2020年12月7日月曜日

IPO分析(いつも)

 【事業内容】

  当社は、「日本の未来をECでつくる」をミッションとして掲げ、ブランドメーカーのEC事業を総合支援するサービスを提供しています。EC市場の成長やD2Cの流れが加速し、メーカーがデジタル化やEC事業への参入、強化をしている中、当社はブランドメーカーに対する支援を行っています。

 当社は、ECワンプラットフォーム単一事業であり、セグメント情報を記載しておりませんが、(1)ECマーケットプレイスサービスと(2)ECマーケティングサービスの2つのサービスを展開しております。ECマーケティングサービスは創業時より提供を行っており、取引先のEC事業参入・成長や課題解決のためのEC戦略から実行支援までを行ってまいりました。当該ECマーケティングサービスで培ったノウハウと実績を元に、フルフィルメント(物流・カスタマーサービス)、ブランドメーカーのD2C事業支援サービスの提供を順次開始し、大手企業の保有するブランドのEC事業を一括で代行するECマーケットプレイスサービスを展開しております。


(1)事業の特徴

当社の事業の特徴は、①EC戦略の立案から、サイトの構築・運営、デジタルマーケティング、カスタマーサービス、倉庫保管、フルフィルメントまで、ECバリューチェーンのあらゆる側面を支援していること、②国内最大のECプラットフォームであるAmazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングから自社ECサイトまで複数のECプラットフォームに対応してサービスを提供していること、③化粧品、日用品、食品、家電、ベビー、インテリア、ペット、アパレルなど多業種カテゴリのブランドメーカー企業を支援していることであります。

 当社は、取引先のEC事業への参入障壁及び各課題を解消し、主要ECプラットフォームから自社ECまで含めたEC事業を総合支援するサービスを展開しており、以下のような特徴があると考えております。


①   ECバリューチェーンのあらゆる側面を支援しているワンストップなビジネスモデル

 EC事業を行う上で必要な、EC戦略コンサルティング、サイトの構築・運営、デジタルマーケティング、カスタマーサービス、倉庫保管、フルフィルメントまで幅広く各種サービス展開することで取引先ごとのニーズに合わせたサービス提供を可能としています。具体的には、EC事業を成長させたい企業にはECコンサルティングで支援し、EC事業のリソース・体制が課題となる企業にはマーケティング・クリエイティブで支援するなど、企業の課題に応じた複数のサービスを用意しております。EC戦略から業務代行までサービスをスピーディーに提供できるという点が当社の特徴となっております。


②   複数のECプラットフォームに対応したEC支援により、効果的かつ実践的な支援が可能

 当社は、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなど主要ECプラットフォーム出店企業が取引先構成の多くを占めており、ECプラットフォームごとに必要となる個別のEC戦略、マーケティング、広告、デザイン、物流などの実践的ノウハウ・実行力を背景としたサービスを提供できることが当社の強みです。1つのECプラットフォーム支援から、別のECプラットフォーム支援での追加契約に繋げることで、一取引先の複数サービス利用を実現しております。EC市場の成長はECプラットフォーム市場の成長が牽引しており、今後もECプラットフォームに出店する企業への支援サービスは高い成長を見込んでいます。


③   様々な商材に対応した支援ノウハウ・体制があるため、商材に合わせた支援が可能

 商材ごとに最適な販売・マーケティング手法は異なります。取引先は、商材に合わせた知見・ノウハウを有する支援企業を求めておりますが、当社では創業以来のノウハウ・事例の蓄積により、こうしたニーズに対応することが可能です。具体的には、定期的に購入するリピーターへの対応や物流の管理体制、出荷のオペレーションを商材ごとに最適化する対応を行っております。


④   早期人材育成の体制

 ECプラットフォームごとに、消費者のEC購買データを蓄積し、当社のサービス提供に活用できる形でシステム化し、取引先の売上を向上させるノウハウを体系化することで、マーケティング支援業務を自動化・効率化しています。また、ECビッグデータを活用してECコンサルティング業務で精緻な予測・計画を提示しています。これらの自動化・効率化の施策により、EC専門人材の早期育成を可能にしています。


(2)ECマーケットプレイスサービス

 ブランドメーカーとのEC分野での販売契約に基づき、国内、海外の最適なプラットフォームで販売を支援します。具体的には、「ECビジネスパートナー」と「ECフルフィルメント」の2つのサービス区分で構成されており、主として大手企業向けのサービスであります 。


①   ECビジネスパートナー(D2C事業支援)

 本サービス区分は、ブランドメーカーのD2Cを総合支援するサービスであり、主にブランドメーカー企業を対象としています。ブランドメーカーの公式ECビジネスパートナーとなることで、EC戦略・販売計画の策定、デジタルマーケティング、サイト構築・運営、在庫最適化、カスタマーサービス、倉庫保管・物流までの業務を当社が一気通貫で支援しております。当社はブランドの公式ECサイト運営会社となり、ブランドメーカーから商品を仕入れ、公式ECサイトにて消費者に商品を直接販売しております。

 また、日本のブランドメーカーの海外進出もサポートしており、海外越境ECへの出店や小売事業者への卸売サービスも提供しています。ECビジネスパートナーの主な収益は、ブランドメーカーの公式ECサイトでの販売における消費者に対する売上であり、原価には、販促費や商品原価、物流費、ECプラットフォームへの手数料支払などの運営コスト等が含まれております。


②   ECフルフィルメント

 当社は、EC専用のカスタマーサービス、倉庫保管・物流サービスを提供しております。日本全国10社、16拠点の委託先物流企業をネットワーク化しており、消費エリアに近い場所に物流拠点を置くことで配送スピードを早め、コスト低下につなげる他、商材特徴に合わせたフルフィルメントを実現しています。また、消費者の購入体験を向上するための、通販サイズ専用箱の企画や、消費者の注文条件ごとに同梱物を入れ替えたり、スピードお届けを実現するための関東・関西2拠点配送なども行っています。

 ECフルフィルメントの主な利益は、物流の取扱数に取引先との契約単価を乗じた売上に対して、原価(倉庫保管費や出荷費などの運営コスト)を差し引いた差額となります。


(3)ECマーケティングサービス

 ECマーケティングサービスでは、EC未出店、出店中を問わず、大手企業から中小企業まで、取引先の個別課題・ニーズに合わせて、国内の主要ECプラットフォーム・自社ECサイトにおける、マーケティング・コンサルティング、デザイン、サイト運営等のEC業務をサポートし、取引先のEC戦略の実行を支援します。具体的には、当社コンサルタントが取引先のサイト運営状況を分析し、売上拡大のためのアドバイスをする「ECコンサルティング」、ECサイト構築・広告運用・制作を代行する「マーケティング・クリエイティブ」、Amazon、楽天市場での市場規模、販売数予測、検索占有率データ等を提供し改善アドバイスをする「ECビッグデータ」で構成されます。

 本サービスの収益は、契約期間に応じた安定的な収益であるストック売上高(※)と、クリエイティブ支援等において発生する一時的な収益であるショット売上に区分されます。ストック売上の契約期間は、原則として6ヶ月から12ヶ月間で、安定的な収益を見込むことができる積み上げ型のビジネスモデルとなっており、2020年3月期のECマーケティングサービス売上高に占めるストック売上高の割合は、86.4%となっています。

 

①   ECコンサルティング

 当社では、販売実績の成果の出やすい「いつも.式ECコンサルティング」を、EC事業を熟知した自社のECコンサルタントが提供しております。ECプラットフォームごとに、「Amazonコンサルティング」、「楽天鉄則コンサルティング」、「Yahoo!ショッピング鉄則コンサルティング」、「自社EC鉄則コンサルティング」、「大手企業向けオーダーメイドコンサルティング」のプランを提供しております。


②   マーケティング・クリエイティブ

 当社では、EC事業に必須のマーケティング(広告運用、SNS、検索対策)、デザイン(サイト構築、サイト運用、バナー作成・設置、商品登録等)に関する業務支援サービスをワンストップで提供しております。

 ECプラットフォームごとのマーケティング支援として「Amazonマーケティング代行」、「楽天マーケティング代行」、「Yahoo!ショッピングマーケティング代行」、「自社ECマーケティング代行」のプランを、クリエイティブ支援として「ECサイト制作・運営代行・SUGOUDE」のプランを提供しております。本サービスの主な収益は、契約期間に応じて当社が安定的に受領できるストック売上と、クリエイティブ支援等において発生する一次的な収益であるショット売上に区分されます。

 

③   ECビッグデータ

 取引先がECビジネスを成功させる上で、客観的なデータを活用したマーケティング活動、販売計画の策定は重要な要素となります。取引先のAmazon、楽天市場での市場規模、販売数予測、商品レビュー分析データ、検索キーワードなどのデータを提供するサービスが「ECビッグデータ」であります。



【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(単独実績)2019.3 4,404 68 80 69

(単独実績)2020.3 5,261 170 198 143

(単独予想)2021.3 8,090 438 434 350

(単独中間実績)2021.3 4,557 332 358 251

1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(単独予想)2021.3 72.68 -  - 

調達資金使途 仕入れ資金、採用費・人件費、システム投資、借入金返済


上場時発行済み株数 5,400,000株 (別に潜在株式393,200株)

公開株数 1,610,000株(公募800,000株、売り出し600,000株、オーバーアロットメント210,000株)


PER:21.1

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:24.8億

公募時時価:83億

    


【株主構成】 

(株)つづく 役員らが議決権の過半数を所有する会社 2,400,000 48.03 180日

(株)望月智之事務所 役員らが議決権の過半数を所有する会社 1,200,000 24.02 180日

坂本守 代表取締役社長 600,000 12.01 180日

望月智之 取締役副社長 400,000 8.00 180日

高木修 執行役員 26,000 0.52

関豊 取締役 26,000 0.52

立川哲夫 執行役員 22,000 0.44

義家聖太郎 執行役員 22,000 0.44

本多正史 執行役員 22,000 0.44

杉浦通之 取締役CFO 22,000 0.44

 

【代表者】

代表者名 坂本 守(上場時50歳2カ月)/1970年生

本店所在地 東京都千代田区有楽町

設立年 2007年

従業員数 166人 (10/31現在)(平均30.6歳、年収421万円)

株主数 4人 (目論見書より)

資本金 11,500,000円 (11/16現在)

代表者生年月日 1970年10月07日生まれ

代表者略歴

年月 概要

1993年04月 (株)コムソン社入社

1996年04月 フジプレアム(株)入社

1999年05月 (株)船井総合研究所(現(株)船井総研ホールディングス)入社

2007年02月 当社設立代表取締役社長(現任)


【幹事団】

主幹事証券 みずほ 1,162,000 83.00

引受証券 野村 168,000 12.00

引受証券 岩井コスモ 28,000 2.00

引受証券 松井 14,000 1.00

引受証券 極東 14,000 1.00

引受証券 SBI 7,000 0.50

引受証券 楽天 7,000 0.50


【参考類似企業】今期予想PER(11/25)

3195  ジェネパ 31.3倍(連結見込 )

4689  ZHD 29.6倍(連結予想 )

4755  楽天 -倍(連結予想 )

6081  アライドアキ 45.9倍(連結予想 )

6176  ブランジスタ 42.4倍(連結予想 )


【私見】

 EC総合支援ということで、最近は類似業種も増えており前ほどの優位性はないかもしれませんが評価はできます。

 売上・利益共に成長率は良く上値余地は充分ありそうです。需給もVCがいないので売り圧力がないことは評価できます。規模感は適度な大きさで、初値で3倍になってしまうと時価総額も200憶のラインに達し、良くても300憶までが限界なのかと思います。


想定価額:1440円

仮条件上限:1540円

初値予想:5000円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立~やや強気

総合評価4

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