2021年12月5日日曜日

IPO分析(YCPホールディングス(グローバル)リミテッド )

 【事業内容】

  アジアの独立系プロフェッショナルファームとして、戦略コンサルティング・M&Aアドバイザリー・デジタルソリューション・オペレーション改善・マーケティング支援・グローバルリサーチという6領域での経営支援を提供する「マネジメントサービス」と、中小・新興企業に対するリスクマネーの提供やゼロベースから事業をインキュベーションする「プリンシパル投資」の2つをセグメントとして事業を展開しております。後述の通りクロスボーダー・M&A・DXをその強みとしており、これまでの企業の在り方をM&AとDXを通じて変革し、クライアント企業及び投資先企業をグローバルに成長させる「GAME CHANGER-企業変革のプロ集団」を目指しております。


(当社グループの特徴と強み)

 日本で創業しながらも10年で世界17拠点へと拡大し、マネジメントサービス事業を担うプロフェッショナルのうち60%以上が海外人材(日本人駐在を含む。本書提出日現在)となっており、クロスボーダーでの支援に強みを有しております(2021年9月30日現在において海外人材が63%、日本人材が37%)。アジア全域に拠点を構えることで、市場ノウハウに精通した現地プロフェッショナルが、他拠点とも綿密に連携しながら、スピーディーかつ柔軟な事業展開を支援することが可能となっております。

 また、グループCEOである石田裕樹を筆頭にM&Aに専門性を有するプロフェッショナルが数多く在籍しており、業界経験の豊富な松田清人氏(みずほ証券株式会社及びユニゾン・キャピタル株式会社の取締役を歴任し、現在トパーズ・キャピタル株式会社取締役会長)をシニアアドバイザーに迎え、M&Aという企業の抜本的変革時における支援も得意としております。M&Aを実行するのみならず、投資前の戦略検討や投資先の選定・発掘、及び投資実行後の経営・組織統合 (PMI)や投資先企業のバリューアップまで、一気通貫でのサービス提供を特徴としております。

 加えて、デジタルソリューションにも早期に着手し、インドネシアにアプリ・ウェブ開発、デザイン制作、ミドルウェア開発等のR&D機能を持つデジタル開発チームを設置する他、機械学習や自然言語処理に高い技術を有する株式会社プレイド、株式会社ABEJA及び株式会社モルフォといったAI関連企業とのアライアンス体制を通じて、DXによる企業変革の支援も多数提供しております。日本における人工知能/ディープラーニング領域の第一人者である松尾豊氏(東京大学人工物工学研究センター教授、日本ディープラーニング協会理事長)をシニアアドバイザーに迎えております。

 当社グループは、このクロスボーダー・M&A・DXの3つを強みとし、マネジメントサービス事業においてはクライアントの、プリンシパル投資事業においては投資先企業の、経営改革・事業変革を推進しております。高収益かつ安定的なキャッシュ・フロー創出が可能なマネジメントサービス事業を基盤に、プリンシパル投資事業へのリスクマネーの投下及びスケールアップを掛け合わせ、この2事業のハイブリッド型モデルを通じた事業拡大を続けております。


(マネジメントサービス事業)

 アジアを中心とする世界17拠点にて、2021年9月30日現在において238名のプロフェッショナルが必要に応じて一部外注先の協力も得つつ、各種の経営支援を提供しております。強みとするM&Aに関連した支援においては、前述の通りM&A前後も含めた一気通貫でのサービスを特徴とし、マネジメントサービス事業の売上収益における51%(2020年12月期。100千米ドル未満の小規模案件を除外して算出)を占める中核サービスとなっております。また、DX関連については、デジタル戦略立案、AIを活用した業務改革、デジタル新規事業立案など、クライアント及び自社事業向けに幅広いDXソリューションを提供しており、マネジメントサービス事業の売上収益における28%(2020年12月期。100千米ドル未満の小規模案件を除外して算出)を占めております。さらに、アジア全域に拠点を構えることで、日本国内に留まらず、成長著しいアジアを舞台にしたクロスボーダーでのM&AやDXを推進していることも大きな特徴となっております。

 

(プリンシパル投資事業)

 マネジメントサービス事業を通じて培った経営人材のプラットフォームを活用し、中小/新興企業に対して当社グループ自らの資金を投下する他、ゼロから事業立ち上げを伴うインキュベーションにも積極的に取り組んでおります。また、投資先事業に対しては、マネジメントサービス事業と同様に、当社の3つの強みであるクロスボーダー・M&A・DXを掛け合わせる形で事業拡大を推進しています。

 当社グループの投資活動は、原則として、当社グループの経営人材の関与を担保するために過半数の議決権確保を前提としていることに加え、マネジメントサービス事業における主要顧客の一つであるプライベート・エクイティ・ファンドとの利益相反を避けるために1案件あたり20億円以下の投資としております。人材難に苦しむことの多い中小/新興企業に、当社グループのマネジメントサービス事業を組み合わせることで、より高い投資利益を目指しております。

 これまでの投資活動の結果、現在では、パーソナルケア領域及びペットケア領域を重点領域と定め長期的な投資を継続しております。また、将来の重点領域となるべきビジネスシーズに対する投資も、戦略投資領域として積極的に投資を行っております。プリンシパル投資事業においては、これらの3領域を、経営上の適切な意思決定及び業績評価のため、異なるセグメントに分類しております。


(a)パーソナルケア領域

 パーソナルケア領域は、主要な連結子会社である株式会社SOLIAが、パーソナルケア商材に特化したブランドをアジア全域に展開しています。「“Made in Japan” to Global」という事業ビジョンの下、「Made in Japanブランドで世界の生活を豊かにし、日本人の誇りとなる」ことを目指して、高品質で信頼できる消費財ブランドを世界に展開、日本発グローバルブランドをつくることをミッションとしております。 

 ビジネスモデルとしては、中間流通を排してオンラインで消費者へ直接販売を行うD2Cモデルを、スキンケア市場でいち早く取り入れた点が特徴となっております。国内においては、成長著しいECチャネルを中心に複数ブランドの同時展開を行う一方、本書提出日現在において世界で17拠点を擁する当社グループのプラットフォームを活用し、事業立ち上げから8年で6つの国と地域(中国、台湾、シンガポール、マレーシア、ベトナム及び米国)に展開するスピーディーな海外展開により、主要ブランドであるALOBABYについてはすでに販売数量の37%(2020年12月期)を海外が占めております。


(b)ペットケア領域

 ペットケア領域は、当社グループの100%子会社である株式会社YCP Lifemateが、所属獣医師の発信力を活かしながら、ペットケア領域におけるビジネスの拡張を目指し、現在は5つの動物病院の事業承継によるグループ化と、子犬用しつけ教材と成犬用お楽しみボックスの定期販売事業を運営しております。「革新性と専門性で世界中の動物たちに笑顔を届けたい」というビジョンの下、動物と人にやさしい獣医療で伴侶動物との幸せな生活をお手伝いしております。また、予防啓発・病気の早期発見のサポート、最先端の獣医療の提供、地域獣医療への貢献、未来の獣医療の育成をミッションとして掲げております。

 事業戦略としては、動物病院のDX化を通じて承継先病院の経営改革を実行することで収益改善を図り、さらにM&Aにより複数の動物病院をグループ化することで管理機能の共通化・効率化や病院間協力による労働環境の改善といったシナジーを創出することで、事業全体をスケールさせております。成犬用お楽しみボックスの定期販売事業においては、動物病院で得た知見や動物行動学の専門家と培ったネットワークを活かしながら事業開発を進め、2021年8月には累計販売個数2万個を達成しております。


(c)戦略投資領域

 将来の重点領域の育成を目的に、様々な地域及び業種に投資を行い、その知見を深めております。現在の投資領域には、主要な連結子会社であるJ-FOODS HONG KONG LIMITEDなどによる、海外における日本食や高級ス


【業績等】

業績動向(百万円) 売上収益 営業利益 税引き前利益 純利益

(連結実績)2019.12 5,752 171 52 -135

(連結実績)2020.12 6,697 934 826 721

(連結予想)2021.12 8,137 865 843 626

(連結中間実績)2021.12 4,055 512 471 318


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(連結予想)2021.12 39.13 - 0

調達資金使途 広告宣伝費、動物病院グループを通じた事業投資、採用・教育費用および人件費

 

上場時発行済み株数 19,626,676株

公開株数 4,514,200株(公募3,925,400株、オーバーアロットメント588,800株)


PER:21.2

P SR:2.0

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:37.4億

公募時時価:163億

    

【株主構成】 以下180日

Y Asset Management Limited 親会社 12,690,000 80.82

粕本晋吾 執行役員 1,320,000 8.41

ダミアン・デュアメル 執行役員 456,965 2.91

ハイコー・バグズ 執行役員 436,989 2.78

天野淳 特別利害関係者など 150,000 0.96

石崎貴紘 特別利害関係者など 120,000 0.76

松田清人 シニアアドバイザー 95,000 0.61

松尾豊 シニアアドバイザー 95,000 0.61

大河原貴宏 特別利害関係者など 90,000 0.57

ピラー・ディーター 執行役員 61,000 0.39


 買取引受による募集に関連して、貸株人かつ当社の株主であるY Asset Management Limited並びに当社の株主である粕本晋吾、ダミアン・デュアメル、ハイコー・バグズ、天野淳、石崎貴紘、松田清人、松尾豊、大河原貴宏、ピラー・ディーター、ミカエル・フェイジ、アレン・リー、ニコラス・ピチェット、ガーヴァシアス・サモシール、音部大輔、マイケル・スィーバーグ、ルイーザ・ウォン、岩瀬大輔及びジャスティン・リョンは、野村證券株式会社との間で、元引受契約締結日から本有価証券信託受益証券に係る上場(売買開始)日から起算して180日目の2022年6月18日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、野村證券株式会社の事前の書面による同意なしには、当社株式、当社株式に転換若しくは交換されうる有価証券(本有価証券信託受益証券を含む。)等の処分等(但し、オーバーアロットメントによる募集に伴う貸付け、当社株式の本有価証券信託受益証券への交換及び本有価証券信託受益証券の当社株式への交換等を除く。)を行わない旨を合意しております。

 

 【代表者】

代表者名 石田 裕樹(上場時39歳9カ月)/1982年生

本店所在地 シンガポールフレイザー・ストリート3、デュオ・タワー

設立年 2021年

従業員数 9人 (9/30現在)(平均32歳、年収771.3万円)、連結437人

株主数 20人 (目論見書より)

資本金 811,149,998円 (11/18現在)

代表者生年月日 1982年03月10日生まれ

代表者略歴

2006年04月 ゴールドマン・サックス証券(株) 戦略投資部 入社

2013年06月 YCP Management Southeast Asia Pte. Ltd.(現YCP Solidiance Pte. Ltd.)Director就任(現任) 11月:YCP Holdings Limited(現・Y Asset Management Limited)Director就任(現任)

2014年04月 (Thailand) Co., Ltd.  Director就任(現任)

2015年04月 YCP Solidiance Co., Ltd. Director就任(現任) 7月:Naturali Hong Kong Limited Director就任

2018年04月 (株)ARUKI 取締役就任(現任) 8月:(株)YCP Solidiance 代表取締役就任(現任)

2019年05月 (株)N&O Life(現(株)SOLIA)取締役就任(現任) YCP Dining Singapore Pte. Ltd. Director就任(現任)

2020年01月 グループ取締役就任(現任) (株)YCP RLA Trading取締役就任(現任)

2021年01月 YCP Solidiance Limited Director就任(現任) 4月:YCP Holdings(Global)Limited Director兼グループCEO就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 野村 3,533,100 90.01

引受証券 みずほ 117,700 3.00

引受証券 SMBC日興 78,500 2.00

引受証券 SBI 78,500 2.00

引受証券 マネックス 39,200 1.00

引受証券 松井 39,200 1.00

引受証券 岡三 39,200 1.00


【参考類似企業】今期予想PER(11/26)

2127  日本M&A 89.2倍(連結予想 )

2497  UNITED 10.7倍(連結予想 )

3636  三菱総研 11.4倍(連結予想 )

4307  NRI 42.2倍(連結予想 )

4310  DI 26.1倍(連結予想 )

4792  山田コンサル 15.5倍(連結予想 )

6080  M&Aキャピ 40.2倍(連結予想 )

6088  シグマクシスH 41.9倍(連結予想 )

6196  ストライク 41.8倍(単独予想 )

6532  ベイカレント 65.3倍(単独予想 )

7034  プロレド 32.1倍(連結見込 )

7038  フロンティアM 29.3倍(連結予想 )

7076  名南M&A 20.9倍(単独予想 )

8462  FVC 31.5倍(連結予想 )

8518  アジア投資 10.3倍(連結予想 )

8595  ジャフコG 9.1倍(連結予想 )

9644  タナベ経 22.3倍(連結予想 )

9757  船総研HD 30.4倍(連結予想 )


【私見】

 コンサルなので業種としては悪くないのですが、海外株という時点で評価しずらく過去の例を見ても評価は下がります。売上は伸びており、成長性を考えると上値余地はありそうな価額設定です。ロックは完全なので需給の不安はありませんが、規模的には吸い上げ規模がやや大きめで同時上場もあり資金は入らなそうです。国内の参加者は少なそうなので初値人気はないと予想します。


想定価額:790円

仮条件上限:830円

初値予想:900円

ブック申し込み度・・・中立

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価3

2 件のコメント:

  1. こたさんこんにちは。
    主幹事でもない所から1000株取れますと言われましたが人気ないんですかね…?
    低単価で業績も良いから割れないとは思うのですが。12月は勝ち組負け組がハッキリしており、良い銘柄は中々当たらないので割れない微妙銘柄を大量取得するしかないとは思ってるのですが、こたさんの見解お聞かせください。

    返信削除
  2. 外株なので買いは入りにくいと思いますが、ロックも万全ですし初値から売られるとは考えにくいかなと思います。申し込まなかったのですが、地合いも一変し、多く貰えるなら今なら申し込むかもしれません。

    返信削除