2022年12月7日水曜日

IPO分析(monoAI technology)

 【事業内容】

​<XR事業に関して>

 オンラインゲームなどのメタバースは、フィクションの仮想空間においてプレイヤーが様々な体験をするために開発されたものです。また、オンラインゲームではリアルタイム同時接続の技術が重要ですが、新型コロナウイルス感染防止を契機として、この技術はノンフィクション(現実)においてもバーチャルイベントやバーチャル展示会などの様々な用途に利用され始めております。

 そのなかでも当社グループでは、オンラインゲーム開発で培ってきた技術をゲーム業界だけでなく、幅広い業界における様々なシーンで利用可能とするために、仮想空間共有技術プラットフォーム「XR CLOUD」を開発しております。また、XR周辺に位置するAI技術・通信技術とを総合してXR事業とみなしております。


<仮想空間共有技術プラットフォーム「XR CLOUD」について>

 「XR CLOUD」は、だれでも、どこからでも、大勢で同時接続できる仮想空間共有技術プラットフォームです。当社グループではXR市場において、コア技術である通信技術及びAI技術をゲーム業界だけでなく幅広い業界で利用可能とするために、誰でも簡単に仮想空間でイベントを行うことができることを目指し、仮想空間共有技術プラットフォーム「XR CLOUD」を開発しております。

 オンラインゲーム開発で培ってきた技術と経験を背景とした「XR CLOUD」は、以下の特長を有しております。


1.安定した数万人規模の同時接続かつ、仮想空間を構成する1エリアごとにも1,000人規模の同時接続が可能

 リアルタイム同時接続数は、仮想空間でのコミュニケーションに不可欠な技術要素ですが、全体と個別の2つの観点で分けて考えることができます。1つは「空間内全体での同時接続数」、もう1つは「1エリア内での同時接続数」です。当社の技術では、仮想空間内全体において数万人の同時接続が可能であり、かつ、当該空間を構成する1エリア内でも1,000人規模の同時接続が可能です。1エリア内での同時接続数は多ければ多いほど現実でのコミュニケーションに近しいものとなっていきます。この点は当社グループが持つ重要な優位性となっております。


 2.OEM提供による高い拡張性

 長年にわたるオンラインゲーム開発などのシステム開発ノウハウの蓄積、自社で確保している開発リソースを背景に、「XR CLOUD」を開発いたしました。このような開発技術を活用し、顧客ごとに異なる個別の細かなニーズに合わせた柔軟なカスタマイズ対応を可能とする体制を構築できております。


3.マルチデバイス(スマートフォン、タブレット、PC等)に加え、アプリだけでなくブラウザにも高品質対応が可能

 仮想空間においては、ユーザー側の使用するブラウザによって、画面遷移や音声等の品質にバラツキが発生します。当社グループではこれまでの開発技術や知見を活かし、独自のクラウドレンダリング技術を有しております。従来のブラウザでレンダリングを行うWebGL技術では接続数が増えるとクライアント処理が極端に重くなるという課題をクリアした、1,000人が同時接続しても重くならない先端技術です。


<当社グループのサービスについて>

(1)メタバースサービス

 仮想空間内で行われるライブ・展示会等の需要に対し、顧客ごとのシステム開発及びオンラインゲーム開発、顧客の要望によってはライブ・展示会等のイベント運営、集客代行、運営支援を行うものです。また、「XR CLOUD」をOEM供給し、顧客のプラットフォームとして、顧客ごとのオリジナルの仮想空間の構築及びオンラインゲーム開発等を行うものを分類しております。OEM供給することで、メタバースをゼロから開発することなく、迅速かつ安価に独自メタバースを構築できます。開発実績としては、ライブ特化型仮想空間SNS「INSPIX WORLD」や、「INSPIX WORLD」内のオンラインゲーム、バーチャル音楽ライブ「JM梅田ミュージックフェス」、オリジナル会場における展示会「デジタル甲子園」、同人誌即売会「NEOKET」、ファンイベント「JM梅田ミュージックフェス内の野外ライブやポイントラリー」等を手掛けております。これらサービスにおいて、当社は主にシステム開発の成果物の対価として売上を計上しておりますが、顧客の要望によっては川上から川下まで一気通貫で支援するソリューション提供をしております。これらにより顧客企業内に専門人材が不在でも、メタバースイベント等を運営できるような支援をする体制を有しております。

 主たる収益であるカスタマイズ開発による初期収益に加え、プラットフォーム利用におけるライセンス料及び運営費等による安定した中長期収益モデルとなっております。


(2)XRイベントサービス

 仮想空間内で行われるイベント等の需要に対して、当社のプラットフォーム「XR CLOUD」を活用し、あらかじめ構築した仮想空間をベースに、誰でも簡単に仮想空間上でイベント等を開催できるサービスを分類しております。

 開発実績としては、採用説明会や社内懇親会、社内会議、展示会、ショッピングモール、VTuberファンイベント、国際化学オリンピック等を手掛け、さまざまな種類のイベントをパッケージ化し、低コスト、短期納期化を実現しております。

 当社は「XR CLOUD」にあらかじめ構築されている標準機能※を提供することで、顧客が実現したいイベントを、ゼロから作る場合と比較して、短納期かつより廉価で実現可能なものとしております。また、「XR CLOUD」のプラットフォーム内においても、標準機能の応用として、顧客ごとに細やかな対応も可能です。それにより顧客1社1社にあったサービスを提供しております。具体的には、自社スタッフの顔を表現したアバターを用いるケースや、自社会議室を模した社内イベントを催すケースのほか、画面共有機能、カメラ映像のワイプ表示、PDFアップロード、質問者へのマイク付与など、ビジネス機能を充実させることもできます。また、同一エリアに1,000人同時接続可能な自社プラットフォームで、大規模なイベントも開催が可能です。このように「XR CLOUD」では、画一的なプラットフォームでは対応が難しいケースにも柔軟に対応しております。

 ライセンス料、イベント制作・運営委託による収益がメインであり、イベントのパッケージ化によって、高い収益が見込めるモデルとなっております。

 メタバースサービス及びXRイベントサービスは主に、仮想空間内で行われるイベント開催の需要がある法人に対してサービスを提供しております。当第3四半期連結累計期間における累計動員数は186,956人と前年度(59,026人)に比べ大きく増加しており、順調に推移しております。


 開催されるイベントの属性は大きく以下2つのケースに分類できます。

1.最終消費者である一般個人が参加するイベント開催に利用するケース

 顧客企業が要望する背景として、物理的に1か所に参加者を集める開催方法と比較してコスト安が望めること(設営費、運営人件費等)や、参加者増加が望めること(全世界から参加可能、施設の収容可能数に縛られない、移動が不要等)、技術革新により高いクオリティーでのメタバース体験が可能なこと(場所に囚われず、没入感のある体験ができる等)等が挙げられます。


例.バーチャルショッピングモール(そらのうえショッピングモール/ベネリックデジタルエンターテインメント株式会社)、バーチャルファンミーティング(オンラインVTuberフェス/中京テレビ放送株式会社)、テレビ連動企画(24時間テレビコンテンツ/中京テレビ放送株式会社)


2.自社内でのイベント開催に利用をするケース

 顧客企業が要望する背景として、物理的に1か所に参加者を集める開催方法と比較してコスト安が望めること(賃料やイベント会場費等)や、メタバースならではの高付加価値(擬態化されたアバターを用いることでのコミュニケーション活性化等)があることが挙げられます。


例.社内イベント(アビームコンサルティング株式会社)、講演・懇親会(フランチャイズオーナー懇親会/株式会社HITOSUKE)


  また、これらの新規顧客獲得の数・質を高めることを目的に、オウンドメディア「メタバース相談室」を運営しております。これにより、メタバース開発需要のある当社ターゲット企業へ効率的にリーチできる体制を構築しております。


 (3)XR周辺サービス

 「XR CLOUD」の根幹でもある通信ミドルウェア「モノビットエンジン」の開発・販売、AIを用いたソフトウエア品質保証サービスの開発、キャラクター開発等のAI技術開発を行っております。

 具体的には、当社子会社であるモノビットエンジン株式会社では、オンラインゲームやVR開発に用いる通信ミドルウェア「モノビットエンジン」を開発し、開発会社向けに提供しております。当社子会社であるモリカトロン株式会社では、AIを用いたソフトウエア品質保証サービスのシステム設計や研究開発、AIがキャラクターの口調を学習しセリフの監修をサポートする「AIせりふサポート」、人との雑談をシステム化する「AI会話ジェネレーター」等を提供しております。


 【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2022/12 連結3Q累計実績 1,094 48 48 40

2022/12 連結会社予想 1,416 63 51 60

2021/12 連結実績 1,291 -136 -174 -181

2020/12 連結実績 1,127 -487 -479 -580


決算期 種別 EPS BPS 配当

2022/12 連結会社予想 6.90 - 0.00


上場時発行済株数 9,923,220株(別に潜在株式997,140株)

公開株数 1,675,000株(公募1,200,000株、売り出し256,600株、オーバーアロットメント218,400株)

調達資金使途 人件費、採用費、研究開発費


PER:95.7

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:11.1億

公募時時価:65億

​   

【株主構成】 

本城嘉太郎 代表取締役社長など 3,754,000 38.62% 180日

(株)ベリサーブ 取引先 1,026,680 10.56% 180日

銭錕 取引先の代表取締役社長 673,340 6.93% 90日・1.5倍

GMCM VENTURES PTE. LTD. ベンチャーキャピタル(ファンド) 660,000 6.79%

(株)イグニス 取引先 545,020 5.61% 90日・1.5倍

脇本博道 従業員、新株予約権信託の受託者 472,100 4.86% 180日

中嶋謙互 執行役員CTOなど 400,000 4.12% 180日

森川幸人 取締役など 390,000 4.01% 180日

成沢理恵 取締役など 390,000 4.01% 180日

山下真輝 取締役 348,000 3.58% 180日

ソニーグループ(株) 特別利害関係者など 200,000 2.06% 

谷間真 取締役 177,040 1.82% 180日

井沢 春樹 取締役 100,000 1.03% 180日

仁木 拓磨 従業員 100,000 1.03% 180日

文倉 達之 特別利害関係者など 100,000 1.03% 180日

きらぼしキャピタル夢・はばたき1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 100,000 1.03%

阪急阪神イノベーションパートナーズ投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 100,000 1.03%


本募集及び引受人の買取引受による売出しに関し、貸株人である本城嘉太郎、売出人である株式会社ベリサーブ、当社株主である株式会社ロータス、中嶋謙互、森川幸人、成澤理恵、井澤春樹、仁木拓磨及び株式会社トーセ、並びに当社新株予約権者である山下真輝及び谷間真は、SMBC日興証券株式会社(以下「主幹事会社」という。)に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2023年6月17日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等を行わない旨を約束しております。

 当社株主である銭錕及び株式会社イグニスは、主幹事会社に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して90日目の2023年3月19日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等(ただし、その売却価格が募集における発行価格又は売出しにおける売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)を行わない旨を約束しております。

 当社新株予約権信託(第1回新株予約権)の受託者である脇本博道は、主幹事会社に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2023年6月17日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)のうち236,040株及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等を行わない旨を約束しております。


【代表者】

代表者名 本城 嘉太郎(上場時44歳10カ月)/1978年生

本店所在地 奈良県神戸市中央区三宮町

設立年 2013年

従業員数 105人 (2022/09/30現在)(平均32.7歳、年収427.8万円)、連結121人

事業内容 メタバースプラットフォーム「XR CLOUD」の運営

URL https://monoai.co.jp/

株主数 18人 (目論見書より)

資本金 149,000,000円 (2022/11/15現在)

代表者生年月日 1978年01月30日生まれ

代表者略歴

1997年04月 株式会社エヌ・エィチ・エス入社

1999年02月 株式会社トーセ入社

2005年07月 株式会社DropWave設立 代表取締役就任

2010年06月 株式会社Marble&Co.(現:株式会社ロータス)設立 代表取締役就任(現任)

2015年07月 株式会社キャトルステラ設立 代表取締役 就任

2017年06月 株式会社AVOCADO設立 代表取締役就任 8月:モリカトロン株式会社設立 代表取締役就任(現任)

2018年01月 株式会社アールワン設立 代表取締役就任(現任) 7月:モノビットエンジン株式会社設立 取締役就任(現任)

2021年02月 AIQVE ONE株式会社 取締役就任


【幹事団】

主幹事証券 SMBC日興 1,311,300 90.02%

引受証券 みずほ 36,400 2.50%

引受証券 SBI 36,400 2.50%

引受証券 岩井コスモ 14,500 1.00%

引受証券 岡三 14,500 1.00%

引受証券 楽天 14,500 1.00%

引受証券 マネックス 14,500 1.00%

引受証券 松井 14,500 1.00%


【参考類似企業】今期予想PER(11/24)

3632 グリー 18.8倍 (連結予想)

3681 ブイキューブ 41.1倍 (連結予想)

3698 CRI・MW 26.3倍 (連結予想)

3976 シャノン - (連結見込)

4301 アミューズ 18.0倍 (連結予想)

4334 ユークス 11.9倍 (連結予想)

4442 バルテス 33.5倍 (連結予想)

4447 PBシステムズ 27.7倍 (連結予想)

4709 IDHD 14.2倍 (連結予想)

5031 モイ - (単独予想)

5129 FIXER 25.2倍 (単独予想)

6554 エスユーエス 13.4倍 (連結予想)


【私見】

 メタバースサービスで、業種としては抜群に良く、12月銘柄でも業種評価では1.2を争う銘柄です。業績も今期黒字予想で、2月の決算発表に向けてどれだけ上澄みが得られるかが焦点となりそうです。問題は需給で、ロックなしVCと1.5倍でロックが外れるイグニス関連を合わせると200万株ほどあり、だぶつく可能性はあり、上は叩かれるかと思います。業種は良いので、そのラインが1.5倍なのか、2倍なのか見極めが難しいとは思います。


想定価額:630円

仮条件上限:660円

初値予想:1500円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

0 件のコメント:

コメントを投稿