2021年12月12日日曜日

IPO分析(エフ・コード)

 【事業内容】

​①当社が考えるDX

 従来のマーケティングにおける仮説ベースで設計された個々のデジタル施策には生活者の体験観点が限定的であると考え、購買現場、すなわち「生活者の目線」をCXのデータ解析により理解し、CXのデータに基づいた実証ベースによって個々のデジタル施策を設計することが、CXを損なうことなくDX推進を図るうえで重要であると認識しております。

 当社では、現代における事業者と生活者とのデジタル上における複雑化したコミュニケーションの環境をふまえて、DX領域における多種多様な個別課題の背景に存在している"デジタル上での顧客接点がどうあるべきか"というCXの全体観を整理・設計したうえで、DXによって解決すべき課題とその優先順位を明確化し、個々のデジタル施策等が戦略上一体となって効果を発揮するようなDX推進サービスを展開しております。


②独自のCXデータ基盤をコアとするDX

 当社では、かねてよりコンサルタントによる直接的な人的支援によって、事業者がかかえる事業課題と紐づいたデジタルマーケティングの戦略立案・支援サービスを提供してきており、これまでの実績・経験から、事業課題に即したソリューション提供の数々の事例を再現可能な形にするためにノウハウ・知見として蓄積してまいりました。

 また、これまでのサービス提供の過程において、CXの重要性に着目し、2013年より10年近くにわたりSaaS型のマーケティングツールとして、エントリーフォーム最適化ツールやブラウザプッシュ通知ツール、Web接客ツールなど、広告配信データやサイト解析データだけではなく、エントリーフォームの入力事項やサイト内のチャット等の反応といったユーザーとの深いコミュニケーション領域におけるデジタルマーケティングサービスを提供してまいりました。

 このような業歴から、EFOデータやVOCデータ、Web接客データといった「ユーザーの生の声」とも言えるCX領域のデータを長年にわたり蓄えるとともに、業界別・課題別の知見・ノウハウとして参照可能なデータ基盤へと強化してまいりました。

 さらに、サービス提供の進捗を通じて事業者の課題ごとに最適化されていく当社のソリューションは、新たなフィードバックとしてCXデータ基盤のアップデートへとつながり、これまでに培った知見・ノウハウ及び蓄えられた独自のCXデータは累計にして1,000社、アカウント数は3,000件を超えるユニークなCXデータ基盤として進化を続けており、より質の高いDX推進サービスのために不可欠なものとなっております。

 当社は、この独自のCXデータ基盤を保有することで、業界別・課題別に顧客企業にとってあるべきCX体験を分析、CXの全体観を設計し、そのために必要なDX施策を選択・実行していきます。

 顧客経営レベルの戦略策定と課題の解決の場面においてデジタル化が浸透していない現状に対し(未だに断片的な市場データ等から人力と経験による仮説を重ねるアプローチが主流である状態)、これまでに構築してきたCXデータ基盤等のデータアセットをコアに、DX推進へ取り組むにあたりプロジェクト開始時点から参照し、顧客企業の属する市場の調査や同業他社の戦略分析から戦略策定まで、顧客経営レベルの課題解決に向けたDX推進サービスの提供を目指しております。


(3)サービスの概要

 CX領域のデータ基盤をコアに企業のDX推進をワンストップで支援しておりますが、顧客課題及びニーズ、フェイズなどを考慮して、「デジタル顧客獲得支援サービス」「デジタル顧客育成支援サービス」の2つのDX支援のサービス領域に大別したうえでサービスを展開しております。


① デジタル顧客獲得支援サービス

 顧客企業の属する市場調査や同業他社の戦略分析から戦略策定、また、戦略実行段階を担う人材育成など、デジタル戦略全般に影響を及ぼす戦略設計・組織設計の支援を行い、それらが整理された段階では、顧客企業と生活者とのデジタルを通したコミュニケーション構築の支援までを行っております。

 具体的には、当社の膨大なCXデータ基盤を活用した同業他社との比較分析と、当社コンサルタントによるデジタル戦略立案の支援や、DX推進の人材不足が発生するケースにおいて若手幹部人材への研修実施等のDX人材育成プログラムの提供をしております。また、全体的な戦略が決定している段階においては、Web媒体上での集客等を目的とした広告運用をデータ分析・改善に至るまでを担うコンサルティングや、顧客WEBサイトの集客力を継続的に維持向上させるためにコンテンツの企画・制作・分析・改善までの施策を一貫して支援するなど、豊富な経験を有する当社コンサルタントの直接支援を通じて個別のデジタルサービスを顧客ごとの課題に即して提供しております。


② デジタル顧客育成支援サービス

 獲得したリードに対して成約率上昇・継続率上昇のための支援を中心に行っております。

具体的には、自社プロダクト「CODE Marketing Cloud」を活用したUI/UXの改善支援や、Webサイト上での生活者とのコミュニケーション接点構築後、CTI連携によってコール営業のデータ分析から商談成約率向上支援などのインサイドセールス改善支援を顧客ごとの課題に即して提供しております。

 なお、当社がサービスを提供する対象領域自体については、特定のDX領域に限定されることはなく、広告領域・UI/UX・営業活動・CRM領域等、企業の様々なDXニーズに対応するべく幅広い市場に展開している状況です。

 このような複数・広範囲のサービス提供によって、当社の顧客数は増加傾向にあり、また顧客単価も上昇傾向にあり、引き続き顧客基盤の拡大を目指しております。

 また、CXデータ解析によって最適化されたデジタル施策等は顧客企業のかかえるDXの課題に対して効果的であると考えられ、顧客企業のうち一定期間以上継続的に当社サービスを利用する割合は大きく、全体の売上高に占める継続型売上)は第16期第3四半期末において80%を超える水準となっております。


1)デジタル顧客育成支援において提供する当社のマーケティングツールについて

 創業当初より行うデジタルコンサルティング、デジタル広告運用などの実績・経験から得られた知見・ノウハウをSaaS型ソフトウェアとして昇華し、2013年2月よりマーケティングツールとして提供しております。

 これまで、エントリーフォーム最適化ツール「f-tra EFO」(2013年2月提供開始)、Web接客ツール「f-tra CTA」(2016年5月提供開始)、ブラウザプッシュ通知ツール「f-tra Push」(2016年12月提供開始)など、広告データやサイト解析データだけではなく、エントリーフォーム入力事項やサイト内のチャット等の反応といったユーザーとの深いコミュニケーション領域におけるマーケティングツールの開発に取り組んでまいりました。

 これらのツールから、コミュニケーション領域における最も深いユーザーデータを取得・蓄積することが可能となり、これまで各ツールが提供してきたサービスを統合・強化したプラットフォームの開発に着手し、2018年にWeb接客ツール「CODE Marketing Cloud」(2018年7月提供開始)へと発展させました。

 現在は、SaaS型ソフトウェアとして「CODE Marketing Cloud」を主力として、その一部の機能を独立して提供する「f-tra EFO」とともにサービス提供を行っております。


a. CODE Marketing Cloud

 企業ウェブサイトに来訪したユーザーに対し、ユーザーのサイト内での行動情報・購買情報などをもとに最適なタイミングでポップアップバナーなどの適切なコンテンツを自動提示し、サイト内の顧客体験をより良質なものへと改善することができるウェブ接客ツールを提供するサービスです。

 アクセスログや顧客企業の保有するデータなどを元に、サイトを訪れたユーザーに対して必要と考えられるコンテンツを自動提示することで、既存のページを大きく改修することなく、購入率・購入単価・顧客ロイヤリティの向上を図ります。継続的に機能の開発・拡張を行なっており、ウェブサイトの上に重ねて表示する視認性の高いポップアップバナーに加え、顧客企業のウェブサイト自体を書き換え、サイトの一部として溶け込んだ、より自然な印象での情報告知・ページ導線の追加を行うことが可能になっております。

 また、ツール提供に加えて、専門スタッフのみで組まれた導入後の運用支援体制を整備し、長期的な支援を可能としております。


b. f-tra EFO

 PCサイトまたはスマートフォンサイト内に設置されたエントリーフォームの入力支援機能を提供するサービスです。顧客企業のサイト内におけるユーザーの最終アクションともいえるエントリーフォームへの入力作業において、ユーザーの離脱を防止するために、入力形式の指示やエラー表示によってエントリーフォームを最適化し、ユーザーの入力ストレス・ミスの低減を通してフォーム完了率を向上させ、コンバージョン率(実際に購買や資料請求、お問い合わせ、会員登録などが行われた率)の改善を図り、金融業、不動産業、小売業などの業種への導入実績を有しております。


【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(単独実績)2019.12 458 -60 -64 -39

(単独実績)2020.12 531 31 30 40

(単独予想)2021.12 638 157 149 148

(単独3Q累計実績)2021.12 477 138 136 137


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(単独予想)2021.12 76.79 223.09 0

調達資金使途 採用費・人件費、広告宣伝費・販売手数料、ソフトウエア開発費用


上場時発行済み株数 2,049,100株 (別に潜在株式282,900株)

公開株数 183,600株(公募100,000株、売り出し59,700株、オーバーアロットメント23,900株)


PER:26.3

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:3.7億

公募時時価:41億

​   

【株主構成】 

工藤勉 代表取締役社長 1,323,300 59.29 180日

梅沢康二 監査役 118,500 5.31 180日

荒井裕希 取締役 110,400 4.95 180日

(株)マイナビ 特別利害関係者など 100,800 4.52

(株)リヴァンプ 特別利害関係者など 95,100 4.26

平井隆仁 取締役 69,600 3.12 180日

須合聡 執行役員 65,100 2.92 180日

長島毅 特別利害関係者など 48,000 2.15

衣笠槙吾 執行役員 31,500 1.41 180日

大山卓也 特別利害関係者など 30,000 1.34

山崎晋一 取締役 27,600 1.24

門田芳典 特別利害関係者など 24,900 1.12

佐野瑞生 従業員 22,200 0.99

中村学 従業員 19,800 0.89

曽我健 特別利害関係者など 19,500 0.87


本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である工藤勉並びに当社株主である梅澤康二、荒井裕希、須合聡、衣笠槙吾、山岡佑、山崎晋一、平井隆仁及び今村元太は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2022年6月21日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式(当社新株予約権及び新株予約権の行使により取得した当社普通株式を含む)の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等は除く。)等は行わない旨合意しております。 

【代表者】

代表者名 工藤 勉(上場時37歳5カ月)/1984年生

本店所在地 東京都新宿区市谷八幡町

設立年 2006年

従業員数 21人 (9/30現在)(平均34.6歳、年収646.3万円)

株主数 27人 (目論見書より)

資本金 148,464,000円 (11/19現在)

代表者生年月日 1970年01月21日生まれ

代表者略歴

1992年04月 (株)東京銀行(現(株)三菱UFJ銀行) 入行

2000年09月 バークレーズ・グローバル・インベスターズ(株)(現ブラックロック・ジャパン(株)) 入社

2009年12月 同社 営業部門統括部長就任

2010年05月 当社設立 代表取締役社長就任(現任)

2018年08月 至善館大学院 特任教授就任(現任)

2019年10月 慶応義塾大学 特任教授就任(現任)

2020年04月 東京理科大学 客員教授就任(現任)

2021年04月 一橋大学 特任教授就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SBI 135,700 84.97

引受証券 アイザワ 2,400 1.50

引受証券 あかつき 2,400 1.50

引受証券 岩井コスモ 2,400 1.50

引受証券 極東 2,400 1.50

引受証券 マネックス 2,400 1.50

引受証券 水戸 2,400 1.50

引受証券 岡三 1,600 1.00

引受証券 東洋 1,600 1.00

引受証券 丸三 1,600 1.00

引受証券 楽天 1,600 1.00

引受証券 エイチ・エス 800 0.50

引受証券 光世 800 0.50

引受証券 松井 800 0.50

引受証券 むさし 800 0.50


【参考類似企業】今期予想PER(12/3)

3622  ネットイヤー 7.9倍(連結予想 )

3961  シルバエッグ 22.3倍(連結予想 )

3984  ユーザローカル 37.7倍(単独予想 )

4165  プレイド -倍(連結予想 )

4180  Appier -倍(連結予想 )

7068  FフォースG 30.0倍(連結予想 )


【私見】

 DX銘柄で、大きな優位性はないかもしれませんが業種人気はあります。6憶程度の売上なので小規模ですが、マイナビやリヴァンプなどが株主で成長性はありそうです。吸収金額は非常に小さく、時価総額も大きくはなく、ロックもかかっているので初値人気は高そうです。


想定価額:1660円

仮条件上限:2020円

初値予想:5000円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価3.5

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