2022年12月4日日曜日

IPO分析(フーディゾン)

 【事業内容】

​[BtoBコマースサービス]

 生産者・卸業者・メーカー等から仕入れた食品を自社ウェブサイトの「魚ポチ」上のウェブカタログに掲載し、主に飲食店等のユーザーに直接販売しております。魚ポチは、ユーザーが午後3時30分以降にウェブサイトにアクセスし、日々掲載されている約3,000種類の商品の中から必要な分量をオーダーすると、地域に応じて翌日から3日後までに店頭に配送されるサービスです。魚ポチによってユーザーはアナログな発注の対応や市場へ足を運ぶ手間をかけることなく、趣向性に合った商品を店頭で受け取ることが可能となりました。また、豊富な商品数の中から必要な商品を選定するのは、手間が掛かる作業ですが、魚ポチではユーザーの購買データを活用することで、それぞれの趣向性にあった商品のレコメンデーションを自動的に行い、発注時間の短縮を実現する機能を備えております。

 サービスの質を保つために、バイヤー、品質管理、ロジスティクス及びシステム開発の機能を自社で抱えております。特に関係会社の株式会社フーディソン大田は東京都より東京都中央卸売市場大田市場(以下、大田市場)における仲卸営業許可を取得しており、商品調達力及び物流能力を強化する観点から戦略的に重要な拠点となっております。また、当社グループは東京都中央卸売市場豊洲市場水産部(以下、豊洲市場)の買参権を有しており、大田市場と合わせて中央卸売市場を活用した効率的な商品調達を行うことが可能となっております。さらに、当社グループが独自に開拓した全国の産地ネットワークを通じて、市場を介さない商品調達も行っております。調達した商品は大田市場で加工梱包し、距離に応じて自社または外部委託による配送を行っており、本書提出日現在では全国46都道府県(沖縄県、一部離島除く)でサービスを展開しております。


(BtoB Eコマースのビジネスモデルの特徴)

 業務向けのEコマースは個人向けのEコマースのビジネスモデルとは違い、一般的に単価とユーザーエンゲージメントが高いという特徴があります。一方で、価格競争力や専門性を高める必要があるため、1つのEコマースサイト上に複数のショップが掲載するモール型ではなく自社でサイト、倉庫、商品調達等を運営する自社Eコマースで事業運営することが多いという特徴もあります。

 魚ポチは上記のBtoB Eコマースの特徴があり、ユーザーである飲食店に定常的かつ高頻度で利用されるサービスとなっております。そのため年々ユーザーが積み上がり、利便性の実感や信頼獲得によりユーザー当たりの利用金額も利用期間が長くなるほど増加する傾向があります。BtoBコマースサービスの売上高に占める既存ユーザー(1ヶ月を超えて魚ポチを利用しているユーザー)の割合は、2018年3月期で53%でしたが、2022年3月期では80%まで増加しております。また、2023年第2四半期の全64営業日の中で、平均注文回数は14.4回、最大注文回数は64回となり、高いリピート回数があります。

 また、生鮮品の消費期限が短いという商品特性から、棚卸資産が少なく、倉庫スペースが少なくて良いため、資産投資効率が高くなっております。なお、当社グループの2022年3月期の棚卸資産回転率は70.6回でした。


(受発注の形態)

 商品の仕入販売に関しては、店舗・営業所を保有せず、顧客からの受注機能、仕入商品の発注機能、商品の入出荷機能及びコールセンターにおける顧客サポート機能を本社及びフルフィルメントセンター(物流拠点)に集約しており、受注管理は全てインターネットで行い、発注管理はインターネットを中心とし、一部ファクシミリと電話を通じて行っております。また、自社ウェブサイトを通じて商品を購買する顧客の情報をデータベース化し、顧客ごとの購買特性を販売活動に反映させることができる仕組みを構築しております。


(取扱商品とITシステムの特徴)

 取扱商品は、飲食店が飲食物を提供するための生鮮食品・冷凍食品・加工食品等を中心とし、それぞれの仕入先は生産者、卸売業者、仲卸業者、メーカー等多岐に渡ります。

 一般的なEコマースと異なり、生鮮食品のEコマースは日々品揃えが変化するため掲載商品の更新頻度が高く、鮮度が重要な価値であるため消費期限が短く冷蔵・冷凍・常温の三温度帯での物流対応が必要であり、また商慣行から価格設定が量り売りである等の特徴があり、従来のITシステムでは対応ができませんでした。そこで当社グループは生鮮食品販売に対応した独自のITシステムを構築しております。当該ITシステムにより変動する商品情報を迅速にデータ化した上で、販売データと物流を接続し、スピーディーに商品を出荷する仕組みを実現しております。


[BtoCコマースサービス]

 一般のスーパーマーケットではあまり販売していない魚種や産地仕入れにこだわった水産品等を中心に販売する鮮魚セレクトショップの「sakana bacca」を展開しております。なお、BtoCコマースサービスとBtoBコマースサービスは、それぞれ販売先は異なるものの調達を共同で行うことで効率化を図っております。

 sakana baccaの実店舗は2022年9月末現在、東京都内で8店舗運営しております。昨今消費者の需要は多様化しており、この需要に対して当社グループ独自の流通ルートで仕入れることにより、強みを発揮しサービス提供しております。経済産業省の「商業統計」によると1994年に34,935箇所存在した鮮魚小売店は、2014年には11,118箇所まで減少していることから、消費者は鮮魚小売店にて鮮魚を購入することが以前より難しくなっており、鮮魚小売店当たりの商圏は拡大しております。こうした背景から、交通の利便性の高い立地において店舗展開をすることで、より多くの利用者を獲得できるものと考えております。その結果として、当社グループは2019年3月に東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)の関係会社より出資を受けるとともに、JR東日本の関係会社の運営する駅中テナントに4店舗を出店しております。当社は今後も利便性が高く、出店条件の良い場所に出店をしてまいります。


[HRサービス]

 HRサービスでは、食品事業者向けに人材を紹介する「フード人材バンク」を運営しております。中食需要の高まりや食産業全般の労働者不足を背景として、食品を取り扱う技術を持った人材の需要は高まっており、主に飲食店やスーパーマーケットに正社員候補者を紹介しております。また、当社グループではBtoBコマースサービスを通じて飲食店のネットワークを保有しており、それも活用し、求人ニーズを得て最適なマッチングを実現しております。

 厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、2011年度の飲食物調理の職業の有効求人倍率は1.01倍だったものの、2022年9月には同有効求人倍率は2.87倍まで上がっております。当社グループでは労働集約的な食産業においては、人材の確保とテクノロジーを活用した業務効率化が急務だと考えております。当社グループは「フード人材バンク」を通じて、労働力の紹介を価値提供することで、このような社会的課題の解消に貢献していきたいと考えております。


【業績等】

決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益

2023/03 連結中間実績 2,361 52 59 34

2023/03 連結会社予想 5,023 117 118 78

2022/03 連結実績 3,592 -43 -8 -12

2021/03 連結実績 2,955 -82 -58 -64


決算期 種別 EPS BPS 配当

2023/03 連結会社予想 20.34 - 0.00


上場時発行済株数 4,358,940株(別に潜在株式423,300株)

公開株数 1,226,800株(公募680,000株、売り出し386,800株、オーバーアロットメント160,000株)

調達資金使途 新物流センターの開設費用、新規出店費用、広告宣伝費、採用費・人件費、借入金の返済、売り上げ拡大に伴う増加運転資金


PER:113

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:28.2億

公募時時価:100億

​   


【株主構成】 

山本徹 代表取締役CEOなど 2,077,647 50.65% 180日

(株)リープラジャパン 諸藤周平社外取締役が代表取締役を務める会社 840,000 20.48% 180日

グローバル・ブレイン5号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 294,000 7.17% 90日・1.5倍

SBI AI&Blockchain投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 120,000 2.93% 90日・1.5倍

(株)ミロク情報サービス 特別利害関係者など 117,648 2.87% 180日

内藤直樹 取締役CFO 92,100 2.25% 180日

谷村格 社外取締役 64,000 1.56% 180日

三菱UFJキャピタル5号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 58,823 1.43% 90日・1.5倍

電通デジタル投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 58,822 1.43% 90日・1.5倍

伊藤貴彦 執行役員 47,000 1.15% 180日

JR東日本スタートアップ(株) ベンチャーキャピタル(ファンド) 40,000 0.98% 180日

ひまわりG5号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 40,000 0.98% 90日・1.5倍


 本募集及び引受人の買取引受による売出しに関し、貸株人かつ売出人である山本徹、売出人である株式会社リープラジャパン、当社株主である株式会社ミロク情報サービス、谷村格及びJR東日本スタートアップ株式会社並びに当社新株予約権者である内藤直樹、伊藤貴彦、上田智、田中章博、妹尾邦裕、渡邊陽介、石井健三、日下部俊典、北浦浩、星野健一郎、中澤智史、渡邉卓弘、松本広大、原裕司、木下太志、関川正孝、渡邊大輔、見元拓、岡部拓也、渡邉涼子、呉我朋子、神谷明延、山本均、清水俊明、城口裕太及びその他44名は、SMBC日興証券株式会社(以下「主幹事会社」という。)に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2023年6月13日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等を行わない旨を約束しております。

 売出人であるグローバル・ブレイン5号投資事業有限責任組合及び電通デジタル投資事業有限責任組合並びに当社株主であるSBI AI&Blockchain投資事業有限責任組合、三菱UFJキャピタル5号投資事業有限責任組合及びひまわりG5号投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して90日目の2023年3月15日までの期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等(ただし、その売却価格が募集における発行価格又は売出しにおける売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)を行わない旨を約束しております。

【代表者】

代表者名 山本 徹(上場時44歳1カ月)/1978年生

本店所在地 東京都中央区勝どき

設立年 2013年

従業員数 102人 (2022/09/30現在)(平均36.1歳、年収439.3万円)、連結102人

事業内容 飲食店向け食品Eコマース(電子商取引)サービス「魚ポチ」を主軸とした生鮮流通プラットフォーム提供事業

URL https://foodison.jp/

株主数 10人 (目論見書より)

資本金 100,000,000円 (2022/11/11現在)

代表者生年月日 1978年11月01日生まれ

代表者略歴

2001年04月 株式会社ゴールドクレスト入社

2003年04月 株式会社エス・エム・エス取締役就任

2013年04月 当社設立 代表取締役CEO就任(現任)

2019年03月 株式会社フーディソン大田代表取締役就任(現任)



【幹事団】

主幹事証券 SMBC日興 960,600 90.04%

引受証券 SBI 45,300 4.25%

引受証券 みずほ 21,300 2.00%

引受証券 大和 16,000 1.50%

引受証券 楽天 7,400 0.69%

引受証券 岡三 7,400 0.69%

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー 4,400 0.41%

引受証券 松井 4,400 0.41%



【参考類似企業】今期予想PER(11/21)

2683 魚喜 93.6倍 (連結予想)

2708 久世 8.4倍 (連結予想)

3963 シンクロフード 29.7倍 (連結予想)

4380 Mマート 20.6倍 (単独予想)

6558 クックビズ 20.3倍 (単独予想)

7538 大水 13.4倍 (連結予想)

7596 魚力 28.6倍 (連結予想)

7687 ミクリード 28.7倍 (単独予想)

8041 OUGHD 7.1倍 (連結予想)

9955 ヨンキュウ 33.1倍 (連結予想)


【私見】

 生鮮流通プラットフォーム提供事業ということで、初物感もあり、食はテーマ性もあり業種評価はできます。売上の伸びも良く、今期黒字ということで、翌期の決算に向けて中期では面白いかもしれません。1.5倍でロックが外れるVCが多いので、短期的には規模もそこそこ大きいので時価総額150憶がラインと考えています。


想定価額:2210円

仮条件上限:2300円

初値予想:3000円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価:3.5

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