2020年12月3日木曜日

IPO分析(オーケーエム)

 【事業内容】

 建築、発電、造船、各種プラント等、幅広い業界における流体配管に使用されるバタフライバルブを中心とした流体制御機器の製造、販売を主な事業として取り組んでおります。なお、当社グループはバルブ製造販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別に代えて、「陸用」、「舶用」の市場区分別に示しております。「陸用」の市場区分については、工場市場や建築市場のニーズを捉えて市場に喜ばれる製品を販売し、「舶用」の市場区分については、船舶市場で多くの販売実績を基盤に、更なる市場が求める環境対策分野のニーズを捉えた製品の販売を行っております。


(1)事業の特徴

 当連結会計年度における当社グループ連結売上高は、「陸用」が52.3%、「舶用」が47.7%の割合を占めております。

 「陸用」に関しては、建築設備、化学、電力ガス、鉄鋼、紙パルプ、水処理業界等幅広い顧客に採用いただいているのが特徴であります。「舶用」に関しては、各造船所に納入しております。なお、「舶用」の製品に関連して、世界の環境規制にてIMOがNOx3次規制での舶用排気ガス処理装置の搭載を2016年1月1日より義務付けました。当社はいち早く処理装置における世界的なライセンサー2社(当該2社で市場占有率90%超)による船舶排ガス用バルブの製造販売認証を取得しております。この船舶排ガス用バルブ市場で、当社は過半のシェア獲得を目指しております。

 「陸用」及び「舶用」いずれも、製品技術、品質管理体制、納期管理体制、メンテナンス対応等で顧客より高い評価をいただいております。

 また、当社グループの海外売上高比率は約3割を占めており、主に韓国や中国向けに船舶排ガス用バルブを販売しております。


(2)当社の取引先について

 当社の製品は、空調設備、造船、半導体、石油、化学、鉄鋼、電力、水道、食品等の幅広い業界の大手顧客に納入され、高層ビル、工場、空港、船、駅、ドーム、遊園地等の最終需要先において当社の製品が使用されております。例えば、超高層ビル「あべのハルカス」では、すべての空調設備に当社のバルブが使用されています。

   

(3)主な製品

a バタフライバルブ

 弁体(輪っかの中の円板)を90度回転して開閉します。中間開度での流量調整機能に優れ、幅を取らず、省スペースでの設置が可能です。又、電子制御バルブについては、コンピューターからの信号によって弁体の開度を調整し、流体をコントロールします。


b ナイフゲートバルブ

 鋭いエッジを有するプレートの出し入れで開閉します。ガスや水、各種スラリー、粉粒体、固形物、パルプストック等、一般のバルブでは処理できない流体を止めることが可能です。


c ピンチバルブ

 ゴムチューブを押し挟んで流路を開閉します。流体はバルブ本体の中を流れないので、液溜まりができず衛生的であるため薬液等の制御に適しています。

 

当社は顧客ニーズに合わせたカスタマイズバルブを開発・製造・販売し、標準製品では対応できないニッチ市場を開拓しており、型式、サイズ、部品、材質、制御方法といったカスタマイズの組み合わせにより、10万種類を超える製品種類を取扱っております。


(4)新製品開発

 当社グループにおける新製品開発は、さまざまな種類の試験・実験設備を活用しながら行っております。商品開発部では、新商品の構想や設計・解析ソフトによる構造解析等の机上業務を行うと共に、開発項目に対する製品評価等を実施するために実流体実験装置、高温試験装置及び低温試験装置等を活用して流体制御に関する研究開発を実施しております。これら研究開発を通じて長年蓄積してきた顧客ニーズに合わせた多様な試験・実験に基づくデータが、当社グループの新製品開発の大きな手がかりとなっております。

 更に、当社グループでは2020年10月に新たに研究開発センターを滋賀県野洲市に開設し商品開発部を移転させました。当該センターでは、エネルギー情勢の変化や環境規制等に伴う新市場へ対応するため、5つの各種試験室を設置しています。従来の試験・実験設備にこれらの新たな試験・実験設備を加え、産官学との一層の連携強化を図ることにより、流体制御に関する研究開発体制の更なる強化を目指してまいります。 


【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(連結実績)2019.3 8,646 1,338 1,335 891

(連結実績)2020.3 8,852 892 849 573

(連結予想)2021.3 8,278 856 834 569

(連結中間実績)2021.3 4,439 722 734 526


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(連結予想)2021.3 157.94 1,644.11 35

調達資金使途 借入金返済、工場新設


上場時発行済み株数 4,315,200株 (別に潜在株式77,000株)

公開株数 1,514,500株(公募1,000,000株、売り出し317,000株、オーバーアロットメント197,500株)


PER:7.7

PBR:0.74

配当利回り:2.9%

公募時吸い上げ資金:18.4億

公募時時価:52億

    


【株主構成】 以下180日

(有)クローバー通商 特別利害関係者など 618,500 18.23

従業員持ち株会 特別利害関係者など 379,640 11.19

奥村晋一 取締役常務執行役員 280,030 8.26

奥村恵一 取締役会長 204,690 6.03

奥村芳柾 特別利害関係者など 185,850 5.48

(株)滋賀銀行 金融商品取引業者等 158,000 4.66

奥村勇樹 特別利害関係者など 113,440 3.34

奥村俊慈 特別利害関係者など 112,230 3.31

日本生命保険(相) 金融商品取引業者等 100,000 2.95

須田美奈子 特別利害関係者など 80,810 2.38


【代表者】

代表者名 村井 米男(上場時69歳1カ月)/1951年生

本店所在地 滋賀県蒲生郡日野町大谷

設立年 1962年

従業員数 228人 (10/31現在)(平均39.6歳、年収555.1万円)、連結321人

株主数 79人 (目論見書より)

資本金 499,665,000円 (11/12現在)

代表者生年月日 1951年11月17日生まれ

代表者略歴

年月 概要

1970年03月 当社入社

2002年06月 取締役企画統括本部長

2007年07月 常務取締役企画統括本部長

2009年06月 代表取締役社長

2011年09月 蘇州奥村閥門有限公司董事長(現任)

2013年06月 代表取締役会長

2018年04月 OKM VALVE(M)SDN.BHD.取締役(現任) 6月:代表取締役社長

2019年03月 奥村閥門(江蘇)有限公司董事長(現任) 6月:代表取締役社長 社長執行役員(現任)


【幹事団】

主幹事証券 三菱UFJモルガン・スタンレー 1,172,000 88.99

引受証券 SMBC日興 65,900 5.00

引受証券 SBI 39,500 3.00

引受証券 みずほ 13,200 1.00

引受証券 いちよし 13,200 1.00

引受証券 西村 13,200 1.00


【参考類似企業】参考類似企業 今期予想PER (11/16)

4216  旭有機材 12.2倍(連結予想 )

5999  イハラサイエンス 8.9倍(連結予想 )

6466  TVE 6.3倍(連結予想 )

6486  イーグル 441.2倍(連結予想 )

6492  岡野バル 23.8倍(連結予想 )

6493  日鍛バル -倍(連結予想 )

6495  宮入バル 141.3倍(単独予想 )

6497  ハマイ 30.5倍(連結予想 )

6498  キッツ 25.7倍(連結予想 )

7250  太平洋 14.4倍(連結予想 )

7299  オーゼックス -倍(連結予想 )


【私見】

 業種としてはバルブ関連で、技術力は高いのでしょうがIPOとしては地味で人気化することは考えにくい銘柄です。業績もコロナ渦とはいえ、伸びておらず成長性はあるとは思えません。低PERなので下値不安はなく、需給も売り圧力はないので大きく崩れることはなさそうですが公募近辺の動きでしょう。


想定価額:1090円

仮条件上限:1220円

初値予想:1300円

ブック申し込み度・・・やや弱気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価2.5

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