2020年12月5日土曜日

IPO分析(ココペリ)

 【事業内容】

 (1) 事業概要

 当社は、日本全国の地域金融機関(2020年9月末時点42社)と連携し、各金融機関に対してSaaS形式の経営支援プラットフォーム「Big Advance」を主として提供しております。「Big Advance」は、各金融機関の取引先の中小企業に対して、課題解決や成長支援につながる機能を提供しております。地域金融機関及び中小企業のニーズを汲んだサービスの構築を実現しており、2018年4月の「Big Advance」リリース以降も継続的に金融機関及び中小企業のニーズを収集し、PDCAを回すことで、継続的な機能改善及び新機能追加を図ってまいりました。

 また、当社では地域金融機関が保有する、取引先に関する各種ビッグデータや、中小企業のソリューション活用の活動ログデータを元にしたAI(人工知能)の研究を行っており、各AIをAPIで利用可能にしたAIモジュール「FAI」を開発しております。地域金融機関と中小企業の「Face to Face」の信頼感をベースにし、AIモジュール「FAI」などの先進的な「テクノロジー」を融合させてサービスを提供している点が当社事業の特徴です。地域金融機関と連携して地域の中小企業にサービスを提供することにより、経営支援プラットフォームの活用効果を最大化すると同時に、地域金融機関のビジネス変革を支援するソリューションとしても効果を発揮しており、「Big Advance」に参加する全てのステークホルダーがメリットを享受できるWin-Winのビジネスモデルを構築しています。今後も、「Big Advance」が中小企業の成長、そして地方創生に欠かせないビジネスプラットフォームとなるべく、事業を推進してまいります。


(4) サービス概要

① 中小企業向け経営支援プラットフォーム「Big Advance」

 当社は地域金融機関と連携し、中小企業の経営支援プラットフォーム「Big Advance」を金融機関ごとに「○○ Big Advance」という名称で提供し、各金融機関がそれぞれの取引先中小企業に対してサービスを提供しています。金融機関ごとにサービスを展開するものの、各金融機関の取引先の枠を超えて全国の会員企業の情報を連携していることから、地域や金融機関の枠を超えて会員企業同士の新しいビジネスが創出されるなどのネットワーク効果を発揮し、「Big Advance」はこれまでにない形での金融機関による中小企業への経営支援を実現しております。「Big Advance」は「Face to Face」と「テクノロジー」の融合をコンセプトに掲げ、金融機関と会員企業のリレーションをさらに強化し、各金融機関が会員企業に対してより充実した経営支援を可能にするサービスの提供を目指しています。

「Big Advance」では金融機関より、サービス導入時の初期導入費用に加えて、毎月運用・保守費を受領しております。

 運用・保守費はサブスクリプション型(継続課金型)であり、金融機関より月額固定形式で受領する収益、金融機関と会員企業との間の月額利用料に対するレベニューシェア方式を採用した収益により構成されています。そのため、金融機関数の増加による収益拡大に加えて、「Big Advance」会員企業数の増加が、当社と金融機関双方の収益の最大化につながるため、win-winの関係を築いております。また、導入金融機関においては、「Big Advance」月額利用料及びマッチング成約手数料等が収益を押し上げると同時に、「Big Advance」を通して中小企業への本業支援を行った結果として、貸出残高の増加に寄与しております。

 新規の会員企業の増加に加え、既存の会員企業が継続的に利用し、解約しない限りは、当該利用料が積み上がるストック型の収益モデルであり、新規の会員企業数が解約数を下回らない限り収益は前事業年度を上回ることから、安定的に収益を確保することが可能です。そして会員企業にサービスを継続利用してもらうことで関係性を深め、アップセル・クロスセルによる更なる収益機会の獲得を見込むことができます。

 「Big Advance」の基本機能は以下の通りです。中小企業にとって事業及び日常業務の運営に有用な機能が多数搭載されている中で、高価なソフトウェアに対する大きな初期費用をかけずに、月額利用料は3,000円(税抜)と安価な設定にてワンパッケージの機能を提供しており、中小企業にとって導入し易い形で業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を実施することが可能となっております。


 ビジネスチャット機能により、企業における業務時間の多くを占めるコミュニケーションを効率化し、中小企業の経営課題であった労働生産性の改善を実現していると考えます。また、地域金融機関におけるIT化の遅れ等により電話若しくは対面が基本であった当該金融機関とのコミュニケーションもチャットで行うことができるようになるため、金融機関との情報共有の頻度が増え、一層のリレーション強化に加えて、適切な金融サービスを受けることにつながります。

 ビジネスマッチング機能は、会員企業が自社の案件ニーズを入力することにより、他の会員企業から商談依頼を受けたり、他の会員企業へ商談依頼をすることができます。従来、金融機関が行なってきたビジネスマッチングは、その金融機関内における企業同士の案件ニーズのマッチングに留まっておりますが、「Big Advance」では、金融機関を越えて、「Big Advance」を利用している全会員企業の案件ニーズが検索できるため、地域や金融機関の枠を越えた広域マッチングを実現しています。結果として、導入金融機関へのヒアリング等を通じて、従来マッチングの意向を示した企業のうち、実際に面談を実施した企業の割合は、「Big Advance」導入後に向上していることを確認できており、地域金融機関の収益機会の増加に寄与しています。

 そのため、新たなビジネスマッチングの機会の創出により、新たな付加価値が創造され企業の業績が向上することはもちろん、地方創生にもつながるものと考えます。

また当社が2015年6月にリリースした士業相談プラットフォーム「SHARES」と「Big Advance」をAPI連携することにより、「Big Advance」を利用する企業が法務、労務、税務などの経営課題をスムーズに士業に相談することが可能になりました。

 「SHARES」には弁護士、税理士、行政書士などの8士業が2,164名(2020年9月末)登録しており、企業が見積りを依頼してから、およそ1時間で適した士業を紹介することが可能です。気軽に相談ができる顧問を持たない中小企業にとって、単発で安価に士業に相談し、スピーディーに経営課題を解決できることは非常に重要であり、サービス開始以降順調に利用企業数を伸ばしています(2020年9月末の「Big Advance」会員企業数は27,914社)。

 そのほか、「FUKURI」は会員企業の従業員に対する福利厚生に役立つ、旅行やレジャー、グルメ、ショッピング等のお得なクーポンを掲載したサイトであり、2020年9月末時点では800件以上のクーポンを登録しており、会員企業の従業員満足度の向上に寄与していると認識しております。

 また、ホームページの自動作成機能を活用することにより、15分程度で簡単にスマートフォンに対応したホームページを開設することが可能です。手軽に情報発信することができる上に、共通ドメインで多数のサイトを運営することによりSEO効果を発揮するため、2020年9月末時点では3,368件のホームページ作成に寄与しており、会員企業の認知度向上に貢献しております。

 補助金・助成金機能においては、従来は各中小企業が個別に官庁のホームページ等を確認し情報収集する必要があったものの、中小企業に代わり当社が補助金及び助成金に係る情報を官庁より収集し週次で更新していることから、会員企業にとって効率的な情報取得を可能としています。さらに補助金等の申請時に相談したい事項がある場合、「SHARES」を活用することにより、士業への相談も可能です。

 「Big Advance」は月額3,000円の価格水準で提供しております。会員企業は月額3,000円で様々な経営支援サービスを利用することができるため、会員企業の発展に貢献できるものと考えています。

 2018年6月末から2020年9月末にかけて、導入金融機関数は1社から42社、会員企業数は1,036社から27,914社と継続的に増加しております。結果として24都道府県(2020年9月末)の導入に至っております。


 

【業績等】

 業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(単独実績)2019.3 185 -98 -98 -98

(単独実績)2020.3 413 -21 -21 -21

(単独予想)2021.3 888 86 77 77

(単独3Q累計実績)2021.3 388 46 46 40


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(単独予想)2021.3 12.72 -  - 

調達資金使途 人件費・採用教育費


上場時発行済み株数 7,243,380株 (別に潜在株式643,720株)

公開株数 1,244,700株(公募276,000株、売り出し806,400株、オーバーアロットメント162,300株)


PER:125.8

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:19.9億

公募時時価:115億

    

【株主構成】 

近藤繁 代表取締役CEO 2,450,000 32.15 180日

AT-II投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 714,000 9.37 90日・1.5倍

森垣昭 取締役COO 546,000 7.17 180日

(株)東広 特別利害関係者など 476,000 6.25 180日

SV-FINTECH1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 424,620 5.57 90日・1.5倍

FinTechビジネスイノベーション投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 392,000 5.14 90日・1.5倍

近藤正武 代表取締役の血族 280,000 3.67 180日

近藤淳 代表取締役の血族 280,000 3.67 180日

松尾幸一郎 取締役 267,400 3.51 180日

TIS(株) 特別利害関係者など 188,300 2.47 180日

 

【代表者】

代表者名 近藤 繁(上場時42歳5カ月)/1978年生

本店所在地 東京都千代田区二番町

設立年 2007年

従業員数 37人 (10/31現在)(平均35.7歳、年収506万円)

株主数 30人 (目論見書より)

資本金 469,756,000円 (11/13現在)

代表者生年月日 1978年06月26日生まれ

代表者略歴

年月 概要

2002年04月 (株)みずほ銀行 入行

2006年01月 イー・ステージ(株) 入社

2007年06月 当社代表取締役CEO (現任)

2010年01月 (株)アイケアパートナーズ東京(現(株)リビングプラットフォーム)取締役

2011年04月 (一社)Hearth理事

2012年08月 (株)KNAIN代表取締役

2013年02月 (株)情報センター出版局取締役


【幹事団】

主幹事証券 大和 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 丸三 - -

引受証券 マネックス - -

引受証券 松井 - -


【参考類似企業】参考類似企業 今期予想PER

2412  ベネ・ワン 83.4倍(連結予想 )

3919  パイプドH 18.6倍(連結予想 )

4444  インフォネット 33.2倍(連結予想 )

6192  HyAS&Co. -倍(連結予想 )

6580  ライトアップ 27.6倍(単独予想 )

8876  リログループ 78.6倍(連結予想 )


【私見】

 業種的には中小支援のプラットフォームということで悪くはありませんが、他との優位性などを考えると大きな成長性があるかと言われるとやや物足りなさはあります。吸収金額・時価総額共に適度にはあり、1.5倍でロックが外れるVCもいるので上値は抑えられる可能性はあるでしょう。


想定価額:1300円

仮条件上限:1600円

初値予想:3700円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価3.5

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