2022年12月10日土曜日

IPO分析(GENOVA)

 【事業内容】

 利用者(患者)にとって分かりやすく情報の信頼性が高いwebメディアを運営するメディカルプラットフォーム事業と、医療機関現場における診療行為以外の利便性向上や効率化につながるサービスの開発及び提供を行うスマートクリニック事業の2つで構成しております。

 メディカルプラットフォーム事業は、近年の高齢化に伴う持続的な健康意識の高まりを受け、正しい予防情報や健康知識を求める人々に医療情報を提供するため、「Medical DOC」(メディカルドック)という自社メディアにおいて、医師が監修する医療情報記事の掲載や、身近な健康問題への関心を高める啓蒙コンテンツとして、著名人による闘病体験記事、未病への取組記事等を配信しております。また、自社メディアへ医療機関の紹介記事を制作するサービスを提供しております。

 「Medical DOC」では利用者が目当ての医療機関を簡単に探すことができるように、全国の医療機関の情報をデータベース化し、地域や診療科目といった区分で容易に検索できるような機能を提供しております。

 このように当社が運営する医療メディアは、利用者及び医療機関双方にとって有用なサービスとして認識されており、2022年10月末時点で、医療情報に関する記事数3,649件、月間PV数は約730万PVに達しております。

 自社メディアへ医療機関の紹介記事を掲載するための有料記事制作を請け負っており、メディカルプラットフォーム事業の収益源となっております。メディカルプラットフォーム事業は、医療機関に長年サービスを提供することで培った全国の医療機関との営業接点や、当社メディアの医療広告規制に準拠した記事制作ノウハウ及び品質管理体制に強みがあります。

 スマートクリニック事業は、医療機関現場における診療行為以外の利便性向上や効率化につながるサービスの開発及び提供を目的に、医療機関向けに「NOMOCa-Stand」(ノモカスタンド)というスマート簡易自動精算機・再来受付機や「NOMOCa-Regi」(ノモカレジ)というスマートレジを販売しております。

 また、LINE上からの予約や気軽に直接医療機関に問い合わせ予約を行うことのできる「CLINIC BOT」の提供も行なっております。

 2022年3月末時点で累計既存顧客数約11,000件の営業接点があることや、2022年3月期の既存顧客売上高比率は52.1%となっていることなど、現場の不満や課題の汲み上げによりサービス改善を行っております。その結果、2022年3月期の当社の主要なサービスの年間契約件数は2,705件に達しております。


(メディカルプラットフォーム事業)

(1) Medical DOC(メディカルドック):医療メディアサービス

 現在の当社グループ主力商品である「Medical DOC」(メディカルドック)は、利用者の不安の解消を目指した医療メディアです。健康であり続けたい、予防医療や治療医療、自分の病気のことを身近な周りの人に理解してほしいなど、利用者間や利用者と医療従事者の間には大きな情報格差が存在します。そうした情報格差を解消すべくMedical DOCを運用しております。

 運営する当社のメディアに対して、有料で医療機関の紹介記事の制作を請け負っております。医療機関においては、当社メディアに記事を掲載することにより、立地や医療機関の特長から集めたい患者層に的確にアプローチすることができるメリットがあります。


(スマートクリニック事業)

(1) NOMOCa(ノモカ):業務効率化サービス

 主力サービスであるNOMOCa-Standは医療機関(無床診療所)向けスマート簡易自動精算機・再来受付機です。電子カルテとの連携など、レセプトコンピュータ(診療報酬を請求するために「レセプト(診療報酬明細書)」を作成するコンピューターシステム)との連携が可能な仕組みになっております。医療機関に特化した設計が特徴となっております。少子高齢化により医療機関における働き手の確保が難しくなるなか、医療機関における受付業務の省力化、効率化を実現するためのサービスとして展開しております。これらの商品は株式会社新世紀に製造を委託しており、当社及び販売代理店を通じて商品の販売を行っております。医療機関現場における利便性向上に資する商品を提供することで事業展開しており、2022年10月時点で累計導入台数1,274台に達しております。


(2) CLINIC BOT:LINEを使ったCRMサービス

 LINEを使ったCRMサービスを医療機関に提供しております。従来、LINEの公式アカウントでは、通知登録を希望されている患者に対して、適宜、情報を一斉案内することはできましたが、患者単位で情報を管理し、セグメンテーション・ターゲティングをした情報発信はできませんでした。医療機関は、CLINIC BOTを導入することにより、患者に対してターゲティングした情報配信が行えるようになり、また、患者がLINEを通じて直接医療機関に問い合わせをすることができるようになります。

 さらに、患者がLINE上から診療予約を行うことが可能になり、LINEを通じて診察券の機能を付加することができるようになるなど、医療機関と患者とのコミュニケーションを円滑にするサービスを提供しております。

 既に医療機関向けにリリースされている予約システム、レセプトコンピュータ、電子カルテシステムと連携が可能な非対面型の自動精算機・再来受付機。

 患者自らお金を投入し、窓口会計速度の向上と会計ミスの防止に役立つ、医療機関専門の自動会計釣銭機。

 保険診療はもちろん、同一施設内における他法人の物販対応も可能です。またNOMOCa-Standとの連携や有床診療所対応も可能となっております。


 (その他事業)

 主に医療機関向けのWebサイト制作や、制作したWebサイトの運用保守を提供しております。なお、Webサイト制作は以前の主力サービスであったことから、現在は運用保守や、既存のお客様からの追加修正等の対応が主な内容となっており、新規の顧客開拓は積極的に行わない方針です。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/03 連結中間実績 2,916 695 699 438

2023/03 連結会社予想 6,431 1,622 1,616 1,006

2022/03 連結実績 4,802 1,054 1,059 686

2021/03 連結実績 3,768 799 804 629


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/03 連結会社予想 62.21 215.41 -


上場時発行済株数 16,908,100株(別に潜在株式936,000株)

公開株数 3,503,900株(公募728,100株、売り出し2,318,800株、オーバーアロットメント457,000株)

調達資金使途 採用費・教育費・人件費、営業拠点拡充資金


売出しを行う地域

 欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)


PER:28.9

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:63.1億

公募時時価:304億

​   

【株主構成】 

平瀬智樹 代表取締役社長 8,248,400 48.21% 180日

GENOVA従業員持株会 特別利害関係者など 2,179,600 12.74% 180日

(株)平瀬商店 役員らが議決権の過半数を所有する会社 1,333,200 7.79% 180日

ドコモ・イノベーションファンド投組 ベンチャーキャピタル(ファンド)800,000 4.68% 90日・1.5倍

タイムズイノベーションキャピタル(同) ベンチャーキャピタル(ファンド)640,000 3.74%

提橋由幾 取締役 412,000 2.41% 180日

青山圭秀 特別利害関係者など 400,000 2.34% 90日・1.5倍

石田克史 特別利害関係者など 400,000 2.34% 180日

(株)クレディセゾン 特別利害関係者など 340,000 1.99% 180日

(株)LEOC 特別利害関係者など 240,000 1.40% 180日


 本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人かつ当社役員である平瀬智樹、売出人かつ当社役員である武田幸治、日置真太郎、真野友義、提橋由幾、福井元明、加藤綾子(三輪綾子)及び後藤保夫、当社役員である鈴木孝昭、売出人である内藤信至並びに当社株主であるGENOVA 従業員持株会、株式会社平瀬商店、株式会社クレディセゾン、株式会社LEOC、株式会社爽健グローバル、チームラボ株式会社、石田克史、松下智樹及び後藤敏仁は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2023年6月20日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等は除く。)等は行わない旨合意しております。

 また、売出人であるドコモ・イノベーションファンド投資事業組合並びに当社株主である青山圭秀は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2023年3月22日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却(ただし、当社普通株式の売却価格が本募集等における発行価格又は売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う株式会社東京証券取引所での売却等を除く。)等は行わない旨合意しております。

【代表者】

代表者名 平瀬 智樹(上場時44歳10カ月)/1978年生

本店所在地 東京都渋谷区渋谷

設立年 2005年

従業員数 273人 (2022/10/31現在)(平均28.2歳、年収501.4万円)、連結301人

事業内容 医療情報サイト「MedicalDOC」の運営やクリニック向け自動受付精算機の販売など

URL https://www.genova.co.jp

株主数 40人 (目論見書より)

資本金 115,000,000円 (2022/11/18現在)

代表者生年月日 1978年02月05日生まれ

代表者略歴

1997年12月 株式会社テレウェイヴ入社

2000年04月 テレウェイヴリンクス取締役

2001年06月 同社常務取締役

2005年07月 当社設立、当社代表取締役社長(現任)

2013年04月 株式会社横浜フリエスポーツクラブ社外取締役

2021年08月 一般財団法人日本スウェーデン歯科学会理事(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SBI - -

引受証券 クレディスイス - -

引受証券 野村 - -

引受証券 SMBC日興 - -

引受証券 大和 - -

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -

引受証券 あかつき - -

引受証券 岡三 - -

引受証券 東海東京 - -

引受証券 松井 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 楽天 - -



【参考類似企業】今期予想PER(11/28)

2148 ITM 19.2倍 (連結予想)

2150 ケアネット 32.4倍 (連結予想)

2413 エムスリー 53.7倍 (連結予想)

2454 オールアバウト 36.4倍 (連結予想)

3645 メディカネット 21.0倍 (連結予想)

4387 ZUU 22.3倍 (連結予想)

6038 イード 9.3倍 (連結予想)

6095 メドピア 44.7倍 (連結予想)

7047 ポート 16.7倍 (連結予想)

9479 インプレス 13.1倍 (連結予想)


【私見】

 メディカルプラットフォーム事業とスマートクリニック事業という両輪で、人気が高く長い目で見ても高い評価は出来ます。売上・利益共に伸びは素晴らしく、PERからは妥当な水準で上値があるかは今後の成長性次第でしょう。ロックなしVCなど1社はありますが、全体の規模が大きいことから気になるほどではなく、海外配分があることは評価出来ます。ただし、このサイズでSBI主幹事ということが一番気になるところであり、地合いが悪いと初値から売りを浴びることも視野に入れたほうが良いかと思います。


想定価額:1760円

仮条件上限:1800円

初値予想:2200円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

0 件のコメント:

コメントを投稿