2021年12月9日木曜日

IPO分析(リニューアブル・ジャパン)

 【事業内容】

 「再生可能エネルギーのコングロマリット」を目指し、太陽光発電所を中心とする再生可能エネルギー発電所の①開発、②EPC(設計/調達/建設)、③資金調達・案件売却、④アセットマネジメント(以下「AM」といいます。)、⑤オペレーション&メンテナンス(以下「O&M」といいます。)、⑥発電・電力小売までの再生可能エネルギーに関する事業全般を一気通貫で提供しております。

 再生可能エネルギー発電所を開発し、当社(当社が匿名組合出資を行う合同会社等を含みます。)が保有し発電事業による売電収入を得るとともに、当社がメインスポンサー、東急不動産株式会社が共同スポンサーを務める上場インフラファンドである日本再生可能エネルギーインフラ投資法人(以下「上場インフラファンド」といいます。)や当社が投資家を募り組成する私募ファンド(以下「私募ファンド」といいます。)に売却し売却収入を獲得し、売却した再生可能エネルギー発電所に関し、上場インフラファンドや私募ファンドからAM業務及びO&M業務を受託する「循環型再投資モデル」を構築しています。

 当社は、「循環型再投資モデル」を構築していることで、フロー型収益である開発報酬、EPC報酬及び発電所売却収入と、ストック型収益である売電収入、AM報酬及びO&M報酬という二つの収益構造となっており、収益性と安定性を両立させることが可能であると考えています。


(1)事業の内容

当社グループの事業の内容は、大きく2つに分けられ、各内容は以下のとおりです。

開発/技術/金融:①開発、②EPC(設計/調達/建設)③資金調達・案件売却

発電/運営:④AM、⑤O&M、⑥発電・電力小売


①開発

 当社の地域拠点を活用することで、地域に根差した情報収集力を発揮して開発案件の情報を収集しています。具体的には地権者、地方公共団体、金融機関や機関投資家等から再生可能エネルギー発電所候補地に関する情報を得たのち、土地の広さや形状、日射量等様々なデータを確認し、再生可能エネルギー発電所としての適性や電力会社への効率的な接続の可能性等を検証しています。

 事業性の検討段階では様々なデータに基づき、具体的な収益予想、開発コストの最適化、投資シミュレーション等、候補地に再生可能エネルギー発電所を建設した場合の事業性の分析を行っています。さらに実地調査を行い、開発を妨げる様々なリスクを検証し、事業性に適うと判断したプロジェクトについては、基本計画を立て、関係各省庁、地方公共団体や電力会社等と具体的な協議を行い、必要な許認可の申請を行うとともに、地域と円滑なコミュニケーションを取れるような体制を構築しています。当社は、地方公共団体等が保有する山林等遊休地の利活用による地域振興と雇用拡大、再生可能エネルギーの普及・啓発等を目的とした立地協定を複数の地方公共団体と締結しています。また、地域拠点を設置し、発電所の安定的な運営、維持・管理を行っております。

 当社の案件開発/案件取得の実績は、2021年9月30日現在、発電所数140か所、パネル出力合計754.3MW(売却済みの発電所を含みます。)となっています。当社は、当社の株主である東急不動産株式会社、ENEOS株式会社及び関西電力株式会社(以下「資本業務提携先」といいます。)と資本業務提携契約を締結しており、当社の開発実績には、資本業務提携先との共同開発案件も含まれています。


②EPC(設計/調達/建設)

 特定建設業の許可を取得しており、EPCの実績及びノウハウを豊富に有しています。EPC事業とは、再生可能エネルギー発電設備の設計、再生可能エネルギー発電設備の工事部材調達及び再生可能エネルギー発電設備の建設を行う事業をいいます。当社は、発電設備の設計、部材の調達、協力企業の選定・調整、建設期間中の進捗・品質管理を独自で行うための体制を整えています。当社のEPC事業の実績は、2021年9月30日現在、発電所数25か所、パネル出力合計45.4MWとなっております。


 ③資金調達・案件売却

 当社が開発した発電所または取得した発電所の一部を、上場インフラファンドや私募ファンドに売却することで売却収益を得ています。また、当社は第二種金融商品取引業及び投資助言・代理業の登録を受けており、再生可能エネルギー発電所の開発のフェーズ毎のリスクや資金調達マーケットの状況に応じて、自己資金や借入れのみならず、投資家を募り私募ファンドの組成等を含む多様な手法による資金調達・案件売却を行っております。

 再生可能エネルギー発電事業を行うための資金調達として、従来型のプロジェクトファイナンス(ノンリコースローン)や、メザニンファイナンスに加えて、再生可能エネルギープロジェクトボンド(注)を発行し、資本市場から開発資金を調達しています。当社は2017年から合計10件、863億円のプロジェクトボンドを発行しております。また2019年以降は、株式会社格付投資情報センターよりグリーンボンド格付の中で5段階中最上位の評価であるGA1を取得し、資本市場に対してグリーン投資機会を提供しております。また、2017年度から2021年度上期における当社のプロジェクトボンドの発行シェアは36%で第1位となっています。

く、債券化して投資家から調達する金融手法です。


 ④AM

 再生可能エネルギー発電所の保有形態として、自社で直接保有する他、SPCにて保有する場合があります。その場合、当社は、SPCが保有する再生可能エネルギー発電所の管理運営、収支管理、レポート作成、その他事務手続等のAM業務を行っています。更にSPCのAM業務に加え、当社が組成した私募ファンド及び上場インフラファンドのAM業務も受託しております。AM業務の売上高並びに受託発電所件数は以下のとおりであり、2021年9月30日時点で、受託発電所数は124か所、パネル出力は708.8MWとなっております。


⑤O&M

 全国27か所の地域拠点を活用し、再生可能エネルギー発電所の運転開始後の管理運営等のO&M業務を行っています。当社グループでは、基本的には再生可能エネルギー発電所を開発した地域に地域拠点を設置し、地元出身の社員が常駐することにより、再生可能エネルギー発電所のO&M業務を実施しております。

 O&M業務は、運転状況の確認や巡視、稼働実績の報告、草刈り、法令等で定められた申請・報告等を実施しており、また事故等発生時の緊急対応・関係者への連絡等を実施しております。これらの業務に関しては、地域と円滑なコミュニケーションをとれる体制を構築することにより、適切に業務を行っております。

 全国の地域拠点と開発業務やEPC業務における知見を活用し、コスト削減とクオリティ向上に努めることで、当社グループ以外からO&M業務を受託している実績もあります。

 O&M業務の売上高並びに受託発電所件数は以下のとおりであり、2021年9月30日時点で、受託発電所数は149か所、パネル出力は886.8MWとなっております。うち、当社グループ以外からの受託発電所数は28か所、パネル出力は305.1MWとなっております。


⑥発電・電力小売

 当社が所有または上場インフラファンドから賃借している再生可能エネルギー発電所が発電した電力は、主に固定価格買取制度(以下「FIT制度」といいます。)に基づき、一般送配電事業者等へ売電しています。FIT制度は、太陽光発電等再生可能エネルギー電源で発電した電気を国が定める期間、固定価格で一般送配電事業者等が買い取ることを義務付ける制度です。このため、FIT制度に基づく再生可能エネルギー発電事業は長期的に安定した収益が見込まれます。

 売電収入等の売上高の推移は以下のとおりであり、2021年9月30日時点で、発電所数は47か所、パネル出力は272.5MWとなっております。

 また、上記のほか、子会社である株式会社みらい電力において、小売電気事業として、再生可能エネルギー等の電力を買取り、需要家に販売する事業を行っております。


(2)当社グループ(再生可能エネルギーのコングロマリット)の強み

 2012年の創業以来、太陽光発電所を中心とする再生可能エネルギー発電所の開発から発電まで、一気通貫で行ってまいりました。当社ではどの段階からでも、スピーディかつコストを抑えたデューデリジェンス(案件精査)により、案件化することが可能であり、これまで当社が独自に発電量算出等の事業性評価を行った案件のパネル容量は約12.3GWになります。これらの経験により得たノウハウや実績が、当社グループの強みであり、今後迎えるFIT制度に依存しない再生可能エネルギーの普及と拡大が実現できると考えています。

 ①開発及び技術

 当社グループが全国各地に有する多数の地域拠点を活かした開発案件の発掘が可能です。また、EPCを自社にて手掛けることで、再生可能エネルギー発電所に関する様々な技術を有しており、クオリティの高い再生可能エネルギー発電所の開発が可能です。


②資金調達

 ①の開発及び技術のもとクオリティの高い再生可能エネルギー発電所を建設すること及びこれまでの資金調達における実績、ノウハウを活用することで、金融機関及び投資家から円滑な資金調達が可能となります。プロジェクトファイナンスやプロジェクトボンドの発行により、約20年に及ぶ超長期資金の調達を可能とすることで安定的な発電事業のベースを築いております。


③発電及び運営

 長期的視点での発電及びAM/O&M業務を行うことができます。これらの事業は安定的なキャッシュ・フローを生み、当該キャッシュ・フローによる更なる開発投資を可能にしています。


 (3)循環型再投資モデル

 収益構造は、安定的な積み上げが期待できる発電及び運営事業からのストック型収益と、再生可能エネルギー発電所売却収入等のフロー型収益から構成されております。

 当社グループは、開発した再生可能エネルギー発電所を自社保有して安定的な売電収入を得ることに加え、再生可能エネルギー発電所の一部を上場インフラファンドや私募ファンド等に売却することでバランスシートをコントロールしつつ、その売却収入を再投資資金として新たな開発を行うことで成長を加速させてまいります。加えて、各ファンドのAM業務や、O&M業務を受託することで、AM報酬やO&M報酬といった、安定的なストック型収益を確保しています。

 上場インフラファンド及び私募ファンド(ポートフォリオ型私募ファンドである「プラタナス」)の資産規模の推移は以下のとおりであり、順調に運用資産残高を拡大しております。


(グリーンIPOの概要)

 リニューアブル・ジャパン(以下、RJ)は、太陽光発電を主力とする再生可能エネルギー発電所の開発、運営事業者。これまで日本国内に多数の太陽光発電所の開発・運営の実績を有し、一部の開発案件では自らEPC業務を担うなど、太陽光発電事業において高い専門性、豊富な実績を有する。

 RJはグリーンボンド原則の4基準である調達資金の使途、プロジェクトの評価と選定のプロセス、調達資金の管理、レポーティングの趣旨を鑑みてグリーンIPO・フレームワークを策定し、RJが現在主力とする再生可能エネルギー事業である太陽光発電所の開発・取得資金等として、当該フレームワークに基づきグリーンエクイティを発行する。


【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(連結実績)2019.12 20,600 997 315 250

(連結実績)2020.12 22,276 1,673 731 462

(連結予想)2021.12 15,394 2,072 906 506

(連結3Q累計実績)2021.12 11,418 1,708 884 566


上場時発行済み株数 28,412,000株 (別に潜在株式2,285,000株)

公開株数 5,256,600株(公募2,600,000株、売り出し1,971,000株、オーバーアロットメント685,600株)


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(連結予想)2021.12 19.58 -  - 

調達資金使途 太陽光発電所開発資金、太陽光発電所取得資金


募集を行う地域

欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)


PER:87.8

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:90.4億

公募時時価:489億

    

【株主構成】 

(株)H&Tコーポレーション 役員らが議決権の過半数を所有する会社 10,640,000 37.87 180日

東急不動産(株) 資本業務提携先 4,100,000 14.59 180日

Shanghai Alliance Financial Services Co.,Ltd. ベンチャーキャピタル(ファンド) 2,550,000 9.08 180日

ENEOS(株) 資本業務提携先 2,200,000 7.83 180日

関西電力(株) 資本業務提携先 2,200,000 7.83 

ヤンパン 取締役 1,146,000 4.08 180日

真辺勝仁 代表取締役社長 1,110,000 3.95 180日

JAICソーラー投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 500,000 1.78 180日・1.5倍

JA三井リース(株) 特別利害関係者など 250,000 0.89 180日

(株)あおぞら銀行 特別利害関係者など 250,000 0.89 180日

三菱UFJキャピタル5号投組 特別利害関係者など 250,000 0.89 180日・1.5倍


本募集及び引受人の買取引受による売出しに関し、貸株人である株式会社H&Tコーポレーション、売出人であるShanghai Alliance Financial Services Co.,Ltd.、ヤン パン、眞邉勝仁、JA三井リース株式会社、槇田武史、藤原勝、伊藤仁志、原尚美、萩原聡、渡邉康嗣、株式会社タフロードコンサルティング、吉澤直人、樋口博基、当社株主である東急不動産株式会社、ENEOS株式会社、株式会社あおぞら銀行、シナネン株式会社、佐野大祐、株式会社東北銀行、牧野達明、Banpu NEXT CO.,LTD.、First Eastern Asia Holdings Limited、株式会社福岡銀行、渡邊開也、齋藤靖之、久保智、中西芳比朗、池田栄進、沢辺康佑、井口聖一朗、林隆夫、安田義則、出水進、辻貴司、菱沼文孝、岸本誠之及び当社新株予約権者である桑原孝明、細渕勇雄、松尾真次、後藤親志、篠原耕一、TAN XIN、神山淳、羽田幸生、岩見秀男、今福正、小野寺裕一郎、大堀菜穂子、鈴木茂好並びにその他37名は、SMBC日興証券株式会社(以下「主幹事会社」という。)に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2022年6月19日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等を行わない旨を約束しております。

   売出人であるJAICソーラー投資事業有限責任組合及び当社株主である三菱UFJキャピタル5号投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対して、ロックアップ期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等(ただし、その売却価格が募集における発行価格又は売出しにおける売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)を行わない旨を約束しております。

 

【代表者】

代表者名 真辺 勝仁(上場時56歳0カ月)/1965年生

本店所在地 東京都港区虎ノ門

設立年 2012年

従業員数 255人 (10/31現在)(平均47.5歳、年収731.6万円)、連結278人

株主数 46人 (目論見書より)

資本金 2,109,525,000円 (11/17現在)

代表者生年月日 1965年12月03日生まれ

代表者略歴

1991年01月 リーマン・ブラザーズ証券(株) 入社

2005年03月 バークレイズ・キャピタル証券(株)(現 バークレイズ証券(株))入社

2008年08月 ザイス・ジャパン(株)代表取締役

2012年01月 当社設立 代表取締役社長就任(現任)

2016年02月 アールジェイ・インベストメント(株) 取締役就任(現任)

2019年12月 (一社)再生可能エネルギー長期安定電源推進協会 代表理事就任(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SMBC日興 4,296,800 94.00

引受証券 SBI 91,400 2.00

引受証券 みずほ 45,700 1.00

引受証券 野村 45,700 1.00

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー 45,700 1.00

引受証券 岡三 45,700 1.00


【参考類似企業】参考類似企業 今期予想PER(12/1)

1407  ウエストHD 35.9倍(連結予想 )

2337  いちご 27.2倍(連結予想 )

3266  ファンドクリG 21.6倍(連結見込 )

3498  霞ヶ関キャ 30.5倍(連結予想 ) 288憶

5074  テスHD 33.3倍(連結予想 )

9514  EF-ON 7.1倍(連結予想 )

9517  イーレックス 23.1倍(連結予想 )

9519  レノバ 80.8倍(連結予想 )


【私見】

 グリーンIPOとして初物銘柄で注目度は高い銘柄です。時価総額比較になりますが、テスHDで売上340憶・経常38億・純利20億で800憶。霞が関キャピタルで売上140憶・経常10億・純利8億で300憶。両社の中間と捉えると、時価総額500憶は適正と判断し、グリーンIPOのプレミアムがなければ公募前後と予想します。


想定価額:1720円

仮条件上限:1800円

初値予想:1800円

ブック申し込み度・・・中立

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価3

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