2020年12月11日金曜日

IPO分析(東和ハイシステム)

 【事業内容】

  当社は、「人生もロマン、経営もロマン、無限の可能性に挑戦」を経営哲学として代表取締役である石井滋久が設立いたしました。代表取締役石井滋久は、「歯科医院の先生方の夢を叶えるお手伝いをしたい」との思いから、歯科医院向けシステムの研究開発・営業・サポートに取り組み、現在は「歯科電子カルテ統合システム Hi Dental Spirit XR-10i」を主力商品としております。

 従来、歯科向けコンピューターでは、保険診療報酬の請求に係るレセプト機能、診療カルテを電子的な記録として管理運営する電子カルテ機能、患者に対するインフォームドコンセントに係る機能、歯科医院の運営管理の効率化を推進する機能が、各々別個に運用されておりました。当社は、電子カルテ機能とレセプト機能を備えた基幹システムに、タブレット端末を活用したインフォームドコンセント機能及び歯科医院の運営管理の効率化を推進する機能を融合させ、これらを一元的に管理・運営できるという意味で統合システムと呼称しており、独自に開発してまいりました。

 当社の統合システムには、(1)生体認証とデータベースソフトとを活用した電子保存の3基準への適合、(2)150万ステップ超のシステムボリュームによる手書きカルテと同様の利便性、(3)タブレット端末(iPad)を活用した種々のアプリケーションでの運用という特徴があります。

 また当社は、このシステムを充分に活用していただくため、「サポートなくして販売なし」「お客さまの笑顔、お客さまの満足が私たちの喜び」「顔が見え、心が触れ合う」を事業理念に、システム使用にあたり顧客の負担を軽減する「ソフトウェア三無主義」を掲げ、地域密着型の「顔の見える」営業サポート体制を顧客に提供することにより事業拠点を展開しております。

 このように、歯科医院向けシステムの研究開発からシステムサポートまでワンストップ(一貫体制)で提供してまいりました結果、2020年10月31日現在、営業拠点は西日本を中心として本社を含め23か所に配置し、全国で3,135件の歯科医院を顧客としております。


(ビジネスモデル)

 当社は、仕入先メーカーから機器等を仕入れ、当社が開発したシステムを搭載することで商品とし、これを歯科医院に納品・販売しております。

 販売先である歯科医院は、原則としてリース契約を活用して支払いを行います。歯科医院はリース会社とリース契約を締結し毎月のリース料を支払い、当社はリース会社より販売代金を受領しております。例外的にリース契約を活用しない場合、当社は歯科医院から直接、販売代金を受領します。

 商品のハードウェアに係る修理・保守については、顧客による実費負担となっております。ただし、顧客である歯科医院は、顧客が独自に結成している任意の互助会組織HMG

互助会組織です。主な目的は、当社商品に係るハードウェアの修理・保守等に係る費用の負担や会員同士の情報交流です。当社の顧客は月当たり1,500円からの会費(なお、システム規模により変動)を納入することで、入会できます。


(事業の特徴)

① 商品・サービスについて

 当社の顧客である歯科医院の抱える課題として、行政が定める歯科のカルテ記載のルールや形式が複雑なこと、保険診療報酬の請求計算(レセプト)が複雑であり定期的な改定が求められること、患者に対するインフォームドコンセントの必要性が高まっていることが挙げられます。

 そこでこれらの課題に対応するため、当社は、電子カルテ機能、レセプト機能に加え、インフォームドコンセント機能と歯科医院運営の利便性を高める来患分析等の各種アプリケーションを一元的に運用できる「歯科電子カルテ統合システム」を提供し、これをタブレット端末(iPad)と連携させております。

 まず、電子カルテ機能とレセプト機能については、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第5版(平成29年5月)」(厚生労働省)で示されている「電子保存の3基準」に適合するため、株式会社日立製作所のデータベース「HiRDB」に指静脈生体認証システムを組み合わせることで、データベースに対するあらゆる操作及び操作者の記録や、不正な書換・消去などの防止を可能とし、患者及び顧客である歯科医院が安心して利用できるシステムを提供しております。

 次に、患者に対するインフォームドコンセント機能として、患者に対して治療の内容・経過等をわかりやすく伝える各種のツールを提供しております。例えば、「i-DS検査」という商品では、治療後すぐ、チェア・サイドからiPadに歯周病検査の結果や口腔内写真を表示し、患者にわかりやすい説明を実施することができます。

 また、歯科医院の運営管理の効率化を推進する機能として、電話の着信時に患者情報を表示して電話応対を円滑にする「CTIシステム」や、1台のコンピューター端末に複数の仮想PCを起動させる技術を応用し複数のiPadから同時に電子カルテ入力を可能とする「バーチャルカルテ」を開発し、販売しております。

 このように、「歯科医療に夢と未来を」を経営理念に、患者及び歯科医院の安心と満足につながる情報システムをパッケージソフトとして提供してまいりました結果、長期にわたる取引関係となる顧客も多く、当社の顧客による買替更新比率は95.6%となり、顧客数は以下のとおり推移しております。


② 収益形態及びソフトウェア三無主義について

 当社の収益は、独自に開発しパッケージ化した歯科電子カルテ統合システムの販売によるシステム売上高が大部分を占めており、ほかに診療報酬改定等の制度上の改定に伴うプログラム改定売上高、その他として機器等の修理売上高等で構成されております。

 なお、当社は顧客である歯科医院の安心感・満足感を高めるため、創業以来、「ソフトウェア三無主義」を提唱し、定期的な保守料等は受け取っておりません。例えば、当社システムの使用や操作方法について不明な点が出てきた場合に、何度でも専任の営業サポート社員から説明やトレーニングを受けることができます。そのため、顧客である歯科医院は、当社商品の購入後、毎月定額の保守料等の費用負担なく安心してサポートサービスを受けることができます。


③ 営業サポート体制について

 当社は、西日本を中心とした全国23拠点に約100名の営業サポート社員を配置し、地域密着型の直接的な営業サポート体制を構築しております。その担当エリアにおいて当社社員は、新規顧客への営業活動と、既存顧客に対する保守サービス等のサポート活動を行っております。

 新規顧客への営業活動としては、顧客となる歯科医院を直接訪問し、医院運営に適ったシステムとアプリケーションを提案する営業を行っております。既存顧客に対するサポート活動としては、顧客ごとに専任の営業サポート社員を配置し、迅速に直接訪問して対応するサポート体制をとっております。具体的には、定期的な顧客訪問、診療報酬改定時の情報提供(例えば、説明用冊子の作成など)、改定内容に係る説明会の開催や訪問時の個別説明、顧客の歯科医院内での業務フローに合わせた細かなシステム設定、機器障害発生時での訪問対応等があります。このようなサポートを専任体制により提供することで、顧客との信頼関係が醸成されると考えております。

 


【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(単独実績)2018.9 2,041 457 454 303

(単独実績)2019.9 1,906 381 386 237

(単独実績)2020.9 1,910 384 398 245

(単独予想)2021.9 2,147 414 416 266


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(単独予想)2021.9 125.80 1,528.63 55

調達資金使途 商品開発、社内デジタル化推進、既存商品・サービスの機能向上推進


上場時発行済み株数 2,168,000株

公開株数 460,000株(公募200,000株、売り出し200,000株、オーバーアロットメント60,000株)


PER:23.8

PBR:

配当利回り:2.4%

公募時吸い上げ資金:10.5億

公募時時価:50億

    

【株主構成】 以下90日

石井滋久 代表取締役 1,045,200 53.11

(有)エス・イー 役員らが議決権の過半数を所有する会社 704,400 35.79

石井恵美子 代表取締役の配偶者 76,800 3.90

猪子久美子 執行役員 45,600 2.32

石井滋雅 執行役員、代表取締役の血族 31,200 1.59

河野圭哉 従業員 19,200 0.98

社員持ち株会 特別利害関係者など 15,600 0.79

上山政己 上席執行役員 9,600 0.49

丹賢史 特別利害関係者など 7,200 0.37

高橋睦治 取締役(監査等委員) 3,600 0.18

山崎武恒 上席執行役員兼CFO 3,600 0.18

 

【代表者】

代表者名 石井 滋久(上場時75歳1カ月)/1945年生

本店所在地 岡山県岡山市北区

設立年 1978年

従業員数 125人 (10/31現在)(平均33.5歳、年収411万円)

株主数 15人 (目論見書より)

資本金 68,000,000円 (11/20現在)

代表者生年月日 1945年11月22日生まれ

代表者略歴

年月 概要

1965年06月 東和レジスター(株) 入社

1978年03月 東和レジスター岡山販売(株)(現 当社)設立

2013年04月 当社代表取締役(2010年12月 退任)

2013年06月 当社 監査役


【幹事団】

主幹事証券 野村 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 みずほ - -

引受証券 SMBC日興 - -

引受証券 楽天 - -


【参考類似企業】

参考類似企業 今期予想PER(12/1)

2667  イメージワン 85.3倍(単独予想 )

3671  ソフトマックス 28.2倍(単独予想 )

3733  ソフトウェアサー 25.4倍(単独見込 )

4320  CEHD 23.8倍(連結予想 )

4480  メドレー 508.1倍(連結予想 )


【私見】

 歯科医向けということで市場は限定的で、ここ数年の売上を見ると成長性はあまりなさそうです。上場で知名度は上がるとは思いますが、成長性を加味しても上値は大きくはないと思います。需給は規模感・VCなしなので悪くはありませんが、買い手不在で出来高少ない銘柄になる可能性は高いでしょう。


想定価額:2180円

仮条件上限:2300円

初値予想:3000円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価3

0 件のコメント:

コメントを投稿