2020年12月9日水曜日

IPO分析(ウェルスナビ)

 【事業内容】

  (1) ミッション

 当社は、「働く世代に豊かさを」というミッションを掲げ、働く世代の豊かな老後のために、「長期・積立・分散」の資産運用を全自動化したサービス、ロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」を提供しております。従来お客様が自分自身で行っていた資産運用のプロセスである、目標設定からポートフォリオの構築、発注・積立・再投資、リバランス及び税金最適化まで、すべてのプロセスを自動化しており、高度な知識や手間なしに国際分散投資を行うことができます。また、オンラインですべての人に提供しております。

 当社は、エンジニア・デザイナーが従業員の半数以上を占めており、サービスをお客様にとって分かりやすく、使いやすく改善し続ける「ものづくりする金融機関」として、そのような社会的課題の解決に向けて、誰もが安心して気軽に利用できる資産運用サービスであるロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」を提供し、働く世代が豊かさを得ることに貢献していきたいと考えております。


(2) ロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」の概要

 当社は、2016年7月にロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」を正式リリースしました。その後、2017年5月におつり資産運用アプリ「マメタス」をリリースし、少額から「WealthNavi(ウェルスナビ)」の資産運用が行えるようにしたことに加えて、プロダクト開発力を活かし、その他の新機能をリリースし続けております。また、新機能を開発・提供するだけではなく、コラム、ビデオメッセージ及びセミナー等を通じて、お客様が「長期・積立・分散」の資産運用を続けられるようサポートをしており、その結果として、2020年9月末時点で預かり資産2,892億円、運用者数22.5万人を突破しております。

 お客様への「長期・積立・分散」の考え方の浸透も進んでおり、お客様の68%が自動積立を設定しております。加えて、お客様の67%が10年以上、そのうち35%が20年以上の利用意向であり、長期の資産運用ツールとして利用されております。さらに、利用中の84%のお客様にご満足度頂いており、NPS(顧客推奨度)も高い水準を維持しております。

 また、より多くの方にご利用頂けるサービスを目指し、ダイレクト事業と提携パートナー事業でサービスを展開しております。ダイレクト事業と提携パートナー事業ともに、当社とお客様との間で「投資一任契約」「外国証券取引契約」を締結し、お客様に提供するサービス内容は同一となります。提携パートナー事業は、提携パートナーがお客様へ当社サービスの紹介を行い、お客様から頂く手数料をレベニューシェアしております。なお、2020年9月末時点の提携パートナー及び提携パートナーとの提供サービス名称は以下の通りです。


提携パートナー「提携パートナーとの提供サービス名称」

・株式会社SBI証券「WealthNavi for SBI証券」

・住信SBIネット銀行株式会社「WealthNavi for 住信SBIネット銀行」

・全日本空輸株式会社「WealthNavi for ANA」

・ソニー銀行株式会社「WealthNavi for ソニー銀行」

・株式会社イオン銀行「WealthNavi for イオン銀行」

・株式会社横浜銀行「WealthNavi for 横浜銀行」

・日本航空株式会社「WealthNavi for JAL」

・東急カード株式会社「WealthNavi for TOKYU POINT」

・auじぶん銀行株式会社「WealthNavi for auじぶん銀行」

・株式会社SBIネオモバイル証券「WealthNavi for ネオモバ」

・東京海上日動火災保険株式会社「WealthNavi for 東京海上日動」

・株式会社北國銀行「北國おまかせNavi」

・小田急電鉄株式会社「WealthNavi for ODAKYU」

・株式会社東京スター銀行「WealthNavi for 東京スター銀行」

・岡三証券株式会社「岡三Naviハイブリッド」

・株式会社三菱UFJ銀行と業務提携、2020年8月

・浜松いわた信用金庫と業務提携、2020年8月


(3) ロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」の特徴

① 「長期・積立・分散」の資産運用をすべて自動化し、オンラインで提供

 世界の富裕層や機関投資家が実践している「長期・積立・分散」の資産運用を、テクノロジーを活用することですべて自動化しております。従来お客様が自分自身で行っていた、目標設定からポートフォリオの構築、発注・積立・再投資、リバランス及び税金最適化まで、すべてのプロセスを自動化し、オンラインですべての人に提供しております。分散に関しては、6~7銘柄のETF(上場投資信託)を通じて世界約50カ国、1万1,000銘柄以上に投資することになります。

 お客様がサービスの利用を開始する際には、スマートフォンやパソコン等を通じて、5つの質問に回答するだけで、お客様のリスク許容度に応じた運用プランが提案され、また手軽に申し込むことができます。入金後は、運用プランに従って発注・積立・再投資、リバランス及び税金最適化まで、すべて自動で行われます。投資の知識が足りなくても、投資の検討に十分な時間がとれなくても、世界の富裕層や機関投資家が実践している「長期・積立・分散」の運用が可能となります。


② 多彩な機能で「長期・積立・分散」の資産運用をサポート

 お客様の譲渡益に対する税負担を自動的に最適化する「自動税金最適化(DeTAX)機能」、追加投資等を行う際、ポートフォリオが最適な配分に近づくように売買する銘柄や口数を選定し、リバランスの効果を実現する「リバランス機能付き自動積立」、投資金額が少額でも最適なポートフォリオを組むことができる「ミリトレ(少額ETF取引機能)」、長期投資に挫折しそうなケースにおいてAIを活用してアドバイスを行う「AIによる資産運用アドバイス機能」、お客様一人ひとりにとっての必要な老後資金を試算し、退職時までに目標を達成するための投資計画を提案し、その進捗状況を管理する「ライフプラン機能」など多彩な機能で、お客様の「長期・積立・分散」の資産運用をサポートしております。「リバランス機能付き自動積立」、「自動税金最適化(DeTAX)機能」については、機能の中核となる技術の特許を取得しております。


③ 客観的なアルゴリズム

 投資信託のようにファンドマネージャーが投資対象資産を選定するのではなく、金融工学の理論に基づき構築された資産運用アルゴリズムに従い運用をします。許容するリスクに対して最も高いリターンが期待できる最適ポートフォリオを、お客様のリスク許容度に合わせて提供しております。最適ポートフォリオの算出にあたっては、当社独自の相場見通し等は加味せず、客観的なデータにのみ基づき算定しています。投資対象とするETF(上場投資信託)は、純資産総額やコストなどの客観的なデータに基づき厳選しています。また、お客様に安心してご利用頂くために、資産運用アルゴリズムの中身をブラックボックス化せず、ホワイトペーパー(注2)で公開しております。


④ シンプルで分かりやすい手数料

 ロボアドバイザー事業においては、お客様からの預かり資産の1%を手数料として頂いており、シンプル、預かり資産に連動、高い透明性の3つの特徴があります。

シンプル:預かり資産の1%のみの費用というシンプルな手数料設計であり、上場投資信託(ETF)売買手数料、リバランス手数料、為替手数料等は不要です。

預かり資産に連動:お客様の資産が増加すれば当社の手数料も増加し、お客様の資産が減少すれば当社の手数料も減少するという、お客様と当社の利益の方向性を一致させた手数料体系です。


【業績等】

業績動向(百万円) 営業収益 営業利益 経常利益 純利益

(単独実績)2018.12 881 -1,721 -1,718 -1,721

(単独実績)2019.12 1,552 -2,061 -2,057 -2,060

(単独予想)2020.12 2,423 -1,188 -1,217 -1,220

(単独3Q累計実績)2020.12 1,764 -766 -765 -767


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(単独予想)2020.12 -28.70 - 0

調達資金使途 広告宣伝費、採用費・人件費、転換社債の償還


上場時発行済み株数 44,967,649株 (別に潜在株式6,486,606株)

公開株数 17,153,700株(公募2,500,000株、売り出し13,094,300株、オーバーアロットメント1,559,400株)


PER:

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:197億

公募時時価:517億

    

【株主構成】 

柴山和久 代表取締役CEO 12,164,034 24.84 180日

AT-I投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 4,496,400 9.18 90日・1.5倍

SBIホールディングス(株) 資本業務提携先 3,162,540 6.46 180日

Infinity e.ventures Asia III ベンチャーキャピタル(ファンド) 3,129,600 6.39 90日・1.5倍

グローバル・ブレイン6号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 2,921,412 5.96 90日・1.5倍

FinTechビジネスイノベーション投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 2,635,896 5.38 90日・1.5倍

(株)SMBC信託銀行(信託口) 特別利害関係者など 1,729,446 3.53 90日・1.5倍

DBJキャピタル投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,372,623 2.80 90日・1.5倍

協創プラットフォーム開発1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,175,088 2.40 

(株)SBI証券 取引先 1,175,088 2.40

ジャパン・コインベスト2号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 822,561 1.68 90日・1.5倍

 

【代表者】

代表者名 柴山 和久(上場時43歳0カ月)/1977年生

本店所在地 東京都渋谷区渋谷

設立年 2015年

従業員数 83人 (9/30現在)(平均37.7歳、年収727万円)

株主数 40人 (目論見書より)

資本金 100,000,000円 (11/18現在)

代表者生年月日 1977年12月08日生まれ

代表者略歴

年月 概要

2000年04月 大蔵省(現 財務省)入省

2010年11月 McKinsey & Company Inc. Japan 入社

2015年04月 当社設立 代表取締役CEO就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SBI - -

主幹事証券 大和 - -

引受証券 みずほ - -

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -

引受証券 野村 - -

引受証券 岡三 - -


【参考類似企業】今期予想PER(11/26)

2337  いちご 47.0倍(連結予想 )

3454  Fブラザース 6.7倍(連結予想 )

3772  ウェルス 6.7倍(連結予想 )

4321  ケネディクス 18.9倍(連結予想 )

4436  ミンカブ 79.8倍(連結予想 )

4765  モーニングスタ 21.3倍(連結予想 )

7190  マーキュリア 22.4倍(連結予想 )

8462  フューチャーVC -倍(連結予想 )

8518  アジア投資 13.0倍(連結予想 )

8739  スパークスG 20.6倍(連結予想 )


【私見】

 資産運用フィンテックということでは初物で注目度高いIPO銘柄です。スタートアップになると業績は気にしなくも良いでしょうが、来期に黒字化見通しかは気になるところです。規模も非常に大きく、適正規模の判断が難しいのですが、スタートアップが3社同時上場で、前後にも規模の大きい銘柄の上場で資金が枯渇しないか心配ではあります。ここも欧州・アジアへの海外売り出しがあり、大蔵省・マッキンゼー出身の社長で、株価期待はできそうなので初値よりもアフターで気にしたい銘柄です。


想定価額:1100円

仮条件上限:1150円

初値予想:1300円

ブック申し込み度・・・中立

セカンダリー期待度・・・中立~やや強気

総合評価3.5

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