2020年12月6日日曜日

IPO分析(かっこ)

 【事業内容】

  当社は「未来のゲームチェンジャーの『まずやってみよう』をカタチに」という経営ビジョンを掲げ、当社の有するデータサイエンスの技術とノウハウをもとに、アルゴリズム及びソフトウエアを開発・提供することで、企業の課題解決やチャレンジを支援する「SaaS型アルゴリズム提供事業」を展開しております。

 特に、EC分野において、近年急増するオンライン決済での不正対策として、代金未払いとなり得る注文をリアルタイムに検知するSaaS型サービス「O-PLUX(オープラックス)」を主力製品とする「不正検知サービス」を展開しており、当社事業の中核サービスと位置づけております。

 また、「不正検知サービス」とシナジー効果を発揮するサービスとして、クレジットカード等を用いずに、商品の受け取り後に支払いができる後払い決済を提供する後払い決済事業者に向けて、システム提供及びコンサルティングを行う「決済コンサルティングサービス」を展開しており、後払い決済の審査エンジンとして「O-PLUX」をご利用いただくことで、ワンストップのサービスを提供しております。

 加えて、「SaaS型アルゴリズム提供事業」をEC分野のみならず、小売・流通業や製造業をはじめとした様々な分野において展開するべく、マーケティングや生産効率向上等に資するアルゴリズムを開発・提供する「データサイエンスサービス」を展開しております。


 当社が、SaaS型アルゴリズム提供事業において提供している各サービスの具体的な内容は、以下のとおりです。

(具体的なサービスの内容)

(1) 不正検知サービス

 当社は、当社の有するデータサイエンス及びセキュリティの技術・ノウハウをもとに、以下のとおり不正検知サービスを展開しております。

a.不正注文検知サービス「O-PLUX」

 「O-PLUX」は、ECにおける注文データを分析することで、代金未回収となり得る注文をリアルタイムに検知するSaaS型の不正注文検知サービスです。当社のAI・統計学・数理最適化といったデータサイエンスの技術で独自の検知モデルを構築し、日本語独特の表記ゆれを名寄せする正規化機能(注1)や、注文のあった端末を特定するデバイス認証機能(注2)などの機能により、単純なブラックリスト照合や担当者の目視による審査ではなしえなかった検知精度を実現いたしました。また、購入時にパスワード入力等を求める本人認証サービスと違い、画面遷移なく審査可能なため、購入者の操作性・利便性を損ねることなく不正対策が可能です。「O-PLUX」は、これらの機能・性能をご評価いただき、日本国内のECサイトにおける有償の不正検知サービスの導入件数№1を獲得しております。(株式会社東京商工リサーチが実施した「ECサイト不正検知サービスに関する調査」による。調査対象時点は2020年5月末日時点。)


<EC事業者の不正対策>

 近年、クレジットカード番号等の情報を盗まれ不正に使われる「番号盗用被害」が急増しておりますが、ECにおいて番号盗用等によるクレジットカードの不正利用が発生した場合、クレジットカード保有者が代金の支払いに同意せずにクレジットカード会社に対して注文の取り消しを申請すると、その代金の売上は取り消され、基本的にEC事業者の負担となります。「O-PLUX」はこのようなクレジットカード不正の対策をはじめ、代引引換注文での受取拒否やアフィリエイト報酬を狙ったなりすまし注文等、ECにおける様々な不正の対策ツールとして、EC事業者への導入が進んでおります。


<後払い決済事業者の審査エンジン>

 クレジットカード等を用いずに、商品の受け取り後に支払いができる後払い決済は、クレジットカード利用に不安を抱くユーザーニーズに応える形で利用者が拡大しており、株式会社矢野経済研究所による「オンライン決済サービスプロバイダーの現状と将来予測2020年版」によりますと、2018年度の後払い決済市場の市場規模は、前年度比30.0%増の5,720億円となっております。

 後払い決済は、クレジットカード決済に比べ、事前審査がなく、基本的に注文情報のみで審査を行う必要があるため、代金未払い等の回収リスクが高く、より高精度な審査が求められます。後払い決済における代金未払い等の被害は、基本的に決済を提供する後払い決済事業者が負うこととなるため、その対策として「O-PLUX」をご利用いただいております。


b.不正アクセス検知サービス「O-motion」

 「O-motion」は、会員サイト等において、本人になりすました不正なアクセスをリアルタイムに検知するSaaS型の不正アクセス検知サービスです。独自のデバイス情報・操作情報を駆使した不正判定により、User Agent(注3)、Cookie等を用いた従来型の検知では判別しきれなかった不正も判定・検知が可能です。その性能をご評価いただき、インターネットバンキングにおける不正送金や、2019年6月から施行されたいわゆる「チケット不正転売防止法」によって規制の対象となった不当なチケット買い占めによる高値転売の対策として、金融機関、大手チケットサイト等に導入いただいております。


(2) 決済コンサルティングサービス

 当社の決済コンサルティングサービスは、主に後払い決済を提供する後払い決済事業者に向けて、当社の後払い決済に関するノウハウをもとに、決済システムの提供及び後払い決済事業の立上げ・運用のコンサルティングを行っています。

 後払い決済は、購入者にとって利便性が高い一方、それを提供する後払い決済事業者にとっては、代金未払い等の回収リスクが高く、高精度な審査が不可欠となるため、当社は、「決済コンサルティングサービス」の提供とともに、後払い決済の審査エンジンとして「O-PLUX」をご利用いただくことで、後払い決済の構築をワンストップで支援しております。


(3) データサイエンスサービス

 当社のデータサイエンスサービスは、マーケティングや業務生産性などの課題に対し、企業が保有するビッグデータを、AI、統計学、数理最適化等データサイエンスにおける最適な技法を用いて分析し、アルゴリズムを開発・提供するサービスです。基礎集計フェーズ、解析フェーズ、システム構築フェーズなど、フェーズごとに料金を設定することにより、透明性の高いサービスを提供しております。本サービスの主な事例は以下のとおりとなります。


(a) アパレルメーカーの実店舗とECすべてを対象とした購買データをもとに、「買い方」別に顧客の特徴をクラスタリング(データを機能やカテゴリごとに分けて集めること)。月次での購買期待値順会員リスト生成と、クラスタ別の施策やコミュニケーション立案材料の提供。

(b) コールセンターの翌月の日・時間帯単位での需要を予測。現状の対応能力から、経営指標に応えられる応答率と、従業員の勤務希望、労働条件といった複数の制約を満たす人員配置計画を計算し、自動提供。


(当社のビジネスモデルについて)

 当社の主要製品である「O-PLUX」の収益構造は、定額課金である月額料金及び審査件数に応じた従量課金である審査料金からなるストック収益と、初期導入料金等のスポット収益で構成されており、2019年12月期において、売上高全体に占めるストック収益の割合は、70.3%となります。

 ストック収益の成長を実現するために、当社のデータサイエンスの技術による更なる精度向上に加え、国内製品・自社製品ならではのモニタリング・サポート体制を提供することで顧客価値向上を実現し、利用企業及び審査件数の増加、並びに高い継続率の維持の実現を目指してまいります。


  

【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(単独実績)2018.12 720 82 81 80

(単独実績)2019.12 745 99 91 114

(単独予想)2020.12 808 116 91 96

(単独3Q累計実績)2020.12 619 128 121 129


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(単独予想)2020.12 41.03 388.81 0

調達資金使途 ソフトウエア開発、借入金返済、社債償還


上場時発行済み株数 2,582,081株 (別に潜在株式323,484株)

公開株数 287,500株(公募245,000株、売り出し5,000株、オーバーアロットメント37,500株)


PER:49.2

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:5.8億

公募時時価:52億

    

【株主構成】 

岩井裕之 代表取締役社長CEO 523,176 19.66 180日

Symbolキャピタル(同) 役員らが議決権の過半数を所有する会社 465,000 17.48 180日

中沢雄太 執行役員 247,803 9.31 180日

SMBCベンチャーキャピタル1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド)、金融商品取引業者の人的・資本的関係会社 229,200 8.61 90日・1.5倍

亀山誠 特別利害関係者など 225,588 8.48 180日

みずほ成長支援投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 173,685 6.53 90日・1.5倍

関根健太郎 専務取締役執行役員COO 137,928 5.18 180日

FinTechビジネスイノベーション投組 ベンチャーキャピタル(ファンド)、金融商品取引業者の人的・資本的関係会社 118,422 4.45 90日・1.5倍

中山勝史 従業員 95,511 3.59 180日

MSIVC2012V投組 ベンチャーキャピタル(ファンド)  79,200 2.98 90日・1.5倍

 

【代表者】

代表者名 岩井 裕之(上場時49歳3カ月)/1971年生

本店所在地 東京都港区元赤坂

設立年 2011年

従業員数 26人 (10/31現在)(平均34.1歳、年収560.3万円)

株主数 21人 (目論見書より)

資本金 100,000,000円 (11/13現在)

代表者生年月日 1971年09月15日生まれ

代表者略歴

年月 概要

1995年04月 (株)星光堂入社

2005年05月 (株)ネットプロテクションズ入社

2011年01月 当社設立 代表取締役社長(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SBI 212,400 84.96

引受証券 SMBC日興 6,300 2.52

引受証券 みずほ 6,300 2.52

引受証券 あかつき 2,500 1.00

引受証券 岩井コスモ 2,500 1.00

引受証券 岡三 2,500 1.00

引受証券 極東 2,500 1.00

引受証券 静銀ティーエム 2,500 1.00

引受証券 東洋 2,500 1.00

引受証券 松井 2,500 1.00

引受証券 マネックス 2,500 1.00

引受証券 水戸 2,500 1.00

引受証券 楽天 2,500 1.00


【参考類似企業】

参考類似企業 今期予想PER(11/19)

3906  ALBERT 236.7倍(単独予想 )

3993  PKSHA 203.5倍(連結予想 )

4422  VALUENEX 267.1倍(連結予想 )

4847  インテリW 22.1倍(単独予想 )

7046  TDSE 30.4倍(単独予想 )


【私見】

 業種としては不正検知サービスということで、ネット全盛の時代にマッチしており非常に魅力があります。業績は小規模ですが、成長性を加味すれば高PERでも容認はされるでしょう。需給もロックが外れるVCはいますが、規模感からも問題ない程度で初値高騰が見込まれます。例年に比べるとややインパクトに欠けますが、今クール1番の銘柄だと思います。


想定価額:1890円

仮条件上限:2020円

初値予想:9000円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立~やや強気

総合評価4

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