2020年12月11日金曜日

IPO分析(ファンペップ)

 【事業内容】

 当社は、大阪大学大学院医学系研究科の研究成果である機能性ペプチドの研究開発を進め、医薬品、化粧品及び医療機器等の事業分野に実用化することを主な事業としております。事業内容の詳細は以下のとおりであります。

(1)ビジネスモデル 

① 機能性ペプチドについて 

当社は、自らの技術領域を、機能性ペプチドを基礎とする領域及びこれとシナジーを有する関連する領域としております。 

 

(A)生命維持の仕組み 

ヒトの体は約60兆個の細胞で構成されており、それぞれの細胞には約30億個の塩基配列からなるDNAが存在し、このDNAに2万~3万種類の遺伝子が含まれております。遺伝子にスイッチが入ると、その塩基配列情報がmRNAとしてコピー(「転写」といいます)され、更にmRNAの塩基配列情報に基づき、体内のアミノ酸(体内には20種類あります)が結合していき、アミノ酸配列が形成(「翻訳」といいます)され、生理活性(機能性)を持ったタンパク質が産生されます。ヒトの生命活動は、約60兆個の細胞において、それぞれの細胞内で約2~3万種類の遺伝子がとてもバランス良く働き、最終的にはタンパク質という形で機能を発揮することで維持されております。


② 当社の特徴について 

(A)大学発ベンチャーの役割 

当社は、大阪大学発の創薬系バイオベンチャー企業であり、大学の研究成果を製薬会社への橋渡しに向けてインキュベート(研究開発を推進)する役割を担っております。この役割を担うため、当社は、大阪大学を始めとする大学等の研究機関との間で、共同研究等により連携を図り、大学の技術シーズを生かした基礎研究を実施しております。更に、当社は、医薬品の研究開発プロセスのうち、基礎研究から、臨床試験で初期の有効性や安全性を確認する早期探索的臨床試験(一般的には、第Ⅱ相臨床試験)までを自社で実施可能な範囲とし、技術シーズのインキュベーションを行う方針であります。 

 

(B)製薬会社との提携体制 

医薬品の研究開発は期間が長く必要資金も大きいのが特徴であります。当社が実施する可能性がある早期探索的臨床試験まででさえ、少なくとも数年間にわたる年月と数億円の資金が必要であります。このため、当社は、研究開発の早期段階から製薬会社等との提携体制を構築し、その提携収入等により、研究開発遂行上の財務リスクの低減を図っていく方針であります。 

一般的な提携形態としては、基礎研究段階では共同研究契約等、前臨床試験や臨床試験段階ではライセンス契約を締結して、製薬会社と当社の間で研究開発段階や商業化段階の役割分担と経済条件を決めます。また、ライセンス契約に先行して、その契約締結に対するオプションを供与するオプション契約を締結する場合もあります。当社の場合は、機能性ペプチドSR-0379は塩野義製薬株式会社との間でライセンス契約、抗体誘導ペプチドFPP003は大日本住友製薬株式会社との間でオプション契約を締結しており、抗体誘導ペプチドの研究開発に関しては、株式会社メディパルホールディングスとの間で研究開発支援契約、大日本住友製薬株式会社との間で精神神経領域の抗体誘導ペプチドの研究契約、塩野義製薬株式会社との間で疼痛領域の抗体誘導ペプチドの共同研究契約を締結しております。また、抗ウイルス剤の研究については、富士フイルム株式会社と共同研究を実施しております(それぞれの提携契約の内容は、「(2)研究開発パイプライン」をご参照ください)。 

これらの提携体制のもと、当社の主な事業収益は、提携製薬会社等からの収入であり、医薬品の研究開発段階においては、契約一時金、研究開発協力金及び開発マイルストーン、販売段階においては、ロイヤリティー及び販売マイルストーンを想定しております。当社は、現時点で事業収益に計上しているのは研究開発段階の収入のみであり、これらの収入により研究開発投資による財務リスク低減を図りながら研究開発を進めております。そして、当社開発品が将来上市に至った場合に提携製薬会社から受け取るロイヤリティー収入によって本格的な利益拡大を実現する計画であります。


(2)研究開発パイプライン 

当社の研究開発パイプラインは、機能性ペプチドの研究テーマ及び開発品により構成されております。 

研究開発パイプラインは、「AG-30由来の機能性ペプチド」、「抗体誘導ペプチド」及び「抗ウイルス剤」の主に3種類に分類されます。 

  

<化粧品等> 

当社は、株式会社ファンケルとの間で共同研究開発を行った結果、当社の機能性ペプチドを含有するシャンプーとして、2018年3月に「マイルドクレンジングシャンプー」、同年6月に「ボリュームアップシャンプー」が発売されました。 

これらの商品販売により、当社は、化粧品原料商社を通してペプチド原薬販売収入を受領しております。 

 

【業績等】

業績動向(百万円) 事業収益 営業利益 経常利益 純利益

(単独実績)2018.12 355 -14 -8 -11

(単独実績)2019.12 301 -285 -232 -235

(単独予想)2020.12 3 -618 -557 -560

(単独3Q累計実績)2020.12 2 -384 -323 -325

1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(単独予想)2020.12 -44.52 234.25 0

調達資金使途 新規開発品や新規製剤技術の研究開発費、人件費

連結会社 0社

 

上場時発行済み株数 16,746,700株 (別に潜在株式2,251,500株)

公開株数 3,150,600株(公募2,739,700株、オーバーアロットメント410,900株)


PER:

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:23.0億

公募時時価:122億

    


【株主構成】 

森下竜一 特別利害関係者など 2,200,000 13.53 180日

平井昭光 取締役 1,775,000 10.92 180日

SBI4&5投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,190,400 7.32

三好稔美 代表取締役社長 1,160,000 7.13 180日

塩野義製薬(株) 特別利害関係者など 1,095,200 6.74 90日・1.5倍

(有)アドバンステクノロジー 特別利害関係者など 1,000,000 6.15 180日

New Life Science 1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 793,600 4.88

(株)SOLA 特別利害関係者など 750,000 4.61 180日

(株)レックスウェル 役員らが議決権の過半数を所有する会社 650,000 4.00 180日

(株)メディパルホールディングス 特別利害関係者など 595,200 3.66 90日・1.5倍


【代表者】

代表者名 三好 稔美(上場時56歳9カ月)/1964年生

本店所在地 大阪府茨木市彩都あさぎ(最寄りの連絡所:東京都渋谷区千駄ヶ谷)

設立年 2013年

従業員数 11人 (10/31現在)(平均46.6歳、年収841.3万円)

株主数 33人 (目論見書より)

資本金 1,388,240,000円 (11/20現在)

代表者生年月日 1960年03月11日生まれ

代表者略歴

年月 概要

1988年04月 三井大牟田病院勤務

1991年04月 森下製薬(株)(現サノフィ(株))入社

1998年10月 日本ウエルカム(株)(現グラクソ・スミスクライン(株))入社

2013年01月 そーせいグループ(株) 顧問 10月:当社 監査役就任

2015年03月 当社 取締役就任

2016年07月 そーせいコーポレートベンチャーキャピタル(株)(現そーせいCVC(株))入社 ディレクター

2017年08月 (株)オリゴジェン 取締役就任

2020年01月 当社 代表取締役社長就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SBI - -

引受証券 SMBC日興 - -

引受証券 いちよし - -

引受証券 エース - -

引受証券 藍沢 - -

引受証券 岩井コスモ - -

引受証券 東海東京 - -

引受証券 東洋 - -

引受証券 極東 - -

引受証券 水戸 - -


参考類似企業 時価総額

4563  アンジェス 1,614億円

4564  OTS 231億円

4582  シンバイオ 136億円

4587  ペプチド 6,963億円

4594  ブライトパス 103億円

4598  DELTA-P 78億円

4599  ステムリム 459億円

7776  セルシード 42億円


【私見】

 大阪大学発の創薬系バイオベンチャー企業で話題のアンジェスとも関係が深いようですが、この時期に赤字のバイオVCではコロナに関連しない限り苦戦が予想されます。売上はほぼなく、買うには相当なリスクが伴います。


想定価額:820円

仮条件上限:730円

初値予想:700円

ブック申し込み度・・・弱気

セカンダリー期待度・・・やや弱気

総合評価2


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