2022年12月16日金曜日

IPO分析(スマサポ)

 【事業内容】

​(1)事業の概要

 不動産管理会社向けソリューション提供事業を展開しております。当社の事業の特徴として、不動産管理会社と入居者のコミュニケーションを活発化させることで、不動産管理会社がこれまで得られなかった収益を得ることや貼り紙や電話での連絡によるコミュニケーションをデジタル化することで不動産管理会社の業務負担を改善することにあります。

 不動産管理会社向けソリューションサービスと新電力サービスであり、詳細なサービス内容は以下のとおりであります。なお、現状の売上構造の大半はスマサポサンキューコールが占めておりますが、将来的に入居者アプリ「totono」を核とした種々のサービス提供を企図しております。

①入居者満足度調査サービス「スマサポサンキューコール」

 スマサポサンキューコールは、従来不動産管理物件の新規入居者との接点を持たなかった不動産管理会社に対して、入居者との継続的な関係を築く契機として、入居時のお礼や満足度アンケート調査の実施を代行するとともに、生活に必要な各種ライフラインサポート等の案内を手掛けるサービスです。

 具体的には、新たに入居された方のご同意をいただいた上で、不動産管理会社から当社へ情報をご提供いただき、不動産管理会社に代わって、入居者へのご挨拶を行うとともに、仲介店舗のスタッフの接客やお店の雰囲気等のアンケートを行います。当該アンケート結果は、定期的に不動産管理会社にフィードバックを行い、不動産管理会社の業務改善等にお役立ていただいております。また、アンケートを行った入居者のご意向を伺い、新電力、インターネット回線、ウォーターサーバー等の新生活に供するサービスのご案内を行い、ご同意をいただいた上で、新電力やインターネット回線、ウォーターサーバー等の商材提供事業者へのお取次ぎ等を行っております。

 不動産管理会社から提供される入居者情報に対し、対価を支払うとともに、外部委託先(販売先・外注先)から顧客紹介手数料、及び各種サービス(商材等)提供会社から取次手数料等を収受しております。そのため、取次手数料を得る当社と、情報提供元である不動産管理会社の両社に収益が生まれます。なお、当社では入居者に対しての架電業務を自社のコールセンターだけでなく、複数の業務委託先コールセンターに委託することで多くの入居者に対しての架電業務を円滑に行っております。


②入居者アプリ「totono」

 不動産管理会社と入居者のコミュニケーションをデジタル化するアプリです。

具体的には、入居者が賃貸借契約を締結してから発生する「入居時点検」「駐車場・駐輪場契約、更新、退去等の各種申請」や「近隣トラブルの相談」等はこれまで紙やFAX、電話で行われていましたが、「totono」を活用することでデジタル化が図れるようになります。

 不動産管理会社にとっては、基幹システムと連携することで、電話やFAXで受けていた各種情報を入力する手間が省けたり、これまで物件の掲示板に貼り出していた「断水のお知らせ」等の連絡を入居者に直接届けたりできるようになるため、業務の効率化が図れるようになるとともに、入居者にとっても各種申請作業やトラブルの相談等を手軽に行うことができるようになることで満足度向上につながっていきます。具体的には、入居者にとっては350項目あるQ&Aリストをそのまま活用できるので、部屋の不具合に対する自己解決が可能となります。それでも解決しなかったものはアプリ内のチャット上に画像をアップロードすることで的確に不具合の状況を伝えることができるため、トラブルの早期解決につながります。併せて、チャット対応を行うリソースが不足している不動産管理会社に対しては、代行してチャットの返信を行うチャットセンターの運営を行っております。

 このように「totono」を導入することによるメリットは不動産管理会社にとって大きいことから、アプリダウンロード者である入居者からは利用料等は収受せず、ご利用いただく不動産管理会社から初期導入料及び毎月の利用料を収受しております。当社はその利用料を収受するために、自社の開発人員においてアプリの機能開発を行う他、外部開発会社に開発のためのコストを支払っております。


③スマサポ内覧サービス「SKB」

 賃貸物件の略称であり、賃貸物件の内覧時における鍵の管理業務効率化を図るためのキーボックスです。

 これまでは、不動産仲介会社が内覧する際には不動産管理会社に鍵を取りに行き、内覧が終われば鍵を返しに行くというやりとりが必須であり、鍵の管理が極めて煩雑でした。本サービスでは内覧用の鍵を空室のドアに設置したキーボックス内に格納し、そのキーボックスの開閉はアプリによって行われるようになるため、鍵の管理を行う必要がなくなります。

 アプリによるキーボックスの開閉は不動産管理会社が承認をした時に限られるため、セキュリティ面の強化が図れます。また、内覧履歴が残るようになっているので、どの部屋がいつ誰によって開閉されたのかが分かるため、不動産管理会社はそのデータを活用しリーシングの強化を行うことができます。

 このように、不動産管理会社の鍵の管理業務を効率化するサービスであり、導入する不動産管理会社から導入時に機器代を収受するほか、システム利用の対価として月額利用料も収受しております。当社では、安定的に商品を供給するために、当該機器はメーカーに作成依頼をしており、一定数を在庫として保有しております。なお、サービス利用者である不動産仲介会社は、あくまで、本サービスを利用することで内覧の鍵を利用することができるだけの存在であり、手数料等は収受しておりません。


④家賃保証サービス「sumai保証」

 入居者の連帯保証人を代行するサービスです。

入居者にとっては、保証料を支払うことで連帯保証人を立てる必要がなくなり、不動産管理会社にとっては、規定する保証の範囲内で滞納賃料や原状回復費用の未回収分等の立替えを受けることができます。


⑤新電力サービス「スマサポでんき」

 不動産管理会社が管理する物件の共用部分に係る電力契約を、既存の地域電力会社から新電力会社に切り替える取次ぎを行っております。当社は、新規契約者を新電力会社に取り次ぐ際に取り次ぎ手数料を収受しているほか、契約先から電気料金の集金を代行し、代行手数料を得ております。

 なお、本サービスは2021年12月まで、当社が新電力会社より電気を仕入れ、顧客に販売する事業を展開しておりましたが、仕入電力料金の変動による業績変動のリスクを低減させるため、2022年1月より取次契約へと形態を変更しております。また、現状の新電力市場の調達価格の不安定さから、需要家への訴求が難しくなると判断したため、当社としては、本サービスからの完全撤退に向けて対応を続けており、将来的には本サービスから得られる手数料はなくなる見込みです。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/09 単独会社予想 2,906 190 185 140

2022/09 単独実績 2,041 76 78 73

2021/09 単独実績 2,029 -70 -68 -50

2020/09 単独実績 1,859 189 188 151


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/09 単独会社予想 60.33 245.35 0.00


上場時発行済株数 2,361,700株(別に潜在株式160,000株)

公開株数 333,500株(公募150,000株、売り出し140,000株、オーバーアロットメント43,500株)

調達資金使途 ソフトウエア開発費用


PER:13.2

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:2.7億

公募時時価:19億

​   

【株主構成】 

(株)CABO DA ROCA 太田卓利氏の資産管理会社 790,000 33.31% 180日

太田卓利 元親会社の大株主 583,300 24.59% 180日

大東建託パートナーズ(株) 資本業務提携先 140,000 5.90% 180日

Hamagin DG Innovation投組 ベンチャーキャピタル(ファンド)116,700 4.92% 90日

小田慎三 代表取締役社長 102,300 4.31% 180日

(株)DGベンチャーズ ベンチャーキャピタル(ファンド) 70,000 2.95% 90日

藤井裕介 常務取締役 67,300 2.84% 180日

太田玲 特別利害関係者など 63,000 2.66% 180日

NEXT ONE(責) 特別利害関係者など 51,700 2.18% 90日

みずほ成長支援第4号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド)51,400 2.17% 90日

(株)三好不動産 特別利害関係者など 50,000 2.11% 180日

みずほ成長支援第3号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 50,000 2.11% 90日

地域とトモニ1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 50,000 2.11%


本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人である太田卓利、貸株人である株式会社CABO DA ROCA並びに当社株主である大東建託パートナーズ株式会社、太田玲、株式会社三好不動産、ENECHANGE株式会社、小田慎三、衣笠賢二、藤井裕介、森田団、室之園和也、野村陽一、永井文隆及び株式会社ビジュアルリサーチは、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後180日目の2023年6月26日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等を除く。)等を行わない旨合意しております。 また、当社株主であるHamagin DG Innovation投資事業有限責任組合、株式会社DGベンチャーズ、NEXT ONE有限責任事業組合、みずほ成長支援第4号投資事業有限責任組合、みずほ成長支援第3号投資事業有限責任組合及び地域とトモニ1号投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後90日目の2023年3月28日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却を行わない旨合意しております。

  ​

【代表者】

代表者名 小田 慎三(上場時53歳2カ月)/1969年生

本店所在地 東京都中央区日本橋

設立年 2012年

従業員数 63人 (2022/10/31現在)(平均33.8歳、年収425.1万円)

事業内容 不動産管理業界に向けた複数ソリューション提供と入居者アプリ「totono」を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)推進事業

URL https://www.sumasapo.co.jp/

株主数 21人 (目論見書より)

資本金 142,499,000円 (2022/11/25現在)

代表者生年月日 1969年10月15日生まれ

代表者略歴

1991年04月 株式会社あすなろプロモーション入社

2001年10月 株式会社パソナ入社

2003年06月 株式会社宅都入社

2016年09月 当社代表取締役社長就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 みずほ - -

引受証券 大和 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 松井 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 岡三 - -

引受証券 楽天 - -


【参考類似企業】今期予想PER(12/2)

2453 JBR 29.8倍 (連結予想)

3796 いい生活 27.9倍 (連結予想)

4054 日本情報 21.2倍 (連結予想)

4262 ニフティライフ 8.4倍 (連結予想)

9252 ラストワンマイル 55.7倍 (連結予想)

9435 光通信 9.5倍 (連結予想)


【私見】

 DXを活用した不動産管理業で、悪くはありませんが、大きな優位性はなさそうで同業並みの評価になりそうです。来期9月決算の予測PERで20台後半までの評価は可能で、それ以上は割高な水準になるかと思います。極端に少ない吸収金額で、VCなしの株主構成からマネーゲームになる可能性はあり初値高騰は間違いないでしょうが、高い位置ではリスクが伴うでしょう。


想定価額:760円

仮条件上限:800円

初値予想:2000円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

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