PBR:

配当利回り:0.3%

公募時吸い上げ資金:251億

公募時時価:921億

    


【株主構成】 

三室克哉 代表取締役社長 15,724,800 36.51 90日

野村キャピタル・パートナーズ第一号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 14,720,000 34.1890日・1.5倍 

鈴村賢治 取締役副社長 9,443,200 21.93 90日

辻本秀幸 特別利害関係者など 520,000 1.21 90日

竹内孝 取締役 496,000 1.15 90日

金子若葉 取締役 496,000 1.15 90日

松原雅仁 執行役員 163,600 0.38

山崎雄司 執行役員 131,600 0.31

西田紀雄 執行役員 119,200 0.28

下村真由 執行役員 119,200 0.28


  本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である野村キャピタル・パートナーズ第一号投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2021年9月27日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること及びその売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う売却等を除く。)を行わない旨合意しております。

 また、売出人である三室克哉、鈴村賢治、竹内孝及び金子若葉、当社株主である辻本秀幸は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2021年9月27日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し等を除く。)を行わない旨合意しております。

 

【代表者】

代表者名 三室 克哉(上場時52歳4カ月)/1969年生

本店所在地 東京都港区浜松町

設立年 2006年

従業員数 186人 (4/30現在)(平均32.1歳、年収598.4万円)

株主数 6人 (目論見書より)

資本金 10,000,000円 (5/27現在)

代表者生年月日 1969年02月05日生まれ

代表者略歴

1993年04月 (株)野村総合研究所 入社

2007年08月 イージーコンサルティング(株)(現当社)取締役 就任

2007年10月 当社代表取締役社長 就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 野村 - -

独立幹事証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -

引受証券 みずほ - -

引受証券 SMBC日興 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 松井 - -


【参考類似企業】今期予想PER(6/3)

3655  ブレインP 67.7倍(連結予想 )

3906  ALBERT 86.7倍(単独予想 )

3993  PKSHA 222.8倍(連結予想 )

4165  プレイド -倍(単独予想 )

4180  Appier -倍(連結予想 )

4435  カオナビ 1,576.8倍(単独予想 )


【私見】

 AI・クラウドといった人気になりそうなキーワードのある銘柄で、野村色が強い印象です。業績は伸びが凄まじく、PERからは上値余地が十分にありそうです。スタート時点で規模が非常に大きく、プレイド並みに評価は出来そうですが、VCが1.5倍でロックが外れるのは注視したいです。


想定価額:1940円

仮条件上限:2300円

初値予想:3000円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価3.5

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