2022年12月1日木曜日

IPO分析(スマートドライブ)

 【事業内容】

​ モビリティデータ(GPSデータ(緯度経度、GPS速度、GPS精度)、加速度センサーデータ等)を利活用した顧客企業の業務効率化による生産性向上や既存サービスの高付加価値化、新規サービスの創出等に貢献するべく、事業を展開しております。

(1)  国内FO事業

 国内に約2,000万台ある商用車・法人需要車両を、業務目的で利用する企業向けに、クラウド車両管理や法令遵守、安全運転管理、車両に係る各種業務のDX化、モビリティデータの分析・解析など各種サービスをSaaS型で直接提供しております。


(2)  国内AO事業

 国内FO事業における各種サービスをパッケージ化し、リース会社や自動車メーカー、保険会社等のアセットオーナー企業を主とするパートナー企業向けにOEM提供することで、パートナー企業の既存顧客に向けて各種サービスを共同販売・展開すること、及びパートナー企業内の新規事業立ち上げ支援やPOCの実施支援など、パートナー企業が行う事業の高付加価値化や新規サービスの創出を支援しております。


(3)  海外モビリティDX事業

 マレーシアにおいて現地企業や海外展開する日系企業向けに上記(1)(2)事業を提供しております。

 

 ① SmartDrive Fleet

 車載デバイスで車両をコネクテッド化し、業務目的で車両を利用する企業の各種課題を解決する、クラウド型車両管理サービスです。以下に記載した当サービスの主な用途・特徴は、業務目的で車両を利用する企業に共通した用途・課題であり、中間流通・インフラメンテナンス・不動産・訪問介護など幅広い業界の顧客企業にご利用いただいており、2022年6月末時点において800社超の導入実績があります。

 

(SmartDrive Fleetの主な用途と特徴)

 ▪ DX推進

 車載デバイスを介して車両の移動データや位置情報、運転挙動、車両稼働状況など各種モビリティデータを収集できます。顧客企業は収集されたデータから、自社で利用する各営業車両や各配送車両の位置情報・訪問エリア・訪問ルート等をリアルタイムに把握し、業務を可視化することができ、訪問効率や営業効率の最適化、生産性向上を推進することができます。その他、共用車両の事前予約機能による車両管理業務の簡易化や、各車両の使用頻度や稼働状況の自動記録機能によって保有台数の最適化等を検討することができます。


▪ 安全運転管理や法令遵守等のコンプライアンス対応

 各ドライバーの運転挙動・運転性向の自動記録機能や独自のスコアリング機能によって、急操作等が多いドライバーを適時把握でき、顧客は自社における安全運転指導や交通事故未然予防を推進することができます。その他、運転日誌など道路交通法施行規則に基づく法定必要書類の自動作成機能や、アルコール検知器と連携した酒気帯び点検結果の自動記録機能など、顧客は車両に関する法令遵守・コンプライアンス対応を推進できます。


 ▪ マルチデバイス対応

 サービス利用及び各種モビリティデータの収集に際して、SmartDrive Fleetでは、車種を問わずに取り付け可能な自社製デバイスのみならず、他社製のドライブレコーダーや車載Wi-Fiルーター、ETC2.0機器とも連携し利用可能であること、また、SmartDrive Fleetの一部機能についてはスマートフォンのみでも使用可能な設計となっており、顧客はデバイスの種類並びに車両の保有形態の制約を受けずにサービス利用することができます。


② その他オプションサービス

▪ SmartDrive Cars(ドライバーエンゲージメント)

 運転挙動データに基づき、安全運転度合いに応じてコンビニエンスストア等で利用可能なデジタルポイントを、従業員であるドライバー向けに付与できるサービスであり、顧客企業内の福利厚生や従業員の安全運転に対するモチベーション向上のための手段として利用されます。車両管理を目的にSmartDrive Fleetを利用し、福利厚生を目的にSmartDrive Carsを利用するなど、同一顧客企業内で両サービスを並行利用する場合もあります。


▪ Fleet Option Report、Mobility Data Insight(データ分析サポート)

 当社サービス利用時に自動記録される各種モビリティデータを基に、SmartDrive Fleetの通常利用時よりも詳細に安全運転管理、労務管理、業務効率化、コスト削減、動産管理等を実施する顧客企業向けに、データ分析結果のレポートや管理用ダッシュボードを提供するオプションサービスです。サービス提供に際しては、当社サービス利用時に自動記録されたモビリティデータのみならず、顧客企業が保有する各種データ(リース料、保険料、燃料費、車種等の車両関連情報や地図情報等)も組み合わせた形での分析・管理も可能です。


▪ SmartDrive Fleet Basic

 車載デバイス不要でスマートフォンで使用可能な、安全管理者の日報作成自動化などコンプライアンス対応に特化した、エントリー向けサービスです。


 ③ パートナー企業向けSmartDrive FleetのOEM提供、POC及びR&D支援

 モビリティデータを活用して自社の既存事業の高付加価値化や新規事業創出を目指すパートナー企業に向けて、SmartDrive Fleet をホワイトラベルとしてOEM提供することで、パートナー企業における新規事業のスムーズな立上げ支援を行います。例えば、自動車メーカーやリース会社などのパートナー企業が、エンドユーザー(自動車購入企業やカーリース契約者等の既存顧客)向けに、クラウド型車両管理サービスを新規事業として、かつ自社ブランドとしてサービス提供開始するにあたって、データ管理のためのデータプラットフォームや既存のサービス管理画面など、エンドユーザーへのサービス提供に向けた導入支援やサービス立上げ支援を当社が行い、サービス提供開始後はエンドユーザー数に応じて、パートナー企業との間でレベニューシェアを行います。

 当該取組みは、パートナー企業にとっては新規事業の早期立ち上げや既存顧客との接点強化、顧客生涯価値の拡大を可能にするものであり、当社グループにとってはパートナー企業自体が大口顧客となり、エンドユーザーへのディストリビューターとして当社サービスの拡販に繋がるものといえます。


(SaaS基盤提供(サービスOEM提供)における協業事例)

 その他POCやR&D支援として、当社が車両走行データやカーシェア利用データ、電気自動車の充電データ等各種モビリティデータを収集し、パートナー企業が保有するその他データを掛け合わせ、それらの解析支援を行うことで、パートナー企業と共同で新規商材やサービスの開発を行っております。例えば、保険会社をパートナー企業として、当社はデータプラットフォームに収集された車両の走行データに基づき、該当車両が将来事故を起こす確率と予測された事故率に基づいて保険料を柔軟に設定・算定できるAI(テレマティクス保険用リスクAI)モデルを保険会社に提供し、保険会社では当該モデルを活用した新たな保険商品(テレマティクス保険)の開発と販売を行っております。


[事業モデル]

 ① 国内フリートオペレーター事業

 顧客に対して、直接販売及び販売代理店経由でサービス提供・販売を行っております。

なお、販売代理店経由での販売には、パートナー企業向けに既存サービスをOEM提供している場合における、パートナー企業の顧客に向けた販売も含まれます。 


 ② 国内アセットオーナー事業

 パートナー企業(顧客)に対して、直接販売・直接契約の形で相対でサービス提供・販売を行っております。 


 ③ 海外モビリティDX事業

 顧客に対して、直接販売・直接契約の形で相対でサービス提供・販売を行っております。


[事業の特徴]

 a. SaaS型の容易なサービス導入

 クラウド経由でのサービス提供を前提とし、ユーザー側でのサーバーやソフトウェア等の設備投資は不要で、インターネット経由でのサービス利用となるため、低コストでの導入が可能となります。また、ソフトウェアの保守や機能追加等は当社グループにて一括実施するため、運用コストも安価で、中小企業での導入も容易となっています。


 b.マルチデバイス対応

 車種を問わずに脱着が容易なシガーソケット型デバイスを用いることで、車両保有形態(リース車両、保有車両、カーシェア、レンタカー、借上車両)を問わずに利用可能です。また、他社製ドライブレコーダーや車載用Wi-Fiルーターとの連携、及び一部機能の制限はあるもののETC2.0やスマートフォンとも連携しており、マルチデバイスでのサービス提供や、モビリティデータの分析・解析が可能です。


c.リカーリングレベニューによる安定性と成長性の実現

 サービス料金は主に顧客企業の利用期間、車両台数やユーザー数等に応じてサブスクリプションとして課金しています。継続的なサービス提供を前提とし、収益も継続的に積み上がるストック型ビジネスとしての安定性、かつ新規契約数の増加に伴い高い成長性も見込めるビジネスモデルとなっております。また、複数年間契約が主体で、契約金額を一括前払いにて回収しているためキャッシュ・フローの観点でも安定性が見込めます。


d.国内AO事業におけるパートナー企業との連携

 パートナー企業の既存顧客との接点及び販売チャネルが効果的に機能することで、導入企業数(エンドユーザー数)の増加が見込めます。


e.データを活用したクロスセルの実現

 各サービスを通じて収集したモビリティデータを活用することで既存サービスに加え、提供サービスの高付加価値化に資する分析データや予測データの提供など、クロスセルや更なるマネタイズが可能となります。


  【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/09 連結会社予想 1,782 -86 -83 -85

2022/09 連結実績 1,254 -319 -302 -303

2021/09 連結実績 827 -362 -321 -327

2020/09 連結実績 398 -799 -755 -763


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/09 連結会社予想 -14.30 33.17 0.00


上場時発行済株数 6,039,830株(別に潜在株式596,790株)

公開株数 1,673,100株(公募223,400株、売り出し1,231,500株、オーバーアロットメント218,200株)

調達資金使途 車載デバイスの先行調達資金や広告宣伝費などの運転資金、ソフトウエア自社開発費や研究開発費、東南アジアでの運転資金


募集を行う地域

欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)


PER:

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:22.1億

公募時時価:80億

​   


【株主構成】 

(株)OMU 代表取締役の資産管理会社 3,000,000 46.78% 180日

(株)INCJ ベンチャーキャピタル(ファンド) 761,220 11.87%

TJ2015.FUND LP ベンチャーキャピタル(ファンド) 457,500 7.13% 90日・1.5倍

Monoful Pte. Ltd. 特別利害関係者など 400,020 6.24% 90日・1.5倍

ANRI1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 333,330 5.20% 90日・1.5倍

加藤雅之 新株予約権の受託者 219,000 3.41% 180日

住友商事(株) 特別利害関係者など 140,610 2.19% 180日

田中基博 新株予約権の受託者 135,000 2.11% 180日

アクサ損害保険(株) 資本業務提携先 125,010 1.95%

三菱UFJキャピタル5号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 124,980 1.95% 90日・1.5倍

Innovation Growth Fund I L.P. ベンチャーキャピタル(ファンド) 112,500 1.75% 90日・1.5倍

SMBCベンチャーキャピタル3号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 93,750 1.46% 90日・1.5倍


 本募集及び引受人の買取引受による売出しに関し、貸株人である株式会社OMU、当社株主である住友商事株式会社、新株予約権者である加藤雅之、田中基博、元垣内広毅、永井雄一郎、Gunnar Lockwood、村山嗣、竹川隆司、三輪麻美、高橋幹太、石津真一、青木仁志、濱地俊文、手塚佳央里、島友美、風間進一、南條匡紀、渡辺亜衣、齋藤正佳、小畑良樹、雲野裕介、石野真吾、岩瀬貴義、谷口春奈、今野雄貴、高田亮介及び坂本祭太は、共同主幹事会社に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2023年6月12日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中は、共同主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等を行わない旨を約束しております。

 北川烈は、共同主幹事会社に対して、ロックアップ期間中は、共同主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)及び株式会社日本政策金融公庫から買取る予定の第13回新株予約権並びに当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等を行わない旨を約束しております。

 売出人であるANRI1号投資事業有限責任組合、三菱UFJキャピタル5号投資事業有限責任組合、SMBCベンチャーキャピタル3号投資事業有限責任組合及びみずほ成長支援第2号投資事業有限責任組合並びに当社株主であるTJ2015.FUND LP及びジー・エス・グロースインベストメント合同会社は、共同主幹事会社に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して90日目の2023年3月14日までの期間中は、共同主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等(ただし、その売却価格が募集における発行価格又は売出しにおける売出価格の1.5倍以上であって、SMBC日興証券株式会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)を行わない旨を約束しております。

 当社株主であるソニーグループ株式会社は、共同主幹事会社に対して、ロックアップ期間中は、共同主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等を行わない旨を約束する書面を差し入れる予定であります。

 また、当社株主であるMonoful Pte. Ltd.は、共同主幹事会社に対して本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して90日目の2023年3月14日までの期間中は、共同主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等(ただし、その売却価格が募集における発行価格又は売出しにおける売出価格の1.5倍以上であって、SMBC日興証券株式会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)を行わない旨を約束する書面を差し入れる予定であります。

【代表者】

代表者名 北川 烈(上場時33歳7カ月)/1989年生

本店所在地 東京都千代田区有楽町

設立年 2013年

従業員数 73人 (2022/10/31現在)(平均35歳、年収761.1万円)、連結75人

事業内容 モビリティーデータを活用した各種サービスの提供

URL https://smartdrive.co.jp/

株主数 15人 (目論見書より)

資本金 107,500,000円 (2022/11/10現在)

代表者生年月日 1989年04月24日生まれ

代表者略歴

2013年10月 当社設立代表取締役就任(現任)

2020年03月 SmartDrive Sdn. Bhd. Director(現任)

2021年08月 株式会社OMU代表取締役就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SMBC日興 - -

主幹事証券 大和 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 松井 - -

引受証券 みずほ - -

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -

引受証券 楽天 - -


【参考類似企業】今期予想PER(11/16)

4012 アクシス 16.6倍 (連結予想)

4414 フレクト 21.7倍 (単独予想)

4813 ACCESS - (連結予想)

6752 パナソニックH 12.1倍 (連結予想)

6753 シャープ 124.8倍 (連結予想)

8056 BIPROGY 15.7倍 (連結予想)

9368 キムラユニティー 7.4倍 (連結予想)

9417 スマバ 100.0倍 (連結予想)

9432 NTT 11.0倍 (連結予想)

9474 ゼンリン 17.7倍 (連結予想)


【私見】

 モビリティ関連で業種的には面白そうで社名からはいかにもな会社ですが、赤字でロックなしVC多数ということで投資対象外になってしまいます。海外売出しがあり、規模もそこまで大きくはないですが、黒字化が見えるまでは参戦する気にはなりません。


想定価額:1260円

仮条件上限:1320円

初値予想:1400円

ブック申し込み度・・・中立

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3

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