2020年12月8日火曜日

IPO分析(Kaizen Platform)

 【事業内容】

  当社グループは、「世界をKaizenする」をミッションに事業を行い、企業のDX推進を支援するプラットフォームとサービスを提供しております。具体的には、クライアントのサービスをわかりやすく、使いやすくすることで、KPIを改善するUXソリューションと、5G時代の動画制作プラットフォームを提供する動画ソリューションを主なサービスとして展開しております。さらに、これらの2つのソリューションを発展させて、クライアントのDXをトータルサポートする、DXソリューションを今年度より立ち上げ、その展開を本格化しております。

 UXソリューションでは、クライアントのWebサイトのUI改善に関するコンサルティングを提供するだけでなく、分析やパーソナライズが容易に実装可能になるツール提供も行い、UXを向上させるための戦略立案から施策実施までに必要な機能をワンストップで総合的に提供しております。また、動画ソリューションでは、紙媒体やデジタル媒体問わず、既存の素材をもとに早くかつ高品質でリーズナブルな価格での動画の制作を行っております。

 それぞれのソリューションは、当社グループのプラットフォーム上のデジタル専門人材を活用して提供されております。当社グループにもたらされるクライアントの課題やニーズを踏まえて、当社グループ従業員のプロジェクトマネジメントのもと、最適なグロースハッカーのチームが組成され、クライアントの課題解決に取り組んでいきます。グロースハッカーネットワークには様々な専門領域を持つ人材が在籍しており、グロースハッカーの専門領域や得意分野に基づいて、サイト分析、サイトデザイン案の作成、ディレクションなどの役割を割り当て、フルリモートでプロジェクトを進めていきます。プロジェクトの組成や遂行にあたっては、これまで実施してきた700社、30,000以上の豊富な改善事例とそのデータ蓄積を、KPIの効果的な改善に最大限活用しております。なお、グロースハッカーの報酬体系は成果に連動したものであるため、グロースハッカーは制作会社や開発会社に所属して固定的な報酬を受領する場合に比べて、パフォーマンス次第でより高い報酬を得ることができるため、当社グループのプロジェクトに積極的に参加するインセンティブを持っています。さらに、日本語・英語以外の言語にもプラットフォーム上で対応することが可能となっております。

 クライアントは、動画の制作など当初は単発での発注から当社グループのソリューションの利用が始まることが多いですが、その後、制作した動画をサイトで活用することや、その効果を検証する等のニーズが発生することにつながり、当社グループのコンサルティングやツールといった期間利用型ソリューションの利用に発展していく傾向があります。その結果、当社グループの売上は、当社グループのソリューションを継続利用するクライアントの占める比率が高くなるとともに、クライアント当たりの受注単価が増加する傾向にあります。


①サイトソリューション事業

 サイトソリューション事業は、クライアントのWebサイトのUXを改善することで、CVRを向上させ、クライアントのWebビジネスの成長を支援するUXソリューションと、企業のDXをトータルサポートするDXソリューションを提供しております。

 当初は、一定期間にWebサイトを訪れるユーザーに対して、デザインやレイアウトを複数提示することによってCVRを最適化する施策(A/Bテスト)を行うツールを提供するSaaSとしてのサービスと、A/Bテストを行うためのデザイン案を提供するグロースハッカーをマッチングするプラットフォームを提供していましたが、現在では、これまで蓄積してきた改善事例やデータ、ノウハウを発展させて、UX改善に必要な実行環境に関するツールと体制をワンストップで提供しております。当社グループの運営するプラットフォーム上の様々な領域のデジタル専門人材が、クライアントの課題や業界特性に合わせてデータを活用し、クラウド上でチームを組成し、プロジェクトを推進します。こうしたフルリモートの専門人材のチームである「KAIZEN Team」によって、コンサルティングから実行までにいたるプロフェッショナルサービスを提供し、クライアントのUI改善を支援いたします。

 また、タグを設置するだけで、行動ログを収集、蓄積できるだけでなく、コードを書かずにUI改善のためのA/Bテスト、動画設置などの改善策の実施が可能なSaaSである「KAIZEN Engine」を提供しております。こうしたツールによって、クライアントのWebサイトに訪れるユーザーの行動履歴やアクセスログに基づいた、一人ひとりに最適化されたUXの提供もスピーディーに実装が可能となります。

 さらに、Kaizen Video事業で展開している動画制作サービスとのシナジーによるDXソリューション「KAIZEN Sales」を2020年5月にリリースしました。「KAIZEN Sales」はブラックボックス化しがちな商談に対して、営業資料を動画化するとともに、営業活動をデータ化・可視化して一括管理し、対面/非対面問わず効率的な営業活動を可能にするクラウド型の営業向けCMS(コンテンツ管理システム)です。昨今、緊急対応としてリモートワークを導入する企業においても、「相手の顔が見えない中での提案」や「慣れないWeb会議システムでの顧客課題ヒアリング」など、リモート環境での営業活動に対する難しさや課題を解決し、質の高い商談が可能となります。

 サイトソリューション事業では、課題発見から施策実行までを行うクラウド上のチームと、社内外のデータを活用するためのデータ基盤、施策実行・管理のためのソフトウエアの提供を通じて、クライアントのWebサイトの継続的な改善及びDXを実現し、収益向上を支援しております。


②Kaizen Video事業

 Kaizen Video事業は、素材から目的に合わせ、最適なクリエイティブを制作できる動画ソリューションを提供しております。5Gの普及により今後のさらなる動画活用が予想される中、当社グループのグロースハッカーネットワークを活用することで、Web上のコンテンツだけでなく、カタログやチラシなどの紙媒体のコンテンツも含めて、最短5営業日で納品し、動画1本当たり最低5万円からの価格で提供しております。さらに、FacebookやInstagram、YouTubeなどの主要なSNSや動画サイトの動画制作パートナーに認定されており、制作スピードの早さだけでなく、品質の高い動画制作も実現しております。

 インターネット広告においては、広告効果のデータに基づく配信の自動化が進められており、効果が高い広告はより多く配信される仕組みとなっております。そのため、広告クリエイティブの役割がより重要になっており、広告効果を維持するためには、クリエイティブを最適化し続ける必要があります。当社グループのサービスによって、クライアントはプラットフォーム上に蓄積している広告効果の高い動画クリエイティブ事例を参照して、目的や掲載面に適した動画クリエイティブを、簡単に発注することができます。

 また、カタログ、チラシ等の紙媒体やTVCMなど既存コンテンツから動画を簡単に制作できることもKaizen Video事業が提供するサービスの特色の1つとなっております。これにより、クライアントは動画用の素材を新たに準備することなく、スピーディーな動画制作が可能となるため、クライアントの動画利用に対する取り組みのハードルは下がり、簡単に動画を広告や販売促進に活用することができます。新聞折込用に制作したチラシを素材として動画を作成し、インターネット広告で活用するといった、新しい広告と販売促進のあり方を、当社グループの動画制作プラットフォームを利用することによって実現することができます。

 さらに、大学や専門学校のパンフレットを動画化することで、インターネット上での学校紹介を充実させたり、コールセンターのマニュアルを動画化することで業務の効率化を図るなど、企業の広告活動を超えた動画の活用ニーズが拡大しており、Kaizen Video事業は、そうしたニーズにも柔軟に対応して、クライアントの課題解決に貢献しております。


【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(連結実績)2018.12 988 -472 -454 -459

(連結実績)2019.12 1,354 -162 -150 -162

(連結予想)2020.12 1,653 2 -21 -31

(連結3Q累計実績)2020.12 1,192 0 21 12


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(連結予想)2020.12 -4.12 - 0

調達資金使途 人件費、マーケティング費


上場時発行済み株数 15,424,473株 (別に潜在株式2,012,318株)

公開株数 5,760,600株(公募1,550,000株、売り出し3,459,300株、オーバーアロットメント751,300株)


PER:

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:63.3億

公募時時価:169億

    


【株主構成】 

Japan Ventures I L.P. ベンチャーキャピタル(ファンド) 2,554,551 16.08 180日

AT-I 投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,303,064 8.20 90日・1.5倍

石橋利真 従業員 1,125,000 7.08 180日

(株)NTTアド 資本業務提携先 1,011,686 6.37 180日 

FinTechビジネスイノベーション投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 636,942 4.01 90日・1.5倍

YJ2号投資事業組合 ベンチャーキャピタル(ファンド) 529,608 3.33 90日・1.5倍

(株)コロプラ 特別利害関係者など 423,451 2.67 90日・1.5倍

大日本印刷(株) 資本業務提携先 400,000 2.52 90日・1.5倍

渡部拓也 取締役兼執行役員 360,000 2.27

 

【代表者】

代表者名 須藤 憲司(上場時40歳8カ月)/1980年生

本店所在地 東京都港区白金

設立年 2017年

従業員数 59人 (10/31現在)(平均36.8歳、年収829.7万円)、連結61人

株主数 39人 (目論見書より)

資本金 693,999,000円 (11/18現在)

代表者生年月日 1980年04月19日生まれ

年月 概要

2003年04月 (株)リクルート(現(株)リクルートホールディングス)入社

2011年04月 (株)リクルート アドオプティマイゼーション推進室 推進室長

2012年09月 (株)リクルートマーケティングパートナーズ 執行役員 アドオプティマイゼーション推進室長

2013年03月 KAIZEN platform Inc.設立 7月:KAIZEN platform Inc. Co-founder&CEO就任

2017年04月 当社 設立 取締役就任 Kaizen Platform USA, Inc. President就任(現任)

2017年06月 当社 代表取締役就任

2019年01月 当社 代表取締役兼執行役員就任(現任)

2020年04月 ㈱DX Catalyst 取締役就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SBI - -

引受証券 クレディスイス - -

引受証券 大和 - -

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -

引受証券 みずほ - -

引受証券 岡三 - -

引受証券 エイチ・エス - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 極東 - -


【参考類似企業】今期予想PER(11/27)

7351  グッドパチ 87.5倍(連結予想 )


【私見】

 DX関連で業種妙味はあります。スタートアップ企業で、今期黒字化し、来期の予測次第といったところでしょう。規模的にはスタートアップにしては小さめですが、マザーズ新規公開株にしては大きめなので初値段階では上がらない可能性は高いと思います。ここも欧州及・アジアへの海外売り出しがあり、リクルート出身の社長で大手の資本参加もあり、初値よりもアフターで気になる銘柄です。


想定価額:1100円

仮条件上限:1150円

初値予想:1300円

ブック申し込み度・・・中立~やや強気

セカンダリー期待度・・・中立~やや強気

総合評価3.5

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