2020年12月4日金曜日

IPO分析(プレイド)

 【事業内容】

 (1)ミッション

 当社は「データによって人の価値を最大化する」をミッションに掲げ、世の中に溢れるデータをあらゆる生活者にとって価値のあるものとして還元し、豊かな体験を流通させることを目的に、当社の提供するCX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」をウェブサイトやスマートフォンアプリを運営する事業者に向け、クラウド方式で提供しております。事業者は「KARTE」を活用することにより、様々なデータを、ユーザー単位で整理・解析し、オンラインの顧客を、PVやUUといった塊の「数字」として認識するだけではなく、一人ひとりの「人」として認識・理解しやすくなると当社は考えております。その上で、事業者は、ウェブサイト、スマートフォンアプリを顧客や顧客セグメントに合わせてパーソナライズしたり、メールやLINE、チャットを通じてコミュニケーションしたり、また、それらのコミュニケーションやパーソナライズ結果の検証を行うことなどができます。当社は、データによる顧客理解からパーソナライズした多様なコミュニケーション施策までを、一気通貫で行うことのできるプラットフォームを提供し、「KARTE」を導入するすべての事業者と共に、データを通じた生活者の顧客体験の向上を実現してまいります。


(2)サービス概要

 当社はCX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」の開発を行い事業者に対して提供しております。「KARTE」は、事業者が運営するウェブサイトやスマートフォンアプリに組み込むことにより、事業者が「KARTE」上でそれらのウェブサイトやスマートフォンアプリを訪れるユーザーのウェブサイトやスマートフォンアプリでの行動のデータを収集・解析し、ユーザー単位でデータを整理・可視化し、それらに基づいてウェブサイトやスマートフォンアプリ、メールやLINE、チャットでのコミュニケーションをユーザー又はユーザーのセグメントそれぞれにパーソナライズするための、クラウド方式で提供されるSaaSです。


(3)当社として考える、「KARTE」が必要とされる理由

1.企業におけるデジタル人材の枯渇

 「KARTE」を導入、活用することで、社内エンジニアや外注先に仕事を依頼せずに、ウェブサイトやスマートフォンアプリにおけるユーザー分析や多様なマーケティング施策及び、ユーザビリティの改善を実施することが可能です。エンジニアや外注による開発を経ずに、実行や検証のサイクルを素早く回すことによるウェブサイトやスマートフォンアプリの差別化などを目的として、「KARTE」を活用する企業が増えています。


2.企業都合で顧客体験を分断しない

 店舗に加えてウェブサイトやスマートフォンアプリ、メールやLINEなど、顧客接点が増えるに従い、企業はメール配信ツールや分析ツールなど様々なサービスを導入した結果、顧客に関わるデータが企業内で分散・サイロ化し、顧客体験を分断してしまう弊害が生まれています。「KARTE」では、店舗などオフラインのデータを含む多種多様なデータの収集・蓄積からパーソナライズした施策の実施までを一気通貫して行うことが可能なので、より良い顧客体験に繋がるコミュニケーションが実現します。


3.幅広い部署・部門で利用が可能

 デジタルマーケティング部やCX戦略部等はもちろんのこと、カスタマーサポートや新規事業開発など、企業内の幅広い部門で「KARTE」を活用することが可能です。活用のノウハウや成功事例を社内外で発信・共有する場も多く、「KARTE」を媒介とした社員同士や企業間の繋がりが生まれています。


4.事業シナジーを創出する

 多様な事業、サービスを展開する企業が「KARTE」を導入することで、グループ企業共通の顧客及びマーケティング基盤を構築することが可能です。グループ全体の膨大な顧客接点を統合して顧客の解像度を上げ、新たなニーズを発見して新規事業を生み出すといった、中長期の経営計画やDX戦略の一環として、「KARTE」が採用されています。


5.企業の環境変化に寄り添い続けることが可能なSaaSであること

 当社は「KARTE」の核となるリアルタイムのデータ解析基盤はもちろんのこと、すべての開発を自社のエンジニアが行っており、毎日のようにサービスが改善されたり、新機能が追加されています。「KARTE」を利用する企業は、オプションとして提供される以外の機能はすべて毎月の定額料金の中で利用することができ、高い技術力を用いたサービスの進化を享受し続けることが可能です。


6.「人」の良さを活かすというコアコンセプトへの共感

 長い人間の進化の歴史から、人は数字よりも人を直接見ることで、何かを考えたり、新しい発想をすることに長けていると当社では考えており、事業に携わる人自身に備わる発想や創造力を発揮できる環境を作ることこそが、企業の競争力の源泉になると確信し、「KARTE」を開発しています。デジタル化がもたらす効率化や定量化、自動化といった技術の恩恵は取り入れつつも目的とせず、人の能力を拡張することを主眼におき、仕事に対する人の介在価値を高めることを目指した「KARTE」の開発思想が、多くの企業に受け入れられています。


  また、当社サービスの料金体系は、以下のとおりです。

 「KARTE(for Web)」、「KARTE for App」及びその他のオプションのサービス契約期間は原則単年(12ヶ月)契約であり、料金体系としては、毎月一定のプロダクト利用料をいただく月額課金型を採用しております。「KARTE(for Web)」及び「KARTE for App」は原則として事業者のサービスのMAU数に応じて料金が決定されます。「KARTE Datahub」については「KARTE(for Web)」及び「KARTE for App」のオプション商品の位置付けとなり、事業者のサービスのMAU数及びレコード総数に応じて料金が決定されます。

 当社は、SaaS事業の単一セグメントであり、セグメント情報を記載していないため、事業分野別に記載しております。当社の事業分野は①SaaS事業、②その他周辺事業となり、SaaS事業分野のサービスは、a.KARTE(for Web)、b.KARTE for App、c.その他のオプションで構成されます。


(4)当社の事業分野別の内容

①SaaS事業

a.KARTE(for Web)

 「KARTE(for Web)」は、ウェブサイト向けに提供している「KARTE」であります。主な特徴は以下のとおりです。

ア.顧客一人ひとりを可視化

 ウェブサイト等に来訪する顧客の行動データを顧客ごとに蓄積します。一人ひとりのウェブサイト等における顧客行動を把握することにより、事業者が顧客の状態やニーズを直感的に理解し、より良い体験を得られるような様々な施策を実行・検証することが可能になります。


イ.リアルタイム解析基盤

 過去のデータではなく、「会員登録の途中で迷っている」「特定の商品で長時間悩んでいる」など、ウェブサイトに来訪する顧客の「今」を解析することが可能であり、顧客の購入意向の高まりなどを見逃すことなく、適切にコミュニケーションすることができます。


ウ.ワンストップで施策実行

 顧客分析やメール配信、ウェブチャットやSMS)など様々なマーケティングツールがありますが、「KARTE」は「顧客分析」と「施策制作・配信・自動化」を同サービス上でまとめて実行することができます。ツールやデータを社内で分散・分断させることなく、一元化することが可能です。さらに、PDCAを通じた分析や施策アクションは、ナレッジとしてKARTEに蓄積していきます。また、顧客分析、企画、デザイナーへの依頼、エンジニアへの依頼など、複数部署に依頼をして、数週間要していたようなサイト上のマーケティング施策の実行が「KARTE」担当者1名でも可能になるので、デジタル人材の不足に悩む企業にも活用されています。

 具体的には、行動によるセグメンテーションから、ユーザーをリアルタイムに可視化することで、施策制作・配信を行い、データを収集するというPDCAを通じたナレッジの蓄積を行うことができます。


b.KARTE for App

 「KARTE(for Web)」とほぼ同じ機能をスマートフォンアプリ上で実現するサービスであり、iOS、Androidのスマートフォンアプリ向けのSDKであります。

 「KARTE for App」を導入することで、事業者はスマートフォンアプリを利用する顧客の行動をリアルタイムに解析し、「アプリインストール直後のユーザー」や「ロイヤルカスタマー」など、個々の顧客を柔軟な条件を元にグループ化してプッシュ通知やアプリ内メッセージを配信できるようになります。

 また、現代の消費者行動として同一サービスのウェブサイトとスマートフォンアプリを行き来しながら情報取得や購買行動を行うことが一般的になりつつあります。なお、「KARTE for App」とあわせて「KARTE(for Web)」を導入している事業者は、共通の「KARTE」管理画面からウェブサイトとスマートフォンアプリ双方を使う顧客の行動を一覧で可視化・解析することも可能であります。さらに、メールやSMS、ウェブチャット、LINEなど、様々な顧客接点を統合したコミュニケーションを作り、届けることが可能になります。


c.その他のオプション

 「KARTE(for Web)」及び「KARTE for App」に付随して利用いただくオプションであります。主なオプションは、「KARTE Datahub」であります。

 「KARTE Datahub」は様々なデータを用いて事業者が顧客理解をさらに深め、より良い体験を顧客に提供することの実現を目指しております。具体的には、事業者は「KARTE(for Web)」及び「KARTE for App」で蓄積した顧客の体験データを自社の顧客データベースなどと統合・分析したり、外部CRMツールへ連携して、チャネルを横断したマーケティング活動全体での顧客体験の設計を行うことが可能となります。上記(3)2.において記載した顧客に関わるデータが企業内で分散・サイロ化し、顧客体験を分断してしまう弊害に悩む事業者の課題を解決することにも繋がると考えております。

 システムの統合やデータ環境の構築、ツール導入・活用のコンサルティングを行うパートナー企業が「KARTE Datahub」を扱うことで「KARTE(for Web)」や「KARTE for App」と合わせて「KARTE」をパートナー企業が持つソリューション全体像の中心部分として活用する可能性が広がるものと認識しております。

 「KARTE」を利用しているウェブサイト及びスマートフォンアプリにおける業界別割合と導入企業例は下図のとおりです。サービス開始当初より導入されているファッション、美容・健康などの各種EC事業者にとどまらず、金融、人材サービス、不動産、メディア・ポータルウェブサイトなどの運営事業者にまで導入が広がっており、特定の業界を問わない幅広い事業者に利用されています。



【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(単独実績)2018.9 1,595 -200 -228 -230

(単独実績)2019.9 2,937 -534 -678 -840

(単独実績)2020.9 4,007 -1,079 -1,205 -1,207

(単独予想)2021.9 5,211 25 -235 -238


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(単独予想)2021.9 -6.51 55.65 0

調達資金使途 インフラ費用、採用費・人件費


上場時発行済み株数 36,930,900株 (別に潜在株式4,105,000株)

公開株数 14,339,000株(公募1,522,000株、売り出し12,817,000株、オーバーアロットメント716,000株)


PER:

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:229億

公募時時価:590億

    

【株主構成】 

倉橋健太 代表取締役CEO 11,715,000 29.65 360日

柴山直樹 取締役執行役員CPO 7,816,000 19.78 360日

JAPAN VENTURES I L.P. ベンチャーキャピタル(ファンド) 6,280,000 15.89 180日

フェムトグロースキャピタル投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 4,789,900 12.12 180日

Google International LLC 特別利害関係者など 1,420,900 3.60

フェムトグロースファンド2.0投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,098,200 2.78 180日

牧野祐己 執行役員 600,000 1.52

清水博之 執行役員 600,000 1.52 180日

三井物産(株) 特別利害関係者など 498,000 1.26 180日

MSIVC2018V投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 498,000 1.26 180日

T.Rowe Price Japan Fund ベンチャーキャピタル(ファンド) 350,300 0.89 180日


【代表者】

代表者名 倉橋 健太(上場時37歳9カ月)/1983年生

本店所在地 東京都中央区銀座

設立年 2011年

従業員数 190人 (9/30現在)(平均33歳、年収887.1万円)

株主数 17人 (目論見書より)

資本金 961,321,000円 (11/12現在)

代表者生年月日 1983年03月14日生まれ

代表者略歴

年月 概要

2005年04月 楽天株式会社入社

2011年10月 当社設立 代表取締役CEO就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 みずほ - -

主幹事証券 BofA - -

引受証券 野村 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 楽天 - -

引受証券 クレディスイス - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 岡三 - -

引受証券 大和 - -

引受証券 東海東京 - -

引受証券 極東 - -

引受証券 丸三 - -


【参考類似企業】

参考類似企業 今期予想PER(11/20)

3690  イルグルム 59.0倍(連結予想 )

3909  ショーケース 149.0倍(連結予想 )

3984  ユーザローカル 58.8倍(単独予想 )


【私見】

 業種的にはSaaS事業で成長性のありそうなビジネスモデルで、グーグルが出資した企業なので中長期で楽しみな銘柄です。売り上げは伸びておりますが、来期にようやく黒字見通しがったほどで未知数ではあります。吸収金額、時価総額共に非常に大きいので、昨年のチャットワークスのようなパターンも考えられますが、株主にはロックがかかっており売り圧力は少なそうです。さらに昨年のIPOもそうでしたが、海外売り出しのあるIPOはセカンダリーで上がることも多く、今回も6割が海外売りだしなので、フリーなどのように中期で面白そうな銘柄ではあると思います。


想定価額:1400円

仮条件上限:1600円

初値予想:2000円

ブック申し込み度・・・やや強気

セカンダリー期待度・・・やや強気(中期)

総合評価4

2 件のコメント:

  1. いつも参考にさせてもらってます。Googleの出資と超一流企業への導入実績に惹かれ、大きく勝負したいのですが、期待度・やや強気(中期)てことは、ドカッと初値買いするのは、考えものでしょうか?

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  2. 理想は引けや初値後の低いところですが、初値で買わないと上がってしまう場合もあるので初値で買う可能性は高いです。
    海外配分多かったので、最近の海外IPOのように意外と初値高いような気がします。

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